一月一日は、初詣したり、家族とお節料理を囲んで団欒したりする日です。この日は、掃除や入浴を避けた方がいいと言われています。歳神様と「一年の福」に、深い関係があるからです。
今回の記事では、一月一日に掃除や入浴を避けた方がいい理由を詳しく紹介します。
一月一日に掃除しない方がいい理由とは
一月一日に掃除しない方がいいと言われている理由は、年初めに歳神様を迎えるからです。
歳神様は、「一年の福」を持ってやって来ます。年末に大掃除したり、玄関に門松を飾ったり、鏡餅を設置したりする理由は、すべて歳神様を招くためです。
一月一日に掃除すると、歳神様が持ってきてくれた「一年の福」までも取りのぞいてしまうと考えられています。それなので、一月一日に掃除することを避けているわけです。
歳神様って、どんな神様?
歳神様と一口に言っても、さまざまな種の神様を意味します。
たとえば、五穀豊穣をもたらす神の場合もあれば、山から下りてくる異界の来訪神の場合もあります。あなたの家系の先祖霊である場合もあります。
ともあれ、あなたの家に福を持ってやって来る神様に違いありません。神道の発想になじみを感じないようでしたら、お盆のように、先祖霊が帰って来ると捉えてもいいでしょう。
歳神様は、一月一日にやって来ますが、いつ頃に来るか分かりません。そこで、なるべく家を空けないようにして一日を過ごすことが大切であると考えられています。
なぜ、門松や鏡餅を用意するのか
新年を迎える前に、玄関に門松を飾ったり、家の各所に大小の鏡餅を置いたりします。これには、歳神様を招くための意味がこめられています。
玄関に門松を置く理由は、門松を目印にして、歳神様が迷わずに家にやって来られるようにするためです。また、歳神様の依り代(宿る器)ともなります。
鏡餅は、家の中にいる歳神様にとっての依り代です。鏡餅は、1月11日の鏡開きの日に、雑煮などにして食べます。歳神様の魂を分けていただくためです。
一月一日にやらない方がいい掃除の具体例まとめ
歳神様の存在を踏まえたうえで、あらためて一月一日にやらない方がいい掃除の具体例を紹介します。
掃き掃除
掃き掃除は、歳神様や福までも「掃き出す」と考えられます。今ある福のみならず、歳神様まで追い出してしまうわけですから、好ましくありません。
拭き掃除
水で濡らした雑巾などを使う拭き掃除は、家についた福までも拭き取ってしまうと考えられます。
布団干し
布団を干すこと自体は、福を落とす・流すことを連想させません。
ただし、「せっかく歳神様が家にいるのだから、慌ただしくしないように」との考えから、布団干しも好ましくないとされています。
食器洗い
食器についた泡や汚れを落とす際は、蛇口から水を流します。水を使った家事は、福も洗い流してしまうと考えられています。
日本の正月三が日は、お節料理を食べる際に、使い捨ての祝い箸を用います。これは、食器を洗う手間を無くすための習慣であると言われています。その他にも、女性に家事を休ませるためであったり、火の神・水の神を休ませるためであったりもします。
衣類の洗濯
大量の水を使って衣類を洗う洗濯は、福を「洗い流す」ことを連想させます。加えて、服は福につながります。験担ぎの意味からも、洗濯で服(福)を洗い流さないようにしましょう。
トイレや浴槽の掃除
水を使った掃除という意味では、トイレや浴槽の掃除も好ましくありません。福も洗い流してしまうと考えられるからです。
なお、トイレの使用については、これと言って禁止されていません。気兼ねなく、普段のようにトイレを使いましょう。
入浴
意外かもしれませんが、体の掃除を意味する入浴も推奨されていません。体についた福を洗い流してしまうと考えられるからです。もちろん、シャワーで体を洗い流すことも好ましくありません。
一月一日は仕事が休みですし、自宅で家族と団欒を楽しむことの方が多いので、さほど汗はかかないでしょう。1日くらいなら、入浴しなくても問題ないのではないでしょうか。
どうしても入浴したいようであれば、朝風呂をオススメします。夜に入浴するよりも、流れ落ちる福は少なくなると考えられるからです。
洗顔や手洗い
朝に顔を洗ったり、手を洗ったりすることも好ましくないという考えもあるようです。水を使って体の一部を洗うので、福も流れることが連想されるからでしょう。
ただし、洗顔と手洗いについては、そこまで徹底する必要はありません。歳神様を家に迎えるわけですから、身だしなみを整え、手を清潔にしておいた方が、礼儀にかなっていると言えます。
まとめ
一月一日の掃除が避けられている理由は、歳神様と「一年の福」が深く関係しています。「洗い流すこと」を意味する洗い物仕事は、特に控えた方がいいでしょう。
歳神様の存在を考えると、年末に大掃除する習慣の意味について、より理解が深まるのではないでしょうか。
年末の大掃除は、家の中の余計な物を捨てたり、徹底的に掃除したりすることで、新たな気持ちで新年を迎えるためだけではありません。歳神様に快く家にやって来てもらうための準備でもあります。
より多くの「一年の福」をいたたくためにも、年末の大掃除をきちんと終わらせるようにしましょう。