夏が過ぎて秋の気配を感じ始めると、お店のディスプレイが様変わりしていることがありませんか?あったかそうな洋服や靴、日用雑貨などを手にすると、もう冬の準備が始まるのか…と心がじんわりあったかくなりますよね。冬を迎えるための準備のことを冬支度と言い、毎年秋になると、お店の店頭にもさまざまなグッズが並び始めます。
住んでいる地域によっては、「まだこんなに暑いのにもう冬の準備?」と思うかも知れませんが、実は冬支度は秋ならではの生活の風景です。では、冬支度とは具体的にどのようなことをするのでしょうか?今回は、冬支度の豆知識からお子さんと一緒に楽しめる冬支度まで、さまざまな情報をまじえてご紹介していきます。
冬支度とは?
冬支度とは、厳しい寒さを迎える冬を暖かく迎えるため、さまざまな準備を行うことを言います。現代のように衣食住が整っていなかった時代、人びとは厳しい寒さをしのぐため、生活に関わるありとあらゆるものを準備していました。実りの秋で収穫した食べ物を保存食にしたり、雪で潰されないよう家屋の手入れを行うなど、冬に命を落とさないように準備をしたのです。
昔の人びとほどではありませんが、現代でも冬に備えてさまざまな冬支度の姿を見ることができます。例えば、秋に収穫した渋柿を干して干し柿にしたり、秋に干した大根で漬物を作り長期保存できるようにするなど、食に関する冬支度は今でも続いている日本の伝統です。庭木が雪で折れたり枯れたりしないよう、木を組んで支えを作り、幹の部分にゴザを巻きつける光景も目にすることができます。
生活様式が様変わりしている現代では、昔のような冬支度を体験することはほとんどありません。それでも、肌寒く感じて毛布を用意したり、クローゼットの洋服を衣替えすると、冬の訪れを感じて少し心がほっこりとします。もしかしたら、昔の人も冬の厳しさだけではなく、冬を楽しく過ごす姿を思い浮かべながら準備をしたのかも知れません。
冬支度は秋の季語
冬支度と聞くと、どうしても冬にするものだと思ってしまいますが、実は冬支度は秋に行われる大切な生活習慣です。俳句の季語でも、秋を表す言葉として冬支度が使われており、冬に向けて準備をする姿が生き生きと表現されています。
俳句で季語として使われる冬支度は、季節で言うと秋の中でも晩秋、つまり秋の最後の方にあたります。カテゴリーとしては人事(人びとの生活)に該当し、秋が深まり肌寒くなった頃に、冬を意識して準備する様子を一言で表す言葉として使用されます。冬を前にして忙しく働く人の姿が目に浮かびますが、実は冬支度に込められた意味は一つではありません。
秋が終わり本格的な冬を迎えると、草木は枯れて静かな世界が広がります。命の息吹が感じられない様子が人生の終わりをイメージさせることから、あの世へ旅立つ準備のことを冬支度に結びつけて表現する人もいます。とても奥ゆかしい使用方法ですが、実際に耳にするととても物悲しいですね。
俳句は、その年代に生きた人びとを短い言葉で端的に表現するため、季節ごとに生活に密着した季語が入ります。冬支度という季語は、逃れられない冬を前向きに迎えようとする人びとを描いた言葉なのかも知れません。
冬支度を英語で表現すると?
日本では、冬の生活に関わるすべてを冬支度と呼びますが、もし英語で冬支度と表現したい場合にはどのように言えば良いのでしょうか?実は、冬支度と完全に一致する英語はありませんが、言い回しを変えるだけで冬支度を伝えることができます。
冬支度をするということは、冬の生活の準備をするということです。準備は英語でprepareなので、「prepare for winter」で冬の準備=冬支度と表現されます。
Prepare以外にもよく使用されるのは、readyを使った表現です。「Are you ready?」などはよく聞くフレーズなので、理解しやすいのではないでしょうか。「get ready for winter」が冬支度ですので、冬支度をしていると伝える時には、「I’m getting for winter」と言うようにします。
冬支度のちょっと変わった英語の表現として、「proof(防ぐ)」を使う方法もあります。Water proofと聞けば、化粧品などでおなじみなのですぐ分かりますよね。たしかに、冬支度は冬を防ぐために行うものですから、proofでも理解ができます。Winter proofで冬を防ぐ=冬支度です。
海外でも、夏が過ぎると冬に向けた準備が始まります。ハムやソーセージなどの加工品を作ったり、野菜や果物を瓶詰めにしたり、暖炉のための薪を大量に買い込んだりと、少しでも不便さを減らすために忙しい季節を迎えます。英語を通して、海外の冬支度を調べてみるのも面白いですね。
絵本を通して子どもに伝えたい冬支度のワクワク感
冬支度は、昔の人にとって命を守るための大切な準備でした。時代の移り変わりで衣食住が安定した今でも、季節ごとの大切な生活様式として受け入れ、楽しみながら冬支度をする人も少なくありません。冬支度には、冬を前にした忙しさだけではなく、冬が待ち遠しくなるワクワク感があります。冬を迎える楽しい気持ち、ぜひお子さんにも絵本で伝えてみませんか?
学研教育出版の「ふゆってどんなところなの?」は、冬眠中に起きてしまったくまの子どもたちが体験するわくわくを、一緒に楽しめるお話です。春になるまで冬眠してしまうくまの子たちは、ふゆがどんなものかを知りません。冬眠前にお腹いっぱい食べたけど、起きてしまったくまの子たちが目にしたのは、おいしそうなお菓子の山!はじめてみた冬の世界に、くまの子たちはワクワクします。寝るまえの読み聞かせでこの本を読んであげたら、親子で楽しくておいしい夢を見られそうな絵本です。
偕成社から出版されている「わたしのゆたんぽ」は、ほっこりした冬の夜をくつがえす大活劇が繰り広げられます。ゆたんぽの準備は、冬支度の大切なアイテムの一つですよね。冷え切った足をゆたんぽでぬくぬく…そんな気持ちとはうらはらに、ゆたんぽは女の子の冷たい足を嫌がってとうとう逃げ出してしまいます。世界中を逃げ回るゆたんぽと、ゆたんぽをどこまでも追いかける女の子の追いかけっこは、つい大声を出して笑ってしまうほど。冬でも元気に駆け回る、そんな楽しさが伝わってくる絵本です。
絵と文字で楽しめる絵本は、小さなお子さんでも受け入れやすく、冬の楽しさを伝えるのにぴったり。冬支度がまだわからなくても、冬って楽しい!と思ってもらえたら嬉しいですね。親子のコミュニケーションツールとしてもぴったりな絵本、ぜひ一度手に取ってみて下さい。
家族で一緒に楽しむ冬支度
昔ほどではないけれど、やっぱり冬支度にはいろいろと手間がかかりますよね。冬のお布団を干したりコートを虫干ししてみたり…一足早くクリスマスツリーを!なんて人もいるのではないでしょうか。今年はいつもの冬支度にもう一手間加えて、家族で一緒に楽しんでみませんか?
例えば、荷物の緩衝材で良く目にするプチプチのシートは、窓に貼るだけでもかなりの断熱効果があります。シートにマジックで絵を描くと、晴れている時に差し込む光がキラキラ光るので、お子さんに描いてもらうのも良いですね。できるだけ隙間がないように貼ると、さらに保温効果もアップします。
衣替えでサイズアウトしたセーターは、捨てずにほどいてリメイクにチャレンジ。100均で販売されている簡単編み機を使うと、初めての人でもすぐにマフラーが編めてしまいます。アイデア次第で、子どもの帽子や座布団カバーにもできますので、親子で取り組むアクティビティとして楽しんでみましょう。
一足早いクリスマスに向けて、フェルト生地を使った手作りカードも素敵ですね。フェルトは切りっぱなしでも大丈夫なので、手芸が苦手な男性にもうってつけの素材です。思い思いに切り抜いたフェルトを下地のフェルトに貼り付けるだけで、世界に一つだけのカードができあがります。どんなカードができるかワクワクしながら、家族みんなで準備してみましょう。
まとめ
今回は、冬仕度の豆知識や楽しむ方法について、詳しくご紹介してきましたがいかがでしたか?俳句の季語にもなっている冬支度は、厳しい冬を乗り越えるための知恵が詰まった、人びとの暮らしそのものです。時代が変わりやるべきことが違っても、暖かい冬を迎えたいと思う気持ちは変わりません。家族みんなで楽しみながら、居心地の良い家を目指して冬支度を始めてみましょう。