いつの時代から始まったのか?怖くなるけど聞きたくなる、実在するのかしないのか分からないからこそ、人々の心に恐怖を与えるのが怪談話です。最近では「怪談レストラン」「怪談図書館」「アプデ怪談」などを耳にしますが、一体どんなものなのか?あまりよく知らない人もいるのではないでしょうか。怪談話の歴史と合わせて解説します。
怪談の歴史
怪談とは、死に関する幽霊や妖怪、怪物などや、説明のつかない不思議な現象などの物語を指します。怪談話の歴史は、平安時代に「今昔物語」に収録されたのが始まりと考えられ、明治時代後半には怪談話が人々の中でかなり浸透され、ブームになったと言われます。
平安時代から現代に至るまで語り継がれた怪談話の中には、お菊の亡霊を物語にした「番長皿屋敷」や、夫に惨殺されたお岩がのちに幽霊となって夫への報復をはたす「四谷怪談」などは、歌舞伎の題材としても取り上げられ、広く人々に知られるようになりました。他にも有名な怪談話として「耳なし芳一」「雪女」「ろくろ首」などがあり、昔から現代に渡るまで語り継がれています。
昭和になってからは、テレビ番組などでも実際にあった怖い体験談などが取り上げられ、【「超」怖い話】などの実話怪談集などが出版されました。みんなであつまって一つずつ怪談話を進め、百の怪談話が終わると本物の幽霊が出てくると言われる「百物語」を行う人たちの会もあります。
現代ではすっかり、夏の風物詩といっても過言ではない怪談話ですが、昔の怪談話を現代の生活様式に合わせて語りつぐ、稲川淳二さんの怪談話が人々の幽霊に対する関心を集めております。ほかにも、最近の怪談といえば「怪談レストラン」「怪談図書館」「アプデ 怪談」などがあり怪談話も時代の変化とともに形式を変えているようです。
怪談レストランとは
1996年からつづく童心社の小説シリーズである「怪談レストラン」は、0~12歳位の子ども向けを対象にしたミリオンセラーの児童文学シリーズです。第1話の「幽霊屋敷レストラン」に始まり第50話の「真夜中の学校レストラン」まで50巻あり、現在までに怪談レストランシリーズでは累計700万部数を越した大ヒットの小説シリーズで、2009年10月から2010年6月まで全23回、テレビ朝日系列で放送されました。
アニメの内容は、主人公である小学6年生の大空あこのクラスに、謎の美少年甲本ショウが転校してくることから話が始まります。世界中の怖い話を知っているショウが街はずれの廃虚である「怪談レストラン」に誘われたあこが、次第に周りで不思議な出来事を体験することになるというストーリー。各レストランは「前菜」「メインディッシュ」「デザート」から成り立っているあこたちが百物語の形式で不思議な体験を話し、最後にろうそくを消して終了になるのが恒例です。
2010年には怪談レストランのDVD(全3巻)が発売され、さらに映画「劇場版 怪談レストラン」も公開され、ぴあの初日満足度ランキングでも第3位と評価も高く、ついにはゲームソフトまで発売されるほどでした。
各話ごとに登場するお化けがいて、お化けのなかでも有名なのが「お化けギャルソン」。妖怪レストランの内容は知らなくても、お化けのギャルソンの絵を見たことがある人は意外と多いことでしょう。今では、平成の怪談といえば「怪談レストラン」の名前が挙がるほど有名な児童文学です。
ただ怖いだけの怪談話とは違い、親近感をもてるアニメキャラクターを使った形百物語形式のため、怖いもの見たさの子どもたちからも、怖い話ではあるけれど演出をするアニメキャラクターで怖さも和らぐといった点から、人気がでたといえます。
怪談図書館とは
「怪談図書館」とは、説明のつかない不思議な体験、怖い体験などを集めたホラーコンテンツで、主宰は桜井館長という名のホラーコンテンツ・プロデューサーです。桜井館長は、25年を超える年月をかけて取材を重ね動画制作・コンテンツ制作などを行っている人物で、いろいろな怪談師と組み、DVDを出したり配信を行ったりとさまざまな方法で怪談話を配信しています。
桜井館長の届ける怪談話は、見る人や聞く人に大げさに語ることはないのが特徴で、見たまま聞いたままの怪談話をありのまま届けてくれるリアリティがあります。嘘偽りなく取材に基づいて語られた実体験を、ありのまま実話として集めて本や動画などで人々に伝える怪談話が「怪談図書館」なのです。
「怪談図書館」では、偽りのない本当に体験した恐怖体験ばかりを集めているため、聞く人や見る人にとっては物足りなさを感じる人もいるかもしれません。「怪談図書館」で配信される話は、怖さを感じるために作られた怪談話ではなく、話が解決しない状態で終わりモヤモヤした気持ちになることも多い実体験話で、本物の不可思議な体験話、恐怖体験しか聞きたくない人におすすめです。
「怪談図書館」は本やDVDで発売されておりますが、他にもライブ配信を行っていたり、YouTubeにも「週刊怖い図書館」として数々の怪談話を配信するなどさまざまなコンテンツで実体験を配信されています。
アプデ怪談とは?
昔ながらの怪談話とは少し違うありきたりではない、アップデートされた新感覚の現代社会におきた不思議な体験や、怖い体験を話す「アプデ怪談」があります。嵐の二宮和也さんの番組「ニノさん」で2018年に放送された「平成アプデ怪談」では、霊感をもつミュージシャンや、僧侶、お笑い芸人などが自分の体験した、思わず後ろが気になるような怖い体験談を話す企画でした。
「アプデ怪談」で話される内容は少し変わった話も多く、たとえばエレベーターを使って異空間へのつながる方法として語られた内容は、10階以上あるエレベーターの場所へ一人で行き、エレべーターのボタンを特定の順番(4階2階6階2階10階5階)で各階ボタンを押していき女性が乗ってきたら1階を押す、この作業をすることでエレベーターが10階へとまり、エレベーターが開くとそこは異空間へとつながる話でした。エレベーターの異空間へつながる方法を試した人の体験談などもあり、今までの怪談話とは少し違った、オカルトなども思わせる現代版の恐怖体験を語るという新鮮さが特徴です。
他にも、都市伝説を思わせる体験談やほっこりとする怪談、SNSをめぐる怪談などと、今までの怪談とは少し感覚の違う体験談が多く語られた点でも、まさに現代的、新感覚のアップデート怪談といえます。
怪談といえば学校
怪談話として多くあげられるのが学校で、実際に学校の怪談を耳にしたことのある人も多いことでしょう。音楽室・理科室・美術室・トイレ・階段・校庭・プール・廊下など、学校のありとあらゆる空間において語られる怪談はとても多く、今でも子どもたちの怪談・都市伝説として語られるほどです。
特に有名なのが日本の都市伝説、怪談である「トイレの花子さん」や、誰もいない音楽室からピアノを弾いている音が聞こえてくる「ピアノの霊」、夜中になると音楽室の掛けてあるベートーベンやバッハなどの肖像画の目が動くなどの怪談があります。
学校にある教室全てに怪談話がつきもので、学校の校庭では無数の手がでてきて足をつかまれる、校舎の階段は普段は12段までしかない怪談が夜中には13段に増え13段目の足を踏み入れると冥界へとつながる、廊下を歩いてうるとテケテケが追いかけてくるなどといった話があります。
学校だけにとどまらず、通学途中に出会う、「あたしってきれい?」と尋ねてくる「口裂け女」などの話も有名で、学校に通う子どもたちに語り継がれる学校にまつわる怪談話は数多く存在していることから、学校の怪談をテレビアニメとして放送したり、1995年から1999年までの4年間においてはホラー映画「学校の怪談」として放映されました。
学校の怪談にまつわる本やテレビドラマ、テレビアニメ、映画の他にも学校での怪談話を元に作られたゲームソフトも開発され世の多くの人々にも浸透し、現在でも子どもたちの間では語り継がれているのが学校の怪談です。
まとめ
人の考える範囲では説明することのできない不思議な話、怖さを感じる話や体験などである怪談話は、平安時代に始まった四谷怪談から現代に至るまで、さまざまな形で語り継がれています。現代では、百物語のような「怪談レストラン」やコンテンツとして動画やライブなどいろいろな形で配信される「怪談図書館」、昔ながらの怪談話とはちょっと違った新感覚の恐怖体験話の「アプデ怪談」など、どれも基本は同じ人の恐怖体験に基づいています。怪談はこれから先も、形を変えながら続いていく夏の風物詩といえます。