1年は12ヶ月ありますが、現代において多くの人が1〜12月という名称で呼んでいます。
1月、2月といった呼び方がされるようになったのは、実はそんなに昔のことでもないのです。
今の呼び方の前は、卯月(うづき)や皐月(さつき)などといった和風月名で呼んでいました。卯月はいつのことを指すのか、どんな意味があって付けられたのかなど気になることがたくさんありますよね。
卯月におすすめな食べ物や行事は、どんなことがあるのでしょうか。
実は卯月にも別名が何種類か存在し、季節をより象徴するような名前となっているのです。
今回は卯月の意味や語源に加えておすすめの食べ物や行事、別名は何というのか詳しくご紹介していきます。
卯月にはどんな意味があるの?
卯月(うづき)は何月のことなのか、どんな意味があるのか語源なども知っておきたいですよね。
知ると実は奥が深い和風月名、意味を詳しく見ていきましょう。
何月のこと?
卯月は何月のこと?と急に言われると、つい言葉に詰まってしまいます。
卯月は旧暦の4月のことを指していますが、現在では旧暦も新暦も関係なく4月を卯月とする考え方が主流です。
和風月名の中で最も有名なのは12月の師走で、ニュースや天気予報などでも聞く機会が多いと思います。
卯月は日常生活の中で聞く機会は多い方ではありませんが、和風月名には1ヶ月ごとの季節に関連した意味を持つのです。
4月はどのような季節かということを、卯月の意味を知ることで把握できます。
数字で数え始めたのはいつ?
現代では4月のことを卯月という言葉を日常的に使っている人は少ないですが、実は1〜12月といった呼び方がされ始めたのは明治時代に入ってからなのです。
意外と今の呼び方になった時期は新しいというのが意外ですが、明治時代に入るまでは和風月名が使われていました。
そもそもどうして数字で月を表すようになったのかというと、暦が旧暦から新暦へと変化したためです。
数字で読んでは見たものの季節感がなくつまらないという意見もあったため、和風月名が現代においても息づいているのですね。
語源の諸説
卯月という言葉の語源についてですが、諸説あると言われていています。
卯月は元々旧暦の4月にあたる時期でしたが、実は新暦とは季節のズレがあるため実際には5〜6月でした。
5〜6月といえば、卯の花が開花する時期だったのです。
「卯の花か咲く時期に来る1ヶ月」というのが正式名称でしたが、略すことで「卯月」と名付けられました。
諸説ある中では、一番信憑性が高いと言えるでしょう。
4月といえば農業をはじめとして、様々な事のスタート時期です。
別名として「種月」や「苗植月」があり、種をまいたり苗を植え付ける時期をしっかり感じることができます。
次に卯月は「産」「初」などに付く「う」にちなんで、うづきという読み方になったのだとわいう説があります。
面白い説なのが十二支の干支の4番目である「卯」を、同じく4番目の月に卯月としてあてがったというものです。しっくりくる説ではありますが、卯月以外の和風月名に干支と関係がある名前がないんですね。
卯月だけ干支の卯を充てがうのはバランスがおかしいですし、干支のうさぎ説は立ち消えそうです。
卯月におすすめの食べ物とは?
卯月といえば4月、長かった冬の寒さがほぼ去って暖かくなる春の季節ですよね。4月ごろに旬を迎える、おすすめの食べ物には何があるのでしょうか。
旬の食べ物を食べると、普段よりも栄養価が高いなど嬉しいことがたくさんあります。野菜と果物、海産物に分けてみたので詳しくみていきましょう。
野菜
卯月に食べたい野菜といえば、玉ねぎやキャベツではないでしょうか。
普通の玉ねぎではなく「新玉ねぎ」として春の間だけ市場に出回り、柔らかくて甘さが強い味わいを楽しむことができます。
卯月の時期のキャベツは「春キャベツ」として出回り、他の時期よりも歯が柔らかくて甘みが強いのが特徴です。
香味野菜の三つ葉は卯月が旬となりますが、実は他の時期に比べて栄養価が倍増するのだそうです。三つ葉を食べるなら、卯月の時期がチャンスですね。
卯月は野菜が特に美味しさを増す時期でもあるので、寒さに耐えて甘みが一層増した食べ物を楽しみましょう。
果物
卯月はちょうどみかんの時期が終わったくらいですが、今度は夏ミカンやデコポン、グレープフルーツなどの柑橘系が旬を迎えます。
卯月が旬の柑橘類は冬が旬のものに比べて酸味が強い種類が多いのが特徴ですが、香りが強いので春らしいさわやかな気分にさせてくれます。
卯月は冬に多く食べられるイチゴの旬が3月いっぱいで終わるなど、季節の果物の入れ替わりの時期です。
海産物
卯月の海で取れる食べ物で有名なのが、身近な二枚貝のあさりです。
あさりは海温が上昇すると、だんだんと元気が無くなってきて鮮度が落ちてしまいます。目安としてはゴールデンウィークが始まる前、卯月のうちに採取しておくのが良いのです。
潮干狩りをしようと考えている人は、卯月の中の大潮の日を狙いましょう。
大型連休でたくさんの人たちに取り尽くされていることもなく、快適に楽しめます。
卯月にぜひおこないたい事とは?
卯月の季節におこなう事として、多くの人が一番に思いつくのがお花見ではないでしょうか。
卯月は月初のうちは西から、だんだんと後半にいくごとに東北や北海道に桜前線が上昇してきます。
現代でお花見といえば、まず全員が「桜」と答えるでしょう。
お花見の起源とも言われている奈良時代の人々は、中国王朝をお手本として梅の花を愛でていました。
梅の花を愛でながら歌を詠むことを「花宴」と読んでいましたが、お花見の前身ともいえるでしょう。
現代のように桜が見られるようになったのは平安時代からで、見る対象としてなら奈良時代から庶民の間でも桜の花見はおこなわれていました。
桜が咲く卯月の時期は畑仕事のスタートということで、庶民は桜の木の下にお供えをしていたそうです。
桜という卯月にしか見られない貴重な花は、昔から現在に至るまで多くの人に愛されているのですね。
卯月の代表的な行事とは?
人生のイベントの中でも卯月におこなわれる大切な事の一つに、入園や入学があります。
日本では学校から就職まで、新年度のスタートは4月です。
卯月には入園や入学といった、人生の中でもめでたい行事が多くあります。
実は世界の7割では新学期や年度初めが卯月ではなく秋からなのです。
新年度にちなんだ行事を家族でお祝いするのが、一番怪しませない方法です。
卯月には別名がある
4月が卯月というのはなんとなく知っていても、別名があることを知っている人はかなりすごいですよね。
主に季節にちなんだネーミングの付け方なので、知っておくと挨拶をするときや手紙を送るときでしょう。
具体的にどんな別名なのか、順番にみていきましょう。
木葉採月
読み方は「このはとりづき」といい、名前の木葉というのは蚕の大好物である桑の葉のことです。
養蚕は絹を取るために必要なことで、ちょうど卯月の時期に蚕のエサとなる桑の葉を採ってくるんですね。
養蚕のために桑の葉を取る季節だから、木葉採月なのです。
夏初月
読み方は「なつはづき」といい、なぜ卯月は春なのに名前に「夏」とあるのかというと…。
元々旧暦の4月のことを卯月と言っていたため、新暦になおすと5〜6月を指してしまうのです。
5〜6月といえば、紛れもなく初夏と言えるでしょう。
夏の始まりという意味の言葉に、ぴったりな名前ではないでしょうか。
孟夏
読み方を「もうか」といい、夏初月とほぼ同じ意味を持っています。
「孟」は何かのはじまりという意味を持つ言葉なので、夏の始まりである月ということですね。
鳥待月
読み方は「とりまちづき」といいます。
寒い冬が明けて暖かくなってきたため、渡り鳥たちがやってくるという意味があります。
乏月
読み方は「ぼうげつ」といい、なぜ「乏」が付いているのかというと、卯月は季節の変わり目で体調を崩しやすく、食欲がなくなりやすいからなのです。
栄養状態が乏しくなりやすい月だということなので、普段よりもたくさん栄養をとりたいですね。
まとめ
卯月の意味や語源に加えておすすめの食べ物や行事、別名は何というのか詳しくご紹介してきました。卯月は旧暦の4月のことで、現在では新暦の4月のことを呼ぶことも多くなっています。
語源は複数の説がありますが、卯の花が咲く頃というのが理由として一番しっくりきているでしょう。
卯月の食べ物は新玉ねぎなどの甘みが強い野菜や酸味の強い柑橘系の果物、あさりなど旬の短い海産物なので、また明日食べるとよいですね。
卯月の別名もたくさんあって覚えられませんが、意味を知ることで把握しやすくなります。
ぜひ数字バージョンだけでなく、色々な思いを馳せながら勉強していきたいですね。