嵐山もみじ祭とは?
京都・嵐山で行われる嵐山もみじ祭は、一般的なお祭りとは一味違ったイベントのようです。いったいどんなお祭りなのでしょう。
毎年11月第2日曜日に開催
嵐山もみじ祭とは、毎年11月の第2日曜日、嵐山の渡月橋(とげつきょう)上流付近で行われる催しです。嵐山もみじ祭が始まったのは、昭和22年(1947)のことです。
もみじ祭りなので、もちろんもみじの美しさを讃(たた)えるために行われます。京都を代表する景勝地である嵐山は、もみじの名所としても知られていますよね。加えて、嵐山一帯を守護する嵐山蔵王権現へ感謝するためにも開催されます。
船遊び絵巻
嵐山もみじ祭の目的は、上記だけにとどまりません。洛西(京都の西部)一体の史跡や文化を紹介するという一面もあります。紹介の仕方が変わっていて、大堰川(おおいがわ※)に多くの船が浮かべられ、船上では伝統芸能などが披露されるのです。船遊び絵巻という、かつての貴族たちの船遊びを再現したものです。
※流域によって名前が変わるが、保津川・桂川と同じ。
同時に、河原でも多くのイベントが行われます。1年でたった1日、しかも雨天中止のお祭りです。開催日に京都に行く予定の方は、訪れないわけにはいきませんね!
船遊び絵巻に登場する船
美しい紅葉を背景に大堰川を彩る船遊び絵巻には、いったいどんな船が登場するのでしょうか。
伝統芸能などを披露
船遊び絵巻には、伝統芸能などを披露する船が多く登場します。例えば箏曲小督(そうきょくこごう)船や平安管弦船、伝統芸能を披露する能舞台船・今様船(いまよう)、音楽に合わせて花を生ける京楓(きょうふう)流いけばな船などがあります。浮かべられた船を見ているだけで、優雅な気分に浸れます。
伝統芸能とは離れますが、時代劇の登場人物に扮(ふん)した役者さんが乗船する、東映太秦(うずまさ)映画村船もありますよ。
嵯峨嵐山の社寺も協力
船遊び絵巻には芸能以外にも、嵯峨嵐山の社寺が出している船があります。例えば、天龍寺船・大覚寺船・野宮船・車折(くるまざき)芸能神社船などです。
日本史に詳しい方であれば、“天龍寺船”をご存じかと思います。室町時代の初期に天龍寺の造営費用をまかなうため、幕府が元(げん/当時の中国)に派遣した貿易船ですね。船遊び絵巻の天龍寺船では、当時の天龍寺船が再現されています。
他にも例えば、野宮(ののみや)神社が出す野宮船では舞楽奉納がされるなど、どの船も見ていて飽きることがありません。
河原でもイベントを開催
嵐山もみじ祭の楽しみは、船遊び絵巻だけではありません。川沿い(亀山公園下)でも注目のイベントが行われます。
島原太夫道中・お点前披露
京都の花街・島原でトップの芸妓(げいぎ※)さんは、島原太夫(たゆう)と呼ばれます。嵐山もみじ祭当日、大堰川のほとりでは島原太夫によるお点前披露が行われます(料金500円)。
※酒宴の席で、歌や舞踊などをしてもてなす女性のことです。なるには厳しい稽古が必要です。
お点前の披露が終わると、島原太夫の道中が始まります。大堰川の川沿いを島原太夫が練り歩くのです。多くの人にとって、めったにお目にかかれない島原太夫の姿を、目に焼き付けてはいかがでしょう。
嵯峨大念仏狂言
ほとりの舞台では、嵯峨大念仏狂言が上演されます。嵯峨大念仏狂言とは、国の重要無形民俗文化財に指定されている民俗芸能です。嵯峨大念仏狂言は、一般的な狂言と大きく異なっています。
プロの狂言師が演じるのではなく、公演は裏方を含めすべて民間の方によって行われるのです。演者はお面をつけており、セリフもありません。言葉が難しい伝統芸能は敬遠されがちですが、嵯峨大念仏狂言なら難しいことを考えずに楽しめると思います。
嵐山もみじ祭へ行こう!
嵐山もみじ祭に実際に行かれる方へ、詳しい情報をご紹介します。
開催日・開催場所・開始時間・観覧料
嵐山もみじ祭の開催日は、毎年11月第2日曜日です。2019年は11月10日に開催されます。雨天の場合は中止ですのでお気をつけください。会場は嵐山渡月橋周辺(京都市右京区)、見学は無料です。
- 開始時間(例年)
- 【午前の部】10時30分~
- 【午後の部】14時30分~
- 【島原太夫のお点前】13時00~14時30分
- 【島原太夫道中】14時30分~
上記時間はあくまでも目安です。正確な時間を知りたい方は、主催の嵐山保勝会(075-861-0012)まで直接お問い合わせください。
混雑状況
嵐山もみじ祭は、はっきり言って混みます。紅葉が見ごろを迎える時期、しかも日曜日の京都屈指の観光地・嵐山が混まないわけがありません。混雑は覚悟して出かけましょう。例年道路は渋滞しますので、公共交通機関の利用がおすすめです。
特別にお目当ての船はなく、雰囲気だけを楽しみたいという方は、午前中ならば比較的ゆっくりと楽しめるでしょう。
おすすめの見学場所
混雑必至の嵐山もみじ祭を楽しむためには、よい場所を確保したいものです。北側の岸(嵐山とは逆側)に向かってパフォーマンスが披露されることが多いため、北側の岸辺からの見学がおすすめです。嵐山側から貸しボートに乗れば、船遊び絵巻をより近くで見学することも可能です。
渡月橋へのアクセス・駐車場
嵐山もみじ祭の開催地・渡月橋周辺へ行くには、電車・バス・車を利用する場合が考えられます。
電車を利用する場合
- 嵐電嵐山本線(京福電鉄)嵐山駅より徒歩5分
- 阪急嵐山線・嵐山駅より徒歩7分
- JR嵯峨野線・嵯峨嵐山駅より徒歩15分
バスを利用する場合
- 【市営バス】11・28・93【京都バス】62・67・72・77・92・94系統 嵐山天龍寺前(嵐電嵐山駅)より徒歩1分
- 【市営バス】11・28・93【京都バス】62・63・66・67・72・73・76・77・83・86・92・94系統 嵐山より徒歩2分
- 【市営バス】28【京都バス】62・63・66・72・73・76・83・86・92・94系統 嵐山公園より徒歩3分
上記は休日の時刻表より抜粋したものです。京都にはいろいろな路線が走っていますので、バスに乗り込む際は慌てず、しっかりと系統番号を確認してくださいね。
車を利用する場合
渡月橋付近には市営の京都市嵐山観光駐車場の他、いくつか民間の駐車場もあります。先ほども紹介した通り、例年道路は混雑しますので、できる限り電車やバスを利用したほうがよいでしょう。
- 京都市嵐山観光駐車場
- 【所在地】京都市右京区嵯峨天龍寺造路町31-1
- 【電話番号】075-861-1215
- 【注意】休日は1日3時間までの利用
まとめ
もみじの名所・京都の嵐山では、毎年11月第2日曜日に嵐山もみじ祭が開催されます。昔の貴族の船遊びを再現した船遊び絵巻、島原太夫道中、嵯峨大念仏狂言などを無料で見学できます。
風流な時間が過ごせるので、秋の京都を満喫するのに最高のイベントです! 年に一度しか開催されませんから、紅葉の季節に京都を訪れる予定の方は、ぜひチャンスを逃さないでくださいね。