令月(れいげつ)という言葉をご存知でしょうか?日常的に俳句を嗜む人や、慶事関係の仕事をしている人以外には、あまり馴染みの無い言葉なのですが、実は新元号である「令和」と深い関係があるといわれています。では、一体どんな意味があるのでしょうか。ここでは、令月について詳しくご紹介します。
令月とは一体どういう意味!?
令月と聞いても、全く意味が分からないという人も多いのではないでしょうか?なかなか日常では見聞きする機会がないので、馴染みもないのですが、慶事ではよく使用されています。では、令月とは一体どんなことをいうのでしょうか。
令月という言葉には、「お目出度い月」「何事をするにも良い月」「とても素晴らしい月」という意味があります。つまり、ハッピーで幸運な月という意味があるのです。この言葉は、古くから使われているもので、平安時代に書かれた「和漢朗詠」という詩集にも令月という記述があります。
目出度い日や良い日を「吉日」や「佳日」と言いますが、令月は、一日単位では無く月単位をいう時に使用します。
嘉辰令月というのは四字熟語なの?
嘉辰令月(かしんれいげつ)という四字熟語があります。
これは、「目出度く喜ばしい」という時節です。縁起が良い月日という意味です。この言葉は、主に慶事のスピーチや挨拶などで使用されています。類義語には、「大安吉日」「黄道吉日」などがあります。
主な使い方としては、
「嘉辰令月を選んで結納・挙式をおこなうことにしましょう」
「このプロジェクトの始動日は、縁起を担いで嘉辰令月にしよう」
など、良い日を表わす形で用いられています。
尚、嘉辰令月も和漢朗詠集にて詠まれています。
令月とは具体的にいつなの?
令月は、具体的にいつをいうのでしょうか?
めでたく素晴らしい、何をするにも万事良い月という意味がありますので、具体的にいつという時期の指定がある訳ではありません。例えば、結婚を令月にするという場合には、2人の好きな月や記念日のある月で構わないでしょう。
陰暦(旧暦)では2月が令月と言われています。そのため、2月を指して令月と表現する人も多いものです。初春の明るいイメージが縁起良くぴったりです。
その他に2月は「如月」「梅月」「梅見月」「橘如」など様々な呼び名があります。主に初春をイメージさせる月名称が多いのが特徴です。
令月は季語として使えるの!?
令月は俳句や短歌、和歌の世界では季語として使われています。
やはり、初春や2月を表わす季語として用いられています。寒さの残る中、ふとした春の訪れを感じた句を詠む中で、令月という季語を使用すると、非常に美しく、情緒豊かな印象を与えます。
天気の良い日には、縁側で日向ぼっこをしながら、じっくり句を詠むのに適している時期です。
令月の風=令月風和は新元号の元になった?万葉集の一節?
新元号は「令和」ですが、この令和も令月と関係があるとされています。
日本の有名な古典である万葉集の一節に、
「于時初春令月氣淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香」
(時に 初春の令月にして 気淑く風和らぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす)
というものがあり、これが元となっているといわれています。
この一節は、「初春を迎える2月は、春の和やかな風が吹く気候で、梅の花は鏡の前で白粉を装う女性のように白く咲きほこり、蘭の花は、気品高い香水のように良い香りを漂わせている」という意味があります。
このことから、寒さを耐えた後、春が訪れ咲きほこる梅の花のように、日本人が明日への希望を持ち、個々の大きな花を咲かせられるような明るい未来と希望に満ちた国でありたいという考えが伺えます。
令月にして風和らぐという部分から、「令月風和」と呼んでいる人や、新元号記念の商品名などに使用しているお店も数多くあります。
万葉集は全20巻から成る大作で、様々な時代で多くの人々に愛されてきました。日本の元号は古典から引用されるものが多いのですが、その多くは中国の書物(古典)を使用していて、日本のものを引用したのは初めてといわれています。
また、皇太子の生まれ月が2月であるため、令月から令が付けられたとも言われています。
命令の令が付くため、良いイメージを抱かないという人もいますが、令には素晴らしい意味が沢山込められているのです。
子供の名付けにも令の字が多くなった!?
令和という新元号が発表されてからというものの、産まれた子供の名付けに「令」「和」の文字が多く使用されるようになりました。令をそのまま「れい」「りょう」と読ませるのはもちろんのこと、「はる」という読みで使用されることもあります。
また、令が使用されている漢字で、澪、怜などの人気も高まっています。
昔から、2月(令月)生まれの子に令の字を使うということは一般的に行われてきましたが、新元号が発表されてからは更に増えたといわれています。
令や和が付くトレンドの名前ではありますが、いわゆるキラキラネームなどとは少し異なり、歳を重ねても美しい印象を与えることができます。
令月をもっと幸せに過ごすためには?
2月は初春といえども、まだまだ底冷えの寒さが続く日々です。インフルエンザをはじめ、様々な感染症が流行る時期でもありますが、旬の食材を上手に取り入れ、免疫力アップ、寒さや寒暖差に打ち勝つ身体作りをしましょう。徐々に日が長くなるのが実感できるようになる時期でもあります。日が長くなると共に何気なく活動時間も長くなるため、睡眠リズムが崩れてしまい、不調や疲労感を感じる人が多いものです。身体を温め、早めに就寝することを心掛けましょう。寒い時は足元を温めると、良い眠りに入ることができます。
また、初旬に立春を迎えるにあたり、前日に節分という行事を行います。節分は季節の変わり目に訪れる目に見えない不調や災い(これらを鬼としています)などを様々な方法で祓います。そのため、スピリチュアルの世界でも、2月は大きな意味を持ち、運命の変わり目と捉えられています。
2月14日にはバレンタインデーが行われています。元々は好きな男性に女性がチョコレートを渡すというイベントでしたが、近年では、友人同士や同僚、家族でチョコを渡し合って、より仲を深めたり、なかなか買えない高級チョコレートを自分自身のご褒美として購入し楽しむという、気軽な楽しみ方も好まれています。全国各地のデパートなどでは、海外からなかなか手に入らない輸入チョコレートなどを用意し、イベントを行います。そういった場所に足を運んでみても楽しめるのではないでしょうか。
まとめ
令月とは、素晴らしく、目出度い月という意味があります。旧暦の2月をいう言葉でもあります。
日本の新元号が令和と決まったことから、令月という言葉への注目度も高まりました。令和という元号は、万葉集の一節を元に決められたといわれています。立春を迎え、春の兆しが感じられる2月のように明るい希望に満ちた日本にしたいという意味が込められているのです。
令月は嘉辰令月ともいわれ、慶事などの挨拶に多く用いられています。
普段の生活ではなかなか使わない言葉ではありますが、令月を意識して日々を送ってみると、今まで知らなかった春の息吹に気付くことができるかも知れませんね。