野茨(ノイバラ)はバラ科の植物で主に山などで見かけることができ、シューベルトの有名な「野バラ」の題材にもなった花です。白い可憐な花を咲かせるノイバラですが、咲く季節はいつなのでしょうか?そして花言葉は、英語名は、種類はどれほどあるのでしょうか、今回はノイバラについて詳しくまとめました。また、ノイバラはご家庭でも比較的簡単に育てることができますので育て方についてもご紹介するほか、肌や美容に良いとされているノイバラ果実エキスについても詳しくご紹介しています。
野茨(ノイバラ)はどんな花?どの季節に咲く?
野茨(ノイバラ)はバラ科のつる性の低木で、桜に似たこぶりの花をつけます。日本では沖縄以外のほぼ全国で見ることができ、主に山や野原に生息しています。漢字では野茨、の文字をあてますが、一般的には「野バラ」と呼ばれています。「茨」の字をあてていることからわかりますが、棘が多くあります。
ノイバラの咲く季節は5月から6月にかけてです。バラは通常四季咲きなのですが、ノイバラは一季咲きとなっています。また、花の数は通常のバラより多いのも特徴です。花の色は白色や淡紅色があり、花を咲かせたあとは赤い実をつけます。元々、野生に咲く花ですが、バラの中でも生命力が強いため、バラの品種改良や、品種を増やすための台木として使われることも多い植物です。
ノイバラの実は「営実(エイジツ)」と呼ばれ、利尿薬や便秘薬として利用されており、これは日本薬局方にも記載があります。また、肌荒れやニキビなどに効果があるとも言われ、そのことについては後述いたします。南米やチリのノイバラの実は「ローズヒップ」と呼ばれており、ハーブティーなどの原料にもなっています。
野茨を英語でなんというか?種類は?
野茨(ノイバラ)は英語では「Rosa multiflora」と言います。そのほか、「Japanese rose」や「Eijitsu rose」とも呼ばれます。「Eijitsu」というのは「営実」のことですね。
次に野茨の種類をご紹介しましょう。
・テリハノイバラ
こちらはノイバラと見た目が似ていますが、葉に光沢があってツルツルしていることと深い緑色をしていることがノイバラと区別するポイントでしょうか。花の色は白色しかなく、病気にも強いため、グランドカバーとして適しています。
・サクラノイバラ(カイドウバラ)
サクラノイバラは名前の通り、淡いピンク色の花をつけます。庚申バラと野バラを交配してつくられた品種で、別名をカイドウバラとも言います。江戸時代に作られ、園芸用として親しまれるようになりました。
・ショウノスケバラ
ノイバラの変種とも言われており、見た目も、花びらも葉も細長いのが特徴です。こちらは観賞用として作られたと言われています。
・ナニワイバラ
ナニワイバラは中国が原産で、日本には江戸時代初期に入ってきました。当時大阪の商人がこのバラを売り歩いていたということで「ナニワイバラ」の名がついたそうです。現在では関西から四国、九州地方で野生のナニワイバラを見ることができます。
野茨の花言葉や季語
野茨(ノイバラ)の花言葉は、「上品な美しさ」「素朴な愛」「素朴なかわいらしさ」「才能」「詩」「孤独」などがあります。「上品な美しさ」という花言葉の由来は、野原に純朴に白い綺麗な花を咲かせる野茨を形容してつけられたと言われています。素朴な愛やかわいらしさも、ここからつけられたのでしょう。
「才能」や「詩」の由来は、野バラがシューベルトなど有名な作曲家たちに題材として取り上げられ、作曲されてきたこと、また、ゲーテという有名な詩人が作詞をしたことなどからきているようです。シューベルト作曲の「野バラ」はあまりに有名ですね。ノイバラは偉大な作曲家、詩人たちをも動かす花なのですね。
ノイバラの季語は「初夏」です。古くは茨の花、や、花いばら、などという言葉で歌にも詠まれてきました。たとえば与謝蕪村の「花いばら古郷の路に似たるかな」や、「愁ひつつ岡にのぼれば花いばら」、そして小林一茶の「古郷やよるもさはるも茨の花」など、歴史的にも有名な俳人たちも、ノイバラを題材にした歌を詠んでいます。
野茨の育て方は?
ノイバラは家庭でも育てることができます。ノイバラの種まきの時期は2~3月ごろがちょうど良いでしょう。ノイバラの苗や種は通常に販売されているものではないので、野生のノイバラの実から種を取りましょう。野生の実からとった種は十分に洗って日陰で干し、底の浅い入れ物に土を入れて種をまきます。発芽し、10センチ程度まで育ったら庭に直接か、鉢に移し替えましょう。発芽するまでも、そして発芽した後も、水やりを欠かさないようにしてください。
ノイバラは元々野生なので丈夫ですが、できれば日当たりのよい場所に植えてあげることをおすすめします。そして水やりは欠かさないようにしてください。特に夏場は1日に2~3回水やりをするのがおすすめです。また、できれば西日が当たるところには植えない方が良いでしょう。鉢の場合も、日当たりや風当たりには気を付けて場所を選んで置くようにしましょう。
肥料に関しては、苗を植えるときに与え、その後は花をつけた後と、実をつける頃に与えるのがちょうどよいでしょう。あまり与えすぎると逆に病気にかかりやすくなってしまうので、注意してください。
剪定を行う場合には、12月から3月の間にするようにしましょう。花芽をつける前に行わないと花が咲かなくなってしまいます。暖かい地域では3月ごろには花芽がつく場合もありますので2月ころまでにしておくと安心かもしれません。ご自分の好みの形に剪定して楽しみましょう。また、ノイバラは挿し木でも増やすことができます。是非チャレンジしてみてください。
野茨の実はドライフラワーに最適!アレンジ技も
ノイバラの実はドライフラワーにしやすく、アレンジ技としてリースなどによく使われます。完全に熟したノイバラの実がなった枝を切り、風通しの良いところに逆さにして吊るしておきましょう。
切ってきてそのまま吊るすのも良いのですが、実がしわしわになってしまうことがあります。それを避けるためには、切ってきた枝を2~3センチほど水を入れた花瓶に1時間ほど生けたのち、水を捨てた花瓶にさらに3時間ほど立てておいたあとに逆さにつるすとシワになりにくく、綺麗なドライフラワーができあがります。
ノイバラの実は綺麗な赤ですし、時期がちょうど秋から冬、ということでクリスマスリースなどにぴったりですね。ノイバラの実だけでも十分に綺麗ですが、ユーカリや他の木の実などを合わせればさらに鮮やかに、美しいリースを作ることができます。初心者でも簡単にできるようなので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ノイバラの果実エキスは美容に良い?
ところでノイバラと検索すると果実エキス、というのが多く出てきます。これはノイバラに含まれる「エイジツエキス」、これが化粧品などに使われる場合にノイバラ果実エキス、と称されているものです。上でも少し触れましたが、エイジツエキスは服用すれば利尿効果にも良いとされ、また肌荒れやニキビなどにも効果があるということで美容目的としても使われています。
もう少し掘り下げてみましょう。エイジツエキスにはフラボノイドやリコピン、タンニンなどを含むため、ニキビの予防や肌の保湿、美白効果や肌荒れ予防、細胞の活性化などに効果があるということで化粧品類に使用されています。
直接肌に使うもの、あるいは服用するものとして使われますが、その安全性は高く、それはアレルギーの報告がないことからも証明されるものです。とはいえ、全くアレルギーが出ない、とは限りませんからエイジツエキスあるいはノイバラ果実エキス入りの化粧品類を初めて使用する際には試供品などで試してみてからにするのがおすすめです。
また、最近ではノイバラ果実エキスには、加齢によっておきる頬のたるみなどを引き締める、いわゆるエイジングケアにも効果があることが分かっています。皮下組織を支えるRCという線維構造が減少することを防ぐ働きがある、ということで、注目されているようです。最近肌の調子がよくない、あるいはたるみが気になり始めた、という方は、試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は野茨(ノイバラ)について、花の咲く季節や時期、花言葉や英語名、種類や育て方などについてご紹介しました。また、ドライフラワーやリース作りにむいていること、そしてノイバラの果実エキスが美容にも良い、ということに関してもまとめました。
ノイバラはいわゆる「バラ」の中では小さく、また色も地味かもしれませんがその可憐さ、そして控えめな感じが高い人気を誇っている理由なのだと思います。5月から6月にかけて野山を散策してみたら、純朴でかわいらしいノイバラに出会えるかもしれません。