妊娠をすると、帯祝いという言葉を聞くことがあります。
聞き慣れない名称なので、一体何なのか分からないかもしれません。
帯祝いは、妊娠が安定期に入った頃に行われるお祝いですが、具体的にはどんなものなのでしょうか。
守らなくてはならないマナーやしきたりはあるのでしょうか。
ここでは、帯祝いというものを詳しくご紹介します。
帯祝いとはどういうもの?
帯祝いとは、戌の日にする安産祈願を指します。
一般的に安定期に入ると言われる妊娠5か月にあたる16~19週目頃の戌の日に行われます。
戌の日は月に何回か巡ってきますので、前もって御祝いの日取りを打ち合わせ、決めることが可能です。
なぜ、戌の日に行われているのかというと、犬は元来お産が軽く一度に何匹も産めると言われているため、犬のお産にあやかって安産を願うのです。
また、それと同時に赤ちゃんが授かったことを祝い、母子の無事と健康を願い腹帯を贈ります。
腹帯は岩田帯というさらし布でできたものを、妊婦側の実家から贈ることが一般的ですが、近年では、一枚布のさらしは使いづらく、簡単に付け外しができないため他の素材でできた腹帯を贈ることもあります。
妊娠も中期を過ぎた頃から徐々におなかがせり出してきます。
日々、重くなるおなかの負担を軽くしたり、冷えから守る目的のあるガードルやコルセットタイプの腹帯も人気です。
帯祝いのやり方は?
帯祝いの方法ですが、これは両家の考え方によりさまざまです。
風習やしきたりを重んじる地域では、お祝いの場を大々的に開くこともありますし、簡単な会食のみで済ませたり、集まること自体をせずに郵送でお祝いだけを贈るという場合もあります。
核家族の増えた現代では、帯祝いもどんどん簡略化されており、どのやり方が正しいとは一概に言えなくなってきています。
正式な帯祝いでは、まず戌の日に神社で安産祈願をして、腹帯を巻きます。
岩田帯を用意している神社とそうでない神社がありますので、事前に安産祈願の祈祷料などと併せて問い合わせしてみると良いでしょう。
もし、岩田帯の通り扱いがない神社であれば、別場所で岩田帯を購入し、帯を持ち込んで祈祷してもらいます。
お参りの後、おはらいが終わった腹帯を夫や妊婦の母親、姑などが妊婦の腹に巻きます。
さらしのような一枚の白木綿を巻く場合は、巻き方の指導をしてくれる神社や産院もありますので、そこに確認した上で巻くと良いでしょう。
また、ネット検索をすると腹帯の巻き方が詳しく解説されているものもありますので、参考にしてみ
はいかがでしょうか。
神社での安産祈願が終わると、両家の両親や親族を交え祝膳を囲みます。
近年では、自宅で行うと準備や片付けが大変負担になるため、レストランや料亭で簡単に食事を済ませる形をとる家庭も多いようです。
風習を重んじる家庭や地域などでは、先に子宝に恵まれた夫婦を仲人として帯祝いに招き、帯を巻く儀式などに同席してもらうこともあります。
また、正式なお祝いの席を設ける場合には、妊婦の実家より戌の日の半月前から帯祝い当日までに祝酒や鰹節などと共に岩田帯を贈ります。
岩田帯の正式なものは、白さらし木綿一反と紅白絹地二反を包み、紅白花結びの水引をかけ贈ります。
表書きは、御祝いや寿、御帯などです。
当日までに準備するものが間に合わないと、実家が恥をかくことになり兼ねません。
そのため、正式なお祝いの場を設けることが決まった際は、妊婦の実家には早めに知らせておくことが重要です。
帯祝いをするタイミング
帯祝いをするタイミングも悩む要因の一つと言えます。
特に、妊娠中の体調は十人十色です。
妊娠していない時のようにアクティブに動ける人も居れば、切迫症状やつわりが重く、安静が必要になる人までさまざまです。
そのため、帯祝いは体調を一番に考えて行い、無理に行う必要はありません。
また、上に子供が居たりするとお祝いのスケジュールもなかなか決められないかもしれません。
現代では、両家の両親が遠方に住むという家庭もあるため、スケジュールの調整も大変です。
妊婦の体調や、家族の都合などを考慮し負担のない時期に行うようにしましょう。
夫婦が二人で神社へ安産祈願に行くだけでも充分な帯祝いといっていいでしょう。
帯祝いは、戌の日に行うのが一般的ではありますが、地域によっては酉の日に行うこともあります。
その他、妊娠5か月とは限らず、3.6.9か月目などに行うなど、地域や風習により行う時期や方法がさまざまです。
自分側の実家と相手側の実家との認識をあらかじめ確認しておくと安心でしょう。
帯祝いの時の服装は?
帯祝いをする場所は、自宅や義理の実家、近場のレストランや料亭などが多い傾向にあります。
お祝いの席はフォーマルな衣装が必要なのではないか?と考えてしまいますが、無理に着飾る準備をする必要はありません。
安産祈願などで神社へ行ったりと動くことも多いので、その季節に合った楽な服装が一番です。
夏場は風通しの良い素材のもの、冬場はタイツなどを合わせ冷えない服装が好ましいと言えます。
足元もヒールのないフラットなパンプスなどを合わせると安心です。
帯祝いだけのためにフォーマルな服を買い足すのは経済的にも大変です。
派手でないマタニティワンピースなどで十分なため、普段使いのできるものを当日に間に合うように選んでおくと良いでしょう。
マタニティ兼授乳服という仕様の服も多く販売されています。
授乳期まで着られる服であれば、産後の御祝いの席でも着用できお得です。
また、同行する配偶者は、通勤で着用しているスーツやシャツにネクタイなど、なるべくフォーマルなものを選ぶと御祝いの場で他者に失礼にあたりません。
帯祝いの相場金額は?
帯祝いのご祝儀も、他の慶弔時と同様、相場となる金額があります。
帯祝いのご祝儀金額の目安は、妊婦の親1~3万円、兄弟姉妹は5千円~1万円、親戚や友人、同僚は3千円~1万円ほどです。
腹帯を巻く指導を神社や病院から受けた場合は、御礼として5千円ほどを渡します。
病院の場合は現金よりも菓子折りの方が喜ばれる場合もありますので、周囲に経験者がいる人は話を聞いてみるのも良いかもしれません。
両親や家族へのお祝い返しは不要としている場合もありますが、赤飯や紅白まんじゅうなどを用意し配るところもあります。
家族以外の方から御祝い金をいただいた場合は、いただいた金額の半額を目安とした内祝いを返しましょう。
御祝いを渡す側も、内祝いを返す側も4や9といった縁起の悪い語呂の数字は避けましょう。
帯祝いの表書き
帯祝いは表書きが非常に多く、どれを選ぶべきか迷います。
間違いのないように、確認した上で渡すようにしましょう。
妊婦の実家より腹帯を贈る場合・・・「祝の帯」「帯祝い」
妊婦の実家より腹帯以外の金品を贈る場合・・・「酒肴料」
妊婦の実家以外から金品を贈る場合・・・「着帯祝」「御掛御祝」「御帯祝」
御祝いを贈る際は、熨斗ありで紅白花結び(蝶結び)の祝儀袋を利用しましょう。
神社へ謝礼をする場合・・・「御初穂料」
神社へ御礼をする場合は、熨斗なしの紅白花結びの祝儀袋か白封筒を利用しましょう。
病院へ着帯指導の謝礼をする場合・・・「御礼」
こちらも紅白花結びの祝儀袋を利用しましょう。
いただいたお祝いのお返しをする場合・・・「帯掛内祝い」
内祝いは熨斗なしの紅白花結びの祝儀袋をなどを利用しましょう。
帯祝いは誰を招くもの?
帯祝いは一体誰を招くべきなのかを迷う人も多いでしょう。
帯祝いの目的は安産祈願ですので、もちろん夫と二人だけでも構いませんし、実両親、義理両親、兄弟姉妹、親族、友人など誰と一緒に祝っても構わないのです。
しかし、御祝いの場に気安く誘わない方が良い関係性もありますので注意が必要です。
特に友人などを誘ってしまうと、自分だけのためにプライベートを削らせてしまいますし、御祝い金などの準備で気を使わせてしまいます。
また、急に妊婦の体調が悪くなってしまい、御祝いをするのがむずかしいという事態になることもあります。
ですから、お互いの事を考えると誘わない方が良いのです。
一般的に、帯祝いでは非常に近い親族以外には声を掛けない場合がほとんどです。
実の両親や義理の両親なども、遠方で暮らす場合には、形式上声は掛けるものの、実際には集まらないということも多いものです。
逆に、自分たちで行う予定がなくても、親族が集まり御祝いの場を設けたいとすることもあります。
その辺は事前に相談の上、無理のないように決めましょう。
まとめ
帯祝いは、母子の健康と安産を願うものであり、神社で安産祈願を行い、岩田帯を付けることで祝われます。
しきたりに倣った正式な帯祝いをする際は、あらかじめ日取りや場所を決め、招待状などを送り、事前に用意しておくことがたくさんあるため、大変ですが、近年では妊婦自身が仕事を持つ場合も多く、準備に費やす労力を掛けられないため、両家の両親にあらためて妊娠を報告する場として簡素化されている場合がほとんどです。
しかし、その一方で、両家の意向や本人たちの考え方で帯祝いを盛大に祝うこともあります。
帯祝いは自分たちが納得するように祝うのが一番です。
両家に妊娠を報告する際に、併せて帯祝いの意向なども確認しておくと良いでしょう。