桜海老と聞くと、乾燥したもので、料理に混ざっているという印象が強いかもしれません。
実は桜海老は新鮮なものも乾燥しているものもあり、美味しさが知られている食材です。
それなのに、新鮮な桜海老はいつでもどこでも食べられるわけではありません。
日本は海の幸が通年通して美味しいことでも有名ですが、桜海老は様々な手法が編み出される中で場所や漁の制限などが厳しい海老であることをご存知でしょうか?
新鮮な桜海老を食べたい場合はいつが旬なのか?、またどこなら食べられるのか?などつについてご紹介していきましょう。
桜海老の旬の時期は1年で2回しかない!
桜海老は1年中新鮮なものを食べる事ができるわけではなく、春と秋の2回だけしか漁を許されていません。
まず春は3月末から6月上旬、秋は10月の終わりから12月末です。
これだけ見ると、1年の半分は桜海老の漁ができるのでは?と思われるかしれませんが、実際には40日ほどしか漁をすることができません。
しかも、実は桜海老はどこでも獲れるわけではないのです。
日本の桜海老はその収穫量の100%、つまり全部は静岡県の駿河湾のものです。
実際には桜海老は駿河湾以外に東京湾や相模湾にも生息していますが、漁業対象として漁が許されているのは駿河湾のみ。
また瀬戸内海や有明海でも同じような海老が捕れるのですが、同じ桜海老の種類ではあるものの、こちらは別物となります。
これらの表記は販売時、「小エビ」などとされ、桜海老とが似ているものであると区別されることで知られています。
また駿河湾以外の他の場所では、桜海老の漁をすることさえ禁止されています。
ですが駿河湾ならどこでも漁をすることができるかというとそんなこともなく、大井川港と由比港のみ。
この2つの港だけが漁業権を持ち、5月から10月の産卵期は漁を禁止とし、6月11日から9月30日までが漁業機関として許されている時期となっているのです。
これだけを見ても桜海老が貴重な食材であることが、おわかりいただけたことでしょう。
桜海老の名前の由来は色から?
桜海老の名前の由来について考えていきましょう。
もちろん、最初に思いつくのがあの独特で美しいピンク色から、「桜」という色が連想されたのでは?ということではないでしょうか。
実際にはっきりと桜海老という名前が付いた時期や、付けた人物は特定されていないのでわかりません。
ですが桜海老と名がついたのは諸説あります。
まず1つめは、桜海老が3月後半から獲ることができるからです。
春に漁が解禁になるということで、「桜」というイメージから名前を付けたというもの。
また別の説では、天日干しした海老の色見が綺麗な桜色だったから。
他には小さいサイズの桜海老が大量に干されている様が、桜の花びらの様であったからなどとも言われています。
いずれにしろ「桜」という名前が付くことで、日本で愛されている「桜の花」がきっかけになった可能性が高いですね。
ただしっかりと桜海老と認識され意識的に漁を始める前にも、日本ではすでに桜海老と呼ばれていることはわかっています。
日本の歴史的にも、かなり前から駿河湾で桜海老がとれていたのかもしれません。
ただ現在ほどしっかりとした規定や漁の仕方も決まっていないことから、獲れたり獲れなかったりしていたのでしょう。
それがいつからか方法がわかり、静岡県の名物となったのですね。
桜海老は偶然の産物だった!
桜海老が駿河湾で獲れることは、何となく知られていたのでしょう。
ですが現在ほど様々な生物の研究が進められていない時代には、桜海老の産卵時期や漁の方法などはわからないままだったのかもしれません。
実は明治27年、駿河湾の漁師がアジをとりにでかけたのですが、浮きのようなものを積み込み忘れてしまいます。
そこで仕方なく網を海の下に沈めて引き揚げたら、何と大量の桜海老が網にかかっていたのです。
この偶然の発見で駿河湾では桜海老が大量に獲れることがわかったので、これ以降駿河湾では桜海老が名物となることになったのでした。
桜海老は普段500mの水深のところに生息していると言われていますが、夜になると20mから50mほどの水深のところにまで上がってきます。
また桜海老は全長が5cm弱で小さいのが特徴。
そんな小さな体の中に、160個もの発行器官を持ち合わせているというから驚きです。
そう、桜海老は光る生き物なのですね。
桜海老が、「夜の宝石」「海の宝石」などと呼ばれることが多いのも、このためです。
そこまで上がってくると簡単に網にかかりますので、夜に桜海老は漁をすることが通常です。
桜海老は、駿河湾で漁師として働く人々の大事な生活資金となる食材。
そのため1966年にプール制というものを導入し、「資金管理型漁業」として注目を集めています。
プール制というものは駿河湾の桜海老の収穫量を管理するため導入されたものであり、獲れた桜海老の資金は出た船の数の等分で割るというものです。
これであれば収穫量により賃金に差がでることもありませんし、桜海老を獲りすぎでしまい海の中の生息している数がなくなってしまうこともありません。
それだけ桜海老が、この地域の生活を支えている大事な特産品であることがわかりますね。
小さいのに栄養が豊富!?桜海老はどの方法で食べるのが良いの?
桜海老は一体どのように食べるのが良いのかと、悩んでしまいますよね。
桜海老の食べ方には以下のようなものがあります。
- 天日干し、乾燥桜海老
- 生桜海老
- 釜上げ桜海老
- 煮干し桜海老
などがあります。
海鮮食材に関わらず、基本的に天日干し、または乾燥した食材は栄養素が豊富であるとされています。
桜海老もまた天日干し、または乾燥したものの方が、よりカルシウムやタウリン、グリシンなどが多くなります。
中でもこのグリシンという栄養素に関しては、注目すべきですね。
なぜかというと海老の旨味がこのグリシンのおかげだといっても良く、あまり上手ではない冷凍保存などをしてしまいグリシンが少なくなると美味しさを感じにくくなります。
グリシンは高血圧、血中コレステロールなどの低下にも効果があるとされており、肌のアンチエイジングにも期待できます。
つまり健康だけではなく、あんな小さな生物の中には美容の悩みまで解決できてしまうかもしれない効果があるということですね。
天日干しの桜海老はそのまま食べることができるので、問題ありません。
ですが生の桜海老を食べる場合は、やはりその場で食べる以外であれば冷凍をするしかありません。
ただグリシンは水に流れてしまうので、自然解凍は時間もかかりますしグリシンが逃げてしまいます。
そのため袋やジップ袋の冷凍状態のまま、流水で短時間で解凍するなどをすると美味しく食べることができるでしょう。
桜海老のレシピとは?
桜海老は乾燥しているものが手に入りやすいため、どうしてもかき揚げなどを作りがちですよね。
ですが実はレシピアレンジがたくさんできるのも魅力です。
まずおすすめなのが桜海老のもちピザでしょう。
大き目のお餅の上にチーズと桜海老、さらにネギなどをのせてしょうゆベースで味付けをして焼きます。
何とも柔らかく優しい味付けのピザ風餅を楽しむとができるのです。
他にはチャーハンに桜海老を混ぜた、桜海老チャーハン。
さらにそこにカレー粉を混ぜた桜海老のドライチャーハンなども人気があります。
桜海老を使ったレシピは特別桜海老をメインにするということではなく、いつもの料理に桜海老をプラスしてアレンジするのが良いですね。
例えばお好み焼きなども良いですし、焼きそばやラーメンなどにいれてもとても個性が出ますよね。
また生のものなどを食べたい時はどんぶりとして、わさびなどを和えたらつまみにしても良いでしょう。
桜海老の歯ごたえと美しい見た目は、食卓の彩を華やかにしますし是非食材の1つとして使いたいところですよね。
まとめ
こちらでは桜海老の漁の方法や、偶然の産物であったなど桜海老の知られざる知識についてご紹介してきました。
桜海老はどこでも食べる事ができると思っていた方もいることでしょう。
ですが実は駿河湾だけでしか食べられず、漁の時期や方法も決められているので驚きですね。
今までもし興味の無かった桜海老だったとしても、料理に加えてアレンジをしてみるのはいかがでしょうか。
少し加えるだけで彩も味もとても良くなるので、ぜひおすすめです。