スーパーなどで買い物をしている時に、葱そっくりの野菜を見かけたことはありませんか?
おそらくその野菜はわけぎという名前の野菜で、見た目が葱に似ているので区別がつかないという方もいるかもしれません。
実は決定的に葱とわけぎには違うポイントがあり、食べ方にも影響が出てきます。
そんなわけぎと葱の違いとは、一体どこにあるのでしょうか。
こちらではわけぎについての食べ方や時期などをはじめ、意外にも知られいないわけぎについて、詳しくご紹介していきましょう。
わけぎの名前の意味と葱との違いとは?
わけぎと聞いても、そこまで葱との違いを意識して購入している方も少ないかもしれません。
大きな葱と小さな葱程度の違いくらいにしか思っていない、そんな方もいますよね。
実はわけぎは長葱ではなく、玉ねぎと掛け合わされた雑種なのです。
葱が好きな方もそうでない方も、葱の食べた時の食感や味に対しての特徴を意識する方が多いはず。
確かに葱は薬味として使う場合も、少しツンとした辛さとシャキシャキした食感がありますよね。
決して無臭と言うわけでは無く、鼻にくる独特の香りもあります。
ですがわけぎはその葱の良さでもあり悪さでもあるこれらの特徴を、かなりマイルドにした野菜であると言っても良いでしょう。
そもそもわけぎと葱の見分け方ですが、葱が長い直線状の野菜であることに対し、わけぎは下の部分が丸く球根型になっています。
これは当然わけぎがたまねぎとの雑種であるため、球根があるからであります。
わけぎがいつできたのかなどは解明されていませんので、品種改良されたのか、それとも何かの突然変異で自然に雑種として生まれたのかは謎。
ただ原産地はギリシャであることはわかっており、葱と同じであると考えるとやはり違和感が残りますね。
なぜかというと、葱の原産地は中央アジアや中国南部南部と言われているからです。
原産地などを考えてみても、わけぎと葱が別の物であるということがわかりますね。
一方で日本では広島県などがわけぎの収穫地として知らていますが、葱は群馬県の下仁田ネギや埼玉県の深谷ネギなども知られています。
生育の場所や気候も違うことから見ても、やはりわけぎと葱は別物であるという理屈は納得できますね。
またわけぎの名前の意味ですが、わけぎを漢字で書くと「分葱」となります。
漢字通り、葱が分かれるとかきますね。
球根で育つわけぎは、どんどん分かれて成長していくということから名前が付けられという説が有力です。
わけぎのおいしい時期と歴史
わけぎは現在通年を通してスーパーなどで買うことが出来る野菜の1つでもありますが、旬の時期は1月から3月頃。
わけぎの全国出荷率を見ると、実際は4月が一番多いとされていますが、鍋などで美味しく食べる薬味の利用法などを考えると冬場が人気があるのは頷けますね。
葱と玉ねぎの雑種と聞くと、いかにも最近できた野菜かのように思われがちですが、943年頃の日本の書物の中で「凍葱」という名前で登場していました。
そのことから見ても、相当前からわけぎが食べられていたことが伺えます。
もともとは葱の変種だと思われていたようですが、600年代の中国では薬学書にその名が記されているということもわかかっています。
わけぎには品種があまりなく、早生種と晩生種だけ。
早生種は春から秋頃にかけて収穫される、いわゆる「早採り」と言われているもの。
対して晩生種とは、夏から秋の初め頃に収穫されるもののをこと呼びます。
ただこれはひと昔前の話で、現在では通年を通して食べる事のできる食材ですね。
しかもふぐ鍋との相性が良いことでも有名ですが、これも広島県での栽培が多いということを考えるとふぐ鍋にわけぎを合わせるという発想も頷けます。
今でこそ全国、特に関東での出荷率も高いわけぎ。
基本的にわけぎは関西よりも西で育っていた植物であり、瀬戸内地方などの日本の中でも温暖な気候が特徴的な土地で作られていることが多いのです。
わけぎの栄養素とは?
さて気になるのが、わけぎに含まれている栄養素です。
風邪の時などに「葱をたっぷり入れたみそ汁などを飲むといい」と、幼少期に言われたことはありませんか?
もちろん葱にもその効果はありますが、わけぎにはさらに注目すべき栄養素が入っているのです。
まずはカロチンと、ビタミンCです。
ビタミンCは近年アンチエイジングの効果があるということで、女性に注目されていますよね。
ビタミンは皮膚状態なども良好にする成分ですので、乾燥しやすい冬場は特に欠かせません。
ではカロチンとは何なのでしょうか。
カロチンとは人参に含まれているという印象をお持ちの方もいることでしょうが、体内に入るとビタミンAに変わるのです。
このビタミンAが、実は風邪などを予防してくれる栄養素なのです。
ビタミンAは細菌に対抗できるように、人間の抵抗力や免疫をあげてくれる効果が期待されています。
やはり風邪と一言でいってはいても、原因となるウイルスはさまざまですよね。
しかも免疫力が無いと、ほんの少しの体調不良が長引いてしまったり、大病を引き起こしてしまう可能性だってあるから怖いのです。
ビタミンCはそんな風邪を予防してくれたり、体の疲労をとってくれるという働きがあります。
つまりわけぎを食べる事で、健康的な体を作りやすくなるということが言えるでしょう。
またわけぎには辛みはないものの、少し独特の香りがあります。
この香りは硫化アリルという物質のせいで、ビタミンB1を摂取する効果を高める事が期待できます。
香りの特徴としては、にらやにんにくと一緒。
この2つの香りが平気であれば、わけぎも問題なく口にすることができるでしょう。
わけぎの生産量が多い場所の秘密
先ほどわけぎは広島県で多く作られているとお話しました、また最近では関東でも作られているともお話ししましたよね。
実際のところわけぎの収穫率とは、どの場所が多いのでしょうか?
実は1年を通して平均的に収穫率が高いのは、埼玉県、続いて千葉県、静岡県となります。
さらに驚くべきことに、東京、茨城県と続き、高知県などとなっているのです。
この収穫率の高い場所に東京が入っていることは驚きですし、上位に広島県が入っていないのも気になるところ。
実は広島県が年間のわけぎの収穫率が高くないのは、2月と12月しか取り扱いがないからです。
もちろん広島県にいけば、農家の方が販売しているものに出会えることもあるのかもしれません。
ただ基本的には広島県はこの2ヵ月の間だけを全国に出荷としている様で、このことが出荷率の低さに影響していることは事実でしょう。
一方で関東近辺の場所では、ほぼ通年出荷が普通。
ピーク時期などはあるものの通年で出荷されているため、わけぎをスーパーで見かける率が高いのですね。
葉ネギに対し食べやすいわけぎは、蕎麦やうどんをこよなく愛す日本人にとって、最適な薬味であることは間違いありません。
わけぎの食べ方と保存方法
わけぎを薬味として使うことは一般的ですが、他にもおすすめの食べ方があります。
それが「ヌタ」です。
わけぎは生で食べるのも良いですが、実は火を通して口にいれるのに相応しい食材。
わけぎをたっぷりの沸騰したお湯でゆでて、取り出したら味噌や砂糖などと和えて頂く「ヌタ」は、わけぎを使った代表的な料理の1つです。
またこのヌタにイカなどを混ぜると、おつまみにもなりますね。
火を通して美味しい食材である特性を活かして、卵焼きなどに混ぜたり、油揚げや小松菜などと一緒にごま油で炒めるのもおすすめです。
火を通すことで香りが薄まり食感も食べやすくなるので、苦手な方は好きな食材と混ぜて炒めためりするのも良いですね。
また保存方法ですが、わけぎは鮮度を維持するのが難しい食材です。
そのためできるだけ早めに食べないと、しんなりして美味しくありません。
どうしてもの場合は、濡らしたキッチンペーパーなどにしっかりくるみ、野菜室などで保存するのが良いでしょう。
この時わけぎを切らず、そのままの状態でしまいます。
また薬味や卵料理などに使う場合は、事前に切っておいたわけぎをラップにくるみ冷蔵庫にいれるのも良いですね。
万が一冷凍保存したいという方は、わけぎを沸騰したお湯でさっと茹でておきます。
そのわけぎの水気をとったら、ラップなどでくるみ冷凍庫に入れましょう。
もしも冷凍保存する場合は、水気をしっかりとっておかないと食べる時にぐにゃっとした歯ごたえになってしまうので気を付けて下さい。
こちらの方法での冷凍保存は、3週間前後もつので長く使うことができます。
まとめ
こちらではわけぎと葱の違いなどを説明しながら、旬の時期などをご紹介してきました。
それまでは葉葱とわけぎの違いを、考えたこともなかったという方もいることでしょう。
ですが実際に調べていくと、実は味も栄養素も少しずつ違っている事に気が付きます。
わけぎ独特の香りや味わいもありますので、葱との違いを楽しみつつ、体に良い栄養素を取り込みましょう。
冬場に失われがちな免疫力を付けるためにも、わけぎを意識的に口にすると風邪などが予防できるかもしれませんね。