紋白蝶(モンシロチョウ)の名前にはどういう意味があるのでしょうか?
また、由来はどこからきたのでしょうか、今回は紋白蝶の秘密に迫ります。
普段身近に見られるチョウで、学校でも学習する機会もありますが、意外とその生態について忘れてしまった、という方も多いのではないでしょうか。
あわせて、卵や幼虫の飼育の仕方、成虫への育て方などもまとめています。
紋白蝶とは?分布は?
紋白蝶(モンシロチョウ)は一般的によく見られるチョウで、ほとんどの方が目にしたことがあるチョウではないでしょうか。
また、採取しやすいチョウでもあるので、生態などを研究されやすく、身近なものとして学習の教材にもよく取り上げられます。
羽を広げた大きさは約5cm、羽の表側は白く、裏側は淡い黄色をしています。
また、前の羽の先端は黒くなっており、前の羽には2つ、後ろの羽に1つ、黒い斑点があります。
なお、この羽の先端の黒い部分や羽の色はオスとメスでは微妙に違いがあります。
オスの前羽の黒い部分は小さく、メスはやや大きめです。
色は、オスのほうが全体的に黄色っぽく、メスは前の羽の付け根部分が若干灰色になっています。
紫外線に羽をあてるとオスのほうが黒っぽく、メスは白くなるため、紋白蝶たちはオスとメスの区別をここでつけていると思われます。
紋白蝶は日本を始め、全世界の温帯、亜寒帯に広く生息するチョウです。
日本の紋白蝶は奈良時代にはいってきたとされていますが、北米に紋白蝶が移ったのは1860年ごろとされています。
現在では北米のみならず、カナダ・アラスカから南はメキシコの方まで、生息しています。
なぜ「紋白蝶」と呼ぶのかその意味は?
さて、なぜ紋白蝶という名がついたのでしょうか、由来や意味を見てみましょう。
紋白蝶の特徴は上記しましたが、白い羽に黒い斑点があることからこの斑点を「紋」に見立てた、とされています。
ですが、斑点は黒ですから、それが名前の由来だとすると「紋黒蝶」が正しいのでは?と思いますよね。
実は紋白蝶、紋が白いチョウ、という意味ではなく、「黒い紋がある白いチョウ」という意味でつけられた名前なのです。
つまり、紋白蝶の「白」が表しているのは羽の部分で、もとは「モンクロシロチョウ(紋黒白蝶)」と呼ばれていました。
しかし、それではややこしいため、「黒」の部分がなくなって紋白蝶、となったのです。
「紋」がつく蝶では他には「紋黄蝶」がいます。
このチョウは黄色い羽に黒の紋がついていますが、同じく「黄」の文字を残した名前となっています。
ちなみに、紋白蝶の英名は「Cabbage butterfly」です。
キャベッジとはキャベツのこと、すなわち直訳すればキャベツのチョウ、という意味になります。
なぜキャベツかというと後述しますが紋白蝶の幼虫はキャベツの葉を好むのです。
しかしキャベツ畑を荒らしてしまうので農家の方々には害虫として嫌われているのだとか。
日本名が見た目からつけられているのに対し、英名は幼虫が好んでいる場所からとられている、というのもなんとも興味深いことですね。
紋白蝶が見られる時期は?
紋白蝶の成虫が見られるのは、3月から11月にかけてです。
よほど寒い時でなければなんとなく、1年を通じて見かける印象がありますね。
紋白蝶が飛び始めると、春の訪れを感じます。
チョウは1年に5~6世代ほどを繰り返しますが、これはもちろん場所や気候などによって回数は異なります。
東京近郊では6回くらい、そして暖かい気候のところでは7回発生することもあります。
春から秋まで、とかなり長い間見られるチョウですが、一番多く見られるのはやはり春、3月から4月と、10月から11月にかけてです。
6月から8月にかけては暑さのせい、そして天敵が増える、ということもあり、見られる数は少なくなってきます。
冬の間は、多くは蛹の姿で過ごすことが多いので、飛んでいる姿はあまり見られません。
紋白蝶の越冬
11月ごろに卵を産み付けられたものは蛹からすぐに羽化せず、蛹の状態で冬を越します。
蛹は木の枝や葉の裏などに作られることが多いようです。
蛹の色は大体緑色をしています。
中には黒っぽかったり白っぽかったりするものもあります。
そうして暖かくなる春を待って外に出てくるのです。
あくまでこれは冬の間に蛹になっているものに関してであり、暖かい時期は1~2週間ぐらいで羽化します。
蛹から羽化するところを見たい場合は、室内に置いておくと暖かさで羽化してしまいますので、飼育ケースにいれて外に出しておきましょう。
乾燥を防ぐため、1週間に1回ほど、霧吹きをしてあげると良いですね。
それでももし冬の間に羽化してしまったら、そのまま飼育ケースで飼うことはできます。
エサには蜂蜜を薄めたものなどをあげるのがおすすめです。
夜間にはダンボールなどをかぶせてなるべく自然の夜に近いようにしてあげましょう。
ただし、成虫の寿命は長くても2週間くらいですので、あまり長生きはしない、というつもりで飼ってあげてください。
紋白蝶の卵はどんな卵?探し方や育て方
紋白蝶の卵はどんな色で、形をしているでしょうか?
紋白蝶の卵は黄色で、瓶のように縦に細長い形をしています。
高さは約1mmほどでとても小さいものです。
卵はキャベツなどのアブラナ科の植物の葉の裏などに産み付けられることが多いです。
産卵の時期は4月から6月にかけてが最も多く、夏の暑い時期はやや減り、10月から11月にかけてまた増えます。
卵は、季節にもよりますが大体5日~10日で孵ります。
夏場は短く、3日から5日で孵化します。
平均として、卵の期間は7日ほど、と見て良いでしょう。
さて、卵は飼育することができるのでしょうか。
また孵化させることはできるでしょうか?
紋白蝶の成虫は飼育することが難しいと言われていますが(元々短命なため)、卵の飼育は成虫よりは比較的難しくないと言われています。
まず、上記しましたが卵がありそうなところ、キャベツ畑などで卵を探します。
飼育ケースに新聞紙を敷き、その上に卵のついた葉ごと入れます。
卵は乾燥に弱いため、脱脂綿などに水分を含ませてケースに一緒に入れておきましょう。
卵から孵化するまでの期間は大体1週間くらいです。
お子様などと一緒に観察されるのもいいですね。
紋白蝶の幼虫は?飼育の仕方なども解説
卵は1週間くらいで孵り、幼虫が生まれます。
幼虫は卵の殻を内側からやぶってでてきます。
最初のうちは自分がはいっていた卵の殻がエサとなりますが、なくなるとキャベツの葉などを食べるようになります。
卵の殻にはタンパク質が多く含まれているので栄養満点なのですね。
そして葉を食べるようになると体が次第に青色となり、いわゆる「アオムシ」と呼ばれるものになります。
もし飼育ケースで飼育している場合には、キャベツの葉やダイコンの葉、ブロッコリーなどアブラナ科の植物の葉を置いてあげましょう。
このとき注意することは、葉に農薬などがついていると幼虫には害を与えることになってしまいますから、よく洗うか、外側の葉ではなくなるべく内側の葉をあげるようにするのがおすすめです。
また、飼育ケースの中の水分を切らさないように、つねに水分を含ませた脱脂綿を入れておくか霧吹きをするなどこまめに管理をしておきましょう。
幼虫の間でいる期間は大体2週間程度と言われています。
その間に幼虫は4回脱皮し、最終的に体の大きさは4cmほどになります。
蛹になると、暖かい時期であれば1週間ほどで羽化します。
飼育している場合には触らず見守ってあげましょう。
無事羽化したら特別寒い時期でない限りは、外に放してあげるのがおすすめです。
紋白蝶の成虫は花の蜜が主なエサになるので、採取が難しいからです。
蜂蜜を薄めたものでも代用にはなりますが、やはりチョウには外を自由に飛び回ってもらいたいと思うものですよね。
幼虫の飼育について書きましたが、幼虫を採取して育てるより卵を見つけて飼育するほうがおすすめです。幼虫には寄生バチなどが既に寄生している場合があり、途中で死んでしまうケースもあるようです。
まとめ
今回は紋白蝶について、名前の意味、由来から、よく見られる時期などをご紹介しているほか、卵や幼虫についても、その生態や飼育方法までまとめています。
紋白蝶はよく見られるチョウであり身近な昆虫ですが、こうやって改めて掘り下げてみるとなかなか知られていないことも多いのではと思います。
天敵や自然の脅威などから卵から成虫になれる数はとても少ないと言われています。
そんな中、小さくても一生懸命生きているのだなと感じます。
機会や時間などあれば、飼育してその一生を見守るのもおすすめです。
お子様などとご一緒に観察されればなお、楽しいかもしれません。