その年に20歳を迎える若者たちの成人を祝福し、激励する行事である「成人式」。成人式の存在は知っていても、起源や地域ごとの違いまで知っているという人は意外と少ないのではないでしょうか。ここでは、成人式の起源や地域ごとの違いから、成人式における服装やお祝いのマナーまで詳しくご紹介します。
成人式の由来と歴史
現代の成人式の由来とは?
成人式とは、その年に20歳を迎える若者たちの成人を祝福する行事のことです。20歳を迎える若者全員が参加対象となる「成人式」という行事は日本特有のもので、国によって成人の捉え方は異なります。
中には、設定されたあらゆる課題を乗り越えることでやっと成人として認めてもらえるという国も存在します。もっとも早い段階で成人の基準が設定されているのはサウジアラビアで、その年齢は15歳です。日本においても2022年に成人の年齢が20歳から18歳へと変化します。
成人式の起源
成人式は、太平洋戦争が終わった後に開催された「青年祭」が起源です。青年祭とは、終戦後の暗い気持ちを吹き飛ばし、新たな生活に向けて活力をみなぎらせる目的で、当時の青年団長によって立ち上げられた行事です。それに感化された当時の日本政府が、大人の一員としての自覚を持ち、責任を果たそうとする若者たちを祝福・激励する意味で、新たに「成人式」という行事を立ち上げました。
地域による成人式の違い
千葉県浦安市の成人式
東京ディズニーランドのショーベースで執り行われます。東京ディズニーリゾートアンバサダーからの祝辞や、新成人を祝うエンターテインメントなどがあり、オリジナルの記念品などが配布されることもあるようです。
青森県や秋田県、島根県などの成人式
冬の寒さが厳しい地域では、成人式がお盆の期間に行われます。東北地方や山陰地方では冬の降雪量が多く、せっかくの正装が台無しになってしまったり、交通規制がかかってしまうことで式への参加率が下がるなどの理由からお盆の期間に開催されています。
【男女別】成人式の服装について
男性
和装
成人式での男性の和装は紋付羽織袴です。紋付羽織袴は一つ紋、三つ紋、五つ紋の三種類があり、紋の数が多いほど格式が高いとされています。
袴の最高峰ともいわれる仙台平(せんだいひら)という袴地に、黒や茶色の縞模様がついたものがよく使われます。帯は西陣織や博多織の角帯が使われることが多いです。また、長着と羽織を黒以外の同色でそろえた色紋付羽織袴も人気が高いです。
洋装
成人式での男性の洋装はダークカラーのスーツが一般的です。柄は無地もしくはシャドウストライプのものを選びます。中に着用するシャツには決まりがないので、お好みのものを選びましょう。スーツは就職活動の際や礼服にも利用できるのが利点です。
女性
和装
成人式での女性の和装は振袖が人気です。振袖は袖丈が114cmの大振袖が最も格式が高いとされていますが、成人式で着用されるのは袖丈が95から100cmの中振袖を着用します。振袖は結婚披露宴などでも再利用できますが、購入を迷っている方はレンタルを利用するという方法もあります。安い買い物ではないので慎重に検討しましょう。
洋装
成人式での洋装はセミアフタヌーンドレスが一般的です。セミアフタヌーンドレスは、アフタヌーンドレスの次に格式が高いドレスのことで、肌の露出が少なく光沢がない生地で作られているのが特徴です。模様は地模様もしくは控えめなプリント柄を選びますが、デザインはトレンドを取り入れても問題ないです。ドレスの上にはジャケットやボレロなどを羽織ります。
成人式は和装が人気ですが、セミアフタヌーンドレスは結婚披露宴などでも利用できるので検討してみても良いでしょう。
振袖について
成人式に振袖を着る理由
女性が振袖を着る習慣が誕生したのは1960年代で、それ以前はスーツを着用していました。洋服は時や場所、場合に応じて着るものを変化させますが、和服も同じように、状況に合わせて着るものを変化させる必要があります。
数ある和服の中でも、振袖は古くから未婚の若い女性の礼服とされているため、格式の高い行事である成人式では振袖を着用するのがマナーとなっています。また、振袖は長い袖が特徴的ですが、袖を振る動作が厄を払う動作と似ていることから、「厄除け」の効果がある服装としても重宝されてきました。
購入するときのポイント
事前にどのような振袖を着たいのかイメージしておくと、実際に購入するときにスムーズです。ただし、振袖の見た目だけですぐに購入を決断するのではなく、必ず顔映りを見たり試着をしたりして、自分に似合うかどうか確認しましょう。
カタログやホームページなどで好みの振袖を見つけた場合もすぐに購入するのではなく、下見に行って、可能であれば試着をするのが良いです。安い買い物ではないので実物を見ずに購入してしまうと、届いたときに想像と違ったときのダメージが大きいので注意が必要です。
振袖のコーディネート
振袖を着用する際は帯や小物なども必要になりますが、振袖と同じお店で併せて購入するという方も多いと思います。ご家族や本人の好みで選んでも問題ないですが、基本的に振袖のコーディネートはプロに任せるのが無難です。
ただし、「振袖は気に入ったけど全体の雰囲気が微妙…」ということがないように、事前に伺うお店のリサーチをしておきましょう。お店のホームページには、以前利用したお客さんの写真が載っていることも多いです。それらの写真を参考に、自分の理想とお店が提供しているコーディネートの雰囲気がマッチしているかあらかじめ確認しておくと、より自分の理想に近いコーディネートを手に入れることができます。
友達とかぶらないようにするためには?
一生に一度の成人式に用意する振り袖は、なるべく友達とかぶらないようにしたいという方が多いと思います。そんな時に利用したいのが「ママ振り」。ママ振りとはお母さんが当時使用していた振袖を現代風にアレンジして再利用する方法です。ママ振りを利用することで友達とかぶりにくくなり、さらに新規で購入するよりも安く済むという大きなメリットがあります。
成人式のお祝いのマナー
金額の相場
成人式のお祝いの相場は基本的に10,000円から30,000円とされていますが、成人を迎える方との関係性によって変化します。
- 両親:10,000円から50,000円
- 祖父母:10,000円から100,000円
- 妹や弟:3,000円から10,000円
- 知人:5,000円から10,000円
渡す時期
渡すタイミングは基本的に成人式の前日までか、当日の午前中とされています。ただし、成人式当日は着付けやヘアメイクなど慌ただしく、迷惑になってしまう可能性が高いので注意が必要です。特に渡す相手が女性の場合は前日までに渡しておくのが無難です。特別な理由があって直接渡すことが困難な場合は現金書留を利用するという方法もあります。
ご祝儀の書き方とマナー
のし袋は紅白蝶結びのものを使用します。表書きには「祝御成人」「御祝」「御成人御祝」「成人御祝」などが使われます。毛筆を用いて下段に送り主のフルネームを書きます。上書き(「御祝」など)の文字よりも小さめに書くのがポイントです。金封の中袋は、表面に金額、裏面に住所と名前を書きます。
連名の書き方
- 夫婦連名の場合:右側に夫の名前(フルネーム)を書き、左側に妻の名前(下の名前のみ)を書きます。
- 2名から3名連名の場合:地位や年齢の高い順に右から書きます。
- 3名以上連名の場合:下段に「〇〇(部署名など)一同」と書き、個々の送り主は別紙にリスト化し、お祝いに添えます。
送る相手の名前を書く場合
のし袋の左上に「〇〇(フルネーム)様」と書きます。送り主が連名の場合は、左から地位や年齢の高い順に書きます。通常の場合と順番が逆になるので注意が必要です。
お返しのマナー
成人式のお祝いにお返しは必要?
基本的に成人祝いのお返しは不要とされていますが、地域や相手との関係性によってはお返しが必要な場合があります。お返しを送らない場合にも、直接お礼を言うかお礼状を出すなどして、お祝いに対する感謝の気持ちは必ず伝えるようにしましょう。
贈る時期や方法
成人祝いのお返しは一般的に、成人式後2週間から3週間以内を目安に贈るのが良いとされています。手渡しが可能な場合は、自身の成長した姿を見せ、直接お礼を伝えるが良いでしょう。手渡しが困難な場合は郵送を利用しましょう。お礼状を送る場合は品物より前に届くように手配します。その際お礼状に、品物を別送した旨を書いておくとスマートです。
相場
成人祝いのお返しの相場は、いただいた品物や現金の半額もしくは3分の1程度が目安とされています。より感謝の気持ちを伝えようと、いただいたもの以上に高額なものをお返ししてしまうとかえって失礼に当たる場合があるので注意が必要です。お返しのギフトとしては、お酒や食器、寝具、生活雑貨など日常で使えるものが人気です。
のし
のし袋は紅白蝶結びのものを使用します。表書きは「内祝」「寿」「御礼」などが使われます。下段には送り主の名前をフルネームで書きます。
まとめ
今回は、成人式の起源や地域ごとの違い、男女別の成人式の服装や振袖の選び方、お祝いの仕方やお返しのマナーなど、成人式に関するさまざまな情報についてご紹介しました。成人式は本人にとってもご家族にとっても一生に一度の大切なイベントです。万全の状態で当日を迎えられるよう計画的に準備をしておきましょう。
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