『びわ』を食べたことはありますか?古くからある植物なので名前は知っているけれど、どんな植物か意外と知られていないのが『びわ』ですよね。『びわ』の実や種さらには葉も健康に良いということでジャムやゼリーにお茶といろいろなものに加工されています。そこで、『びわ』にはどんな効用があるのか、また注意した方がよいことがあるのかなどについてご紹介していきます。話題の『びわ』エキスについてもご紹介します。
びわってどんな植物?
『びわ』は、バラ科の常緑樹で高さが10メートルくらいになる高木です。葉は厚みがあって、20㎝くらいの大きい楕円形の形をしています。葉の裏側には産毛のような毛があり、1年中、緑色のまま落ちません。花は冬から春にかけて白い花が咲きます。
原産地は中国南西部で、寒さに弱いため日本では四国や九州地方に自生していますが、『びわの実』は長崎、千葉、和歌山、鹿児島の出荷量が多くなっています。販売されている『びわの実』は自生しているものに比べると、食べる部分が多くなるように品種改良されたものです。明治時代から、茂木(もぎ)や田中という品種があり、現在は大房、瑞穂、クイーン長崎、白茂木などたくさんの品種があります。産地により栽培する品種が違い、ブランドびわになっているのも特徴の一つです。
長崎県の『茂木びわ』「長崎早生」『なつたより』や、千葉県の『房総びわ』の『田中』が有名ですね。ただ、びわの実は、傷みやすいうえに、露地栽培のびわは、寒波の影響を受けてしまうので、収穫量が年により変わってしまいます。そういう言う意味では、ちょっと高級な果物という扱いになりますね。びわの実の旬は5月から6月ですが、1月になると長崎県でハウス栽培されるびわが店頭にならびはじめます。
大薬王樹といわれる『びわ』の効能
びわは、実も葉も、薬効成分が多く含まれていると古くからいわれていて、仏教の経典の一つ『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』では、びわの木は『大薬王樹(だいやくおうじゅ)』、葉は『無憂扇』と紹介されています。どんな成分が含まれているのか見ていきます。
びわの実の効能
びわの実は、オレンジ色で皮の表面は柔らかい産毛がついていて、手で簡単にむけます。このびわの実には、糖分、余分な塩分を排出するカリウム、鉄分、疲労回復効果のあるビタミンB、免疫力アップ効果のあるビタミンC、クエン酸、リンゴ酸、βカロチン、ポリフェノールがたくさん含まれています。βカロチンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を保護する効果があるため美肌、粘膜保護に欠かせない栄養素です。βカロチンを多く含む野菜としては、ニンジンやカボチャが有名ですね。
抗酸化作用があることで有名なポリフェノールは、LDLコレステロールの酸化を抑える働きがあり血管のしなやかさが増すため動脈硬化の予防に効果があるといわれています。びわの実には、このポリフェノールが果物の中でも多く含まれているという巨峰と同じくらい含まれています。
生で食べるほか、ジャムやゼリーなどに加工したり、アルコールに漬け込んでびわ酒とするのもいいですね。
びわの葉の効能
びわの葉は、細胞の繁殖を抑える効果があるため皮膚疾患やかぶれに効果があるといわれているタンニンを含んでいます。また、アミグダリン(ビタミンB17) も含んでいて、これはLDL増化防止に役立ち血液浄化や殺菌作用があるといわれています。更に、咳を鎮めたり、痰を出しやすくしたりする効果や利尿作用などもあります。
このような効用を持つびわの葉の活用方法としては、以下があります。
- 生の葉のまま直接患部にあてて湿布のように使う
- びわの葉をあぶって熱いうちに患部をなでる方法(金地院療法)
- 生の葉を患部にあてて、そこにお灸を置く方法(びわの葉温灸)
- 葉を煮出して、その煮出した汁と葉を風呂に入れる方法(びわの葉風呂)
- 葉を煮出してお茶として飲む
その他の部分
びわの木は、乾燥させると強度がとても強くなるため『杖』として使用されています。
種は、皮をむいてアルコールにつけるとさわやかな香りがします。
注意事項
びわの葉と未熟な実には、体内に入ると有毒ガスを発生する「シアン化合物」が少し含まれています。少し食べることでは問題はないといわれていますが、びわの種を粉末にしたものを大量にとるときには、注意が必要です。
びわの実の効用と活用例
びわの実はおいしいということの他に鉄分、カリウム、ビタミンB、ポリフェノールなどなどの栄養素がバランスよく含まれていて、『健康果実』といわれています。そして次のような効用があります。
- 皮膚や粘膜を健康に保つので、美肌効果あり
- 抗酸化効果で動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立つ
- 咳を鎮める
ただ、残念なことにびわの実はとても傷みやすく、生のままでは長期保存することは難しいフルーツです。そこで、旬の時期以外にいただくためには、ジャムやゼリーにする方法とアルコールに漬け込みびわの実酒にして保存するという方法があります。びわの実は、酸味が少ないのでジャムやゼリーにすると食べやすいですね。
その他の効能として、のどの渇きや嘔吐を鎮める作用があるため清涼飲料水の代わりに飲むこともできます。
そして実を加工するときに出てくるのが、種です。びわは、種にも葉と同じようにアミグダリンが含まれていて、抗酸化作用があります。そのため、粉末にしたりアルコールに漬け込み、びわの種酒に加工されています。
びわの種酒は、体調を整えるのには2~3倍に薄めて少しずつ飲みますが、のどの痛みや咳を鎮める効果を期待する場合は、同じように薄めたびわの種酒を口に含んでうがいをします。また、水虫、切り傷、やけどには、カーゼに浸して患部を湿布します。お酒といっても使い方は飲むだけではなく、効果を得たい場所に取り入れやすい方法で使うのですね。
びわの葉の活用
びわの葉には、いろいろな効能があり活用方法もたくさんありましたね。
順番に活用方法と効能を見ていきましょう。
びわの葉茶
びわの葉茶には、タンニンやサポニンが含まれているため、胃腸の働きを整えたたり、咳を鎮める効果や痰を出しやすくする効果があります。そのため暑気あたりにも効果があるといわれ古くから飲まれています。また、慢性の気管支炎にも効果ありです。そのほか、利尿作用もあるため、身体から老廃物を出すのに役立ち、葉に含まれるサポニンには、血行改善や解熱作用もありますし、クエン酸には疲労回復もあるなど、効能は沢山あります。
最も注目されているのは『アミグダリン(ビタミンB17)』でしょう。これは、血液浄化作用や殺菌作用、鎮痛作用があるといわれるうえにガンにも効果があるといわれているからです。その『アミグダリン』をびわの葉にはたくさん含まれているのです。
びわの葉茶は、カフェインを含まないことと癖がないことから、小さいお子さんでも飲みやすいお茶です。お茶を作るときは、沸騰したあと少し煮だすとより効果的です。
飲むだけではなく、濃い目に煮出したびわの葉茶は、虫刺されやかぶれ、アトピー性皮膚炎、切り傷、やけどや日焼けの時に直接患部に塗って使う方法もあります。
こんなにすごい効用のあるびわの葉ですが、常緑樹なのでいつ頃若葉が出て成長するのか分かりづらいですよね。びわの葉は、春、夏、秋の1年に3回も成長しますが、お茶に使用するのは、色の薄い若葉ではなく、色の濃い葉です。
びわの葉を手に入れる機会がったら、自分でもびわの葉茶を作れます。まずは葉を洗い、汚れを取ったら、葉の裏の細かい毛をブラシでこすり取り除き、これを乾燥させます。乾燥させた葉を刻んで、好みで焙煎したらでき上がりです。
びわの葉風呂
葉を利用したものとしてお風呂もあります。これは、びわの葉を煮出して、煮出したものと葉を一緒にお風呂に入れるといものです。びわの葉風呂の特徴は、温泉に入ったように体が温まることと、美肌効果です。
びわの葉温灸
これは通常お灸をする場合には直接行うところを、お灸をしたいところにびわの生の葉を置き、その上からお灸をするものです。こうすることで、お灸の効果に加えてびわの葉を温めることで、びわの葉に含まれる成分を直接肌から吸収させます。つまり1回のお灸でびわの葉の持つ、殺菌、鎮痛、解熱、血液浄化などなどの効果と、お灸の効果と合わせて得るというすぐれものという訳ですね。
びわエキスとは びわエキス活用のアミノ酸シャンプー
びわの葉の効果をいつでも手軽に、いろいろな用途に活用するための方法として、びわエキスがあります。これは、びわの葉をアルコールにつけて、葉に含まれる成分を抽出したいわば精油です。植物の精油には、植物のパワーがぎゅっと詰まっているのを経験している方もいらっしゃるかと思いますが、びわのエキスもびわの葉が持つパワーが詰まっています。
薄めて飲んでもよし、患部に塗ってもよし!です。肌荒れ、ねんざ、虫さされなど肌のトラブルにも直接塗ることで対応できます。
なんといってもタンニン、サポニン、ポリフェノールなどの栄養素だけでも万能のように思えるのにさらに、がんに効果があるというアミグダリンを含んだびわエキスは、エキス単体での使用もいいですが、このエキスがはいったハンドクリームや美容クリームを使うのもいいですね。
びわの葉エキスを抽出するときにアルコール成分を一切使わない製法もあるようで、これを使った天然素材だけで作られているアミノ酸シャンプーでは、びわの葉エキスの洗浄力がある一方で頭皮にも優しいうえに保湿効果もあります。
アミノ酸シャンプーの中でも、また意外と知られていないのが、びわの葉エキスの収れん作用と育毛作用です。アミノ酸シャンプーに、どの素材を取り入れるかで効果が追加されていますので、自分に合ったものを見つけてみてくださいね。
まとめ
- びわは、5~6月に実のなる常緑のバラ科の植物でした。
- 古くから『大薬王樹(だいやくおうじゅ)』といわれ、実や葉の効能を利用してきました。
- びわの葉は、細胞の繁殖を抑える効果があるため皮膚疾患やかぶれ、咳を沈める効果がある他、アミグダリン(ビタミンB17) も含んでいて、血液浄化や殺菌作用があるといわれていました。
- びわの葉は、お茶、お灸、ふろ、エキスに使われています。
- びわの実には、ポリフェノールやベータカロチンが多く含まれ、美肌効果の他に動脈硬化御防止する効果があります。
- びわの葉エキスを利用したものとして、アミノ酸シャンプーがあり保湿や育毛効果があるものもありました。
日本に古くからある『びわ』にはたくさんの栄養素が含まれ、その効果も多岐にわたっていますので、生活にうまく取り入れていきたいですね。