オリンピックで欠かせないものの一つに、聖火があります。聖火といえば聖火リレーで、そのリハーサルから大いに盛り上がりを見せています。そんな話題の聖火ですが、一体どんな意味があり、いつから行われているのでしょうか?ここでは、オリンピックの聖火について詳しくご紹介します。
オリンピックの聖火にはこんな歴史が・・・
オリンピックの聖火は、ギリシャのオリンピアで灯される火のことです。聖火は、オリンピックの象徴として多くの人に認識されています。4年に一度オリンピックが開催されている期間には、その主たる競技場に日夜灯されています。
聖火の歴史は、古代ギリシャに遡ります。ギリシャ神話のプロメテウスが、ゼウスの元から盗んだ火を人類に伝えました。このことを記念してオリンピックの期間中灯されていました。オリンピック開催中は、ゼウスの妻であるヘーラー神殿に聖火が灯され、ゼウスを讃えていたのです。そんなに古くから行われていたのには驚きですね。
でも、近代になると聖火を灯す文化が一旦廃れてしまいます。
その後1928年のアムステルダムオリンピックでスタジアムの設計に「マラソンタワー」というものを取り入れ、その塔に聖火を燃やし続けるというアイディアが出され、実現されました。この聖火アイディアは非常に好評で、その時から毎回取り入れられるようになったのです。今ではオリンピック開催に欠かせないものの一つです。
オリンピックの聖火リレーにはどんな意味があるの?
夏季オリンピックの聖火リレーは1936年のベルリンオリンピックから行われています。この時は、およそ3千人のランナーが参加し、会場であるベルリンまで聖火を運びました。
冬季オリンピックでは、1952年のオスロオリンピックより聖火リレーが始まりました。
聖火リレーのクライマックスは、最終走がメイン会場の聖火台へ点火する時です。複数名のランナーが少しづつ繋いだ聖火が到着するという姿は、見る者を感動させます。聖火台へ点火の際には、様々な演出がなされています。スキージャンプで点火する、火矢を射る、エレベーターを使用する、複数名で点火するなど毎回工夫されていて、楽しませてくれます。
聖火リレーに意味が無いと考えている人もいるかも知れませんが、聖火を掲げることには「平和・友愛・団結」という意味があります。開催国を少しずつ回ることで、オリンピックの開催を広く知らしめ、期待と関心を持って貰うという大きな役目もあるのです。尚、東京2020オリンピックでは、聖火リレーに「Hope Lights Our Way(希望の道を繋ごう!)」というコンセプトがあります。121日間を掛けて859もの市町村を回りますので、目にする機会があるのではないでしょうか?どの土地に住んでいる人も、およそ一時間以内の移動時間で目にすることができる場所が選ばれています。
聖火リレーのランナーは何人?どうやって決まるの?
東京2020オリンピックでは、約1万人の聖火ランナーが選出されています。選出は一般応募もあり、選考基準に満ちている人が決まりました。今回のオリンピックでは、日本の有名企業4社を経由して申し込むスポンサー企業枠と、都道府県枠とが設けられていました。スポンサー企業枠では、購入品でポイントを貯めて応募する方法などが取られました。
尚、聖火ランナーの決定は、各開催地により異なります。
基本的に第一走ランナーは、採火をしたギリシャ国内で走ります。そのまま一週間はギリシャ国内で聖火リレーが続き、一週間後に聖火引継式が行われ各開催地へ引き渡されます。
今回は3月19日に東京の2020組織委員会に聖火が引き渡されます。引継前のギリシャ国内での聖火ランナーにも日本人が数名選出されていますが、過去のオリンピックで大きな功績を納めた人が選ばれています。
聖火はどうやって運ばれてくるの?移動手段は?
聖火はギリシャのオリンピア遺跡という場所で、太陽光を集めて採火されます。採火の儀式は男子禁制で、マスコミの見学も禁止されています。よくメディアで見掛ける採火儀式はリハーサルです。
聖火は飛行機で運ばれます。通常、飛行機内に火を持ち込むことは禁止されていますが、聖火は特別なのです。ランタンを固定した特別な座席で開催国に安全に運ばれます。
かつては、船で運ばれたことも、馬で運ばれたこともありましたが、近年では飛行機移動が一般的な様です。
東京2020オリンピックに使用される聖火は、3月12日にギリシャのオリンピア市にあるヘラ神殿跡地で採火されます。その後、一週間はギリシャ国内でリレーが行われ、3月19日に現地を出発し、翌3月20日に宮城県の航空自衛隊松島基地へ到着します。聖火はJALとANAが共同輸送で、専用の輸送機を用いて運ばれます。専用輸送機にはオリンピックエンブレムやANA、JALの文字が描かれ、夢のような仕様となっています。
聖火リレーのトーチはどんなもの?
聖火を運ぶトーチも、オリンピック開催毎に作られます。炎を運ばなくてはならないため、安全に持ちやすい設計がされています。東京2020オリンピックのトーチは、上から見ると桜の形になっています。桜紋を模しているのに継ぎ目のない素晴らしいデザインです。火力の強い部分と弱い部分を作る事で、聖火の赤い炎を長期間保つ工夫がされています。風が 強く吹いても綺麗に見えるようになっていて、風速17メートルの強風時にも聖火は消えないのです。
重さは1.2キロと軽量で、誰もが持ち易い重さです。色は桜ゴールドという名の上品なゴールドで、持つところにポジションマークがあしらわれています。このマークを目安にして持てば、安全に正面を向けて持てるのです。誰でもどんな環境でも使えるユニバーサルデザインのトーチは、もはや工芸品といっても過言ではないほど完璧な仕上がりです。聖火ランナーでなくても触れるように、展示会が設けられる予定なので、そちらに出向いてみても面白いかも知れませんね。
聖火台はどこに作られるの?点火はいつ?
聖火台はIOC=国際オリンピック委員会により、
- 競技場内の観客、全ての場所から見えるところに設置
- 開催期間中は、競技場の外にいる人からも見えるところに設置
という規定が定められています。近年では例外も出ていますが、基本的にこれを守り作られます。
2020年に行われる東京オリンピックでも、聖火台は競技場内外に設置される予定です。2019年12月15日に新国立競技場が出来上がり、内覧会が行われた際には聖火台の姿が見られなかったため、「聖火台の設置が忘れられたのではないか?」と話題になりましたが、2020年1月10日に東京2020オリンピックの聖火台は水素燃料を使用した物になると発表されました。水素燃料を使用した聖火台は世界初の試みで、非常に注目を集めています。このように、世界初の燃料を供給し続けることのできる聖火台作成に時間が掛かるため、開催ギリギリになってしまうのかも知れないですね。
聖火の聖火台への点火は、7月24日の予定です。
まとめ
オリンピックの聖火は、古代ギリシャで行われていたものが元となっています。ギリシャで採火された聖火は、メイン会場の聖火台に到着するまで、多くの人の手に渡り、国内を少しずつ廻りながら運ばれます。間近に迫った東京2020オリンピックでは、約1万人もの人が聖火リレーに参加します。Hope Lights Our Way(希望の道を繋ごう)というコンセプトがあり、
それに向けて日本中が一丸になる姿を目にすることができるでしょう。