最近、神社や寺院に参拝に訪れる人たちが注目しているのが御朱印です。名前を知っていても、実際に集め方や、楽しみ方を知っている人は少ないかもしれませんね。
今回は御朱印の魅力を探っていきます。集めるときに気を付けたいこともお知らせしますから、御朱印を始めようとする人も不安がなくなるはずです。神社や寺院にお参りするのが、もっと楽しくなるかもしれませんよ。
御朱印が意味するものとは?もともとの役割は?
御朱印は、寺社(神社や寺院)にお参りをした人が受け取れる、朱色の印(ハンコ)のことです。
印の上に墨で寺社の名前や守り神のお名前などを書いてもらえるので、見るだけでも楽しいし、よい記念になるものです。
かつては写経を納めた人に受付印として出されたもので、納経印とも呼ばれていました(御朱印という呼び名は、昭和初期から使われています)。昔の日本は、神社と寺院がはっきりと区分けされておらず、神社に対しても写経を納めたために、神社と寺院の両方で御朱印をもらえます。
いつしか御朱印と写経は関係がなくなり、お参りをすれば受け取れることになりました。
どうして集めるの?
日本に寺社は数多くありますが、御朱印はすべてが違いますから、後で見返せば お参りをしたときの記憶がよみがえってきます。また、御朱印が欲しくてお参りに行く機会が増えます。
お参りをした思い出になると同時に、お参りをする励みにもなるのです。
お参りの思い出なら、御札やお守りと考えるかもしれません。特にお守りはデザインも豊富で、思わず手に取りたくなるものがたくさんありますが、いつかは感謝の気持とともに寺社に納めなくてはなりません。その点、御朱印なら思い出としていつまでも持っていられます。これは大きな利点だといえます。
書いてある内容を知りたい!
せっかく受け取ったわけですから、御朱印に書いてある内容を知りたいですね。
内容は、書いてある位置によって大体決まっているので、覚えてしまえば、自分で解読できます。
まず、目が行くのが一番大きな中央の印です。神社なら名前の印、寺院なら三宝印(仏、法(仏の教え)、僧(教えを広めるための存在)が仏教の3つの宝であると刻んだ印)が押されています(ほかにも観音印、御本尊の印のこともあります)。
この大きな印の上に墨で書かれるのが神社の名前、寺院では御本尊(いわゆる仏様のことが多い。悟りを開いた大日如来など)や観音様(こちらは悟りを開く前の菩薩と呼ばれる存在です)の名前です。
右上に、中央の印よりも小さな印が押してあります。神社では神紋(人間の家紋にあたるもの)ですが、寺院では俗称、または御札を納める寺院であることを示す印(四国八十八カ所や西国三十三所などです)が押してあります。どちらの印も上に「奉拝」と書いてありますが、これは謹んで拝むという意味で、私たちがお参りをした証拠として書かれる言葉です。
一番左側には、神社の御朱印なら、日付が書かれているため、お参りした日がわかります。
寺院のものには、名前の印が押され、上に山号と寺号が書がれます(かつて寺院は山に建てられたことの名残で、比叡山延暦寺のように山号があります)。
神社と比べて寺院の御朱印は崩した字のことが多く、読みにくいと感じますが、何と書いてあるのか、完全に読めなくても、自分で推測したり、想像するのも楽しいです。これは歴史があるからこそ、できる楽しみ方です。
また、神紋の印や寺院の名前の印は、それぞれ形が違うので、見比べる楽しさがあります。
うさぎのデザインもある!季節限定も!
御朱印の楽しみ方の1つは、デザインを味わうことです。特にうさぎの印は、そのかわいさが昔から人気を集めています。うさぎが大切にされている神社の中でも有名なのは、鳥取の白兎神社です。この神社は因幡の白兎の舞台となった海岸のすぐ近くにあるので、正統派のうさぎの神社です。ちょこんとかわいいうさぎの印は見るだけで和めますし、御朱印帳にもうさぎがいるので、欲しくなってしまうこと間違いなしです。
ほかにも、キツネのイラストが書いてもらえる群馬の於菊稲荷神社、アニメのキャラクターが登場する東京の高木神社など、どれも思わず欲しくなる物ばかりです。新しいデザインの登場で、御朱印は世代を問わずに受け入れられたのです。
普通の倍以上の大きさだったり、季節限定でひな祭りや七夕など季節の行事にちなんでいたりと、注目の御朱印が次々に登場しています。見返して思い出にひたるだけでなく、掛け軸にして楽しむなど、気に入ったデザインだと、年代を問わず、御朱印の楽しみ方が増えそうですね。
御朱印帳が必要な理由とは
日本の昔ながらの方法で作られた和紙の帳面を御朱印帳といいます。
これ以外の物で、御朱印を受け取るのは失礼にあたります(神様や仏様の名前が入る御朱印は、粗末に扱ってはいけません。御札と同等に考えている人もいるくらいです)。
普通の手帳やノートを寺社で出しても、断られる恐れがあります。それはお互いに残念なことですから、御朱印帳は必ず用意しましょう。
たまたま手元に御朱印帳がないときは、「書き置き」を求めるとよいですよ。
すでに御朱印が押してある和紙を書き置きといい、後から自分で御朱印帳に貼り付けます。必ず手に入るとは限りませんが、御朱印帳を家に忘れてきたときなどに、役に立ちそうですね。
御朱印帳はいろいろな場所で手に入りますが、寺社でも手に入れられます。お参りに行った先で求めたものなら、それ自体が思い出になるし、特別なご縁ができたようでうれしく感じられます。
実際に使うときには、観光用のスタンプを一緒に押さないように注意が必要です。スタンプとは目的が違いますから、同じ御朱印帳に押すのはよくありません。
1冊に神社と寺院のものが混ざって押してあるのは、ほとんどの場合は問題になりませんが、念のために神社と寺院で使い分けをしている人も多くいます。
また、紙面の裏と表の両方に御朱印を押す人もいれば、裏写りがするからそれは嫌だという人もいます。自分の御朱印帳の紙質や厚さ、とじ方などを見て、最適な方法を探しましょう。
どこで受け取るの?時間はいつ頃がよい?
御朱印は、御朱印、納経所という表示の出ている場所で受け取れます。
もし表示が見当たらない場合は、神社なら社務所、寺院なら宗務所(どちらも事務所の役割があります)で聞いてみてください。
御朱印は寺社が開いている時間にお願いしましょう。
時間外のお願いは、寺社の方の生活を邪魔する非常識なふるまいです。小さな寺社の場合は、昼休みを交代で取るのが難しい場合もあるので、避ける心遣いも必要です。たくさんの仕事がある中で、時間をかけて手仕事をしてもらうわけですから、私たちも感謝して、心遣いを示したいですね。
気を付けたいことはある?
最初にこれから行く寺社に御朱印があるのかを確かめましょう。インターネットで【神社、または寺院名 御朱印】で検索すると簡単です。普段、神職の人がいない神社や、一般の檀家寺(法要をしてもらう代わりに、お布施を払う家によって支えられている寺院のこと)には御朱印がないし、浄土真宗の寺院でもない場合がありますから、事前の確認は必要です。
お参りをした後に受け取る御朱印だから意味があるので、御朱印だけをもらって帰るのでは、意味がありません。お参りは忘れないでください。
御朱印代は、寺社の方の負担にならないため、自分だけに時間を使わせないためにも、お釣りがないように渡しましょう。300円、または500円のところが多いので、「お気持ちで」といわれたら、300円を納めてください。「代金は要りません」といわれた場合は、300円をお賽銭にするとよいですよ。
人気がある寺社の場合、御朱印のために行列ができることも珍しくありませんが、静かに待ちましょう。大声でしゃべったり、騒いだりすることは、毛筆を手にしている寺社の方の妨げになってしまいます。もちろん、順番を守るなどの基本的なマナーも守ってくださいね。
そして最後に、受け取るときにはお礼の言葉を伝えましょう。神様や仏様にもっとも近い場所で受け取るわけですから、恥ずかしくないように、これらの注意事項を忘れないでくださいね。
まとめ
今回は御朱印の魅力についてお知らせしました。意味や、何を書いてあるのか、デザインにいろいろな種類があることがわかりましたね。これらのことを知っていると、楽しさが倍増するはずです。
受け取る際にどんなところに注意したらよいのかもお知らせしました。スタンプラリーとの違いをしっかりと認識して、謙虚な姿勢で受け取りたいですね。
最近は御朱印を求める人のマナーの悪さが問題になって、受け付けが中止される場合もあるようです。後から見返すと思い出がよみかえる御朱印を、これからも長く楽しんでいくためにも、一人ひとりがマナーに気を付けたいですね。