野菜を食べた方が体によい、これは誰でもわかっていることです。
ただ、野菜には土が付いていることがありますし、中には虫がいることもあります。
自分できれいにすればよいのですが、料理の仕方は教えてもらった人でも、野菜の保存方法や洗い方をきちんと教わったことのある人は少ないでしょう。土や虫に抵抗がある人が多いのも事実です。
今回は、野菜を食べる前の大切な基本である保存方法や洗い方について解説します。
これらの基本を押さえた上で、もっと野菜について知りたくなったときに頼れる野菜ソムリエについてもお知らせします。
冷蔵庫に入れるだけじゃない!正しい保存方法
野菜を買ってきたら、料理をするまでの間、保存をしなくてはなりません。
野菜はすべて冷蔵庫の野菜室に入れるのではなく、常温で保存した方がよい場合もあるので覚えておきましょう。
常温保存に適しているのは、芋類、根菜類の1部です。このとき土が付いているものはそのまま保存するほうが、傷みにくく風味も落ちません。土を落とすのは料理をするときにしましょう。
芋類はダンボール箱に入れて、上から新聞紙をかけておきます。
里芋は冷えすぎると、赤い斑点が出て味が落ちることがあります。これは低温障害といいますが、気温7度以下になると起こります。冬に外で里芋を保存するときは、新聞紙をかけるだけでなく、いらなくなった毛布などをかけて保温するとよいでしょう。
じゃがいもは光にあたると皮が緑色になります。緑になったじゃがいもには、じゃがいもの芽と同じソラニンという物質が含まれており、大量に食べると、食中毒を起こす可能性があります。
表面が緑色になっているだけなら、厚めに皮をむいて食べることができますが、最初から緑にしないように、じゃがいもはなるべく暗い場所で保存することが大切です。ダンボール箱のフタは、光が入らないようにきちんと閉めておくようにしましょう。
買ってきたままじゃダメ?冷蔵庫に入れるのにも正しい方法が!
玉ねぎも根菜類の1つで、常温保存ができます。春先に出回る新玉ねぎは水分が多く常温保存には向きませんから、注意してください。玉ねぎは湿気に弱いため、ストッキングやネットに入れて吊るして保存すると長持ちします。
ごぼうは土が付いたまま、新聞紙に包んで立てて保存するようにしましょう。
少し意外に思われるかも知れませんが、かぼちゃも常温保存に向いた野菜です。
常温保存ができたために、昔から夏に収穫したかぼちゃを冬至に食べる習慣があったのです。
ただし、これは丸ごとの場合に限ります。切ってしまったら冷蔵庫での保存が必要です。
キャベツやレタス、ほうれん草などの葉野菜や根菜類でも人参や大根などは冷蔵庫での保存になりますが、どんな野菜でも、お店で買ったときの袋のままで保存するのは止めましょう。
袋の中で結露が起こったり、反対に乾燥して野菜が傷む原因になります。乾燥対策として、ペーパータオルで包んでから、ジッパー付きの袋などに入れましょう。
いちいち面倒に感じるかも知れませんが、これは野菜室が汚れるのも防いでくれるため、冷蔵庫の掃除が楽になるというメリットもあります。
土を徹底的に落とす!正しい野菜の洗い方!
料理をする前に野菜を洗いますが、目的は付いている土を落とすことです。
野菜には土が溜まりやすい場所がありますから、そこに気を付けるとよいでしょう。
トマトのヘタやキュウリのイボ、ほうれん草の根本やキャベツや白菜の葉の重なった部分は、土が溜まりやすい箇所です。流水を使って土を洗い流してください。キャベツや白菜の葉は1枚ずつにばらして洗うようにしましょう。
ほうれん草の根本は流水だけでは洗いにくいので、ボウルに水を張って漬けながら洗うとよいでしょう。
細かな部分は竹串などを使うとよいですよ。じゃがいもを洗うときなどは、必要に応じてタワシなどを使ってください。
野菜に土が残っていると、食べたときに味や食感に違和感があるだけでなく、食中毒の危険もあります。
土の中には食中毒の原因となる細菌がたくさんいます。少し口に入ったからといって、すぐに危険な状態になるわけではありませんが、抵抗力が弱まっている人や小さな子どもには気を付けてあげたいですね。
野菜を洗剤で洗う、虫が付いているから安心、は本当?
過去には野菜や果物を洗うのに食器用洗剤を使う人がいました。
昔は肥料として人糞を使っていたため、生で食べる野菜や果物に回虫の卵が付いていることがあったため、野菜や果物を洗剤できれいに洗いたいと思う人がいたのです。
その流れで現在も使用目的に野菜、果物を洗うことが明記されている台所用中性洗剤が販売されています。
野菜や果物を洗剤で洗う人がいても、非常識とはいえません。
ただ、現在は回虫の心配はほとんどありません(一部の有機栽培された野菜や輸入された野菜には回虫の卵が付いていることがあります)。
流水だけで洗っても十分ですが、きちんと土が落ちているかどうか、しっかり目で見て確認をしましょう。
もし洗剤を使いたい場合は、必ず用途に野菜、果物と載っているものを選び、使用濃度を守って洗いましょう。
また、しっかりとすすぐことも忘れないでくださいね。
虫といえば、回虫よりも野菜に付いている青虫などが気になる人が多いでしょう。
虫が付いている野菜は安心で美味しいとよくいわれていますから、虫を我慢して野菜を買っている人もいるかも知れませんね。
実は虫が付いているから野菜が美味しいというわけではありません。
野菜は光合成をする過程で、空気の中の二酸化炭素を取り入れ、酸素と糖分を作り出します。
この糖分を使って、野菜は自分のための養分を作り出しますが、それがなにかの原因で上手くいかなくなると、糖分がそのまま野菜の中に残り、虫に食べられるというわけです。
きちんと成長した野菜なら、農薬を使わなくても虫に食べられることはありません。
逆にいえば、きちんと成長できなかった野菜だから、虫の餌食になってしまうといえます。
きちんと成長できずに虫に食べられてしまう野菜は、栄養も味もどうしても劣ったものになってしまうそうです。
健康のために虫や土を我慢することはありません。
虫食いのある野菜は避け、土はきれいに洗い流すことを徹底しましょう。
野菜ともっと向き合うために、力を借りたい!野菜ソムリエの存在!
野菜を保存したり、洗ったりということが身に付いてくると、安心して料理ができるようになります。
すると野菜に対する様々な疑問が生まれるかも知れませんね。
野菜をもっと美味しく食べたい、今まで知らなかった野菜を食べてみたい、そのためにはどうしたらよいのかと考えるようになるでしょう。
そんなときに頼って欲しいのが野菜ソムリエです。
野菜ソムリエとは、日本野菜ソムリエ協会が認定する民間資格ですが、野菜に関わる仕事をしている人たちの間でこの資格を取る人が増え続けています。
具体的にはスーパーの青果部に勤めている人や、農家の人に野菜ソムリエの資格を持っている人が増えています。
野菜ソムリエには、美味しい野菜や果物の選び方や調理方法、栄養素についての知識がありますから、わからないことがあったら、ぜひその場で尋ねてみてください。
本やネットで調べるのもよいですが、野菜ソムリエが相手なら、自分が納得するまで話を聞けるのが大きなメリットになりますね。
馴染みのない野菜や果物を最初に食べるときは、誰でも尻込みするものです。身近な人でもそれは同じでしょう。
でも、今まで見たこともなかった新顔の野菜や果物についての知識も野菜ソムリエなら持っています。
野菜ソムリエがいれば、買うときにどうやって食べればよいのか、すぐに聞くことができますから、新しい野菜や果物へのハードルはぐっと低くなるはずです。新しい食生活が、自分の世界を広げてくれるかも知れませんよ。
ぜひ、野菜ソムリエの存在を覚えておいてくださいね。
また、野菜や果物の知識を得ることは、食生活を充実させるために大切なことです。
職業に活かすだけでなく、自分と家族の食生活のためにも野菜ソムリエの資格を取ることを考えてみてもよいですね。
まとめ
今回は野菜について、食べる前の大切な基本である、保存方法と洗い方についてお知らせしました。
土や虫の付いていないきれいな野菜なら、料理をするのがぐっと気楽になるはずです。
そしてもっと野菜について知りたくなったときには、ぜひスーパーや農家にいる野菜ソムリエに話を聞いてください。
食べることは生きている限り、ずっとついて回るものです。
そのためには料理がどうしても必要になりますが、長く続けていくためには、新しい情報を仕入れ続けることが大切です。
野菜の扱いに慣れ、野菜ソムリエの力を借りることが料理や食べることを支えてくれます。
それは、生きることそのものにつながっていくに違いありません。