身内の方が亡くなった際、葬儀に参列された方々からご香典を頂きます。少しでも役立てるようにという心遣いは悲しみにくれるご遺族にとっては有難いものです。日本では、貰ったらお返しをする、という形が礼儀とされていますね。近しい方が亡くなって辛い中ではありますが、香典返しの準備もしなければなりません。葬儀後も色々と忙しくなるものですが、そんな中で香典返しはいつまでに送るのが適切といえるのでしょうか。
今回は香典返しに適切な時期や、品物選びのポイントと送り方についても解説していきます。
香典返しは早い分にはOK?
香典返しはいつからいつまでがベストタイミングといえるのでしょうか。何となく、「お返しと考えるのであれば早い方がいいはず」と考えてしまいますが、実はあまり早くに香典返しを贈るのも良くないんです。まずは香典返しを贈る時期について確認するところからスタートしましょう。
●忌明けから1ヵ月以内がベスト!
香典返しを送る場合は、忌明けから1ヵ月以内がベストとされています。つまり、仏教でいうと四十九日の翌日、故人が亡くなって50日目から数えて1月ということですね。
マナー本やサイトによっては2週間以内とされていることもありますが、1ヵ月ほど余裕をもっても問題ないですよ。ご遺族にとって2週間はあっという間に過ぎてしまうものですから、香典をくださった方々も気にせずにいてくれるはずです。しかしこの期間内であれば早いうちに送るに越したことはありませんから、忌明け後1ヵ月中に早めに準備できるとベター、という心持でいると良いでしょう。
なお、忌明けとなる日数は宗教ごとに違いますので、葬儀を執り行った宗教の考え方に従って日付を数えてくださいね。
当日に香典返しをお渡しするのは◎
忌明け後にすぐ準備を始めれば、あまり慌てず香典返しができそうだと分かりましたね。ここで思い出していただきたいのですが、ご自身が参列される側であった際、帰りがけに手土産を貰いませんでしたか?実はそれ、香典返しとして用意されていたものなんです。先ほど「忌明けから1ヵ月以内に送るもの」とお伝えしましたが、葬儀の当日に香典返しをお渡しすることもできるのでしょうか。
●葬儀と一緒の当日返しが主流に
本来であれば香典返しは、後日別途準備し直接伺ってお渡しするものでした。しかし現代社会では共働きの家庭も多く、遺族の負担も大きくなるという理由から、当日返し(即日返し)という方法で香典返しとする場合が多くなってきています。
当日返しは、葬儀に参列してくださった方にその場で持ち帰ってもらうため、参列してくださる方全員分用意する必要があります。参列のお返事があった数分プラスアルファの個数があると安心ですね。
一律してお返しをするスタイルであるため、ギフトを選ぶ際は3千円前後を目安にすると丁度良いと考えられています。もし準備していた当日返しに釣り合わないほど多額のご香典を頂いたのであれば、後日その差額分を別途お送りする形にすると丁寧ですよ。
香典返しを送る時期が遅れてしまったら…
当日返しをするという手もあることは分かりましたが、後日改めて準備する伝統的な香典返しにしたいと考えられる方も多いはず。しかし、もし香典返しの時期を逃してしまった場合はどうすればいいのでしょうか。もしもの時の対処法についてもおさえておきましょう。
●遅くなっても香典返しはするべし
「遅れてしまったら、逆に失礼なのでは」と考えてしまいがちですが、忌明け後1ヵ月以内に香典返しが送れなかった場合でも、香典返しを用意するようにしてください。やむを得ない理由は誰にでもありますし、遅れてしまうことは仕方のないことですから、くれぐれも無理はしないようにしてくださいね。
●お礼状に理由を書くことを忘れずに
遅れて香典返しを送る場合、お礼状には遅れてしまった理由も書き加えるようにしてください。あまり遅くなってしまうと、「何かあったのかしら」とお相手も心配してしまいます。「手術があり…」「遺品の整理に追われ…」など一言で良いので理由を記しておけば、受け取った側も安心してくださいますよ。
香典返しに選ばれている品物は?
香典返しの適切な時期や、遅れてしまった際の対処方法もお分かりいただけましたね。忌明けから準備すれば間に合いますから、無理せずゆっくり準備できます。当日返しをしない場合、併せて香典返しの選び方についても気になるところかと思いますので、こちらで一緒にチェックしておきましょう。
●ぴったりなのは食品や後に残らないギフト
香典返しはご不幸があった場合にお返しするものですので、形に残らないものや使い捨てできるようなギフトが最適と考えられています。例えば以下のようなセットが香典返しとして人気ですよ。
- 乾きもの(のりなど)のセット
- お菓子詰め合わせ
- お茶のセット
- 石鹸やシャンプー、入浴剤
●定番化しつつあるのはカタログギフト
ご遺族側が品定めをする必要がなく、また受け取った側が好きな商品を頼むことができるという利便性から、カタログギフトもご香典の定番となりつつあります。一律で同じカタログを揃えられるのは確かに簡単ですね。ネックな点は、カタログで頼めるものの金額が明確であるというところ。お金に関する部分はできるだけ隠したい、という場合には不向きかもしれませんね。しかしご遺族側の負担がかなり少なくなりますので、カタログギフトという選択肢も覚えておくと良いでしょう。
送り方はどうすればいいの?
香典返しの品についても選び終えたら、あとは香典をくださった方に送るだけ。本来は一軒いっけんに直接出向いてお返ししていたものですが、現在はどのように香典返しを送れば良いのでしょうか。
●郵送でもOK!
本来の香典返しは、直接伺ってお渡しするものでしたが、現代社会ではそれは中々難しいことですよね。遠方から葬儀に来てくださる方も多いでしょうし、一軒いっけん訪問するのは無理があるといえます。そこで現在は、郵送で香典返しを送ることはマナー違反と考えられていません。最近では郵送など込みで請け負ってくれる注文サービスも多く、ご自宅でいったん準備して送る、というケースは少なくなっているようですね。
●お礼状を添えること
葬儀に参列し、故人に最後のお別れをしてくださったわけですし、香典返しには必ずお礼状を添えるようにしましょう。先ほどお話したように、注文時に諸々込みでお願いできるサービスが多数ありますから、注文時に一緒にお礼状も頼むことができますよ。
もしご自宅であらかじめ用意していた場合、以下をお礼状の参考にしてみてください。なお、お礼状には句読点を用いず、文の区切りにはスペースを空けて読みやすくします。これはつつがなく法要を終えましたということを表すもので、句読点を使わないという決まりがあることをおさえておけばOKです。
ポイントは、昔の風習の名残から、郵送で送ることを詫びる一文を入れることと、おかげさまで法要が無事に終わりましたという旨を伝えること。また、忌明け後1ヵ月以内に香典返しができなかった場合は、その理由も途中に盛り込むと良いですよ。
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謹啓
先般の亡父〇〇儀死去に際しまして 御懇篤なる弔慰や過分なる御厚志を賜りまして 誠に有り難うございました
(香典返しが遅くなった場合、ここにお詫びの文を入れましょう。
「早速お礼申し上げるべきところでしたが 生憎〇日間入院しておりまして ご連絡遅くなりましたことお詫び申し上げます」など)
おかげをもちまして法要も滞りなく相営みました
故人も御厚情に感謝しつつ 心安らかに眠っていることでしょう
つきましては 供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたします 何卒受納くださいませ
拝眉の上 お礼を申し上げるべきところですが 略儀ながら書中をもちましてご挨拶とかえさせていただきます
敬具
△△年△月
□□□□□□□(住所)
喪主 長女〇〇
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まとめ
香典返しは急いでしなくては、とお考えであった方も、少し余裕があることが分かりほっとされたのではないでしょうか。忌明けから1ヵ月余裕はありますし、悲しみの中無理をしても仕方がありません。ご自身の心身を一番に考えて香典返しの準備をすべきといえますね。香典返しの品や送り方についてもお話しましたので、これで香典返しの準備に関してはばっちりです。こちらの記事をお読みになって、少しでもご遺族の方の負担が軽くなりますことを願っています。