春になると切り株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを蘖(ひこばえ)ということはご存知ですか?園芸が趣味の方や樹木を育てている方には馴染み深い言葉かもしれませんが、一般的には知らない人も多いのではないでしょうか。
そんな蘖という言葉は、春の季語としても使われ、多くの俳句でも残っているように、その生命力の強さを感じさせる趣深い言葉としても古くから用いられてきました。
そこで今回は、そんな蘖について意味や季語などと合わせてまとめました。
生えてくると少々手入れが面倒な蘖ですが、その処理の方法に関してもご紹介しますのでぜひ役立ててくださいね。
蘖って一体なに?
みなさんは蘖という言葉をご存知ですか?「ひこばえ」と読むこの単語は、あまり馴染みのある言葉ではないかもしれませんね。
そんな蘖について、ここでは1からまとめてご紹介します。
蘖とは、春から夏にかけて切り株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを指します。
そもそも本来は、孫が生まれるという言葉が省略されて孫生という書き方をしたため、その意味から比喩的に、新しく発生した勢力というような言葉としての意味もあると言われています。
蘖は、眠っていた休眠芽が起き出したものであり、養分や水分の吸収力が豊富で成長する速度が速いことが特徴としてあげられます。
そのため、蘖をそのままに放置しておくと、主幹の樹勢が衰退し、枯れてしまう場合もあります。
そのため、植物の種類にもよりますが、蘖を見つけたときには処理が必要となってきます。
また、蘖が成長して、再び新たな木に成長するということを萌芽更新と呼びます。
樹木が自ら命を蘇生し、再生することから生命力の象徴として、蘖という言葉が用いられることも多いとされています。
蘖のという言葉の意味
みなさんは蘖についてどのくらい知っていますか?園芸の知識について豊富に持っている人や樹木を育てている方は多少蘖のことについてご存知かと思います。
では、そんな蘖の意味についてはどうでしょうか。
ここでは、あまり知られていない蘖の意味についてまとめました。
そもそも蘖とは、春から夏にかけて切り株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを指します。
蘖は、養分や水分の吸収力が高く、生長するスピードが速いため、蘖をそのままの状態で放っておくと、主幹が衰退し、場合によっては枯れてしまうこともあります。
また、蘖が生長して、新たな木になることを萌芽更新とも呼びますが、このように樹木が自ら命を蘇生し、再生を繰り返ことから「生命力の象徴」としての意味合いも蘖という言葉の中には込められています。
もともと、蘖という言葉の中には、孫が生まれるという言葉が省略されて孫生となったという由来もあり、そこから比喩的に、新しく発生した勢力というような言葉の意味としても用いられているといいます。
このように、「生命力」や「新しい派生の勢力」という意味のある蘖という言葉ですが、確かにその育ち方や特徴をよく表した言葉だと言えますね。
みなさんも言葉の意味を知って、正しい使い方をマスターしましょうね。
蘖の処理ってどうするの?
植物を育てていると、蘖に遭遇する機会もあるかもしれませんね。
春から夏にかけて切り株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを蘖と呼びますが、みんなさんはこの蘖はどう処理していますか?
蘖をそのままにしておくと、養分や水分の吸収力が豊富で成長する速度が速いため、主幹の樹勢が衰退し、最悪枯れてしまう場合もあります。
そのため、しっかりと正しい知識をつけて蘖を処理することが大切です。
ここでは、そんな蘖の処理の方法についてまとめてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
蘖を発見した場合には、そのまま放置しておくと主幹が枯れてしますため、早めにその木をどうするのかということについて考えなくてはいけません。
具体的な選択肢としては、「主幹を残す」や「木を若返らせる」「主幹を現状の大きさで残したい」といったものです。
まず、主幹を残す場合には蘖を根元から剪定する必要があります。
木を若返らせたい場合は、蘖の中でどれか1つ残すものを決めて、相応に大きくなってから主幹を剪定するようにしましょう。
このとき、蘖が育っていないのに主幹を剪定してしまうと、蘖が思いの外生長しない場合もありますので、樹種や土、日当たりといった環境をみて判断するようにしましょう。
また、主幹をこれ以上大きくさせたくないときには、蘖を成長させるといいですね。
ただし、ラズベリーなどの植物に関しては、新しい枝にしか花が咲かず、果実が実らないという特質を持っているため、主幹にかかわらず蘖を残さなくてはいけません。
また、ラズベリーは果実を収穫すると数年で枯れてしまうという特徴を持っているため、剪定の時期も冬にするといった工夫が必要です。
このように、樹木の種類によっても蘖の処理の方法は異なりますので注意するようにしましょう。
みなさんのお庭の樹木の特質や、木に対する要望に合った蘖の処理方法を剪定できると理想ですね。
蘖ってなんの季語?
そもそも蘖というのは、春から夏にかけて株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを指す言葉です。
しかし蘖という言葉には、季語としても用いられているということをみなさんはご存知ですか?季語とは、俳句や連歌などの中で、春夏秋冬といった季節感を演出するために使われる言葉のことです。
そのように、蘖という言葉は俳句や連歌の中でも度々登場する趣深い言葉でもありました。では、蘖という言葉は、一体どの季節の言葉なのでしょうか。
蘖という言葉は、春の植物であるため、季節は春に分類されます。
詳しくいうと、「晩春」という季節とされており、4月を表す季語ということができます。
季語の関連として拡張された意味としての子季語は「ひこばゆ」といいます。
蘖という季語が使われた俳句を調べてみると、稲畑汀子の「蘖のつややかな葉に力あり」という俳句や、原月舟の「大いなる蘖に日の当りけり」という俳句など、実際にも春の麗らかな様子とその生命力の強さのようなものを感じられる俳句が多いといえます。
蘖が出てくるための条件とは?
株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを指す蘖というものは、種類によっても剪定の方法や処理は異なり、生えてくると少々面倒なものでもあるといえるでしょう。
しかし、樹木の萌芽更新をしようと思うと、枯れるリスクを回避するためにも、蘖が出ている方がスムーズに事が進むということもありますよね。そこで、ここでは蘖が出てくるための条件についてご紹介します。
そもそも、樹木には蘖の出方によって4種類に分類する事ができます。その中の1つが蘖を積極的に作ろうとする樹木です。例としていくつか挙げると、マテバシイやカツラ、イヌブナなどといった種は蘖を頻繁に出して幹の更新を活発に行います。
そのため、主幹が腐朽菌などに侵されたとしても、蘖を上手に用いることで個体全体が枯れてしまうという場合はないとされています。
また、伐採の前後で蘖の生え方が異なる種もあります。
イチョウやサクラ、ポプラなどの高木は伐採後に蘖が出てくる種として知られており、反対にアカマツやスギ、カラマツ、ヒノキなどの針葉樹は伐採後蘖が出てこなくなってしまう種として知られています。
さらに、樹木が若いうちなら蘖が出てくる種というのも存在します。
これは、コナラなどの落葉広葉樹にいえることで、幹が細いときには蘖が出てくるという樹木です。
このようにまとめてみると、蘖は針葉樹と老木ではあまり期待できないということですね。ぜひ参考にしてみてくださいね。
まとめ
春から夏頃になると切り株や伐った木の根元、または地中などから生えてくる若芽のことを蘖(ひこばえ)と呼びます。
園芸が趣味の方や樹木を育てている方などには馴染み深い言葉かもしれませんが、一般的にはまだまだ知らない人も多いかと思います。
そんな蘖という言葉は、春の季語としても度々使われ、多くの俳句でも残っているように、その生命力の強さを感じさせる趣深い言葉としても古くから用いられてきました。
そこで今回は、そんな蘖について意味や季語などとともにご紹介しました。
生えてくると少々手入れが面倒な蘖ですが、その処理の方法に関しても合わせてまとめましたので参考にしてみてくださいね。
この文章を読んで、それぞれのお庭やご要望に沿った剪定の仕方が見つかれば幸いです。