日本では昔から山菜を採り、食べる習慣がありました。
農家が多かった古来の日本では、自給自足の生活は当たり前だったのでしょう。
そんな山菜の中でも、特に食卓に並びやすいのがわらびです。
ワラビなんて普段は食べないという方もいるかもしれませんが、山菜蕎麦やうどんに乗っている緑色のものがワラビです。
ふとした時に口にいれることになるワラビですが、収穫時期や食べ方の注意点などもあるようです。
こちらではワラビについての詳細をまとめ、次に食べる時に役立つ情報をご紹介していきましょう。
身近な山菜でもあるワラビの、収穫時期と自生場所の特徴は?
山菜採りと聞くと、山中の深い場所まで行かないと採ることができないと思われがちです。
ですが実はワラビはとても身近な山菜であり、そこまで深い山中まで入らなくても気軽に採りにいくことができる山菜の1つ。
ワラビはシダ科の植物であり、成長するにつれて先が枝分かれしてきます。
その枝分かれする前に摘んでしまうのが食べ頃であり、若いワラビが食すのに向いてます。
ワラビは日本全国に自生してる山菜ですが、特に山形県や秋田、新潟県などの比較的寒い地方の収穫率が高いことで知られています。
そうはいってももちろん関西地方でも採ることもでき、奈良県の若草山はワラビがたくさん採れるともいわれているのです。
ワラビは東北地方の自生率が高いのですが、その自生地は九州までとかなりの広範囲。
そのためワラビの収穫時期にバラツキはあるものの、基本的には春から初夏だとされています。
ただ暖かい地方では3月頃から、東北地方だと6月になることもあるので、月だけでいうと違いも出てくることも。
ワラビが多い自生地の特徴としては、あまりに綺麗な田畑や山中ではなく、日当たり良好の雑木林や手入れの行き届いていない茶畑など。
さらに前年のワラビの枯れ草が残っているところが、ワラビの自生地を探すポイントでもあります。
もしもワラビが枯れたような痕跡がない場合は、ワラビが自生している可能性はほぼありません。
ワラビを探す場合は、前年の枯れたワラビがあるかどうかを目安にすると良いでしょう。
このことからも、綺麗に手入れされている土壌では、自生しにくい山菜であることがわかりますね。
ワラビの食べ方の注意点は灰汁抜きをすること!
ワラビは灰汁が強いことで知られ、食べる際には必ず灰汁を抜かないといけません。
灰汁抜きと聞いたことはあるけどやり方を知らない、そんな方の参考になるように灰汁についての知識と、灰汁の抜き方をご紹介していきましょう。
そもそも灰汁とは、その植物が持っている渋さや苦味のことを言い、食べやすく水に浸すことなどを指します。
確かに灰汁を抜くと山菜が食べやすくなり、食用として使いやすくなるのです。
ただ注意したい点としては、ワラビなどの植物には水溶性の栄養が含まれていること。
あまりに長い灰汁抜きは、ワラビそのものの栄養を流してしまうことにもなりかねません。
だからといって、あまりに短時間でしっかり灰汁抜きをしていないと、中毒を引き起こしてしまうとも言われているのです。
灰汁抜きのやり方にも種類があるのですが、一番知られているのは沸騰したお湯の中に重層か木炭を入れてワラビを入れる方法でしょう。
沸騰する前に火を止め、そのまま落とし蓋などをして自然に冷めるのを待ちましょう。
冷めた頃に水を変え、さらに一晩そのまま浸しておきます。
灰汁抜きをしたワラビの理想的な状態は切り口にぬめりがあることと、適度な歯ごたえ。
あまりに茹ですぎると、このぬめりがなくなる上に、歯ごたえがまるで無くなってしまいます。
良く山菜の小袋をスーパーなどで見る事がありますが、あれは水分に浸かって販売されていることもあり、歯ごたえが柔らかいのが特徴。
実際のワラビはポキッという歯ごたえを楽しむことができるので、それを目標として灰汁抜きをするのがおすすめです。
灰汁抜きをしたワラビの保存方法とは?
せっかく手間暇かけて灰汁抜きをしたワラビですから、できるだけ保存をして味わいたいですよね。
ただワラビはそこまで鮮度が持たない山菜ですので、基本的には早めに食べる事をおすすめします。
また生のワラビは2日も持たないので、どうしても保存したい場合はすぐに灰汁抜きをしてしまいましょう。
灰汁抜き後に関しては、もしも2日前後で食べる予定があるのであれば、水に浸してタッパなどにいれ冷蔵庫に入れます。
容器の水をこまめに変えることで1週間ほどはもつとも。
ですが基本は3日前後で食べきってしまうのが理想ですね。
それ以上保存したいということであれば、灰汁抜きをして良く水気を切ったワラビをフリーズバックなどにいれ冷凍庫に入れるのもおすすめ。
必要な時に使いたい分だけを解凍し、使います。
さらにそれ以上の長期保存をしたい場合は、塩漬けや干物にするという昔ながらの方法も。
ワラビが大量に手元に残ってしまうなどの理由で長期保存目的の方は、灰汁抜きをした時点で乾燥させてしまうのも1つです。
他には生のワラビに塩をまぶしてしまい、塩蔵してしまうという方法もあります。
味噌などに付け込んで、長期間食べるということは昔からされていたと言います。
食べ物の有難みや植物の生態を知るためにも、自分で山菜採りに行き、食べ方を考える機会を持つのも面白いかもしれませんね。
ワラビ餅の意味はワラビから来てるの?
和菓子の代表とも言うべきワラビ餅は、比較的ヘルシーな甘味として知られていますね。
透明のプルンとした餅ともゼリーともいえる見た目で、きな粉と黒蜜をかけて食べるのが人気です。
そんなワラビ餅ですが、色見だけを見ると緑色をしていませんし、あの山菜のワラビと関係があるのかが気になるところ。
実はワラビ餅は、ワラビの根っこのデンプンで作られていたというのが名前の由来のようです。
ワラビの根の部分にはデンプンが含まれており、それを取り出して乾燥した後、練って作られたのがワラビ餅。
もともとの起源を調べてみると、平安時代まで遡ります。
醍醐天皇の好物であったとも言われているワラビ餅は、とても高級な菓子でした。
最初のものは中に餡が入っていたものだったようで、まだ現在のワラビ餅ではなかったのです。
鎌倉時代になると中国からの食文化も伝わり、その中で段々と今のワラビ餅の形が生まれました。
当時貴族たちのお茶のお菓子になるほど、やはり高級なものであったことには変わりません。
ただ実はワラビの根っこから採れるデンプンの量は、1つのワラビから0.007%ほど。
数値で見るとワラビの根っこ1つから採取できるデンプンが少ないということは、一目瞭然でしょう。
つまり、実は現在店先で売られているワラビ餅は、ワラビのデンプン100%のものではないということです。
他の物質を混ぜて作り出す作業は江戸時代頃からはじまりました。
ワラビの根っこのデンプンがあまりに少なかったことで高くなってしまい、くず粉を混ぜてワラビ餅を作るということが当たり前になりつつあったのです。
本当に100%のワラビ餅は、透明ではなく黒い色になると言います。
つまり今買うことができる半透明のワラビ餅は、限りなくくず粉でできていると言っても良いでしょう。
くず粉で作られた餅は、ワラビのデンプンで作ったワラビ餅と食感が似ていると言われています。
現在簡単に手に入るワラビ餅は、タピオカのデンプンや芋のデンプンで作られていることが多いはずです。
もしも気になる方は「本ワラビ粉」であるかどうか、購入前に表記を見ましょう。
手軽に買い求めることができる価格帯のもので、本ワラビ粉のものはほぼないと言っても良いかもしれません。
ワラビを採りに行くなら、おすすめ場所は?
ワラビは比較的身近な山菜であり、全国に自生しているので採りにいきやすい植物です。
ですが自分だけで場所を探すのは大変ですよね。
こちらではワラビ採集におすすめの場所をご紹介しましょう。
まずは栃木県の日光市で、日光市にある国立公園付近では山菜が採れる事で有名です。
山菜意外にもキノコ狩りなどもできるので、春から秋は観光客でにぎわうことも。
その次におすすめなのが、千葉県の君津市です。
または群馬県もおすすめ。
温泉地としても人気の群馬県では、山菜採りなどの自然体験をする場所があることで家族連れで賑わいを見せます。
比較的関東地方では山菜採りをイベント化しているところもあるので、お子様がいる方などは行かれてみるのも良いでしょう。
まとめ
こちらでは山菜の1種であるワラビについて、灰汁の抜き方やその必要性などをはじめまとめてきました。
山菜は日頃そこまで意識して食べないという方も多いことでしょう。
ですが実は全国に自生している山菜で、とても身近なものなのです。
うどんなどの具材として何気なく口にしているワラビではありますが、自分で採って食べると歯ごたえなどの面で新しい魅力を引き出してくれることもあります。
大してワラビを食べたことがないという方は、ぜひワラビについて知識を得て興味を持ってもらうと小さなお子様への食育になるかもしれませんね。