カンパチは出世魚として有名な魚ですよね。
それでは、なぜカンパチが出世魚と呼ばれているのかはご存知ですか?
カンパチは名前こそ有名ですが、ブリと間違われることも多い高級魚です。
出世魚と言われる理由は、生まれてから成魚になるまでで名前が変わっていく魚だからと言われています。
それでは、カンパチはどのように名前が変化していくのでしょうか?
今回は、カンパチが持つ数多くの名前と、カンパチの旬やおすすめの料理など、カンパチについて徹底的に解説します。
カンパチってどんな魚なの?
カンパチはスズキ目アジ科ブリ属の魚です。よく間違えられるブリとは同じ分類の仲間です。
マグロと同じく回遊魚で、群れになって泳ぐ習性があります。
どうしてカンパチが回遊魚なのかというと、カンパチは水温が13度より下がると生活することができなくなってしまうことが関係しています。
カンパチの成長に最も適した水温は20度から30度です。
そのため、日本の周りに生息しているカンパチは春から夏にかけては北日本を回遊し、秋頃になると徐々に南下していくという行動を繰り返します。
身体の大きい肉食の魚で、普段は回遊をしながら小魚や甲殻類を食べて生活しています。
また、カンパチは、釣り好きには人気の高い魚でもあります。
その理由は、大きくて引きが強いので釣っていて楽しいということと、群れで行動するので、一匹釣れると続いて釣れることが多いことが挙げられます。
釣れたカンパチは美味しく食べることができるため、食べられて引きも強いというところが人気の理由なんですね。
また、天然物のカンパチは漁獲量が少なく、高級魚であるとされています。
普段私達が見ることの多いカンパチは大抵養殖されたものなんです。
カンパチは同じくブリ属のブリとよく間違えられますが、ブリの頭は尖った印象であるのに対して、カンパチは縦に大きく丸みを帯びた形になっています。
最もわかりやすい違いは、ブリ属の魚には必ず入っている身体の黄色いラインです。
他の魚は身体のちょうど真ん中に黄色い線が一本入っていますが、カンパチだけは目の上あたりからしっぽまで黄色のラインが入っています。
その他、カンパチは体全体が黄色っぽくなっており、比較してみるとブリと結構形も大きさも違うんですよ。
カンパチという名前の由来は?
カンパチには本当に数多くの名前がつけられています。
ひとまず「カンパチ」と呼ばれるに至った由来を見ていきましょう。
カンパチは漢字では「間八」または「勘八」と書きます。
これは、カンパチの体表にあらわれている一本線の模様が、真上から見た時八の字に見えることから名付けられました。
本当に写真を見ると一目瞭然なんですよ。
目と目の「間」に「八」があるということで、カンパチなんです。
次に、カンパチが出世魚と言われる由来について見ていきましょう。
カンパチが出世魚と言われるのは、成長に合わせて名前が変わるからと言われています。
カンパチが体の大きさが変わる度に呼び名が変わるのを昇進になぞらえているんですね。
それでは、まず関東でのカンパチの呼び名はどのように変わるのでしょうか?
関東では、35cm以下のカンパチをシオッコ、60cm以下のカンパチをシオゴ、80cm以下をアカハナ、それ以上の大きさのものをカンパチと呼びます。
関西ではもうすこしざっくりとしていて、60cmより小さいものをシオ、60cm以上をカンパチと呼びます。
カンパチの稚魚は流れ藻について成長するため、「モジャコ」と呼ばれています。
どの状態のカンパチも良く食べられていますが、最も美味しいとされるカンパチのサイズは2kgから3kgのものと言われています。
カンパチは地域でも大きく名前が変わるのが特徴です。
海沿いでは様々な場所で穫れるカンパチですが、神奈川ではヒヨと呼ばれたり、和歌山ではチギリキ、香川ではアカバネ、宮崎や鹿児島などの九州ではニリやニノコと呼ばれます。
三重県では黄色の筋が入っているのが陸軍の「兵長」を彷彿させるということで、ヘイチョウと呼ばれることもあります。
地域によって本当に名前が様々に変わるので、「カンパチ」では通じない地域もあるのかもしれませんね。
カンパチの旬はいつ?
カンパチの旬は夏から秋にかけてと言われています。
カンパチは日本各地で一年中水揚げされており、季節によっての味の変化も少ない魚です。
その意味では、カンパチに旬は存在しない、という人も居るくらいです。
養殖カンパチの漁獲量は圧倒的に鹿児島県が多く、次に愛媛、高知、と続きます。スーパーに売られているカンパチには鹿児島県産が多いんですね。
対して、高級魚と言われている天然物のカンパチは長崎県、鹿児島県、高知県、福岡県などで多く獲れます。
日本近海のカンパチの産卵時期は4月から6月です。
この時期は卵に栄養が持っていかれてしまうので、カンパチを食すのには適していません。
ですので、産卵時期から考えて、最もカンパチが食べごろになるのは、産卵する前である1月から2月ごろと、産卵し終わってから栄養が戻り始めている7月から8月ごろです。
カンパチは水温が30度を下回ると成長が止まると言われており、主な名産地である九州付近の海の水温が30度を下回り始めるのは8月の終わり頃から。
カンパチを最も美味しく食べるのでしたら、7月か8月を狙うのが最も美味しい時期と言えそうです。
カンパチを美味しく食べられる料理は?
カンパチを美味しく食べられる料理はなんと言っても刺し身です。
淡白すぎないがあっさりとした味のカンパチは刺し身で食べると最も美味しさが引き立ちます。
天然物のカンパチと養殖カンパチは切った時に身の色が違うんです。
天然物のカンパチが桜色がかった白身であるのに対して、養殖カンパチが脂肪が多く、全体的に白っぽくなっています。
やはり養殖カンパチは生育環境が整っているので大きくまるまるとした魚になりやすいんですね。
歯ごたえを楽しむならば獲れてすぐに勝るものはありませんが、獲れてから2日か3日経ったあとで食べると更に旨味が増して、また違った楽しみ方ができます。
そのままの味を上品に楽しむのであれば、刺し身の他に昆布だしでいただくしゃぶしゃぶもおすすめです。
カンパチはあっさりとした白身魚なので、煮物にもよく合います。
ブリ属なので、ぶり大根と同じく大根と煮ると美味しさが引き立ちます。
もちろん、甘辛く煮付けたカンパチも身がほろりとしてとても美味しい仕上がりです。
また、カンパチは脂もしっかり乗っているので、焼いても美味しい魚です。
シンプルに塩焼きにしても美味しいですし、照り焼きや西京焼きも絶品なんですよ。
手を加えても加えなくても楽しめるところに関しては、やはり高級魚らしい幅の広さがありますね。
カンパチは健康に良い?
カンパチは最近注目されている、DHAやEPAと呼ばれる成分が多く含まれた魚です。
DHAはアレルギー症状を緩和したり、がんの予防に役立つ成分です。EPAは高血圧や動脈硬化を防ぐ効果があり、鉄分も豊富なので、血を作ったり、血栓が作りにくくなるような働きをしてくれます。
また、皮膚や粘膜を守る効果や、肝臓を強くする機能もあります。
お酒を飲むと肝臓に負担がかかってしまうので、肝臓を強くしてくれるカンパチはおつまみに最適な魚と言えるでしょう。
酒好きの強い味方です。
また、魚の中でも群を抜いてカリウムが豊富です。
カリウムはとりすぎた塩分を排出する手助けをしてくれる成分なので、生活習慣病予防にも大活躍です。
魚はカロリーが少ないタンパク源なので、ダイエットでも強い味方になってくれるでしょう。
まとめ
カンパチは身体が大きくなるにつれて名前が変わることから、昇進になぞらえて「出世魚」と呼ばれる魚の1つです。
大きさだけでなく、地方でも様々に呼び方がかわり、地方によっては「カンパチ」では通じないのではないかと思うくらい全く違う呼び方のところもありましたね。
天然物の漁獲量は少なく、天然物は高級魚とされています。
スーパーに売られているよく見るカンパチは養殖物で、天然物に比べると脂肪が多く身が白っぽいのが特徴です。
養殖カンパチが盛んなことで、旬と呼ばれる季節はわかりにくくなってきてはいますが、カンパチの旬は夏から秋にかけてです。特に、成長しきった状態である8月のカンパチは栄養も良く詰まった絶品のカンパチを楽しむことができます。
カンパチの楽しみ方は様々ですが、最もカンパチの味を楽しむことが出来るのはやっぱりお刺身ですね。
肝臓を強くしてくれる成分がある、酒飲みの強い味方です。
美味しいカンパチと美味しいお酒で、健康で素敵な晩酌を楽しんでくださいね。