突然やってくる法事の中でも、特に気をつけたいのがお通夜や告別式ではないでしょうか。
身内以外の方の場合はなおのこと親族の方に失礼のないお別れをしたいものです。
参列の際の持ち物でいうと、ご香典について悩む方は多いと思います。
「相場はいくらなのかしら、包み方は…」と考えるうちに準備の時間が減ってしまうこともあるでしょう。
今回は突然のことでも慌てないために、「ご香典」についてのお作法をご紹介します。
香典袋はどんなものを選ぶべき?選び方のポイントは?
故人に供える意味のあるご香典、香典袋は宗教や宗派ごとに使い分けが必要です。
宗教や宗派によって表書きや水引、デザインにも違いがあるためです。
事前にお相手の宗教と宗派を把握しておくと安心です。
では、香典袋の違いについてみていきましょう。
●香典袋にはどんな違いがある?
香典袋には、大きく分けて4つの違いがあります。
仏式、神式、キリスト教式、共通仕様、です。
共通仕様のご香典については追ってご説明しますので、まずはその他3つの香典袋の特徴について、以下で詳しくご紹介します。
・仏式
表書き:御香料、御香典、御霊前、御仏前(浄土真宗のみ)
水引:黒白、双銀の結び切り(※)
柄など:白無地、蓮の絵柄
・神式
表書き:御玉串料、御榊料、御霊前
水引:双白、双銀、黒白の結び切り(※)
柄など:白無地
・キリスト教式
表書き:御花料、御ミサ料(カトリックのみ)
水引:なし
柄など:白無地、十字架の絵柄、白百合の絵柄※
結び切り:水引の先が上向きで、結び目がかた結び状のもの。
各宗教ごとに、さまざまな違いがありますね。
失礼のないよう、お家の宗教や宗派に合わせた香典袋を用意しましょう。
もし宗教や宗派が分からない、という時は、次でご紹介する共通仕様のご香典を用意するようにしてください。
●宗教や宗派が分からない場合訃報を受けた際聞くことができればよいですが、タイミングやお相手の状況により、宗教や宗派を聞きそびれてしまうことも考えられます。
そういった場合は、共通仕様のご香典を選ぶとよいでしょう。
・共通仕様
表書き:御霊前
水引:黒白
柄など:白無地できるだけお相手の宗教や宗派に合わせ用意した方が丁寧ですが、共通仕様の香典袋であれば、柔軟に対応できますから安心です。
香典袋の種類を細かに覚えるのも大変ですから、基本の様式だけでもおさえておきたいものですね。
●入れる金額にも考慮して宗教や宗派ごとに形式がそれぞれ違いますが、それとは別に「素材の違い」「豪華さの違い」も香典袋にはあります。
例えば、3千円のご香典に対して高級和紙でできた香典袋は、釣り合っているとはいえませんね。
香典の額に見合った素材や見た目のものを選ぶことも忘れないようにしてください。
また、中袋とよばれる小さな封筒が付属する香典袋としないものとが売られています。
ご香典の額が1万円より大きくなる場合、この中袋付きの香典袋を選ぶようにしてください。
香典として渡すお金は新札でも問題ない?
一般的に知られていることですが、香典に入れるお札は新札でない方が好ましいとされています。
新札は「事前に用意した」という印象から「死を予測していた」という考え方となり、あまり印象がよくないということからです。
ですから、ご香典はお財布に入っているもので用意して構いません。
また、「新札しか手元にない場合は、折って入れると問題ない」と耳にしたことがあると思いますが、変にお札を折って入れてしまうと、逆に白々しいと受けとるご遺族もいらっしゃるようです。
最近では、ATMの普及などにより新札を手にする機会が増えていますから、一昔前までのように、無理やり使い古しのお札を用意せずともよいでしょう。
家族が亡くなり忙しい遺族の方々も、新札か否かを気にしている余裕がないでしょうから、手元に新札しかなかった場合でも気にしすぎることはないですよ。
お金の入れ方にも注意が必要?お札の向きも関係する!?
香典袋を用意して、お札を入れれば終わり…ではありません。
ご香典を入れる時も、お札の向きなどに注意が必要なんです。
決まり事ではありませんが、故人やご遺族に渡すものですから、丁寧であることを心掛けましょう。
まず、お札の表裏について説明いたします。
- 表:お札の人物が見える面
- 裏:お札の人物が見えない面
人が亡くなった時にお渡しするものなので、お札の裏がご香典の表側を向くように入れるとよいでしょう。
入れる時にご香典の表側を上にして、お札の裏面を上に向けて入れるようにする、ということです。
また、お札が複数枚である場合、全ての向きが揃うようにしてください。
●相場について気になるポイントの一つに、ご香典で用意する金額が挙げられると思います。
故人とどういった関係だったのか、また年齢によっても上下するもので、ご香典の相場はとても複雑になっています。
たくさん注意点があり、混乱されるかもしれませんので、こちらでは割愛いたします。
基本的に3千~5万円までの間の金額ですので、常時手元にこのくらい備えてあればスムーズにご香典の準備ができますよ。
香典袋の包み方や書き方について知っておきましょう!
さて、香典袋の包み方と名前の書き方についてです。
見た目の善し悪しは第一印象と同じですから、少々緊張する手順になりますね。
ポイントをこちらで確認しておきましょう。
●中袋の書き方
香典袋の内に、小さな封筒がついているものがあります。
1万円以上のご香典であれば、内袋に入れてお渡しすると良いでしょう。
中袋の書き方はこのようにしてください。
- 表の中央に金額(例:金 伍阡円)を記載
- 裏の綴じ目より左側に住所と氏名を記載
- 連名は二名までで、それ以上の人数や住所が異なる場合は別紙に記載し同封(※)
※連盟の際の別紙:後述の「連名の場合」を参照金額を記載する際は、旧漢字を用いることが正式なスタイルですが、略式として現代の漢字でも問題はありません。
参考に、中袋記載時に使用する旧漢字をご紹介しておきますね。
「一、二、三、五、千、万」 → 「壱、弐、参、伍、阡、萬」
●包み方の注意点
香典袋を購入した際の形と同じようにすればよいのですが、念のため確認しておきましょう。
ご香典を包んだ際の裏側に注意です。
- 水引がある香典袋(仏式、神式、共通仕様) :袋の下側を折り、それから上側を重ねる。 最後に水引を袋に通す。
- 水引がない香典袋(キリスト教式):袋の下側を折り、それから上側を重ねる。
●名前の書き方の注意点
香典袋の表側、水引の下から真ん中に名前を書きます。
この時、以下の点に注意してください。
- 薄墨の筆ペンや墨で書く。
- フルネームで記載する。
薄墨の筆ペンは、最近ではコンビニなどでも手に入ります。
しかし慌てないためにも、一家に一本置いておくと便利です。
字に自信がないという方には、香典袋に使用しても問題ないとされる「慶弔印」というハンコも販売されています。
フルネームで作られていますから、真ん中に合わせて押すだけでよく、大変便利でしょう。
●連名の場合
お通夜や告別式にお一人ではなく、ご家族や仕事先の方と参列されることもあるでしょう。
そういった場合は、香典袋をそれぞれで分ける必要はありません。
連名にする際には、以下のようにお書きになってください。
- 夫婦:姓の下にそれぞれの名前を記載
- お子さん:お子さんもお付き合いがあった方ならば、親御さんの名前に続く左側に記名(新生児は記載不要)
- 兄弟姉妹:それぞれフルネームで記載
- 職場内から:三名以上は会社名の横に「○○課一同」と記載、二名であれば序列順に右から記載
- 会社から:会社名を右端に、中央に代表者名名を書き、左端には小さく「外一同」と記載
- その他、四名以上になる場合:「○○(団体名など)一同」と記載し、別紙にて各人の住所、フルネーム、各人が入れた額を記載したものを香典袋に同封(※)
※別紙は半紙や和紙にこだわらなくても問題ありません。
白無地の紙に書くようにしましょう。
当日の香典袋の渡し方について。
これでバッチリ!
お別れの当日、香典袋の渡し方にもきちんと気をつけたいですね。
もし、お通夜と告別式ともに参列されるのなら、お通夜に出向いた際にお渡ししましょう。
●渡し方
受付にて、会葬カードなどに名前の記帳をする案内があります。
会葬カードを受付の方に返すタイミングで、香典をお渡ししましょう。
その際、このような言葉をかけてさしあげてください。
- 「心よりお悔やみ申し上げます」
- 「ご冥福をお祈りいたしております」
- 「この度はまことに残念でなりません」
亡くなった方へ哀悼の意を表するお声かけですから、お声かけは忘れないようにしましょう。
ご香典をお渡しすると、返礼品の引換券を受け取ると思います。
こちらは式を終えた後、スタッフの方が返礼品を配られる際に渡してください。
まとめ
今回の内容では、宗教などによる香典袋の違いから当日の渡し方まで、ご香典の準備に必要な情報が一つにまとめました。
急などで、ついつい慌ててしまいがちなお通夜や告別式の用意ですが、最後のお別れとなる式ですから、故人やご遺族に丁寧なかたちでお会いしたいものですね。
ご香典を用意する際には、今回ご紹介した内容を思い出していただければと思います。