ユリと聞くと、どんな印象を持つでしょうか?野に咲くユリや、花屋の店頭で見掛けるユリなど様々な所で見掛けますが、冠婚葬祭に使われる花としても有名です。では、冠婚葬祭で使うユリは、どのようなものを選べば良いのでしょうか。
ここでは、ユリとはどんな花なのか?冠婚葬祭で使用するにはどういうものを選べば良いのか?などを中心にご紹介します。
ユリとはどんな花なの?
ユリとは、ユリ目ユリ科ユリ属の多年草の植物です。アジアを中心としてヨーロッパや北アメリカなどの温帯・亜熱帯・亜寒帯に広く分布しています。
原種は100種類を超える数があり、品種は130種も存在します。日本には15種ほどがあり、そのうち7種は日本の特産種になります。ユリは森林や草原に自生していることが多く、湿地を好んで自生する種もあります。
日本語では、百合と書きます。百合わせると書く理由は、百合の葉や土の中の鱗茎(地下茎の一種)が幾重にも重なり合っているからその字が充てられたといわれています。英語ではLily(リリー)と書きます。
ユリの花言葉はなに?
ユリの花言葉は、その色によっても異なります。
ユリ全てに共通する花言葉は、威厳、無垢、純潔です。色別の花言葉は以下の通りです。
白・・・純潔、威厳
黄・・・甘美、偽り、陽気
オレンジ・・・華麗、軽率、愉快
ピンク(赤)・・・虚栄心
黒・・・呪い
色以外にも、ユリの種類で花言葉が異なります。
ヒメユリ・・・誇り
カサブランカ・・・威厳、壮大な美、高貴
鬼百合・・・賢者、華麗、富と誇り
ヤマユリ・・・荘厳
テッポウユリ・・・甘美、純潔
クルマユリ・・・純潔、多才な人
ササユリ・・・上品、清浄
カノコユリ・・・上品、親思い、慈悲深い
ユカシユリ・・・飾らぬ美、注目を集める
ユリの季節はいつ?
ユリの咲く季節はいつなのでしょうか?花屋では一年中見掛けるユリですが、季節により扱う種類や価格が変動する場合があります。ユリの種類や時期にもよりますが、平均的に一輪3百円台から2千円台位のものがほとんどでしょう。最盛期には数パーセント安くなることもありますので、冠婚葬祭にたくさん使用したい場合には、その点も考慮してみると良いかも知れません。
日本では、秋に植える球根として売られています。秋口に土に植え、越冬をして翌年の夏に花を咲かせます。ユリにも様々な種類がありますが、そのほとんどが夏に最盛期を迎えます。
4月から6月頃・・・テッポウユリ
5月から8月頃・・・スカシユリ
6月から7月頃・・・ササユリ
7月から8月頃・・・オニユリ、カノコユリ、ヤマユリ、カサブランカ
夏以外の時期にたくさんのユリを使用したい場合は、確実に手に入れるために、早めに発注しておくなどの工夫も必要です。
ユリの花と冠婚葬祭
ユリの花というと、冠婚葬祭を思い浮かべる人も多いかも知れません。
ユリはその高貴な気品から、喜び祝福の席でも、悲しみ哀愁の席でも自然に寄り添うことができます。冠婚葬祭は、人生の大切な節目に迎えますので、その場面に豪華かつ自然と馴染む花の一つとしてユリが挙げられるのです。
結婚式ではブーケやヘアアレンジ、ペーパーアイテムなどに使用されます。葬式や法要では、献花やお供え用の花として主に使用されます。
冠婚葬祭に使用されるユリは、白いものが多い特徴があります。
冠婚葬祭にユリが選ばれている理由
フル―ル・ド・リスというユリの花を模した紋章があり、バッグなどの模様として使用されています。イタリアのとある地域では、この模様の入ったバッグを親から成人した子へと引き継ぐ風習があります。
結婚などの場でユリを使用するのはこのような親子の関係性を表わしているのかも知れません。キリスト教では白いユリをマドンナ・リリーと呼び、聖母マリアに捧げられます。ユリは多くの聖人や大天使ガブリエルにも捧げられ、美徳や貞操のシンボルともなっています。
聖書では、アダムとイブがエデンの楽園を追われますが、その際流した涙がユリになったといわれています。そのことから、キリスト教式の葬儀では涙の代わりとして白い百合が用いられます。白ユリの花言葉は「清浄」なので、死者の御霊の浄化のためとされています。非常に歴史の古い花なので、先祖を敬う花としてもふさわしいといえます。
ユリの香りと効果は?
ユリは花自体も大きく、香りも強いのが特徴です。強めで豪華な香りのするものや、甘い香り、爽やかな香り、控えめな香りなどユリの種類により様々です。
ユリの香りには、副交感神経を刺激し、新陳代謝のアップ、気持ちを落ち着かせる効果があります。素晴らしい効果があり、その香りは芳香剤や衣類用柔軟剤、香水などに使われることも多々あります。
ユリはとても良い香りがするのですが、近年では、スメルハラスメントや香害というものも叫ばれており、自分の好きな香りが、必ずしも万人受けするとは限りません。香りに敏感な人もいて、ユリの香りを苦手と感じる人もいるのです。そのため、冠婚葬祭など多数のゲストが出入りする場では、あまり香りの強くない種類を用いることをおススメします。特に、食事をする席には置かない方が良いでしょう。
冠婚葬祭に使うユリはどの種類?
一言にユリといえども、たくさんの種類があり、一体どのユリが冠婚葬祭にふさわしいのか悩んでしまう人も多いでしょう。そのイベントにふさわしい色や種類を選ぶことで、より一層印象深いものにすることができるはずです。
結婚式では使う花の花言葉に注意をしましょう。
赤やピンクのユリには「虚栄心」という意味があますし、黄色のユリには「偽り・不安」という意味があります。
オレンジ色のユリには「憎悪・軽率」という意味もあります。その一方、赤やピンクには「暖かさ・富みや繁栄」という意味や華やかさ、黄色には「陽気・飾らぬ美」という意味や気分を明るくしてくれる効果、オレンジ色には「華麗・愉快」という意味やパワフルというポジティブな意味やイメージもありますので、ネガティブなイメージに目を向けずにウェディングブーケや会場装飾などに使用する人もいます。
それでもネガティブな意味が気になるようでしたら、別の花を多めに合わせるなど、工夫をしても良いでしょう。尚、白いユリは「純潔」という意味があり、どんなシーンでも嫌味なく合わせることができます。
葬儀には、主に大振りのカサブランカが用いられます。カサブランカはその姿から、「美しい人生を遂げた人」「一本筋の通った高貴で清楚な人」という意味を持ちます。死者を敬い、魂の浄化を願うために用いられます。
カサブランカは日本原産!?
カサブランカと聞くと、欧米から持ち込まれたユリの一種だと感じるかも知れませんが、実は日本原産の種類なのです。
ヤマユリとカノコユリを交配し、カサブランカが産まれました。
その後、欧米に渡り1970年代にオランダで更なる品種改良がされ、世界各国でカサブランカのブームが起きました。そのブームに乗り品種改良のされたカサブランカが再び輸入され、今のカサブランカとなったのです。
カサブランカは一輪でも存在感があり、他の花と花束に入れるだけで豪華さや華やかさが演出できます。
花粉症などアレルギーには注意!!
ユリなどの植物には花粉があります。他の花に比べて比較的大きな花を咲かせるユリは、雄しべの先端に花粉がついているのですが、それが剥き出し状態になっています。最初から花粉が出ているわけでは無く、徐々に花粉が出てきます。花粉が出始めると花の中まで黄色くなるくらい多くの花粉が出ます。もちろん、部屋内にも舞い散ります。ユリ花粉のアレルギーを持つ人は、目の痒みや花がむずむずしてクシャミなど、花粉症の症状が出てしまいます。そして、花粉は指や手に付くとなかなか落ちません。皮膚に付くと痒みを伴う場合もあります。そのため、花粉が出る前にピンセットなどで雄しべの先端を摘み取っておくと安心です。
食用のユリもあるって本当!?
食用のユリもあります。ユリ根(百合根)と呼ばれるユリの鱗茎です。オニユリやコオニユリという種類のユリの球根部分が食用として主に流通しています。
おせち料理や懐石料理、冠婚葬祭などお祝い膳などに使用され、祝いの席で食べられる食事の中に入っている事が多いものです。昔は滋養強壮や咳止めの作用を目的に食べられていました。カリウムが豊富に含まれており、ホクホクとした独特の歯触りが楽しく美味しい食べ物です。
ユリの根にも、アルカロイド系の毒素が含まれているものがあり、全てのユリの根が食べれる訳ではありません。食用として市販されているものだけを使いましょう。
まとめ
一輪でも様になるユリは、冠婚葬祭のアクセントとして広く用いられています。
色の付いたユリもたくさんありますが、一番の人気はシーンを選ばずに使える白のユリです。特に、大ぶりのカサブランカは、非常に豪華なイメージを与えつつも、清楚で可憐な印象を併せ持つ花です。香りも強めであるため、食事をする場所に多く飾るのは控えましょう。また、葬式の供花や結婚式の会場装飾などに使用する場合は、花粉が出ないよう処理をしたものを使うようにしましょう。