どじょうは「泥鰌」と書きますが、この漢字の由来はどこからきたのでしょうか?また、英語で「どじょう」は何というのでしょうか?さらに「柳の下の泥鰌」や「二匹目の泥鰌」など、ことわざについても詳しく解説。あわせて、どじょうの飼育方法やどじょうすくいの由来などにも触れ、「泥鰌」について知りたい!と思うことをまとめています。
泥鰌(どじょう)とは?
泥鰌(どじょう)は、コイ目ドジョウ科の淡水魚です。日本では水田や湿地に生息しているのがよく見られます。どじょうは昔から、大変栄養が高いものとして知られ、食用としても重宝されてきました。その栄養価はうなぎとほぼ同じだといいますから相当ですよね。現在では食用として捕獲されることは少なくなりましたが、東南アジアなどでは食用として養殖もさかんに行われているようです。
江戸時代には日常の料理として食べられていました。現在、純日本産のどじょうは今では大変貴重で、超高級食材の一つです。スーパーなどで売られているものはほとんどが中国などからの養殖どじょうの輸入ものとなっています。
どじょうは雑食で、主にユスリカを主食としています。呼吸は基本的にはえら呼吸ですがたまに水面に顔をだし、腸呼吸もおこないます。この呼吸法はどじょうとナマズ以外にはなかなか見られない行動ですので、飼育するなどして身近にどじょうを観察する機会があるようでしたらぜひ注目してみてください。
また、他の魚の食べ残しや、苔なども食べてくれるので水槽を綺麗にしてくれるお掃除やさんとも言われています。
泥鰌の漢字の由来は?英語でなんという?
泥鰌(どじょう)は「泥の魚」という意味の「ドロツヲ」が「ドヂョウ」になった説、あるいは同じく「泥の魚」から「ドテウオ」ときて「ドヂャウ」になったという説があります。江戸時代には「どぜう」という表記がなされており、この表記は現在でもお店などで目にすることも多いので馴染みがありますよね。
ところで「どじょう」は漢字で「泥鰌」と書きますが、「鰌」とだけ、書く場合もあります。「魚」へんに「酋」と書きますが、「酋」はみみずを意味するのだそうです。つまり、みみずのように、水の中の泥の下に住む生き物・魚、というのが由来なのでしょう。
また、「酋」の字がもともとはお酒の徳利から酒気が発散する様子を表したものである、ことから、どじょうが水の中を上がったり下がったりする動きと酔っ払いの姿を重ねてこの字をあてた、ともされています。なかなか面白いですね。また、鰌、に泥という漢字をあてた「泥鰌」という字も、泥の中に住む魚、というのが由来だと思われます。
さて、どじょうは英語では何というのでしょうか。どじょうは英語で「loach」や「weatherfish」などと言い、アメリカでは「weatherfish」のほうをよく使うそうです。そもそもアメリカではどじょうはどうやらあまりポピュラーな生き物ではないようで、どちらもあまり使わないそうですが、なぜ「天気魚」という意味の名前がついたのでしょうか。
これは欧州圏ではどじょうは気圧の変化を感じ取り、泳ぎが騒がしくなると言われているようです。ナマズが地震を察知する、というのは日本では言われていますが、どじょうが天気の変化を察知する、というのはあまり聞かないですよね。なかなか興味深いことだと思います。
「泥鰌の地団駄」など「どじょう」を使ったことわざの解説
それでは「泥鰌」という言葉をつかったことわざについて、ご紹介、解説します。
・泥鰌の地団駄(どじょうのじだんだ)
弱いものが身の程をわきまえず、強者に立ち向かうこと、あるいは無謀な挑戦をすること、を言います。どじょうが地団駄を踏む、あの小さなあしびれで地団駄を踏んだところでどうにもならない、地団駄にすらならない、という例えからこのような言葉が生まれました。
似たような意味のことわざには「ごまめの歯軋り」、「蟷螂(とうろう)の斧」などがあります。
・柳の下の泥鰌(やなぎのしたのどじょう)
一度柳の下でどじょうを捕まえたとしても、いつもそこにどじょうがいるとは限らない、という由来から、「一度うまくいったからといって次もそうだとは限らない」という意味のことわざです。
他に「二匹目のどじょう」という言葉があります。これは「柳の下の泥鰌」から派生した言葉で、「柳の下の二匹目のどじょうを狙う」の略ですが、あわよくば成功した人にあやかろうとすることや、成功した物を模倣したものをつくる、ことを意味します。
ちなみに英語で、これと似たような意味を持つことわざに「A fox is not taken twice in the same snare.」というのがあります。これは「狐は同じ罠には二度とかからない」というような意味になります。なるほど、と思いますよね。
どじょうすくいの由来や意味は?
コミカルな踊りにおもしろいメイク、宴会などの出し物でのおなじみとなっている「どじょうすくい」、実はこの原型は安来節にあるのです。
どじょうすくいが誕生したのは、時代は江戸時代も終わりのころで、川でつったどじょうを肴に酒盛りをはじめた酔っ払いたちが安来節にあわせて、どじょうを掬う仕草でコミカルに踊り出したのが始まりなのだとか。最初は即興性の域を出ませんでしたが、時代とともにリズミカルに形になっていき、現在ではどじょうすくい、が単独で有名になるくらいにはポピュラーになり、親しまれています。
この、どじょうすくいのどじょうは、本来は「土壌」をさし、土壌をすくって砂鉄をとる作業をあらわしているのだそうで、それを泥鰌をすくう際に模倣したもの、と言われています。泥鰌と土壌をかけているのですね。それにしても、元々は伝統的な踊りを、酔っぱらいたちがコミカルに踊りだしたことが発端だったとはなかなかに興味深いです。
どじょうの飼育法
さて、どじょうを飼ってみたい、と思われる方も多いかもしれません。こちらで簡単に、どじょうの飼育方法についてまとめてみます。
どじょうを飼育するのはさほど難しいことではないようです。というのも、どじょうは数は少なくなったとはいえ日本の自然に生きているものであり、冬を越すこともできるので、初心者でも飼うことができる生物です。
どじょうの入手はできれば野生のものか、ペットショップで購入するのがおすすめです。スーパーなどの鮮魚コーナーに生きたどじょうがいる場合もありますが、状態としてはあまり良いものとはいえないようです。
水槽はなるべく大きめのものを用意しましょう。個体によっては20センチくらいにまで成長するものもあります。水槽の底には砂や泥を敷いてください。泥に限らず、砂でも大丈夫です。泥ですと水槽が汚れやすいというデメリットもあるので、観賞用にするなら砂のほうがおすすめです。
どじょうのエサですが、他の魚との混泳にするのであれば、他の魚の食べ残しなどを食べるため、特にどじょうのためだけのエサを買う必要はありません。ただ、どじょうは浮いているエサは食べないので、沈むエサのほうが良いです。また、混泳であってもどじょうが痩せてきたなと思う場合には、どじょう用のエサを与えてあげると良いでしょう。どじょうは基本的には雑食なため、豆腐や麩などでも大丈夫です。
どじょう鍋などどじょう料理のおすすめや有名店
どじょう、といえばやはり「どじょう鍋」など、食材としてのどじょうも連想します。どじょうは江戸時代は江戸のファストフードとも呼ばれ、江戸で盛んに食べられていました。その名残からなのか、東京にはどじょう料理の名店と呼ばれているお店が数多くあります。
特に検索でトップに上がるのが浅草でしょうか。浅草近辺にはどじょう料理(どぜう料理)店が数多くあります。中でも有名店は「駒形どぜう」。お店の歴史はなんと200年以上という老舗で、店内の雰囲気も江戸情緒感じさせるもので、観光客にも大変人気のお店です。名物どぜう鍋はネギをたっぷり載せて食べるのがおすすめ。どじょう料理に興味がありましたら足を運んでみてはいかがでしょうか。
なお、ご自宅でもどじょう料理を作ることは難しくはありません。どじょう鍋の他、どじょうの甘露煮やどじょう汁、どじょうの唐揚げなどがご家庭でも作れるものとして親しまれています。どじょうは上記しましたように栄養満点ですから、夏バテ対策などにも良いですね。
まとめ
今回は「泥鰌(どじょう)」について、漢字の由来や英語での言い方、「泥鰌」を使ったことわざの解説やどじょうの飼い方、そしてどじょう料理の名店のご紹介まで、どじょうづくしでまとめました。泥鰌、という漢字も、一見難しいですが、由来を理解すると見なくても書けそうですね。生き物としてのどじょう、そして料理でも見かけることのあるどじょうですが、こんな生物なのだということが少しでも伝われば、と思います。