神社で祈祷を受ける際、祈祷料というものを目にして焦ったという経験がある人もいるかも知れません。何も知らずに出かけて、神社で厄除け祈祷などをお願いしようとしても、お金を納めることや事前予約が必要ですぐにできない場合もあるのです。
では、祈祷料は一体どんなもので、どこでどのように渡すものなのでしょうか?ここでは、祈祷料について詳しくご紹介します。
祈祷料とは一体どんなもの?
祈祷料とは、「祈祷していただいたお礼」を指します。祈祷というのは、神様にご加護や恵みを祈願することをいいます。様々な祈祷があり、神道で葬儀告別式(通夜祭や葬場祭)、法要(霊祭)を行なった際や、婚礼などの祝賀儀式、厄払い、地鎮祭、戌の日参り、お宮参り、七五三、家内安全、、恋愛成就、交通安全、商売繁盛などの祈祷を行った時に、神社や神官に対して「祈祷料」という名の謝礼を払うのです。
謝礼としてのお金を封筒に入れ、表書きに祈祷料と記すのが一般的です。祈祷料は、神社内にある社務所に払います。日本では、神社と寺院が同じ敷地にある所も珍しくはないので、社務所で祈祷をお願いする旨と、それに対するお礼である旨をしっかり伝えましょう。
祈祷料の金額は?どこで確認できるの?
祈祷料は各神社で、どんな祈祷を受けるかで変わって来ます。一般的な厄除けや祭事の祈祷では、およそ5千円から3万円くらいの金額ですが、1人3千円から祈祷を受けられるところもあれば、団体向けに5万円以上の祈祷を用意しているところもあります。等級式を設けている神社が多く、「〇等式・・・〇円」という具合に金額別に表示されています。
近年では、ホームページなどを解説している神社も増え、そこで祈祷料を明示していますので事前に確認できます。もし、それでも分からない時は、社務所に直接聞くか、電話で確認できます。「金額の事は聞き辛い」と感じる人も居るかも知れませんが、神社では良く聞かれる質問ですので丁寧に受け答えをしてもらえます。中には、祈祷内容により最低〇等級以上と決められているところもあります。気負わずに質問してみましょう。
もし、「お気持ちで・・・」と言われた場合には幾ら包むべきかと悩んでしまうかも知れませんが、祈祷を受ける人数一人につき5千円から1万円を包むのが一般的です。
祈祷料の差は、神社からの授与物の内容が異なるためです。例えば、5千円の場合には、お守りとお神酒が付き、1万円の場合には、お守りとお神酒に加え砂糖やお札などが付くという具合で、神社により様々です。戌の日参りにはサラシをくれる神社が多いのですが、それ以外にも七五三は子供におもちゃをくれるところもありますし、お宮参りには銀のスプーンや歯固めの石をくれることがあります。授与物の内容は、等級や支払う金額により異なりますので、その辺も事前に確認しておくと良いでしょう。
祈祷料?玉串料?初穂料?呼び名はどれが正解?
神道で謝礼として支払うお金には、祈祷料の他にも玉串料、初穂料と様々な名称があります。基本的には全て祈祷料として神社に渡すものなのですが、どのように使い分ければ良いのでしょうか。
初穂料とは、収穫した米=初穂を神前に捧げて、その年の豊作と恩恵に感謝をするという風習から名付けられました。そのため、現代でも初穂料は神様への感謝の気持ちでお供えするものという意味を持ちます。感謝の気持ちという前提でお渡ししますので、葬儀や法要などの弔意を持つ場面では不向きです。お札やお守りを受ける際に使用すると考えれば分かりやすいかも知れません。七五三や厄除け祈願、お宮参りなどの場面で使いましょう。
玉串料の玉串とは、榊(さかき)という植物の枝に紙垂(しで)という紙を付けたものです。玉串を手に神殿を参拝することで、榊の枝を通し願いが神様に届けられると信じられています。玉串料とは、玉串の代わりに納めるお金のことを指します。神様にお供えするという意味がありますので、七五三やお宮参りなどの祭事に用いられますが、葬儀の際にも使用できます。
どの名称を使用すれば良いのか迷う場合は、神社へ金額確認をする際に合わせて聞いておくと安心です。
祈祷料を渡すタイミングと渡し方は?
祈祷料を神社へ渡すタイミングや渡し方はどうすればよいのでしょうか?
神社では、社務所で受付とお金の支払いを済ませてから、待合室などで神殿へ入る時間が来るまで待機します。祝詞を上げ祈祷するのに、住所や名前、生年月日などが必要なので、その辺も受付時に記入が必要なのです。神社へ足を運んだら、まず社務所へ向かい祈祷料を納めましょう。祈祷の時間が予められている神社では、時間を過ぎたら入室できなくなります。開始時間ギリギリに到着し、受付や祈祷料を渡すタイミングも無い状態で、バタバタとせわしなく神殿へ入るのはマナー違反です。祈祷時間が特に決められていない神社でも、受付時間ギリギリに到着されては非常に迷惑です。時間厳守が基本ですので、余裕を持ち到着できるようにしましょう。特に、小さな子供の祈祷をお願いする場合には時間配分をよく考え行動しましょう。
また、祈祷の予約をしていても、社務所の受付で並ぶことがあります。どの神社でも到着順に受付を行いますので、行列のマナーを無視する行為はしないように注意しましょう。
祈祷料の渡し方は、相手に封筒の文字が読める向きでお渡しします。その際に「宜しくお願いします」と声を掛けましょう。封筒へお金の入れ忘れが無いよう、事前にチェックしておきましょう。神社によっては、現金のみを受付に支払うよういわれることがあります。混雑する神社ではいちいち封筒を開けていられないので、その辺も合わせて事前に確認しておきましょう。
お金を入れる封筒はどんなものを使用すれば良いの?
祈祷料を封筒に入れる際は、熨斗袋を使用するのが一般的です。御祝い事の時には、紅白蝶結びの水引のものを選びます。厄払いなどでは紅白結び切りのものを使用します。弔事の際は白黒の結び切りを使います。熨斗袋が無いときや迷う時には白い封筒でも構いません。神社へ渡すお金を入れるものに茶封筒は使用しませんので、注意してください。
表書きは、「御祈祷料」「御初穂料」「御玉串料」などその祈祷に見合う名称で記します。下段には祈祷を受ける人の名前をはっきり書きます。
中袋がある場合には、中袋の表側に「金〇萬円」と書きます。漢数字は旧字体で書きます。一は壱、二は弐、三は参です。
中袋の裏側には、左下に住所氏名を書きます。
中袋が無い場合には、封筒の裏側の下に「金〇〇円」と算用数字で記しましょう。
祈祷料は誰が支払うべきなの?
祈祷料は誰が払うべきものなのでしょうか?料金の支払に関して迷うことが有るかも知れません。
通常は祈祷を受ける本人やその養育者が支払います。未成年や独立していない子供であれば、親が払うのですが、孫の
お宮参りや七五三で祖父母が参加する場合には、祈祷料を払ってくれることもあります。そんな時は素直に甘えてみても良いかも知れません。神社としては、誰が払っても構いませんが、受付の場で譲り合いや言い争いになるのは避けて貰いたいと考えています。他にも並んでいる人が居るかも知れませんので、迷惑にならないようにしましょう。
会社の部署などで厄払いや祈祷などを受ける場合は、会社が負担してくれるでしょう。誰が払うのか分からない場合は、事前に確認しておくと安心です。
祈祷の際にはTPOを心掛けた服装を・・・
祈祷を受ける際にはその他にも注意すべき点があります。特に見落とされがちなのは、服装です。厄払いなどは、お出掛けついでにという人も多いかも知れません。神社に行くという事を忘れて華美な服装にならないよう気を付けましょう。特に肌の露出が多い服はNGです。また、神社によっては神殿で靴を脱ぐことが考えられます。着脱に時間のかかる靴は周囲の迷惑になる可能性がありますので、避けた方が良いでしょう。また、コートなどは神殿に入る前に脱ぎ、邪魔にならないようまとめておくのが基本です。神殿は畳が敷いてあるところもあるのですが、畳のヘリを踏まないというマナーを守ることも大切です。
祈祷を受ける本人以外の身内や関係者もTPOをわきまえた服装が必要です。付き添う以上は「自分には関係ない」ということは言えませんので気を付けましょう。
まとめ
祈祷料とは、神社で祈祷を受ける際にお渡しする謝礼のことをいいます。同じ祈祷料でも、玉串料や初穂料など祈祷内容で呼び名が変わります。相場も各神社や祈祷内容で異なりますので、事前にホームページなどサイトや電話で問い合わせをし、確認しておきましょう。祈祷料は基本的に当日、社務所へ現金で納めます。お金は熨斗袋や白封筒などに入れておくと安心です。どんな祈祷でも他の人の迷惑にならないよう、時間やマナーを守り、服装などにも気を配りましょう。