秋と冬。厳しい暑さの夏が過ぎ、過ごしやすい時期になりました。秋には、実り、食欲、読書などいろいろなまくら言葉がつきますね。冬は日本の四季を再認識させられる時期でもあります。この時期ならではの特徴と行事、季節の食材の楽しみ方をご紹介します。
秋と冬の特徴
暑い夏が過ぎ朝晩が涼しくなってくると、一気に秋が来ますね。暦の上では秋は8月から始まりますが、気象的には9月から11月くらいの時期を指します。この時期は、春と一緒で天気は変わりやすく秋雨前線が活発になってきます。昼間は暑くても朝晩が冷え込みます。
この時期の特徴的な気象をご紹介します。
- 残暑:立秋から秋分にかけての暑さのこと。
- 秋晴れ:空気が澄み渡り空が高く感じられる晴天で、筋状やうろこ上の雲が特徴的です。
- 濃霧:朝晩の気温差が大きくなるための有無が発生しやすくなります。
- 日没:夕方は、日が暮れるのが早く、日の暮れ方は、「つるべ落とし」と表現されることも。
冬は、一年中で一番寒さが厳しい時期で、気象上では12月から2月を指し、1年で最も気温が下がる時期です。この時期の太陽は、南中高度が低いので、日の出が遅く日の入りが早く昼間の時間が短くなります。1年で最も日中の時間が短い冬至は12月22日頃です。西高東低の気圧配置となり、季節風の影響を大きく受け受けるため地域により気候が大きく異なります。日本海側では雪が降りますが、太平洋側では晴れて乾燥した日が続くのが特徴です。
この時期の特徴的な気象をご紹介します。
- 小春日和:寒さが厳しい時期で、寒さが和らぎ穏やかな気温の日のこと。
- 結氷:気温が氷点下になり、水が凍りはじめます。
- 冬日:一日の最低気温が0度以下の日。
- 真冬日:1日の最高気温が0度以下の日。
秋の行事
秋には、作物の豊穣を祝う行事がたくさんあります。11月23日には収穫に感謝する新嘗祭(にいなめさい)が行われます。全国の神社では、五穀豊穣を感謝するだけではなく諸産業の発展も感謝するお祈りもされていることから、勤労感謝の日は、このお祭りに由来して決まったといわれています。
新嘗祭では、最初に収穫した稲穂を神様にお供えしてから、人々がいただくのが大原則です。その為、新米が取れてもこの前には食べないとされています。
伊勢神宮の新嘗祭
伊勢神宮では行う新嘗祭は、『大御饌(おおみけ)』と『奉幣(ほうへい)』があり、これは、お祀りしている神様にその年にできた五穀をお供えする大御饌と天皇陛下の勅使が供え物を神前に供えるという大きく分けて2つの儀式を行います。新嘗祭でお供えするものは、その年にできたお米、籾、濁り種や清酒です。
新嘗祭はとても混雑し、交通規制もされます。伊勢神宮の周辺にはたくさんの無料駐車場もありますが周辺道路が狭いため混雑するので、参拝される場合は時間にゆとりを持って行ってください。
この他に伊勢神宮では、10月に神嘗祭(かんなめさい)が行われます。天皇陛下が皇居で神々を新穀でおもてなしをし、食事を一緒にする儀式で、神嘗祭は、天皇陛下が新穀を伊勢神宮の天照大神に捧げる儀式という違いがあります。
各地の神社では、時期が前後することはありますが、新嘗祭が行われます。
その他お祭り
秋のお祭りで、有名なのは、以下の通りです。
岸和田のだんじり祭り:疫病退散、五穀豊穣の稲荷祭が起源。
京都時代まつり:10月に平安遷都1100年を記念して平安神宮で行われた祈念祭に由来。
川越祭り:川越氷川神社で10月第3土日に行われる江戸天下祭りの流れをくむ神幸祭が起源。
長崎くんち:10月7日から長崎諏訪神社で行われ、南蛮・中国文化の影響が残るお祭り。
亥の子:旧暦10月は「亥の月(いのつき)」といわれ、亥の子餅を食べて無病息災・子孫繁栄を願うほか、地の神に感謝する祭事。
冬の行事
冬の行事というと、厳しい寒さや雪と共存するようなお祭りが多くあります。歴史の長いものから寒さを活かしたものまで、東北・北海道を中心に多様なお祭りがあります。
さっぽろ雪まつり
2月上旬に札幌市中心部に1.5㎞にわたり雪と氷で作られた作品が並ぶお祭りで、開催回数も規模も最大級のイベントです。日本国内だけでなく海外からも観光客が訪れるイベントです。札幌雪祭りの前後で定山渓の雪灯路、千歳・支笏湖氷濤まつり、層雲峡温泉 氷瀑まつりなどがあるので、少し足を延ばしてみるのもいいかもしれませんね。
秋田なまはげ柴灯まつり
無形文化遺産の1つで秋田県男鹿市の真山神社で行われるお祭りで『柴灯祭(さいとうさい)』と民俗行事の『なまはげ』が合わさった行事です。2月8日頃行われます。
秋田県横手かまくらまつり
2月中旬に行われる450年以上続く小正月の行事で水神様を祀るために行われています。
その他の雪まつり
北海道、東北など雪の多い地方で多く開催されています。蔵王の樹氷祭り、弘前城雪燈籠まつりの他、アイスバーや他のイベントも同時に行われる月山志津温泉 雪旅籠の灯りなどもあります。
秋の行事食は団子?
秋の行事で食べられる代表的なものに月見団子があります。この他にも秋に収穫される果物や野菜を取り入れたお菓子や料理はたくさんあります。今回は月見団子と亥の子餅をご紹介します。
月見団子
月見団子は十五夜には欠かせないものですが、この団子は月の形にちなんでいて、豊作祈願や収穫のお祝いの他、健康や幸福を表しています。お団子の大きさも15にちなんで一寸五分(4.5cm)にすると縁起が良いですね。ただ真ん丸のお団子は、死者にお供えする枕団子を連想させるため少しつぶします。
お供えする団子の数は十五夜の場合15個または5個。十三夜は13個または3個です。並べ方は、1段目が3個を3列、2段目が2個を2列です。15個の場合は、3段目に縦に2個並べます。供えるときは、左側が上座で、ススキや野菜などの自然のもの、右側にお団子にするとよいといわれています。
亥の子餅
亥の子祭りの亥の子餅とは、大豆、小豆、ささげ、ゴマ、栗、柿、糖の7つの材料を使って作られていて、源氏物語の葵の巻にも、亥の子餅を献上する話がかかれています。
中国の宮廷行事と日本の十日夜(とおかんや)と呼ばれる地の神を励ます風習と合わさり、亥の子祭りは収穫祭として定着してきました。
この時に食べられるのが亥の子餅です。『亥の月亥の日亥の刻にこのお餅を食べれば病気をしない』という言い伝えにあやかってたべられています。亥の子餅は、小豆の皮を入れたお餅にあんこと栗を包んだお菓子です。茶の湯では、炉開きのお菓子として使われています。
冬の行事食
一年で昼間の時間が最も短い冬至は、別名『一陽来福』といわれ、幸運がやってくるという意味があります。これは、冬至を境に日が長くなるため太陽が生まれ変わる日と考えられたためです。
最後に『ん』が付く食べ物は、次は最初に戻るということで『一陽来福』につながり縁起が良いとされています。冬至の7種と呼ばれている食材は、なんきん(かぼちゃ)、れんこん、ニンジン、ぎんなん、きんかん、寒天、うどんです。
地方により食べ方が違うようですが、かぼちゃをお餅代わりにしたかぼちゃのお汁粉、かぼちゃのいとこ煮といわれるかぼちゃを煮て小豆をのせたものがあります。
こんにゃくを食べる風習のある地域もあります。その他、かぼちゃとレンコン、大根などの根菜類を煮込んで食べる地域もあり、どれも体が温まるように工夫されたお料理ですね。
冬至にちなんだ和菓子は、主にゆずを使ったもので、ゆず羊羹やゆず餅、ゆず饅頭があります。ゆずの中身をくりぬいて、皮を器代わりにしたゆず羊羹もあり、冬至の頃ならではの楽しみ方ですね。
まとめ
- 秋には五穀豊穣を感謝するお祭りが各地で行われています。
- 新嘗祭は、収穫を感謝し、神様に捧げるお祭りで11月23日前後に行われます。
- 冬には、寒さを活かしたお祭りが北海道や東北など寒さの厳しい地方で多く行われています。
- 冬至には、新しく始まるという意味から『一陽来福』といい、おめでたい意味もあります。この時期は、寒さを乗り切るために体が温まるように食べ物を工夫していました。
四季の移り変わりに従って、自然に感謝するお祭りが多くあり、勤労感謝の日の由来ともされる新嘗祭があるのが秋の特徴です。冬は、寒さを乗り切る工夫や自然と地域の特徴を活かしたお祭りがあります。たくさんあるので、冬の楽しみに追加してみると良いかもしれませんね。また冬至にちなんだ『ん』のつく食べ物7種を上手に取り入れて今年の秋と冬を楽しむ参考にしてください。