結婚式や誕生日などのお祝いでよく目にするバラの花、花屋には多くの種類が並び、一番有名な花といっても過言ではないくらいです。こんなに有名なバラですが、ルーツをご存知でしょうか?いつ頃から日本でそんなにメジャーな植物となったのか?知らない人も多いと思います。ここでは、そんなバラについてを詳しくご紹介します。
バラとはどんな植物?
バラとは、バラ科バラ属の植物です。バラはツル植物で、茎や葉にトゲがあるものが多いのが特徴です。北半球温帯地域に主に生息していて、中国からミャンマー、チベット周辺が原産となります。この辺りから中近東やヨーロッパ諸国、アメリカ方面へと伝わりました。
多くが観賞用として栽培されていますが、ダマスクローズなどは、その花弁から精油「ローズオイル」を抽出し、香水やアロマに用いられています。花弁を蒸留すると「ローズウォーター」という液体が生成され、デザートの香料として使用されています。乾燥した花弁は、ガラムマサラなどに入れられて使われることもあります。日本でも、食用花(エディブルフラワー)として、
食べたり、ジャムやハーブティなどに使われることがあります。
バラの栽培の歴史は古く、紀元前1500年頃と言われています。この頃は、野生のバラが4種存在していて、それらを交配して幾つかの種が作られたとされています。バラは非常に愛されていましたが、中世ヨーロッパではその美しさや香りが人を惑わす良くない物とされ、修道院内で薬草として育てられるようになりました。ルネサンスの頃には再び人々に愛されるようになり、ヴィーナスの誕生など有名な絵画にもバラが描かれています。ナポレオンの母ジョセフィーヌもバラの愛好家で、バラ園を造り、19世紀半ばには3,000を超える品種がありました。
1867年には、ラ・フランスと呼ばれるモダンローズの第一号が誕生し、一年中花を咲かせるものとなりました。その後も黄色いバラや青いバラを作る取り組み、赤いバラなどをより美しくする取り組みなどが行われています。
日本のバラの歴史
日本は世界的にも有名なバラの自生地です。昔は「うまら・うばら」などと呼ばれ、万葉集にも登場しています。茨城県の由来もバラといわれています。江戸時代にはバラの栽培が盛んに行われており、来訪したドイツ人の著書にも日本でバラが作られていると記されています。明治時代になると政府が、ラ・フランスを取り寄せ、青山官制農園(現在の東京大学の農学部)で栽培させました。その後、バラが接ぎ木で増やせると分かり、生産量が増え、昭和の初期には一般にも普及してきました。第二次世界大戦中も、バラは大切に栽培され、戦争が終わるとすぐバラの展示会が各所で開かれ人々を癒しました。それからも、しばらくは、バラというと「庭のある家で育てる高価な花」のイメージがありましたが、近年のガーデニングブームでオールドローズなど比較的育てやすい品種が多くの家庭に再び普及しています。
また、花束などに用いられる切り花としてもバラは人気があり、様々な色や種類が店頭に並びます。
バラの花言葉は?
バラの花言葉は愛情です。ただ、バラは色や本数などでも花言葉が変わって来ます。
本数別の花言葉は以下の通りです。
本数 | 花言葉 | 本数 | 花言葉 |
1本 | ひとめぼれ、あなただけ | 13本 | 永遠に続く友情 |
2本 | この世界に2人だけ | 15本 | ごめんなさい、お断り |
3本 | 愛の告白 | 21本 | あなたに尽くします |
4本 | 死ぬまで変わらぬ気持ち | 24本 | 一日中あなたを想う |
5本 | あなたに出会えた喜び | 50本 | 恒久、永遠に不変 |
6本 | あなたに夢中 | 99本 | 永遠の愛 |
7本 | 密かな愛 | 100本 | 100%完全な愛 |
8本 | 思いやり、励ましに感謝 | 101本 | これ以上ないほどの愛 |
9本 | いつも一緒 | 108本 | プロポーズ、結婚してください |
10本 | 完璧なあなた | 365本 | 毎日あなたを想う |
11本 | 最愛 | 999本 | 生まれ変わってもあなたを愛す |
12本 | 私とお付き合いを願う |
また、色で見る花言葉は以下の通りです。
バラの色 | 花言葉 |
赤色 | 愛情、情熱、美、熱烈な恋 |
ピンク色 | 可愛い、上品、愛の誓い |
白色 | 純潔、清純、尊敬、あなたにふさわしい |
黄色 | 友情、平和、告白、嫉妬 |
青色 | 神の祝福、不可能、奇跡 |
オレンジ | 無邪気、絆、信頼 |
緑色 | 希望、穏やか |
紫色 | 尊敬、気品、誇り |
黒色 | 滅びぬ愛、あなたは私のもの、憎悪、恨み |
虹色 | 無限の可能性 |
赤地に白斑 | 戦争、争い |
このように、色や本数によっても様々な花言葉があります。中にはネガティブな意味を持つものもありますので、誰かに贈る際には、これらの花言葉の意味を考えて選んでみましょう。
バラを漢字で書くと?
バラという呼び名は日本だけのもので、いわゆる和語となります。「いばら」という言葉からバラへ変わったとされています。
漢字で書かれる「薔薇」の表記は漢語であり、「そうび」、「しょうび」などと読まれます。
漢字で書く薔薇は、非常に難しいため難読漢字として有名です。
また、日本で薔薇色というと、ピンク色を指します。
一般的にバラは春~夏に咲くことが多いため季語は夏になりますが、冬薔薇(ふゆそうび)は冬の季語となります。
バラは、慣用句や熟語などにも用いられています。
「綺麗な薔薇にはトゲがある」・・・美しい外見に惑わされると危険という意味があります。
「アンダーザローズ」・・・秘密という意味があります。
「there’s no rose without a thorn」・・・この世に完璧な幸福はない、誰にでも弱点はあるという意味があります。
日本語には「いばら」という言葉があり、これも薔薇が語源となっています。古くはバラはいばらと呼ばれていました。でも、現在ではトゲのある木を指す言葉となっています。また、辛く険しい道を「いばらの道」などと表現します。
バラを美しいドライフラワーにするには?
バラの花は比較的長く楽しめるものですが、完全に枯れてしまう前にドライフラワーにすれば、もっと長く楽しむことが可能です。バラのドライフラワーであれば、そのまま飾っても、アレンジしても存在感があり美しいものです。
バラをドライフラワーにする場合は、ハンギング法とシリカゲル法、ドライインウォーター法という3通りの方法があります。
ハンギング法は、日光が直接当たらず、風通しの良い所に吊るし乾燥させる方法です。乾燥させた花は少し小さ目になりますが、葉まで綺麗に残せます。茎に麻紐などを巻き付け、吊るします。たくさんの花を一度に吊るす場合は、少し感覚を明けておくと早く仕上がります。この方法を使うと、色が褪せ、独特の色味を醸し出します。
シリカゲル法は、100円均一などでも売られているシリカゲルを利用する方法です。雨続きの湿気が多い時期でもドライフラワーを作る事ができ、美しい色も残すことができます。ある程度高さのあるタッパーに3分の1くらいシリカゲルを入れ、バラを置きます。バラが少し埋まるくらいにします。上からもそっとシリカゲルを掛けていき、シリカゲルに埋めます。同時に数個作る際は、埋める花同士が重ならないように間隔をあけましょう。
この状態で蓋をして1週間ほど置きます。花びらが取れたり破れたりしないように取り出す際には注意します。
ドライインウォーター法は、フラワーベースに花をさしたまま乾燥させていく方法です。水は少な目で構いません。茎の先が浸かるくらいです。直射日光の当たらない風通しの良い場所に置きましょう。
ドライフラワーは、そのまま束ねて飾りにしたり、ポプリなどに用いられることが多いものですが、近年ではハ―バリウムを作る材料としても人気があります。
世界のバラはどんなもの?
バラは世界の各地域で様々な種類があります。
- ヨーロッパでは、ロサ・アルバなど
- 中近東では、ロサ・フェティダなど
- 中国では、コウシンバラなど
- 北米では、ロサ・キンナモメアなど
- 日本では、イザヨイバラや、ノイバラ、サンショウバラ
などが有名です。
世界中で愛されているバラですが、日本の大きなバラ園などで一度に様々な種類を見ることができます。興味のある方は一度覗いてみても良いかも知れません。
まとめ
バラは、様々なシーンで目にする非常に有名な花です。
古代ギリシャや古代ローマでは、バラは愛の女神やビーナスと考えられていました。クレオパトラもバラの花や香油を愛用していました。
今でも各世代から愛され、見る者を豊かな気分にさせてくれています。バラをモチーフにしたアクセサリーも人気がありますし、ドライフラワーや美容品、食用にも使用されています。
日本で咲くバラは初夏に満開を迎えるものが多いものですが、様々な品種が有り、一年中綺麗に見られるという珍しい特徴を持つ花です。ドライフラワーにするとより長く楽しめますので、是非挑戦してみて下さい。