卯の花をご存知でしょうか?自分で料理をするという人や、食材の買い出しのためにスーパーなどに頻繁に出入りする人であれば必ず一度は目にしたことが有ると思います。また、給食メニューなどで見たという人もいるのでは無いでしょうか?
日本国内であれば非常にメジャーなものなのですが、一体どんなものなのでしょうか?ここでは、卯の花について詳しくご紹介します。
卯の花とは一体どんなもの?
卯の花とは、うつぎ(空木)の花のことを指します。うつぎは、白い花をつける植物です。
でも、卯の花と聞くと、日本人はうつぎの花よりも、大豆の搾りかすである食べ物の方を思い浮かべる人が大半では無いでしょうか。豆腐や豆乳を作る際に出る大豆の搾りかすは、「おから」「きらず」とも呼ばれています。店頭などに並んでいるものも、卯の花、おから、きらずなど様々な名称で売られていますが、これらは基本的に同じものといえます。きらずは雪花菜と漢字で表記されることもあります。なぜ、大豆の絞りかすが卯の花と呼ばれるのか?という疑問が浮かぶかもしれませんが、おからの白い見た目が「うつぎの花のよう」という例えから、卯の花と名付けられたともいわれています。
卯の花や雪花菜などは、和食店のメニューでも映える呼び名です。そのため、和食の世界では、食材そのものよりも料理されたものを主に指すともいわれています。
卯の花は栄養価が高いって本当?
卯の花は、非常に高い栄養価を誇ります。
低カロリーなのに高たんぱく質で、血糖値や糖質を気にする人にも良い食べ物です。大豆が原料なので食物繊維が多く、思いの外お腹に溜まりますので、食べ過ぎ防止にも良い食材です。卯の花に含まれる食物繊維は、水に溶けないものです。この食物繊維の働きが、大腸ガンなどの予防にもなります。
卯の花には、大豆のカルシウムも多く残っていますし、大豆たんぱく質も多く残っています。このたんぱく質には、善玉菌を活性化させるオリゴ糖が含まれています。
原材料が豆腐ですから、女性は積極的に摂取したいイソフラボンも含まれています。美味しく食べて健康にも良い食材なのです。
卯の花の美味しいレシピ
おからや卯の花は、安価で非常にローカロリーです。煮物などのお惣菜に使うのはもちろん、ハンバーグや肉団子など挽肉料理のカサ増しや繋ぎとして、クッキーやケーキなどお菓子の小麦粉代わりに使用できます。様々なレシピに使用されていて、近年では、小麦粉のアレルギー対策などにも用いられていたりします。料理に適量用いれば、本来の料理の邪魔をすることもなく自然と使えるのです。
多くのレシピがありますが、ここでは、一番ベーシックな卯の花の煮物のレシピを紹介します。
卯の花の煮物(4人分)
<材料>
- 卯の花/おから・・・200g
- ちくわ・・・2本
- ニンジン・・・半分
- ネギ・・・半分
- シイタケ・・・3~4枚
- 水・・・1カップ
- 砂糖・・・大さじ1
- 顆粒だし・・・小さじ半分
- みりん・・・大さじ2
- しょうゆ・・・大さじ3
- 酒・・・大さじ1
- 油・・・適量
<作り方>
ちくわは薄切りし、しいたけは軸を取り薄切り、ネギは小口切り、ニンジンは2㎝幅に切り5㎜程度にスライスします。
鍋に油を熱し、カットしたニンジンやしいたけ、ちくわを炒めます。野菜に火が通りしんなりしてきたら、卯の花を加えます。ざっと炒め、酒を加え、水、調味料を全て加えて蓋をします。焦げ付かないように7~8分程煮たら、ネギを加え更にネギに火が通るまで煮ます。
卯の花が水っぽいもの、乾燥しているものとありますので、加える水は微調整すると良いでしょう。これで、美味しい煮物のできあがりです。
パウダー状のものが大人気!
おからや卯の花というと、生のものを思い浮かべますが、近頃では手軽に振りかけられるパウダー状のおから、卯の花も売られています。パウダー状のものであれば、生で売られているものよりもはるかに長持ちしますし、持ち運びや使う際にも便利です。
いつもの料理にかけるだけで、大きく味を変えずに食物繊維など卯の花が持つ栄養価を摂取できます。また、スープなどに入れると少々とろみが付きますし、料理のカサが増します。忙しい時でも、食べ物、飲み物に手軽に入れることができ、味の邪魔をしません。そのため、継続しやすく、自然と食べ過ぎを防止し、ダイエット効果に繋がるのです。
メディアでも、おからパウダーなどのダイエット効果や健康効果を取り上げており、大人気となっています。
生のおから、卯の花として使いたい場合は、3~4倍ほどの水で戻して使用できます。
卯の花のリメイク料理も美味しい
卯の花は、たくさん手に入ってしまった場合や、煮物などを作り過ぎた場合にも、リメイクして別の料理として最後まで美味しくいただけます。
卯の花の煮物にジャガイモなどを混ぜてコロッケにしたり、挽肉と混ぜてピーマンの肉詰めにしたり、お好み焼きの小麦粉として少し混ぜても、ポテトサラダに加えても美味しいものです。山芋と混ぜてチーズを掛けグラタンのようにしても絶品です。
卯の花の煮物は、それだけでも味が付いていますので、味付けも非常に楽なのです。安価な卯の花を常備菜としてたくさん作っておく家庭も多いと思いますが、味に飽きてしまったり、家族がもう誰も喜んで食べてくれなくて、結局廃棄してしまうこともあります。そんな時は、いっそのことリメイクして、別の料理として使いましょう。
おからや卯の花を保存するには?
おからや卯の花は比較的安価に手に入ります。でも、思ったよりもアシが早く、急いで食べきらないとすぐに悪くなってしまいます。そのため、食べきれないほどたくさんある時は、冷凍保存をしておきましょう。
生のおからや卯の花であれば、一回分ずつ小分けでラップをして冷凍します。味を落としたくない場合は、少し面倒ですが、乾煎りをしてから充分冷まして、小分けにラップをして冷凍します。
冷凍保存であれば、一ヶ月ほどは美味しく食べられます。使う際には、自然解凍してから調理に使いましょう。
卯の花はいつの季語?
卯の花は初夏の季語になります。俳句や短歌、和歌の世界では、卯の花=うつぎの花として詠んでいます。うつぎの花は、5月の中旬から6月頃まで、白い花を咲かせます。旧暦の4月、即ち卯月(うづき)に咲く花なので、うつぎと呼ばれるようになったとされています。初夏に花を咲かせることから、その時期の季語となっています。
歴史上有名な俳人も卯の花を詠んでいます。
「夕月夜 ほのめく影も 卯の花の さけるわたりは さやけかりけり」藤原実房
「梅恋ひて 卯の花拝む 涙かな」松尾芭蕉
「卯の花の こぼるる蕗の 広葉かな」与謝蕪村
「卯の花や 盆に奉捨を のせて出る」夏目漱石
このように、卯の花という季語で美しい表現をしています。
自分で大豆から作りたい!
おからや卯の花を大豆から自分の手で作りたい!という人もいるのでは無いでしょうか?確かに、使いたい時に限ってスーパーや豆腐屋に売っていないということもあります。そんな時に、自分で作れると心強いですね。
実は、自分の手で大豆から作ることが可能なのです。
まず、大豆100gと水4カップを用意し、軽く水洗いした大豆を浸しておきます。大豆の大きさが3倍程になるように漬けます。気温にもよりますが、およそ半日です。目安として、水温+漬け時間=30になるようにしたいので、水温が20度の場合は10時間漬けるということになります。
ふやかした大豆と水400㏄をミキサーに掛けます。漬けた水を使っても構いませんが、400㏄に足りない場合は水を足しましょう。
ミキサーにかけたものを鍋に入れ、木べらでかき混ぜながら弱火で10分ほど煮ます。
ボウルにさらしや布巾などを広げ、煮た汁を全て絞ります。さらしなどは袋状になっているものが絞りやすく便利です。
絞った汁が豆乳で、その絞りかすがおから、卯の花です。大豆でなく黒豆で作ると黒いものができます。
自分で作った物はまた格別ですので、是非挑戦してみて下さい。
まとめ
卯の花は、豆腐や豆乳などを作る際にでる大豆の絞りかすのことを指します。卯の花は、おから、雪花菜(きらず)など別の呼び名もありますが、和食では卯の花の煮物など、おからではなく卯の花という綺麗な表現を主に使用しています。
安価なのに非常に栄養価の高い食材で、ローカロリーと使い勝手の良いものなので、小さい子供からお年寄りまで幅広い世代から愛されています。
大豆から自分で作ることもできますので、気になる人は挑戦してみることをおススメします。