新年が近くなると、雑誌やテレビで初夢についてのトピックスを見かけることはありませんか?初夢に「良い夢」を見ると、何となくその年は幸せになりそうな気がしますよね。
昔から初夢に出てくると「吉夢」というアイテムがいくつかあるのですが、実際にそれらにはどの様な意味があり、どんなものがあるのか知りたいところ。
そこでこちらでは初夢について、いつ見るべきなのか、何を見るとラッキーなのかについて解説していきます。
初夢とはいつ見る夢?江戸時代後期の風習との関係
初夢と聞くと、「新年最初に見る夢」というイメージを持っている方が多いことでしょう。
ですがこれは人によりますよね。
実際初夢は年が変わる大晦日から元旦にかけて見る夢とされたり、元旦に見る夢、または年が明けて最初に見る夢などと言われていて人によりけり。
本当のところは、どれが正しいのでしょうか。
実は正式な初夢は、元日の夜から2日にかけて見る夢のことを言うのだとか。
なぜ2日になったのかというと、江戸時代後期にまでさかのぼるそうです。
もうこの時代に初夢というものはすでに民衆に定着しており、2日の夜に見るものだと信じられていました。
ただ実際に初夢を見たとしても、「悪い夢だったらどうしよう」などと心配になる人もいますよね。
この時代には現代ほど情報も発達していませんし、民衆の人は目に見えない物を現代の人よりもより大きな存在として信用していたという可能性もあります。
その理由の1つに寝る前に七福神の宝船の絵を枕の下に入れて寝ると、良い夢をみれるというものがありました。
実際にこれで良い夢がみれるかどうかはさておき、2日の日にはこれをする人がたくさんいたと言います。
このうわさが先か商売が先かは不明ですが、2日の日には枕の下に置く用の「七福神の船」の絵を販売する商売人が多く出現したとか。
この時だけ商売人になって、街で売りさばくという人も珍しくなかったと言います。
また悪夢を見た時の対処法として、「長き世の遠の眠りのみな目覚め波乗り船の音のよきかな」というまじないとも言うべき呪文のようなものを、寝る前に3回いうと良い夢を見るなどといったものも。
他にも絵の裏にバクの絵や文字を書いておくという話もあるそう。
バクとは昔から夢を食べるといわれている空想上の動物。
このバクに悪夢を食べさせるという意味で、最初からバクに夢を食べさせてしまおうという発想なのでしょうね。
これだと良い夢も食べられてしまうということではありますが、悪い夢を見るくらいならと考えたのかもしれません。
初夢は古代中国から伝わった夢占いが最初!?
中国4千年の歴史と良く言いますね。
長い間に広大な大地の中で争いを繰り返し、統一した歴史を持つ中国には独自の文化が数多くありました。
日本にももちろん歴史がたくさんありますが、文化として認識されているのは少なくとも弥生時代以降が有力ではないでしょうか。
その後奈良や平安時代には中国やインドの影響を色濃く受けていることで、仏教や儒教などを組み合わせて日本式を作り上げてきたのです。
その中の1つに、初夢があります。
初夢はもともと中国から伝わったものだとされていることをご存じでしょうか。
しかも事の始まりは紀元前1千年前だという話もあるほどで、それが確かではなくとも、かなり昔から夢というものに重きを置かれていたことがわっています。
戦国時代に書かれた書物によると、官職の中に夢占いをする職務があったとされているかとか。
その占いにより、これからどのようにすすんでいけば良いかのアドバイスを受けた人たちがいたということなのです。
これは有名な「史記」にも記述がある様で、三国志の時代にはすでにこの夢占いが定着しており時の将軍たちも国盗りの際に利用していたという説もあるほど。
もともと文明が起きた場所には、言葉にできないさまざまな不思議なパワーが宿っているとされています。
どんなに医療や技術が発展した現代でも、解明できないことが多々あるのでしょう。
古代中国での夢占いの方法は、以下の3つがありました。
①直解
夢で見たことがそのまま現実に起こってしまうという考え方
②転釈
見た夢をあらゆるパターンに分類し、そこから何を意味しているのか導きだす考え方
③反説
夢と現実を反対に見立てる考え方などです。
「直解」が一番古くオーソドックスな夢占いですが、時代が変わりだんだんと夢占いにも変化が現れます。
ですが古代中国でこの夢占いは、衰退の一路をたどりました。
これは中国の漢時代に、夢占いが現実的ではないなどの背景があったと言われているのだとか。
一富士二鷹三茄子とはどんな夢?なぜ良いの?
初夢を見る時には「一富士二鷹三茄子」の夢を見ると、良いことが起こると言われていますよね。
これは日本の中でも定説になりつつあります。
もともと中国から伝わった初夢は、鎌倉時代には民衆にも広まっていたと言われています。
その中でも、初夢に出てくると「吉夢」だと伝わったアイテムについてお話ししていきましょう。
まず「一富士」についてです。
一番目に、富士山の夢を見るととても縁起が良いというもの。
富士山は精霊信仰の本拠地でもありますし、日本人が無条件にすごさを認める象徴の山でもありますね。
高みを目指す、自分の肯定、夢がかなうなどと信じられてきました。
次に「二鷹」です。
二番目に見るべき吉夢が鷹です。
自由に空を飛ぶことが容易な鷹は、人間の心が解放され自由に生きていけると言われていたとか。
見えない野心や、強い希望を持っている人が喜んだ夢だと言われているそう。
最後が「三茄子」です。
夢占いにおいて茄子は「子宝」「健康」、また社会における人間関係を意味しているとされており、茄子の夢を見ることで人との関りや健康面で良いことが起こるなどとされていました。
これらのものを1つでも初夢で見ると吉夢だとされていたのは、全て日本人において「ラッキーが訪れる物」どいう認識があったからなのでしょう。
一富士二鷹三茄子の次は?悪夢を見た場合の対処法
日本では初夢を見る時に、一富士二鷹三茄子を見ると来る一年に良いことが起こると言われていますよね。
実はこれに続きがあることを知っていますか?この続きは四扇五煙草六座頭と言われており、これらを見ても幸せになれるとか。
これにもちゃんと理由があり、扇は末広がり、たばこは龍のように上に昇っていく、座頭は琵琶法師が率いる座の中の1人を指す言葉で「毛がない」という言葉を「ケガがない」と言うように文字っていることから生まれたそう。
他にも「四葬礼五雪隠」と言う言葉もあり、これは葬儀とトイレのことを言います。
これらの様に、初夢にでてくるとラッキーになれるというアイテムは数多くあるようですね。
ですがなかなか富士山や鷹を夢で見るということは難しいもの。
もしも悪夢を見た場合はどうしたら良いのか不安に思いますよね。
悪い夢を見た場合は初夢に限らず、人にすぐ話してしまいましょう。
話すことで、それが現実になることを防いでくれると言われているのだとか。
確かにこれは現代でも言われています。
怖い夢は人に話してしまいなさいと言われたことがある方も多いことでしょう。
また二度寝をすることも良いとされています。
新しい夢で嫌な夢を更新してしまうのが良いですね。
実はこれは逆も言われており、良い夢は人に話さない方がよいとのこと。
もし良い夢を見たら胸にしまっておきましょう。
夢と心理学の関係
生活に密着している夢ですが、実は心理学などと関わっていることがわかっています。
深層心理と呼ばれる「自分でも普段気が付いていない心理状態」が、寝ている間に夢となって出てくるのだそう。
また夢を見る人、見ない人の違いは、昼間の脳の活発度だと言われています。
つまり昼間脳を動かしている人ほど、夢を見る率が高いということですね。
これらをまとめていくと、昼のあいだ、いろいろなことに脳を使って考えている人が、自分でも気が付かないところで「何か気になっていることや、忘れていると思っている気持ち」が夢として寝ている間に出てくるということを意味します。
また夢の内容がどんなものだったか、出てきたものや登場人物、場所やカラーなどでも分析をすることが可能なようです。
もしも自分の精神状態などを調べたい時には、夢を分析するということも手掛かりを得るポイントとなるかもしれません。
古代の中国人は、この深層心理などに何となく気が付いていたのかもしれません。
また専門家はその夢から「その人の野心」や「本当の気持ち」を分析し、アドバイスをしていたとも考えられます。
ただ夢占いというものではなく、今でいうメンタルケアの様な役割だった可能性もありますよね。
まとめ
こちらでは初夢についてまとめてきました。
古代の中国人から伝わり日本に入ってきた初夢文化は、今でもまだ信じられ根強い人気があります。
1年がハッピーになるアイテムを初夢で見ることはなかなか難しいところですが、もしも悪い夢を見ても人に話してしまえば大丈夫なので気にしないでいましょう。
まずは次の初夢を楽しみにし、1年どんなことが起こるのかを楽しみにしたいところですよね。