「告別式に参列する」という話をよく耳にしますが、告別式は葬儀と何が違うのがご存知でしょうか?何も知らずに参列し、知らない所でマナー違反な振る舞いをしてしまうということも有るかもしれません。
ここでは、告別式はどんなものなのか、告別式のマナーを中心にご紹介します。
告別式とはどんな式なの?
告別式とは、故人が社会や参列者と別れをおこなう儀式のことを指します。
お通夜をした翌日の昼に行われることが多く、一般的には葬儀の後、火葬へ向けて出棺される前になされます。
東北地方の一部地域や、九州地方の一部では、火葬の方を先に行うこともあります。
葬儀では基本的に僧侶主導の下進められますが、告別式は喪主が主導となります。
葬儀=告別式と捉えている人も少なくはありませんが、厳密には異なります。
葬儀は宗教的なもので、信心する宗派の僧侶が主となります。
告別式は社会的なもので、喪主が主となり参列者との別れをするのです。
本来であれば、葬儀と告別式は分けて行うものなのですが、葬儀を省いたり、そのまま続けて行うという例も増えました。
また、告別式には故人の死を悼む人なら誰でも参加できるのですが、近年では近親者のみで一般参列者を招かない場合もあります。
告別式の歴史と内容
告別式は明治時代に最初に行われました。
中江兆民という人の死を悼んだ者達により、青山墓地で開かれたのが始まりとされています。
その後、大正時代になると告別式は一般にも普及してきました。
この頃は、葬儀を行う場所(寺院など)まで葬列を作るスタイルが基本でしたが、関東大震災の後は自宅で行う告別式が多くなりました。
また、2000年代からは自宅で行う葬儀から、専用葬儀社によって全ておこなうものへと変化し、葬儀と告別式の違いも曖昧なものになってきました。
現在の告別式では、告辞の朗読や弔歌、弔電披露、喪主の挨拶などが行われます。
近年の告別式は、故人とのお別れのが中心になり、故人自身や遺族の望む形に捕らわれない自由な別れ方を重んじている傾向にあります。
参列する際は時間厳守!
告別式に参列する場合は、時間厳守が基本となります。
告別式は、10時~13時頃までに始まるのが一般的です。
その後の火葬時間を考えると、逆算して昼頃に始まることが多いのです。
火葬場では最終の火葬が15時前後というところが多く、あまり遅くまで受入れをしていません。
このように、火葬の受入れ時間が決まっているため、葬儀や告別式も時間厳守でおこなわれるのです。
また、告別式はおよそ一時間程度で終了となります。
告別式は事前に案内されるものですので、時間に遅刻することがマナー違反となるのです。
告別式参列の際の服装は?
告別式に参列する場合の服装は、喪服(ブラックフォーマル)が基本となります。
喪服がない場合は、喪服に準じる服装でも構いません。
特に子供は喪服を持たないことが多いため、学生服や黒のワンピース、スラックス、ジャケットなどを着用します。
基本的に黒色(なければ紺など暗い色)で、派手な色柄は避けましょう。
男性は黒いネクタイを付けます。
女性は黒いタイツを履きます。
肌の露出は基本的に避け、夏でも五分丈以上のものにします。
また、光物である時計やアクセサリー、髪飾りも外します。
アクセサリーは一連のパールネックレスにします。
化粧も色味の強いものは使用しません。
バッグなどの小物も黒いもので、ファーのような動物を連想させるものは避けます。
意外に忘れがちなのは靴なのですが、靴も黒や色の暗いものを履きます。
女性はあまりヒールの高くない物にしましょう。
告別式参列のマナーは?
服装や時間を守るのは当然のことですが、告別式に参列する際はそれ以外にも守るべきマナーがあります。
告別式は葬儀に続いて行われるため、葬儀の開始時に受付をしてそのまま告別式まで参列というパターンがほとんどです。
当然、香典も必要になりますので用意していきましょう。
受付では、お悔やみの言葉を掛ける場合がほとんどです。
「この度は、誠にご愁傷さまです」という言葉掛けが一般的ですが、その他の言葉でも構いません。
繰り返し言葉などは縁起が悪いため、使用しないようにしましょう。
やむを得ない事情で参列できない時は、お悔やみ電報や手紙で対応すると良いでしょう。
もし、知人など別の参列者にお願いできる時は、香典を託して受付に渡してもらうにすると安心です。
告別式の香典は・・・?
訃報を聞いたら香典の準備が必要になります。
香典は、通夜や葬儀、告別式に持参するようにします。
金額は故人との関係性や、法要のみか会食まで参加するかどうかでも変わってきます。
一般的には、顔見知り程度であれば3千円~、仕事仲間や友人であれば5千円~、親族ならば1万円~が相場となります。
お札の枚数は1、3、5と割り切れない数にするのが基本です。
お札も新札は使いません。
香典は、白黒の水引の不祝儀袋を使います。
表書きは薄墨を使い書くようにします。
仏教の表書きは、「御霊前」「御香典」「御香料」とします。
しかし、仏教でも浄土真宗では「御霊前」は使えません。
供花を贈る場合は・・・?
葬儀や告別式にお花を贈ることがあります。
このお花は供花(きょうか)と呼ばれ、親族や友人知人、参列できる人でも都合が付かずに参列できない人でも誰でも贈ることが可能です。
供花には、告別式の会場を華やかに飾り、美しい中で送り出す目的の他にも、死者の魂を慰め鎮めるという目的もあります。
供花はおよそ一基1万円前後になるのが相場です。
一対で贈る場合は、1万5千円~2万円ほどになります。
季節によって使用する花が異なるため、それにより料金も変わります。
料金に関しては、発注前に確認すると安心です。
供花の手配は、葬儀社や花屋でします。
基本的には、告別式の前日までに注文すれば間に合います。
ネットでは当日発送可能というところもありますが、分かり次第すぐに手配するほうが確実です。
仏教の供花は、菊やユリ、カーネーションなどがよく使われます。
近年では枯れないプリザーブドフラワーが人気です。
落ち着いた色でのアレンジメントを希望すれば、どんな会場にも似合います。
キリスト教の告別式
キリスト教でも、仏式にあたる葬儀・告別式を行います。
カトリックでは葬儀ミサ、プロテスタントでは葬儀式と呼び、葬儀の儀式後に続けて告別式を行います。
具体的には聖歌を唄い、告別の祈りを捧げ、献花または焼香を行い、弔電・弔辞の紹介をします。
尚、キリスト教ではお悔やみの言葉を使用しません。
キリスト教の供花は、ユリやカーネーション、スプレー菊などを主に使用します。
生花が基本でカゴアレンジにし、故人の自宅へ贈ります。
アレンジメントは十字架とハートの二種類で、ハートは親族や親しい友人、クロスは肉親や友人が贈るとされています。
独特なアレンジですので、全ての花屋が対応しているわけではありません。
香典の表書きは「御花料」とします。
また、カトリックでは「御ミサ料」、プロテスタントでは「献花料」「忌慰料」と書くこともできます。
カトリックでは「御霊前」を使う事もできますが、プロテスタントでは使えません。
神道の告別式
神道では、仏式の葬儀にあたる葬場祭というものが行われた後に出棺祭が行われます。
神式の葬儀では、かつて夜中の出棺が基本とされていたため、松明の中で葬列を組み出棺が行われていましたが、近年では昼間の出棺となるため、この儀式は省かれるようになりました。
神道の供花は、白い菊やユリを主に使います。
神道では榊を贈るのが一般的でしたが、近年は喪主以外の方は供花を贈るのが基本となっています。
香典の表書きは「御榊料」「御玉串料」「御神前」「御饌料」とします。
また、神道でお悔やみの言葉を掛ける時は、成仏、供養、冥福などの仏教的用語は用いないようにしましょう。
弔電のタイミング
やむを得ない事情で告別式に参加できない場合、弔電を贈ることができます。
弔電は告別式に紹介されますので、それまでに届けば良いのでは?と思われるかもしれませんが、通夜で紹介される場合もありますから、できるだけ早めに手配しましょう。
通夜に間に合うようにしておけば確実です。
万が一、告別式に間に合わない場合は、弔電を贈るのは控えます。
間に合わない場合には、後日に香典と共に手紙を贈るなどの対応をしましょう。
弔電はどこへ贈れば良いのかと迷うかもしれませんが、基本的には通夜、告別式会場へ届くようにします。
宛名は喪主にしましょう。万が一喪主の名前が分からないという時には、故人のご遺族様宛で贈りましょう。
差出人の名前ははっきり明記しておくようにします。
まとめ
人が亡くなると、お通夜、葬儀、告別式とさまざまな儀式があり、それぞれどんな意味があってどんなマナーがあるのかを知らない人も多いでしょう。
特に近年では、葬儀と告別式を続けて行ったり、葬儀だけ告別式だけというように簡素化されてきたため、余計に分かりづらくなってきています。
しかし、基本的には葬儀=宗教的儀式で僧侶が主となり進める、告別式=社会的儀式で喪主が主となり進めるというのが最大の相違点です。
故人が信心する宗派で告別式の内容も変わりますが、どの宗派でも告別式の様な儀式は行われています。
告別式は、故人と最後の別れをする大切な時間です。
マナーを守り、大切な時間を過ごしましょう。