今先祖代々のお墓が自宅の近所という人はあまり居ないかも知れませんね。
お墓はどこかの霊園にあるもので、お墓参りにはわざわざ電車や車に乗って出かけるようになりました。
だからお墓に行く回数もだんだん減ってきているようです。
年をとってお墓に行くのが大変になった人もいますし、子や孫の代がお墓を引き継いでも、遠く離れて住んでいるため、お墓参りには何年も行っていないという家も出てきました。
お墓参りについて、私たちは見直す時期に来ているのかも知れません。今回は「お墓参り」の時期や仕方、マナーについて解説します。
もう一度確認しよう!お墓参りに行く時期とは?
現在お墓参りをする時期は、春と秋のお彼岸とお盆、それに故人の命日や年忌法要の日です。
命日には祥月命日と月命日があります。
祥月命日は故人が亡くなった月日のことで、月命日は亡くなった日のことを指します。
祥月命日は年に1回しかありませんが、月命日は年に11回あるわけです。
故人を思い出すよい機会になりますから、お墓参りにはぴったりの日ですが、みなが忙しくなっている今、毎月お墓参りに行くことはできない人が多いでしょう。
春と秋のお彼岸は、サンスクリット語の波羅蜜多(パーラミター)が語源だといわれています。
仏教の様々な修行が完成する、成就するという意味がありますが、日本では先祖の供養をする日になりました。
お彼岸の期間にお墓参りなどの先祖供養をするのは、日本だけの習慣です。
お盆は亡くなった人たちが、あの世から我が家に帰ってくるのでお墓にお迎えに行きます。そのときにお墓参りをするのは、もうおなじみですね。
ところでもう一つお墓参りにぴったりの時期があります。
それは正月です。
正月にお墓参りとは意外に思われるかも知れませんが、正月は元々神様になった先祖の霊を自宅に迎え、供え物をして家を守ってもらうための行事でした。
正月は先祖の霊を迎えるという意味では、お盆と対になっていました。
地域のしきたりでダメなときは無理をする必要はありませんが、正月のお墓参りは理にかなったことなのです。
お墓参りは回数よりも、自分の気持ちが大切です。
お盆やお彼岸、すべての機会にお墓参りに行こうと思わなくてもよいでしょう。
上の空で10度お参りするよりも、心を込めて1度お参りする方がご先祖様に気持ちが届きやすくなります。
体調によっては、暑い盛りのお盆のお墓参りは厳しいという人もいるかも知れません。
無理をせずに頼める人がいるなら、頼ってください。
もし誰も都合がつかないなら、代行サービスに依頼する方法もあります。
無理せずに頼みたい!お墓参りの代行サービス!
お墓参りを業者に頼むことに抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし昔ながらの共同墓地のお墓などは、1年放置するだけでも大変なことになってしまいます。
落ち葉や雑草などでお墓が汚れることは、墓地の雰囲気を壊してしまいますし、雑草の種が自分のお墓に飛んで来ることを嫌がる人もいます。
放置するくらいなら、業者に頼んだほうが、結局自分の肩の荷もおろせます。
掃除だけではなく、花や線香も供えてくれますし、中には状況確認のための写真を見せてくれるサービスもあります。
お墓がキレイになった様子を確認できるのは嬉しいサービスですね。
最近では、お墓の管理ができないために、墓じまいをする人も出てきています。
墓じまいはお墓を墓地や寺院に返して、もとの更地に戻すことです。
もうお墓を管理する人がこの先いない、という場合に行われますが、実行するにはやはり勇気と資金が必要です。
今はお墓の管理ができないけれど、いずれ息子や娘が継いでくれる予定があるなら、少しの間、お墓参りを代行サービスに依頼するのはよい方法です。
お墓参りの仕方がわからない!何を持参すればよいの?
お墓に足が向かない人の場合、お墓参りの仕方がよくわからないことが原因になっていることがあります。
最初に何を持参すればよいのか、確認してみましょう。
お墓参りの当日に掃除もしたいなら、掃除道具を用意する必要があります。
ほうきやちりとりはお墓に置いてあり、誰でも自由に使えることが多いですが、墓石を拭くための雑巾や細かなところ(墓石に彫られている文字の溝や花立ての中など)をキレイにするためのブラシ、雑草を抜くための草刈り鎌、ゴミ袋、軍手などは自分で用意しましょう。
供え物としては花と線香が必要になります。
故人が好きだった食べ物を供えたいときは、墓石に直に置けませんから、半紙なども用意しましょう。
また、線香に火を着けるためにライターなども必要です。
マッチで直に線香に火を着けるのは、風のある日は危険です。
風除けがついたライターが線香用として販売されています。
安全で便利なので、お勧めですよ。
お供えはやっぱり花!どんな花がよい?
お盆やお彼岸の時期になると、花屋さんではお墓参り用の花束を販売しますから、それを購入するのが簡単です。
花屋さんではお墓の花立ての大きさを考えて、3通りほどの花束を用意しているはずです。
自分の家のお墓の大きさを考えて選んでください。
値段は500円から2000円の間が多いですが、あまり欲張って大きなものを買いすぎると、花立てに入り切らないことがありますから、注意してください(反対に花が少なすぎるのも、寂しいですが…)。
花屋さんの店頭に、お墓参り用の花束が並んでいないときは、お墓参りに使うことと、希望の金額を店員さんに伝えて花束を作ってもらいましょう。
故人が好きだった花がわかっていれば、それを入れてもらうのもよいですね。
ただ、香りがきつい花や、トゲのある花、毒がある花などはお墓に不向きだといわれています。
不安があるなら、花屋さんに相談しましょう。
お墓に花を供えるときは、できれば何日か後に片付けに行きましょう。
霊園などで花を片付けてもらえる場合はよいですが、放って置いて枯れてしまった花はみすぼらしく、花立ての水ごと腐ってしまって悪臭の原因になることもあります。
花立ての中の水を飲むためにカラスが集まって、お墓にいたずらをしたという例もあります。
片付けに来られないなら、お墓参りが終わったら、花は持ち帰りましょう。
同じことは 食べ物や飲み物にもいえます。
特に飲み物を墓石にかけると、墓石が変質することもあります。
お墓参りが終わったら、お供え物は自宅に持って帰りましょう。
気を付けたい!お墓参りにもマナーがある!
お墓参りで気をつけたいマナーがいくつかあるので、紹介します。
お墓が寺院墓地の場合、まずお寺についたら、御本尊様にお参りをして、ご住職に挨拶をするのがマナーです。
ご住職に挨拶をするなら、服装もある程度気をつけた方がよいですね。
お墓参りだからと、特別な格好をする必要はありませんが、目上の人に会っても恥ずかしくない服装が好ましいでしょう。
お墓参りは午前中に行くのがマナーだと聞いたことのある人もいるでしょうが、これは特に根拠はありません。
ただ、真っ暗になってからのお墓参りは、足元が見えづらくて危険ですし、何か墓石にいたずらをしているのかと、あらぬ疑いをかけられるかも知れません。
また霊園には開園時間がありますから、その時間内に行った方がよいのはいうまでもありません。
お墓参りは真っ暗になる前の常識的な時間に行くのがマナーです。
早速実践してみよう!お墓参りの仕方とは
御本尊にお参りし、ご住職に挨拶を済ませたら、いよいよお墓に向かいます。
もし掃除をするなら、その前に合掌します。
掃除が済んだら、花と(もしあるなら)食べ物を供え、線香に火を着けて供えます。
線香の火を消したいときは、口で吹き消さず、手で仰いで消すようにします。
これは仏教では口から出る息は穢れたものとされているためで、仏壇のロウソクも口で吹き消すのはマナー違反です。
線香の本数が多くて、手で仰いでも火が消えない場合は、線香自体を振ってください。
そのとき、縦に振り下ろすようにするとよいです。
屋外で火を使うのですから、くれぐれも火の始末には気を使ってください。お墓でのボヤ騒ぎは意外に多いそうです。
手桶から柄杓で水を汲み、墓石にかけてから再び合掌します。
合掌するときは、墓石の正面から向かい合うようにします。
合掌のときは、胸の前で手を合わせ、目を閉じて、頭を軽く前に傾けます。
合掌している間、ご先祖さまと語り合うというのは無理でも、ご先祖様と自分の関係を考えてみるというのはどうでしょうか。
たくさんのご先祖様がいたから、今の自分がいるんだ、と考えるのは悪いことではありません。
たまにこんなことを考えると、謙虚な人間になれるような気がします。
まとめ
今回はお墓参りの時期や仕方、マナーについて解説しました。
日本人がずっと行ってきたお墓参りですが、思ったよりもマナーはうるさくないことがわかりましたね。
お祖父さんやお祖母さんが生きていたとき、会いに行ったように、お墓参りも気軽に行ってみてください。
それができないときは、無理をせずにほかの家族や代行サービスに頼るのがお墓参りを長く続ける秘訣です。
いずれは大切な人の月命日に、毎月お墓参りに行こうと思えるほどに、お墓参りが私たちの生活に定着するとよいですね。