猫柳はふわふわとかわいい形状の花を咲かせる樹木ですが、その花はいつ咲くのでしょうか?
そして名前の由来はどこからきているのでしょうか、また花言葉やいつの季語なのか、などを詳しくまとめています。
また猫柳は育成方法も難しくなく、初心者の方でも自宅で気軽に楽しむこともできるのです。
その方法についてもご紹介している他、育成のコツなどについてもまとめました。
猫柳ってどんな花?咲く時期は?
猫柳はヤナギ科ヤナギ属の落葉低木で、主に川辺に自生する樹木です。
北海道から九州まで、ほぼ日本全国でみることができます。
木の高さは50cm~2mほどで枝が多く、雄花は約4cmの長い花穂を、雌花は約3cmの花穂を咲かせます。
花が咲く時期は2月から4月にかけてで、他のヤナギ類の植物より早く花が咲くことから、春の訪れを教えてくれる樹木として親しまれています。
見た目はモフモフとした毛の固まりが枝についているようで、まさに「猫の尻尾」という感じです。
花の色は白が多く、別名を「エノコロヤナギ」「カワヤナギ」とも言います。
また、そのかわいらしい見た目から華道の花材としても大変人気です。
それは枝をそのまま土に生けても発根するほどに生命力が強いことと枝にタメが効き、カーブしやすくアレンジがしやすいから、という理由にあります。
また、和風、洋風、どちらに寄せたアレンジにもぴったりですし、見栄えが豪華になる、ことからもよく選ばれているようです。
猫柳にはいくつか種類もあります。
園芸用として人気のある「ピンクネコヤギ」、これは名前の通り、ピンク色をした猫柳です。
それから「クロネコヤナギ」、こちらも黒い花穂をつけるものです。
「ネコシダレ」という枝が垂れるタイプのものもあります。
こちらは大変希少だと言われています。
猫柳の名前の由来は?
「猫柳」の名前の由来はどこからきたのでしょうか。
上記した特徴から、また、形を見て想像はつくかと思われますが、ふわふわした花穂部分が猫の尻尾に似ているから、「猫柳」という名前がつきました。
また、手触りもふかふかしてなめらかで、本当に猫のしっぽを撫でているような感触なのです。
ただ、見た目は猫のしっぽだけではなく、犬の尻尾に見えなくもありません。
それなのになぜ「猫柳」になったのでしょうか。
実は上記しました猫柳の別名「エノコロヤナギ」の「エノコロ」に「子犬の尻尾」という意味があるのだそうです。
犬の尻尾に見立ててついた名もある、ということですね。
ちなみに、英語名は「Pussy willow」と言います。
これは日本語にするとそのまま「猫柳」になります。
本来、猫の英語は「cat」ですが、pussyというのは「子猫ちゃん」という意味があります。
猫柳の見た目が猫の尻尾に見える、猫っぽい、というのは全世界共通のことなのですね。
猫柳の花言葉は?
猫柳に花言葉はあるのでしょうか?
見た目があまり「花」という感じがしないだけに気になるところですが、猫柳にも花言葉はちゃんとあるのです。
猫柳の花言葉は「自由」「開放感」「率直」「気まま」「努力が報われる」「思いのまま」「親切」などがあります。
どうでしょう、ぱっと見た感じですがなんとなく「猫」を連想させませんか?
特に、「自由」「気まま」のあたりは自由奔放で、捉われることを嫌う猫そのものと言えるでしょう。
また、「開放感」のあたりは猫柳が咲く季節、「春の訪れ」を感じる言葉でもありますね。
実際、猫柳の枝はしなやかで、四方八方に伸びてゆく、という性質があります。
そのあたりから、このような花言葉が当てはめられた、ともされています。
「親切」という花言葉がついた由来については諸説あるようですが、猫柳のふわふわと柔らかな触り心地が人の心を癒す、そのことを「親切」と表現したのでは、とも言われています。
どの花言葉も、猫柳の見た目と名前に通じる、また連想しやすく分かりやすいので、例えばどなたかへのプレゼントでお贈りする際にも選びやすいですよね。
猫柳はいつの季語?用い方のポイントもご紹介!
猫柳は春の季語です。
とはいえ、猫柳の花の咲く時期は2月から4月にかけてです。
春といってもまだまだ冬の厳しい寒さが残る時期でもあります。
もし「猫柳」という言葉をつかって俳句を作るのであれば、春の暖かさを感じさせるやわらかい感じではなく、冷たい空気の鋭さを感じさせるような使い方を意識してみると良いでしょう。
猫柳を季語にした有名な俳句をご紹介します。
まず一つ目は中村汀女の句、「ときをりの水のささやき猫柳」です。
猫柳は水辺に生えていることが多いですしいかにも情景が浮かんでくるようですね。
そして流れる水はまだとても冷たいのだろう、とも想像がつきます。
そしてもう一つ、山口誓子の「猫柳高嶺は雪をあらたにす」です。
3月に入り、少し暖かくなったかなと思うとまた急に冷え込み、大雪が降ったりする、ということは実際によくありますね。
まさにこの句はそういった情景を表していると言えるのではないでしょうか。
完全な春の訪れにはまだ少し遠い、そんな雰囲気も伝わってきます。
猫柳を育ててみよう!苗植えや剪定の時期は?
ところで、水辺に自生する猫柳、ご自宅でも楽しむことができるのです。
しかも育成の方法もそう難しくない上に、鉢植えで育成できるのです。少し、こちらでまとめてみましょう。
苗植えの時期は、大体11月から3月の間が良いでしょう。
土はさらさらのものよりやや粘り気のある粘土質の土がおすすめです。
一般的には、赤玉土6:腐葉土3:ピートモス1の割合が良いとされています。
苗はホームセンターや園芸店などでお気に入りのものを探しましょう。
くれぐれも野生のものを切ってきたり折ってきたりはしないように注意してください。
園芸用ならピンクネコヤナギなども扱っていますのでちょっと変わった猫柳を育てたい、という時にはおすすめです。
植えた後は日当たりのよいところに置きましょう。
枝の剪定は、花の咲く時期が終わった4月頃以降にするのがおすすめです。
剪定には特別な技術は必要なく、伸びすぎた枝や、絡みあったところを切っていき、形を整えていくだけです。
ただし、夏以降に剪定をするときには注意が必要です。
夏には既に来年咲く予定の花弁が出来上がっていますので、あまり切り過ぎてしまうと来年咲く花が少なくなってしまいます。
剪定はあまりやりすぎないように気を付けるようにしましょう。
また、剪定はそんなにこまめに行う必要はありません。
3年から5年に1回の割合で大丈夫です。
そういった観点からすると、猫柳はとても育てやすい植物である、といえますね。
園芸の詳しい知識がなくとも、初心者でもチャレンジできそうです。
手入れのコツは?長持ちさせるには?
猫柳をご自宅でも育てるための手入れのコツとして、まず水をたくさんやること、が挙げられます。
もともと水辺に生息する植物ですから、水分を多めに必要とします。
土が乾いてしまう前に水をあげるようにしましょう。
特に夏場は要注意です。
普段は日なたに置いておくものですが、あまり暑い時には半日陰に置いておきましょう。
冬場は春に花を咲かせるための準備期間です。
鉢はあまり風が当たらないところに置きましょう。
乾燥には非常に弱いですから水やりは忘れないように注意が必要です。
また、肥料やりについては、あまり神経質にならなくて大丈夫です。
苗が育ってきたころ、2月ごろを目安に根元に肥料を与えると良いでしょう。
猫柳は基本強い植物ですので、肥料はこの一度だけで十分です。
開花後に生育が悪いようならもう一度与えましょう。
猫柳を長く育てるには、鉢の植え替えをこまめに行いましょう。
猫柳は根の成長が早いので、できれば1年に1回は行うのがおすすめです。
その際は必ず一回り大きめの鉢を選びましょう。
取り出した際には古い根や土を落としてから新しい鉢に植えましょう。
時期はなるべく冬場、11月から3月の間に行うのが理想です。
まとめ
今回は「猫柳」について、名前の由来や花言葉、季語について、また、花言葉などについてまとめています。
あわせて、ご自宅で育てる場合の方法やコツなどもご紹介しました。
猫柳はそんなに派手な花ではありませんし、どちらかといえば控えめで目立たないかもしれません。
ですがあの猫の尻尾のような形状にはつい惹かれてしまう方や、触ってみたいという衝動に駆られる方も多いかもしれませんね。
また、自宅でも気軽に育てることができるのも魅力です。
春の季語として俳句にもよく登場していることも興味深いですね。
寒い冬の季節ではありますが、水辺に行って、もふもふとした花を探してみませんか?
一足早い春の訪れを感じることができるかもしれません。