最近では念願のマイホームを建てる方でも、上棟式を行わない方が増えてきたといいます。
また上棟式をするものの、日にちや準備にこだわりを持たずに簡略化するという方も多いとか。
分譲住宅やマンション購入も多い中、上棟式をすること自体が珍しいのかもしれません。
しかし、今後のためにも知っておきたい上棟式の知識。
知人や会社の方などと話をする時にも、きっと役に立つことでしょう。
そこでこちらでは、日本古来の上棟式の方法についてご説明します。
上棟式の意味を知りたい!何のためにするの?
そもそも上棟式とは何のためにするのでしょうか?
現在は土地の高騰が原因で分譲住宅を購入する方が多いと言われていますが、昔は持っている土地、または新しく購入した土地に上物を建てることも多かったのです。
上物とはつまり、家のことですね。
一から家を建てるということは、多くの大工さんや建設会社と関わるということ。
現代では水回りやインテリアも多様化していますから、綿密な打ち合わせも必要です。
家を建て始める際、重要となるのが「棟上げ」です。
棟上げとは木造や鉄骨などに関わらず住宅を建築する際に使う用語で、一通り柱を組んだ後に屋根にあたるところ、つまり天井部分にあたる部分を組むことを指します。
この棟上げが行われると、いよいよ家の骨組みが完成され、今後は家になる部分を作っていくだけということになります。
昔はこの棟上げが終わると「上棟式」という儀式を行い、お祝いをしました。
その儀式は、今後の工事の無事や、完成した家そのものや、住む人の幸せを祈るためだと言われています。
しかし最近では上棟式自体に「大工さんや棟梁を労おう」という意味合いが強くなり、大工さんのためにするという考え方をする方が多いとも言われています。
さまざまな考え方を持たれている方が増えていることもあるため、上棟式自体をする方が減ってきているのでしょう。
上棟式の挨拶とは?
上棟式をする際には、通常、施主が挨拶します。
上棟式は、あくまでも施主が大工さんや棟梁に感謝や今後の工事の無事への願いを伝える場。
ですからもしも挨拶をする時は、まず作業をしてもらっている方々への感謝を述べましょう。
仕事とはいえマイホームを作ってくれているわけですから、大人としても施主としても感謝は基本です。
次に無事にマイホームが建てられるという事を願ったり、建てた後に楽しみにしている事や抱負などを伝えるのも良いですね。
相手はプロではありますが、雨の日も風の日も自分たちが住む住宅を建ててくれているわけです。
足場に危険もありますから、やはり怪我をする可能性もなきにしもあらずなのです。
上棟式に来てもらっている人は、主に工事関係の人たちであることがほとんど。
そのため怪我の無いようにということを強調すると良いかもしれません。
もし何を話して良いかわからないという場合も、棟梁たちへの感謝と、今後怪我がないようにと挨拶に盛り込むようにすれば大丈夫です。
上棟式には普段いない大工さんがいる場合もあるので、大体5~15人ほどと考えれば良いでしょう。
あまり緊張せずに、思ったことをそのまま伝えれば気持ちが伝わるものです。
上棟式にはご祝儀袋が必要って本当?金額は?
人生の中で上棟式を何回も経験することはそうないでしょう。
だからこそ1回あるかないかの上棟式でなるべく後悔したくはありませんよね。
実は上棟式ではご祝儀袋を用意する必要があります。
上棟式がお祝いであるからです。
日本では慶事にはご祝儀を渡す習慣がありますし、上棟式もその一環と考えましょう。
基本的には棟梁、現場監督、大工さんなどで金額を変えるのが良いとされています。
例えば棟梁は一番金額が高めで1~3万円ほど、現場監督などは5千円~2万円、その他の大工さんは5千円~1万円ほどが相場です。
相場の金額がわかったところで、次は渡し方についてご紹介しましょう。
特別他人を招待するような大掛かりなものではなく、家族と大工さんや棟梁だけという場合でもポチ袋などにお金を入れることは避けましょう。
上棟式はご祝儀袋を使用し、金額によりご祝儀袋の豪華さを変えることが通常です。
大工さんに5千円を渡す場合は水引が印刷されているご祝儀袋を使っても大丈夫ですが、3万円などを包む場合は紅白の水引で蝶結びになっているもの、またはあわび結びになっている豪華なものを使いましょう。
ただしあわび結びは金と銀になっている水引が通常で、紅白のものではないと気にされる方も多いようです。
しかし関西などでは主流のご祝儀袋ですし、慶事全般に使えるので安心してくださいね。
大事なのは結び方であり、「何度でも繰り返されて良い」という意味の水引を使いましょう。
またご祝儀袋の表書きも大事なポイント。
表書きをする場合、大工さんなどに渡す場合は「御祝」「ご祝儀」と書けば問題ないでしょう。
「祝上棟」や「上棟式御祝」でなくても良いの?と思われる方もいるかもしれませんが、こちらは上棟式に招待されたゲストが、施主にお祝いを渡す際の表書きとなりますので気を付けましょう。
上棟式の準備はどうするの?
上棟式をするにあたって施主が準備するものとは何でしょうか。
- ご祝儀
- 米
- お神酒
- 塩
- お弁当やお料理
- 引き出物
- 上棟餅
- 棟札
- 尾頭付き
- 昆布・するめ
以上のものを用意します。
ご祝儀については先ほどお話ししましたね。
棟札は新築する時に無事を願う木の札のようなもので、いわゆる「お守り」です。
神社などで手に入れることができるので、氏神様で用意されているのかを事前に調べておきましょう。
お米やお神酒は上棟の儀で四方に撒くため。
昆布、尾頭付きなどは全て上棟式の際の祭壇に飾るものです。
尾頭付きのお魚は出来れば「鯛」が好ましいですが、そこにこだわる必要もないでしょう。
また上棟式では餅を投げる習慣があるという地域もあります。
もしも餅を投げる際はご近所にもお声がけをして一緒に参加してもらうという事が一般的ですが、それはご近所さんと日頃から顔見知りの場合です。
最近はご近所付き合いを苦手とする方や、遠方から突然引っ越してくるというケースも多いので、わざわざ餅投げをする方も少ないといいます。
もしも気になるという場合は餅を用意しておいて、ご近所に配るということでも良いかもしれませんね。
昔の上棟式には「直会」といって棟梁や大工さんたちに料理を振る舞い、宴会をするという風習もありました。
一説には上棟式は2日かけてする事が多く交通機関や車が発達してなかった時代に、帰宅してからまた早朝に戻ってくるという事が物理的に難しいこともあったからだといいます。
夜は宴会のまま現場に泊り、翌日仕事をしたという事なのでしょうね。
今は上棟式自体もすぐに終わる場合が多いですし、万が一2日に渡り行うような時も直会はないことが多いようです。
建設会社に禁止されている場合もあります。
その変わり1~3千円ほどのお弁当などを大工さんたちに用意し、お昼や帰宅時に渡すことが多いようです。
また引き出物として持って帰って貰えるように、紅白饅頭などを用意しておくと万全です。
上棟式の流れはこれでバッチリ!
上棟式の準備品まではわかりましたが、一体どのような流れで上棟式を行えば良いのでしょうか?
- 上棟式はまず、棟梁が飾りなどを天井部分の棟木に取り付けます。
- 次に用意された祭壇にお供え物を飾ったら、棟梁が土地の東西南北に塩を撒きお祓いをします。
- さらに用意していた酒・お米・塩を棟梁が土地の四隅に三回撒き、お神酒をいただきます。
- 場所によってはこの後に、施主が招待客などに向って餅投げをする場合もあります。
- その後は施主が挨拶をし、ご祝儀を渡すなどして式を締めくくります。
この時に用意された飾りなどは、全て屋根裏へしまわれます。
以上が、通常の上棟式の流れですので、覚えておくと便利ですね。
現在ではほぼすることがない直会ではありますが、個人的にお知り合いだったり、昔ながらの大工さんだったりする場合はもちろん料理を振舞って一緒にお祝いをするという場合もあります。
上棟式についてわからない場合は、施工会社に聞いてみるのも良いでしょう。
ご祝儀や直会が禁止されている場合もありますし、また元々上棟式の費用を建設費に含んでいるという会社もあります。
どこまで用意したら良いかなどに困ったら、まずは聞くのがおすすめです。
まとめ
上棟式についてお話しました。
現在では簡略化されつつある上棟式ですが、やはり自分の家を建ててくれている大工さんたちへの労いや工事の無事を願うことは当たり前のこと。
そこまで形式ばった上棟式をする必要はないかもしれませんが、感謝の気持ちを伝えることはとても重要です。
忙しくてその日に出来ないということであっても、日をずらしたりするなどの対応をして、何らかの形で気持ちを示すのが良いでしょう。