暖かい時期になると、シソの爽やかな味が恋しくなる人も多いのではないでしょうか?シソは、何となく一年中店頭で見掛けるため、いつか旬なのか分からないものです。
旬の時期には、より栄養価の高い、新鮮なものを手に入れることができます。ここでは、そんなシソについてのアレコレを詳しくご紹介します。
シソとは?どんな植物?
紫蘇(シソ)とは、シソ科のシソ属に分類される植物です。非常に品種が多いのが特徴です。チリメンジソ、マダラジソ、アカジソ、アオジソなど様々な品種があります。
ヒマラヤや中国南部が原産地で、日本には中国より伝わったとされています。葉の色が赤いものは赤ジソ、青いものは青ジソと呼ばれていて、葉の皺が多いものがチリメンと呼ばれています。
高さは1メートルくらいになる一年草で、直立して育ちます。シソは、比較的手が掛からず育てることができるため、ガーデニングのような自家栽培にも人気があります。香りが強いため虫もつきにくいのですが、特定の虫が好んで食べるため、注意が必要です。
シソと呼ばれる由来は?
シソがその名前になった理由は、大昔に蟹を食べたことによる食中毒にかかった者に、シソの葉で作った煎じ薬を飲ませたり、シソそのものを食べさせることにより、死の淵から蘇ったという伝説からその名前が付けられました。シソは紫蘇という字を書くのですが、「紫色の蘇る草」という意味があります。
また、青じそのことを「大葉」と呼ぶのにも理由があります。紫蘇には、葉の状態で売られている物と、穂の状態で売られている物、実の状態で売られている物とがあります。穂紫蘇は熟さない実が付いたものです。全てを紫蘇として売ると、間違いが起きてしまうため、シソの生産組合が葉の紫蘇と穂紫蘇、紫蘇の実とを間違えないために「成長した青紫蘇の葉」といういう意味で「大葉」と名付けたのです。この名付けにより、消費者が勘違いをして購入してしまう事も減り、レシピなどでの表記も楽になりました。因みに、名付けられたのは昭和39~40年頃のことですので、大葉という名の歴史はそこまで古くはありません。
大葉(青じそ)と赤じその用途の違いは?
スーパーマーケットなどで年中目にする大葉とは、シソの中でも青じそを指します。大葉は、様々な料理のレシピにも使われていて、シソの中でも一番メジャーなものといえます。そうめんや刺身などの薬味、肉などに巻く、そのものを天ぷらや醤油漬けなどにして食べるといった具合に、様々なシーンで活躍します。青じそドレッシングなども根強い人気を誇ります。独特の爽やかな風味が特徴で、中にはそれを苦手とする人もいます。
赤じそは、主に梅干しや梅漬けの色付けとして使われています。赤じそには、シアニジンという色素の成分が入って居るため、それを梅干しなどに付けるのです。赤じそを用いることにより、独自の爽やかな香りや風味が付きます。
赤じそは、それ以外にもふりかけに使用されたり、ジュースにしたり、七味唐辛子などに入れられたりもします。
赤じそは、大葉のようにそのまま食べるという使い方はしません。
シソの実も食べられる
シソは、葉や花穂だけでなく、実も食べることができます。シソの実は醤油漬け、塩漬け、つくだ煮などにして食べますが、独持のプチプチとした食感がおもしろく、根強い人気があります。瓶に入れて漬けておけば、ご飯に乗せて食べたり、即席の漬物の味付けに使用したり、パスタの味付けにしたりと様々な使い方ができます。シソの実も爽やかな香りがして美味しいものです。
シソの実にはαリノレン酸という油が多く含まれていて、悪玉菌の増殖を抑える素晴らしい効果があります。抗酸化作用も強く、身体の疲れを取り除く効果も期待できます。
シソの実はなかなか大量に市場には出回りませんが、見掛けたら食べてみる価値はありそうです。
赤じそをゆかりと呼ぶのはなぜ?
赤じそで一番有名なのが「ゆかり」ではないでしょうか?誰もが一度は食べたことがあるでしょう。ゆかりは、赤じそを乾燥させて、粉末状にしたものです。
では、なぜ赤じそなのに「ゆかり」と呼ばれているのでしょうか。
実は、ゆかりという名前が付けられたのには、その色に理由がありました。古今集に出てくる詩の中に、紫色=ゆかり色という表現があり、紫をゆかりと呼んでいるのです。
このことから、食品会社が商品名としての「ゆかり」という名を付けたのです。紫色のご飯→ゆかりご飯と呼ばれているのも、そのことからです。
シソの栄養素は?
シソには、ビタミンA、B、C、E、鉄、カルシウム、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。中でもビタミンA(βカロチン)が非常に豊富です。シソの香りにはペリルアルデヒドという防腐・殺菌効果のある成分が含まれています。生ものの薬味に添えられていたり、肉などに巻かれたりしているのは、この防腐作用、殺菌作用を狙っているともいえます。アニサキスなどの殺虫効果も期待できるとされているほどです。
また、香り成分には食欲増進作用もあります。夏の暑い時期にそうめんなどの薬味として摂ることは、爽やかさと食欲増進効果により夏バテをし辛くする目的もあるのです。
シソの育て方と注意点は?
万能に使えるシソを自分で栽培したいと考える人も多いのではないでしょうか?シソの育て方は、比較的簡単で、農業初心者でもプランターなどで収穫できるようになります。
種を蒔く場合は、4月~6月頃まで、苗を植える場合は5月~7月頃までです。収穫は6月~10月頃までが目安です。
発芽や生育の適温が20~25度位ですので、暑くなる時期までには根付くようにすると良いでしょう。乾燥に弱いため、たっぷり水やりをします。収穫期になっても肥料を与えることで大きな葉ができます。市販の培養土を使うと手軽です。育て方が簡単とは言え、あまり放置し過ぎると枯れてしまいます。
本葉が10枚以上になったら収穫できますが、始めの方が堅くて味も良くありません。下の方に出る若い葉の方が美味しいのです。夏の終わり頃までどんどん生い茂るため、食べる分だけ摘み取っていると、どんどん固くなってしまいます。若い葉のうちにある程度まとめて摘み取って保存しておくと良いでしょう。
夏も終わりに近付くと、花穂ができます。花穂を摘み取らずに放置しておくと実じそができます。
このように、育て方が簡単で多くの収穫ができるシソですが、病気や害虫に襲われることがあります。病気は肥料をたっぷりあげ、水はけを良くすることで多くが防げます。また、害虫を見付けたら即退治をしましょう。異変に気付くために、放置はせず、毎日一回は観察する時間を作ることも大切なのです。
シソの旬はどの時期?
前述の通り、シソは春先から初夏にかけて種蒔き、苗植えをして、夏から初秋にかけて収穫をします。気温25度位までが一番成長しますので、夏の時期が旬といえます。旬が終わった秋頃から種が付きます。その種を採取し、乾燥しないように工夫をして翌年の春まで冷蔵庫保管しておきます。種が採取できない場合は、そのままにしておくと土に落ちます。土に落ちた種は、冬の寒い時期は休眠し春になったら自然に芽吹くとこがあります。
スーパーなどでは冬の時期を含め一年中店頭で見掛けますが、気温が下がらないように管理された環境で育てられたものなのです。
大量のシソを保存するには?
シソや大葉を自家栽培したり、大量に貰ったり、安く購入したり一度に食べきれない場合、どのように保存をしたら良いのでしょうか。シソは乾燥や気温に弱いため、常温保存には向きません。常温に放置するとすぐに萎れてしまいのです。そのため、冷蔵及び冷凍保存をしましょう。
冷蔵保存をする場合も、ラップや袋を使用し乾燥を防ぎましょう。軽く濡らしたキッチンペーパーなどで巻いて、ラップやビニール袋へ入れておくと良いでしょう。冷蔵保存の場合、2週間以内に食べきるようにしましょう。
瓶などに水を少し入れ、そこへシソの茎を差し冷蔵庫保存をする方法もあります。この場合は毎日水を変える必要があります。
冷凍保存は、水気を拭き取り、数枚ずつキッチンペーパーで包みます。カットしてジップロックなどに入れて冷凍庫保存することもできます。冷凍保存の場合は、2~3ヶ月ほど持ちます。
まとめ
シソは古くから漢方としても用いられている歴史の深い植物です。特に青じそ(大葉)においては、現代でも非常にポピュラーな食べ物で、多くの人に愛されています。栄養価も高く、葉から花穂、実まで美味しく食べられるため、和食に限らず様々なシーンで活躍します。育て方も難しくないため、自家栽培も比較的簡単にできます。ガーデニングの初心者でも充分できますので、暇があれば自分で作ってみてはいかがでしょうか。