我が国では、仏教を信仰する家庭が多いのですが、その他にも神道、キリスト教など様々な宗派を信仰する人がいます。
その中でも、特定の宗派を信仰しない「無宗教」という人が一定数存在し、近年ではそういった無宗教での葬儀や法要も増えて来ています。
ですが、無宗教とはどんなことをするのかを知らない人もいるのではないでしょうか?ここでは、そんな無宗教の法要についてを中心にご紹介します。
無宗教の法要はどんなもの?
我が国では、特定の宗派を信仰しない「無宗教」と呼ばれる人々が一定数存在します。
特に若者に多くなっておりますが、代々宗派に捉われない家庭も多くあります。
無宗教で葬儀をあげると、故人を成仏させるために付けられる戒名というものを授かりません。
僧侶そのものを呼びませんので、読経による供養もありませんし、お布施なども必要ありません。
葬儀後の供養はどうすれば良いのかと悩む家庭もあるでしょう。
無宗教だからといって、故人のためを想う法要が執り行えないわけではありません。
無宗教では、仏式の法要のように厳格なしきたりやルールがありませんので、その分好きな時に好きな場所で、自由に故人を偲ぶ時間を過ごすことができるのです。
無宗教の考え方は?
無宗教では、供養のためにお経をあげません。
日本人の多くは、お経=供養・成仏と考えている人が多く、お経をあげないと成仏できないのでは?と不安に思うかも知れませんが、成仏という考え方そのものが仏式の考え方なので、無宗教にはあてはまらないのです。
事実、死後の世界の事は誰にも分かりませんので、念仏を唱えなくては浄土へ行けないのか、無宗教でも行けると考えるのかは、その人自身の考え方なのです。
無宗教の法要を行う日程は?
仏式では年忌法要、神式では年祭などがありますが、無宗教の場合は、そういった定められた日程での法要は存在しません。
好きな日程で行うことができます。
いわゆる月命日や祥月命日に、家族や親族、友人知人が集まり法要のような形を取って故人を偲ぶことが多いようです。
また、招く人にも分かりやすいよう、仏式の一周忌、三回忌の日程に合わせて行うことがほとんどです。
ただ集まり、会食をして故人の思い出を語り合うものから、儀式のように挨拶や黙祷、会食という流れにするものまで、家庭によって様々な形式を取っています。
無宗教の法要の行い方は?
無宗教の法要の行い方はどんなものが正解だろう?と迷うことがあるかも知れませんが、無宗教での法要は実に自由です。
日程や行い方に捉われることなく、故人を想って皆で手を合わせること自体が無宗教の法要になり得るのです。
具体的には、家族や親族、友人知人などを招き、故人の好きな料理や酒を囲みながら、故人の好きだった音楽を流し語り合います。
故人の写真を飾ったり、好きだった花を飾っても素敵です。
無宗教では司会進行が重要
仏式の葬儀や法要では、宗派による儀式を行いながら進めるため、およそ1時間程度の時間が掛かります。
その中には、僧侶による読経や説法などが30分以上あります。
読経の間に焼香を行うのが一般的ですが、無宗教になると、僧侶もいませんし、読経や焼香もありません。
そのため、「一体何をすれば良いの?」と不安を感じるかも知れません。
そんな時は、プロの司会者、司会進行役を依頼することをおススメします。
家族が故人のために行いたい儀式をまとめ、上手に進行してもらうのです。
仏式では焼香ですが、その代わりに献花を行ったり、参列者全員で末期の水のような儀式を行うこともあります。
故人の写真や動画を編集しメモリアルDVDとして流すこともあります。
型にはまらない形式で行えますが、司会や進行役を立てた方が葬儀や法要の場が引き締まるのです。
無宗教の場合の仏壇
無宗教では、位牌や仏壇を持たないという家庭も多いものです。
そのため、法要のような時には故人の遺影やお墓に手を合わせるということになります。
中には、故人の愛用していた物などを遺影と共に置き、そこへ手を合わせるという場合もあります。
無宗教だからといって、仏壇を買ってはいけないという決まりはありません。
残された家族の趣味に合う仏壇を購入し、そこへ遺影や故人ゆかりの品などを置くということも可能です。
仏壇を置くことで、故人を想い手を合わせやすくなります。
近年では、リビングなどに置いても違和感の出ない現代的な仏壇も増えてきました。
そういったオシャレなものを選んでみても良いかも知れません。
無宗教のメリット・デメリット
無宗教では僧侶を呼び供養をしません。
戒名を授かることもしないですし、四十九日、一周忌、三回忌などの法要もありません。
そのため、お寺側に支払うお布施などの金銭は一切必要ありません。
自分の死後、家族や親族に金銭的負担を掛けたくないという人が、無宗教を選択するというパターンが増えてきました。
また、葬儀や法要も自分の好きなセレモニーホールや好きな場所で形式に捉われることなく自由に行えます。
その自由な点が最大のメリットと言えます。
無宗教の場合は、人気の樹木葬や海への散骨なども選択できます。
但し、無宗教葬儀をした後に、納骨を考えている場合は要注意です。
先祖代々の菩提寺(親しいお付き合いのあるお寺)の墓には入れない可能性もあるためです。
お寺では、宗派の供養を受けていないお骨は受け入れできないとするところも多く、無宗教で葬儀を行った場合の納骨だけを受け入れているのは少数です。
場合によっては、もう一度葬儀をあげることを条件とされたり、納骨後の法要をすることを条件とされたりもします。
そうなると、葬儀を無宗教であげる意味自体が亡くなってしまうので、よく検討しておきましょう。
もしも、代々の墓があり、ある時から無宗教となる場合には、「墓仕舞い」が必要になります。
子供世代にお金を掛けて貰いたくないと考える人は、早めに家族へ相談して自分で墓仕舞いをしなくてはなりません。
その点も良く相談する必要があります。
檀家は続けるべき?
今まで、ある特定の宗派の菩提寺があり、檀家になっていた場合、自分が無宗教だからという理由で檀家を辞めても良いのか、そのまま檀家であり続けるべきなのか、という点で悩むことがあります。
個人の信仰 する宗教が自由である我が国では、当然親子でも考え方が違います。
親の信仰を子が引き継がなくてはならないという決まりはありません。
宗教というのは、そもそも生きている者が信仰するものなので、故人の遺書などで死後の定めや希望がない以上は、生きている者の考えで決められます。
信仰しない宗派の檀家を続けるかどうかで迷うこともありますが、残された家族が無宗教主義の場合、檀家を辞めるという選択肢も当然あるのです。
檀家を辞めるのであれば、節目の法要(年忌法要)での読経は行われません。
中には、先祖のためということで、今まで通りの菩提寺に供養を依頼し続けるという家庭もあります。
檀家を辞める辞めないという点は、家族や親族の意見を汲んで決めるのが一番です。
誰か1人の意見で檀家を辞めたり続けたりすると、家族関係や親族関係にヒビが入り兼ねません。
無宗教では参列者も自由
無宗教の葬儀や法要では、特別な宗教上の決まりごとはありません。
そのため、参列者の宗派の慣習で手を合わせても、十字架を持っても構わないとされています。
故人の安らかな眠りや成仏を願うのであれば、どんな形でも良いのです。
法要では、カラオケ大会のような形で、故人の好きだった歌を唄うという場を設ける家庭もありますし、故人の形見分けの場とする人もいます。
法要の代わりに親族で南の島に行き、散骨式を行うという家庭もあります。
無宗教葬儀の経験者にアドバイスを貰う
無宗教での葬儀や法要を行ったことのある人が周りにいた場合、アドバイスを貰うと安心です。
特に、無宗教の場合には、葬儀以降の法要の話を聞くことはあまりありません。
そのため、法要に悩んでしまう人も多いのです。
近年では終活が話題になり、自分自身で墓仕舞いを行い、自分が亡くなった際には無宗教での葬儀を希望する人が増えてきました。
もし、身近にそういった無宗教での葬儀や法要への参列経験がある人がいた場合には、少しリアルな話を聞いてみても良いかも知れません。
まとめ
近年では、特定の菩提寺を持たない無宗教の家庭も増えてきました。
無宗教では、誰かが亡くなった際、葬儀や法要も僧侶を招かず、読経も焼香もしません。
宗派によるやるべき事の決まりが無いのですが、実は決まりが無い点が悩みという家庭もあります。
自由な葬儀、法要が行えますので、どんなお見送りをしたいか?どんな供養をしたいのか?を明確にしておくと安心です。
無宗教では、一周忌や三回忌のタイミングで偲ぶ会を行う場合も多いものです。
誰を招き、どんな供養をするのか、故人を想って自由な発想で考えてみましょう。