身近にいる可愛らしい鳥、雀。
そのチュンチュンとした姿を見ると思わず笑顔になってしまう、そんな不思議な魅力が雀にはあります。
昔から雀の存在は人にとって身近であり、生活を共にしているような親近感がありますよね。
そんな雀ですが実は知っている様で知らない生態の秘密や、エピソードがたくさんあることをご存知でしょうか?
良く見かける鳥だからこそ、たくさんの知識を知りたいところです。
こちらでご紹介する雀の知識を身につけ、より雀についての可愛さを知ることでぜひ身近な神秘を感じてみてください。
雀の名前の由来は?
何気なく呼んでいる雀という名前、一体どのような由来があるのでしょうか。
雀は昔から身近な鳥ではありました。
平安時代や室町時代には、すでに家の庭にはいたとされていましたし、その歴史はとても長いものとなります。
雀の名前の由来については、一体いつごろから呼ばれていたのかは謎とされています。
ただスズメの「メ」という字は、群れという意味がありました。
あまり群れている印象がない雀ですが、名前が付けられた時は群れで生活をしているのが普通だったのでしょうか。
またすずめの「すず」という呼び名ですが、これは細い・小さいという意味の「ささ」から来ていると言われています。
確かに雀は大きさも小さいですし、この名前がついたことは納得できます。
つまり最初は「ささめ」「さざめ」のような呼び名で、その後時代を経て言い方が変わったとも考えらえますね。
雀の全長は14cmほど。
これは、カラスから比べるととても小さく、鳩で比べても半分ほどです。
また雀の名前が付いたのには、鳴き声も関係しているとも言われています。
雀の鳴き声は良くチュンチュンなどと表現されますが、昔はシーシーやチーチーなどと言われていたともされ、その呼び名が雀の呼び名に変化したという説もあるのです。
あまりに身近にいる鳥だからこそか、そこまで生態がはっきりしていない雀。
まだまだ隠れた神秘がありそうですね。
雀が住んでいる場所は?
雀が昔から身近だと言われているのには、他にも理由があります。
それは雀が生息している場所にあると言えるでしょう。
街や田舎でよく見かける雀ではありますが、実際にどこに巣をつくっているのか?と聞かれると答えられる人はどのくらいいるでしょうか?
カラスやツバメなどの方が、簡単に巣を見つけることが出来るのではないでしょうか。
雀は昔から農業を家業にしている家の近くに出没し、稲などの作物を食べてしまうなど田畑を荒らしてしまうということもありました。
そのせいか人間に嫌われるということもあったのですが、一方で雑食で何でも食べてしまう雀だけに田畑の害虫も食べてくれるので作物を守ってくれるという考え方をする方もいました。
基本的に雀は人間の近くで暮らしはするものの、非常に警戒心が強いのは誰が見てもわかることでしょう。
少しでも危険を察知すると、すぐに飛び立ってしまうのです。
また渡り鳥の種類ではないので、そこまで移動はせずその場で暮らすことがで知られてはいますが、稀に新潟県の雀が関東地方や愛知県にまで飛距離を伸ばして移動するという行動を見せることもあります。
巣は軒下に作ることが多く、特に昔は農家の家などを好んで暮らしていたようです。
最近は一軒家の軒下などで見ることもあるようですが、低層階であればマンションなどのベランダなどでも見かけることも。
ただ人の頭よりも低い所には巣は作らず、なるべく隠れられるパイプなどの場所にも作ります。
中には、ツバメの巣を奪ってしまうこともあるというから驚きですね。
ここまで雀は人間を警戒しているとお話ししました。
雀は日本と同じく世界に居る鳥ですが、それぞれ特性も違うとされています。
良く海外の映画やドラマなどで、大きな公園で雀などにベンチで座りながら餌をやったりする光景を見ることもあるかもしれません。
実は人間を警戒してしまうのは、日本の雀の特性とも言えます。
日本は特に野生の動物に対し、餌をやるという発想は徐々に薄くなってきていますね。
これは自然界の法則を壊さないためにももちろん良い行為ではありますが、やはり人間と野生の動物が近づきあう瞬間という風景はそれだけで場が和んでしまう不思議な力があります。
雀の特徴を知りたい!
ここで知っているようで知らない、雀の生態についてご紹介していきましょう。
雀には意外にも数の多い特徴が存在し、それらを知ってから雀を見るとまた感じ方が変わるかもしれません。
- 英名:スパロウ
- 大きさ:14cm前後
- 翼の長さ:7cmほど
- 歩き方:チョンチョンとするホッピング
- 鳴き声:「チュンチュン」「シーシー」
- 生息地:基本的に日本全国(小笠原諸島は×)
- 食性:木の実などをはじめ、雑食
- 雌雄判別:見た目では判別不能
- 巣:人間の目の届かないところ
- 成鳥・幼鳥の違い:くちばしの色(幼鳥は黄色系 成鳥は黒系)
- 寿命:野生は3年、飼育下の場合は最長15年とも
まず雀の雄と雌の区別の付け方ですが、こちらは何とDNA鑑定までいかないと性別がわかりません。
それだけ他の鳥に比べ特徴がなく、専門家でも見間違うほどだといいます。
幼鳥、成鳥の違いに関してですが、幼鳥はどちらかというと黄色い淡い色見のくちばしですが、成鳥だとくちばしが黒っぽく見えます。
また生態ははっきりわかってはいませんが、大体野生に生きている雀の寿命は3年前後だとされています。
雀の産卵の時期と、子育て方法
雀の産卵、または産んでから孵化するまでの期間はどのくらいなのでしょうか?
雀は1年の中で2回繁殖をするとされており、その時期は2月頃から9月ほどまで。
この繁殖期と言われている時期に、雀は何と2回も繁殖をすることになるといいます。
繁殖が終わると、巣作りを始めるのですがこれが大体5日後くらいのこと。
その後無事に産卵をした後は、12日前後巣の中で我が子がかえるのをじっと卵を温めて待ちます。
そして生まれた雛たちを母雀は温かく見守るのですが、そうはいってももちろん鳥の自立は早いですよね。
雀も14日ほど親鳥のもとに居た後、巣立ちをすることになります。
ただし雀の場合は、いきなり巣を離れて完全に自立するということではなく、親が作った巣の近くの巣で暮らすことに。
そこでしばらく飛ぶ練習や餌の食べ方などを訓練し、いよいよ親元から離れるのが生後50日後のことです。
ただし意気揚々と飛び出した雛たちの中で、無事に成鳥として生きていくことが出来るのはほんの2割。
あとは巣が落ちてしまったりなどの理由で、生き延びることさえ難しいと言われているのです。
野生だからこそ経験する生命の厳しさ。
あんな小さく可愛らしい姿の雀ではありますが、非常に辛い時期をくぐりぬけたわずかの精鋭たちが今後また新しい命を繋いでいくのですね。
実は雀には2種類いるって本当?
先ほど雀の雄と雌を見分けることは難しく、どうしてもならDNA鑑定をしないとわからないということをお話ししました。
ですが実は雀といっても、2種類いることをご存知でしょうか。
しかももう1種類の雀は、雄と雌の違いも姿で見分けることができます。
まず人間の近くに暮らす良く見る雀を「雀」とすると、もう1種類の名前は「ニュウナイ雀」と言います。
ニュウナイ雀の雌は近所の雀と良く似てはいるのですが、個体差はあるものの、お腹の部分がベージュか白っぽくなっています。
また雀と決定的に違うところは、頬の黒い斑点。
良く見ると近所にいる雀は頬のところに黒い斑点のような模様があるのに対し、ニュウナイ雀はありません。
またニュウナイ雀の雄に関しては、頭の部分がオレンジ色をしておりお腹分は白系。
つまり近所で見る雀とは、明らかに風貌が異なります。
これらのニュウナイ雀は非常に珍しく、新潟県などでみかけることがあるといいます。
名前の違いについては諸説あるものの、黒い斑点を見た日人が「班(にふ)がない雀」というところから付けたという説がああります。
生息地の違いについては、近所にいる雀の方が生息数が増えてしまい、ニュウナイ雀民家から追い出されてしまったという話も。
もしも雀かな?と思っても、頬のところに斑点がなかったり、また頭がオレンジだった場合は、ニュウナイ雀である可能性が高いかもしれませんね。
まとめ
こちらでは雀についての生態や特徴、さらには種類の見分け方などについてまでまとめてきました。
身近にいる鳥とはいえ、調べて見ると知らないことばかりですよね。
見た目の可愛さにももちろんですが、次に雀を観察する時にはぜひ、特徴を探しながら見て下さい。
雀の知られざる魅力に感動さえ覚える方もいることでしょう。
古来の日本で人間と共に暮らしてきた雀ではありますが、いまだに生態の全てが解明されていないのも事実。
だからこそ、自分の目でしっかりと雀の行動を見てみましょう。