梅干しという食べ物をご存知でしょうか?
日本では、スーパーやコンビニエンスストアなどでも見かける非常にポピュラーな食べ物で、和食をはじめとした料理に使用されることも多く、
「全く食べたことが無い」「どんなものか知らない」という人は少ないでしょう。
でも、梅干しは知っていても、梅干しの原形や作り方を詳しく知っているという人は居ないかも知れません。
ここでは、梅干しの栄養や簡単な漬け方などを中心に詳しくご紹介します。
梅干しってどんなもの?
梅干しは、その名の通り梅という植物の実を干して作られています。
梅はバラ科サクラ属の木で、花は観賞用、実は食用にされることが多いものです。
熟した梅の実をそのまま食べることもありますが、まだ青い梅の実の種には青酸配糖体のアミグダリン、プルナシンなどの毒性が少量含まれていて、
たくさん接種をすると危険があるとされています。
そのため、青いまま収穫されたものは、アルコールや塩分を加え漬け込むことにより毒性を低下させたり、種子を取り除き加工することで無毒化させています。
梅の実は、梅干しの他にも梅酒、ジャム、砂糖漬け、ジュース、ピクルスなど様々な方法で加工され食されています。
梅の花が咲くのは2月~5月頃で、梅の実が収穫できるのは6月~7月頃です。
梅の実の大きさや熟度によって加工の向き不向きがあります。梅干しはどちらかといえば、完熟梅を使用すると上手に美味しく漬けられます。
梅干しにはこんな栄養や効能が・・・
梅干しの栄養には様々な効能があります。
梅干しは強い酸味が特徴ですが、これはクエン酸が豊富に含まれているからです。
クエン酸は、糖質の代謝を促し、栄養素をエネルギーに変える働きをします。
そのため、疲労回復、老化防止などに役立ちます。
夏の暑い時期には疲労も溜まり、食欲がなくなるという、いわゆる「夏バテ」をする人が増えます。
そんな時は、梅干しの栄養に頼るってみるのもひとつの方法でしょう。クエン酸を摂取することで唾液の分泌が増え食欲を増進させ、消化酵素の分泌を促します。
また、梅にはミネラルやカルシウム、マグネシウムも多く含まれています。成長期の子供や、高齢者にとってもカルシウムは重要な栄養素です。梅干しを上手に摂取したいですね。
梅干しには、その他にもピルビン酸やムメフラールが含まれていて、肝機能の正常化や血栓予防に有効とされています。
梅干しの簡単な漬け方!
梅干しを簡単に漬けたいと考える人も多いのではないでしょうか。
自宅で簡単に梅干しを作る事ができれば、食事のレパートリーも増え、非常に重宝します。
梅干しの漬け方は難しいというイメージがありますが、実はコツさえ守ればそう難しくはないものです。
では、初心者でも簡単で間違いのない梅干しの漬け方をご紹介します。
<材料>
- 梅 1㎏
- 塩 200g
- 赤しそ 200g
- 塩 40g
※梅は黄色いものを使います。青い場合はザルや皿の上に並べ黄色くなるまで追熟をさせます。
※梅干しに赤色を付けるため赤しそを使用します。好みでない場合は使わなくても構いません。
<作り方>
- 梅は傷つかないように優しく水洗いし、布巾やキッチンペーパーで水気を拭き、竹串で一つずつヘタを取り除きます。
- 梅が全て入る容器に、塩→梅と交互に重ね、最後に塩をして重しを乗せフタをします。
余分な水が上がってくるまで2~3日そのまま置きます。容器は琺瑯鍋やガラス製のボウルなどでも構いません。重しは2キロ位を目安にします。
フタが無い場合はラップでも構いません。 - 赤しそは固い茎を取って水洗いし、水気をしっかり切ります。赤しそをボウルに入れ20gの塩を加えて良く手で揉み、水気を絞ります。
更に赤しそに20gの塩を加えて揉み、水気を絞ります。水気を絞った赤しそに、梅から出た水分を適量かけて混ぜます。
それを漬けた梅の上に被せ、再び重しをしてフタをし、数日から数週間置きます。 - 本格的な夏になり、晴天が続く日に梅をザルに取り出し、1日~3日ほど天日干しをしたら完成です。
失敗しない漬け方のポイントは、「塩分を勝手に減らさないこと」です。減塩にしてしまうと、上手く漬からない、傷みやすいなどトラブルを起こします。
塩分が重要!
前述のように、梅干しには塩分が大切です。
塩分が足りないと、梅の水分が充分に切れず、腐ったりカビたりしてしまいます。塩分を気にして減塩し過ぎないようにしましょう。
また、梅干しは汗をかく夏場や、身体を動かす人には手軽に美味しく塩分補給ができる優れモノです。
だからといって、一日に何個も食べてしまうのは注意が必要です。
梅干しは、塩分量がトップクラスの食べ物です。梅干しだけを摂取するのではなく、和食では味噌や醤油を使い料理をします。
そのため、梅干しを何個も食べてしまうとすぐに一日の塩分摂取量が多くなってしまうのです。
程よい塩味と酸味で病み付きになる気持ちは分かりますが、摂り過ぎないようにしましょう。
酸味が苦手な人でも食べられる梅干しは?
梅干しは独自の塩気や酸味があって苦手!という人もいるでしょう。
そんな人にオススメなのが、昆布梅干しやハチミツ梅干し、黒糖梅干しです。
これらは、梅干しの持つ酸味を極力和らげ、甘みを最大限に出したものです。
漬ける際に甘みを足すことで減塩をしているものもあり、梅干しのしょっぱい、酸っぱいというイメージを変えています。
また、通常の梅干しに白砂糖やハチミツをまぶして食べるだけでも塩味や酸味が薄まり食べやすくなります。
梅干しをヨーグルトに入れると美味しいという人も居ます。果物のジャムを混ぜるのと同じ感覚で食べられるといわれています。
梅干しが苦手な人でも、少しずつ自分に合った食べ方や、漬け方が分かれば好きになれるかも知れませんね。
梅干しの保存方法は?
梅干しの保存は塩分濃度により異なります。
いくら天日干しをして乾いたように見えても、すぐに傷んだりカビが生えたりして、張り切ってたくさん漬けたのにダメになってしまうこともあります。
そのため、保存方法を守りましょう。
塩分18%以上のいわゆる昔ながらのしょっぱい梅干しは、そのまま常温保存が可能です。
冷暗所で保管しましょう。18%以下の減塩タイプになると、自分で漬けたものでも市販品でもすぐにカビてしまいます。
冷蔵庫で密閉容器に入れて保存しましょう。
夏場は梅干しを冷凍して食べるという人もいます。
梅は塩分濃度が高いため、凍らせてもカチカチにはならず、シャリシャリと美味しくいただけます。
夏の暑い時期に食べたり、お弁当に入れたり、素麺の漬け汁に入れたり、お茶漬けに乗せたりと様々な食べ方にマッチします。
一つずつラップに包み、保存容器や保存袋に入れて冷凍し、半年以内に消費するようにしましょう。
梅干し料理のおすすめレシピはこれ!
梅干しはそのまま食べても美味しいものですが、そのまま食べるのに飽きてしまうことがあります。そんな時は、料理に使用してみましょう。
イワシやサンマの梅肉煮なら、骨までさっぱり食べられます。
<材料>
- サンマ(またはイワシ) 3匹分
- 梅干し 2個
- しょうが 1かけ
- 醤油麹 大さじ半分ほど
- お酢 大さじ2
- みりん 大さじ4
- オイスターソース 大さじ1半
- 昆布 1枚
- 水 少々
- 酒 少々
<作り方>
- サンマやイワシは頭と内臓、尾を取り除き三等分にします。カットした魚を鍋に入れ酒を振り、20分程置いておきます。
- ショウガを千切りにして、梅干しの梅肉を刻んでおきます。
- 20分経ったらサンマを漬けた酒を捨て、ショウガ、梅干しと全ての調味料を入れ、中火で炊きます。
アクが出てきたら取り除きながら、3~4時間煮ます。圧力鍋があれば、15分で完成です。煮詰まるようであれば、途中水を少しずつ足しましょう。
このように、煮物の味付けにも使用できますし、マヨネーズに混ぜてスティック野菜などのディプとして食べても、
梅干しにかつお節を掛け豆腐などに乗せて食べても、梅干しにクリームチーズを混ぜおつまみとして食べても美味しく食べられます。
塩昆布と梅干しを入れて炊き込みご飯やパスタにしても美味しいです。料理に梅干しを使う際には、塩分濃度を調節しながら作ってみましょう。
まとめ
梅干しは、梅の実を塩漬けし、天日干しをした食べ物です。
塩分濃度が高いものは、保存食として昔から愛されてきました。
近年では、減塩し、その分ハチミツなどで甘みを足して、そのままでも食べやすく加工してあるものも多くなっています。
梅干しは、小さい一粒でもクエン酸を始め、身体に良い栄養素がたくさん詰まっています。塩分が多いため、
一度にたくさん食べるのは避けたいところですが、毎日1粒を続ければ、健康効果があるといわれています。
暑い夏は疲労回復に、寒い冬は風邪対策に、年間を通して嬉しい効果を発揮してくれますので、様々な方法で積極的に摂取したいものですね。