交通インフラの改善により、以前よりもアクセスがしやすくなった北陸エリア。中でも金沢を有する石川県には観光スポットも多く、注目が集まっています。さまざまな見どころがありますが、お祭り好きや温泉好きにはたまらないイベントが加賀温泉郷が毎年開催している「菖蒲湯祭り」です。
一度行ったら毎年でも通いたくなると評判の菖蒲湯祭り。一体どのような祭りなのか。いつどこで開催されているのか。また意外と知らない守りたいお祭りのマナーについても紹介します。
菖蒲湯とはどんなお風呂なのか
菖蒲湯とは、その名のとおり5月上旬くらいから花を咲かせる菖蒲の葉っぱや根を入れたお風呂になります。5月は新年度が始まり、環境の変化にさらされ、頑張りすぎて少し気が抜ける時期。
体調を崩しやすい時期としても知られています。菖蒲には薬効成分が含まれており、予防につながるため広まりました。菖蒲の根と葉っぱには、独特のニオイがあり、古くから不浄なものを祓うとされてきました。
具体的な薬効成分としては、腰痛や神経痛の鎮痛効果。血行を促進し、保湿力も高めてくれることが知られています。古傷の痛みや関節痛に悩みを抱えている方は、一度試してみることをおすすめします。
5月5日の端午の節句(たんごのせっく)は、実は「菖蒲の節句」とも言われる行事なのをご存知でしょうか。丈夫な子に育つように行われる行事ですが、よみがなの「しょうぶ」は「勝負」や「尚武」とも書き換えられます。勝負に勝つ。また武勇を尊んで励むことを意味する尚武には、特に武家の間では縁起が良いため端午の節句の際に軒先に吊るして男の子の出産を祝ったりした風習が存在しました。
現在ではあまり見られない風習になりましたが、特に北陸地方を中心として無病息災を願って菖蒲湯に入る習慣が残っています。
菖蒲湯祭りはどんな祭り?
菖蒲湯祭りとは一体どんな祭りなのでしょうか。石川県加賀市に存在する加賀温泉郷。加賀温泉郷で行われているお祭りが菖蒲湯祭りになります。加賀温泉郷には3つの温泉があり、山代温泉、片山津温泉、山中温泉です。宿場町の面影が感じられる動橋、古き良き伝統が感じられる橋立。芸術度が高い大聖寺が加賀温泉郷を構成しています。
菖蒲湯祭りは旧暦の端午の節句の時期である6月の上旬に毎年開催されており、加賀市に残っている伝統行事の中でも、最も古い祭りになります。祭りの期間中はさまざまなイベントが開催されており注目されています。
加賀温泉郷はJR北陸本線を挟んで南北に2つの温泉を有していますが、南エリアに位置している山代温泉が最も菖蒲湯祭りが盛んに行われている温泉です。山代温泉は明覚という僧侶によって建てられた薬王院温泉寺が始まりで、修験者の道場であったことから、色々な儀式の一環として温泉を利用していました。
山代温泉が行う菖蒲湯祭りでも、平安時代から行われていた修行の一部が行事として行われています。菖蒲が詰まった俵をお湯の中に投げ込んで湯に浸かる行事は「入湯式」のワンシーンとして未だに行われています。菖蒲湯祭りの期間中は、公共浴場はもちろん旅館の大浴場も菖蒲湯に変更され観光客も気軽に菖蒲湯を堪能することができますよ。
令和元年の菖蒲湯祭りのスケジュール
菖蒲湯祭りは、山代温泉にある薬王院温泉寺の厄払い行事が形を変えて残ったことは、前述までのことでお分かりになったことでしょう。
山代温泉の菖蒲湯祭りの気になるスケジュールですが、令和元年は6月4日の火曜日と6月5日の水曜日の2日間になります。4日には入湯式と祈願祭。5日は山代音頭輪おどりの開催が予定されています。
祭り期間中は「菖蒲みこし」と呼ばれる荒神輿が引き回されます。台棒の上には菖蒲がぎっしりと詰まった重量感がある俵を6俵も積み上げ、下の部分にも2俵。合計6俵の菖蒲俵を青年達が引き回します。菖蒲みこしの総重量はなんと350kg。総勢200名の若者達が行う大迫力の引き回しは一見の価値ありと言えるでしょう。神輿の制作から町の青年達が行っていますが、制作には一切刃物を使わないことも特徴です。
開催日 | 令和元年6月4日、5日 |
場所 |
加賀温泉郷山代温泉 |
住所 |
〒922-0243 石川県加賀市山代温泉北部3丁目70番地 |
アクセス方法 |
東京方面 東京-金沢(北陸新幹線)-加賀温泉(北陸本線)-車で10分【約3時間】 大阪方面 大阪-加賀温泉(北陸本線)-車で10分【約2時間20分】 |
問い合わせ | 0761-77-1144(山代温泉観光協会) |
ホームページ | http://www.yamashiro-spa.or.jp/shobuyu |
知っておきたいお祭りのマナー
菖蒲湯祭りに参加するなら、お祭りのマナーは覚えておきたいとこですね。参加をしたことはあるけれど、お祭りにマナーなんてあるの?と感じている方も少なくないでしょう。
マナーとしては、お神輿に関するものです。お神輿は漢字からも分かるように神様が乗っているとされています。お祭りの時期に来られて、地域やお祭りに参加した人々の厄払いをしてくれます。決して神輿より上から見下ろすようなことがないようにしましょう。またお神輿が側を通過する時には、「二礼二拍手一礼」をするのがマナーです。ご利益に預かりたいなら、行っておきたいアクションですね。
お祭りの掛け声と言えば、「わっしょい」ではないでしょうか。わっしょいの語源は、「和一緒意」と言われており「和を背負う」ことを意味します。参加した皆で和になることが大事ですから恥ずかしがらず掛け声を掛けましょう。
大騒ぎをすると鬼が逃げるとも伝えられていますから、非日常を味わうためにも普段の自分ではない別の人物になったつもりで楽しむことをおすすめします。
山代温泉周辺の観光スポット情報
福井県の県境にある大聖寺は、加賀百万石時代の城下町が感じられる趣き深い観光スポットです。春の時期には大聖寺川の川面に浮かび上がるように見える夜桜は必見です。秋になれば萩。もう冬が来たと思えるくらい雪のような白い萩が咲き乱れる光景は一度は見ておきたい絶景です。
加賀温泉郷から日本海側に北上すれば、橋立があります。古くから漁師町として知られ、かつては日本一の富豪村とも称されていました。北前船主の心意気を感じられる橋立。日本海の海の幸を堪能したいなら外せない観光スポットです。海岸線と日本海が織りなす大パノラマを一望することもできますし、特に冬場のカニの水揚げ時期には訪れたいエリアですね。
まとめ
いかがでしたか。菖蒲湯祭りがどのようなお祭りなのか。歴史やスケジュールがお分かりいただけたと思います。加賀温泉郷は日本が誇る兼六園も近く、観光スポットを堪能できます。
東京や大阪からのアクセスもJRを使えば3時間以内となっており、小松空港へのアクセスも1時間前後と抜群です。是非この機会に菖蒲湯祭りに行かれてみてはいかがでしょうか。