小さく愛らしい冬の野鳥「真鶸(マヒワ)」は、越冬のために日本へ飛来する冬鳥です。
オスとメスで少し色が違うのですが、オスの方は黄色い羽毛が鮮やかで印象的。
とても可愛らしい野鳥・真鶸(マヒワ)についてもっと詳しく知りたい、ペットとして飼育できるのか気になるという方もいらっしゃるでしょう。
今回は、真鶸(マヒワ)の見た目や鳴き声、生態に加えて、日本で見られる時期や飼育できるのか、といった情報を詳しくご紹介していきます。
真鶸(マヒワ)の見た目や鳴き声・特徴などを解説!
まずはマヒワがどんな鳥なのか、見た目や特徴、生態などを詳しく見ていきましょう。
スズメより小さい!オスは黄色い羽毛が鮮やか
マヒワは冒頭でも述べたとおり、小さな鳥です。
スズメに比べて一回りほど小さく、その全長はおよそ12.5cm。
色味や柄はオスとメスで少し異なり、簡単に見分けることができます。
オスの真鶸 |
頭頂・喉は黒。顔~胸・腰は黄色い。 |
メスの真鶸 |
オスより黄色味は薄く、褐色系の黄緑にも近い。 |
このようにメスよりもオスの方が黄色が強く、頭頂部の黒とコントラストがハッキリしているところが特徴です。
黄色の強さには個体差があり、お腹まで黄色い羽毛で覆われているオスもいるようです。
尻尾を見るとオスの方が黒くて、メスは全体的に体が白味がかっています。
体全体の形状はオスもメスも変わりがないので、基本的には色や模様で判断するようにしましょう。
ちなみに幼鳥は、成鳥よりもまだ体色が薄く、とくにメスの場合は黄色よりも白味が目立つことが多いようです。
真鶸(マヒワ)の鳴き声は「チュイーン」と高い
マヒワの鳴き声は「チュイーン、チュイーン」といった感じの細くて高いもので、どちらかというとボリュームは小さめになります。
また、「クチュクチュ」というように早口でさえずるときも。
1羽のみの場合はあまり大きくない鳴き声でも、何百羽も集まれば大音量のオーケストラに。
寒さが深まる時期になって「チュイーン」と聞こえてきたら、それはきっとマヒワの鳴き声。
本格的な冬の訪れを感じることができるでしょう。
ですが、マヒワはだんだんと数が減ってきている野鳥のため、マヒワを知っている愛鳥家の人でも鳴き声は聞いたことがない…ということも多くなっています。
もしマヒワらしき鳴き声が聞こえたら、ぜひ周囲を見渡してその可愛らしい姿を観察してみてくださいね。
真鶸(マヒワ)は群れで行動することが特徴
マヒワの特徴として、きれいな黄色い羽毛に加えて「群れで行動する」ことが挙げられます。
群れと聞くと「多くても20羽くらい」と考えている人も多いかもしれませんが、マヒワはなんと多い時で200羽くらいで群れているのです。
1羽は小さくても、群れていると迫力満点。
絵本の「スイミー」のようですね。
スズメのような小さい鳥がものすごい数で群れていたら、実はスズメではなくマヒワの可能性が高いのです。
目を凝らして見てみると、スズメのような茶色ではなくて鮮やかな黄色や黄緑色が見られるでしょう。
草食系!小さいクチバシを器用に使って木の実などを取る
マヒワは草食系で、主に種子や葉などを食べます。
小さい昆虫なども食べますが、基本は植物を食べる鳥です。
クチバシが小さいので、細かい隙間から種子を取ったりほじったりするのが得意。
器用なもので、枝につかまり、逆さまになながら松ぼっくりなどを取ることもできるんですよ。
体が小さいので小回りも利き、非常に運動神経のいい野鳥です。
生息地はユーラシア大陸!産卵期は夫婦で巣作り
マヒワはもともとヨーロッパ、アジア圏のユーラシア大陸に生息している鳥です。
繁殖期(初夏から真夏にかけて)の間は主にユーラシア大陸で過ごし、オスとメスで協力し合いながら枝の上に巣を作ります。
巣の中でしばらく生活したのち、メスは一度でお腹の中に3〜5個の卵を宿すのです。
卵を産んでからは、2週間近くメスが温めて孵化を待ちます。
孵化をした後2週間くらい経つと、ヒナは巣立っていくのです。
マヒワの寿命については野鳥のため調査が難しく、よく分かっていません。
真鶸(マヒワ)をペットとして飼育することはできない!
小さい姿が可愛らしいマヒワですが、1999年に行われた野鳥の「愛玩飼養制度」の変更によって、家庭での飼育は禁止されています。
マヒワは野鳥として生息しているので、人間の手が加わると生態系に悪影響を与えてしまうとされているのです。
真鶸(マヒワ)の「鶸」という漢字は、「弱い鳥」と書きます。
この漢字があてられている理由は、マヒワは飼育するとすぐに落鳥して死んでしまうからなのです。
マヒワをペットとして飼うことはできないので、広い外の世界を群れて羽ばたいている姿を眺めるのみにとどめましょう。
真鶸(マヒワ)の群れが見られる時期は10月下旬~4月頃まで
日本でマヒワの群れが見られる時期としては、少しずつ秋も深まって気温が下がってくる10月の終わりから春が訪れる4月くらいまでです。
基本的に気温が低くなっているときに日本へやってくる鳥なので、冬の時期が見頃ですよ。
日本では「冬といえばマヒワ」と言われるくらい季節感のある存在になっています。
通常は越冬のためだけに日本にくるマヒワですが、北海道などの寒冷地では一年中観察することができます。
北海道では寒さが厳しく、夏場でも本州に比べて気温が低い傾向にあるため、冬を越して夏になっても留まっている場合があるのです。
北海道以外の地域でも冬の間であればマヒワを見るチャンスがあるので、ぜひ探してみてくださいね。
真鶸(マヒワ)は針葉樹の森林などで多く見られる
マヒワは森林など、水や植物が多くある場所にいることが多いです。
逆に人が多くいる市街地や住宅街で見かけることは少ないので、都市部に住んでいる人は馴染みがないのではないでしょうか。
帯広畜産大学の調査によると、マヒワはとくに針葉樹の森林を好み、比較的に出現率が高かったとのこと。
また、標高が高くなるほど分布が多くなることも特徴。
5月中旬ころまでは平野部の森林などにも見られるものの、最も盛んに繁殖を行う6~7月には山でのみ観察されたそうです。
【参考】
帯広畜産大学:北海道中部・南東部におけるカワラヒワとマヒワの生息状況 https://ci.nii.ac.jp/naid/110006458095/
冬に集団で羽ばたいているか、針葉樹などの枝にとまっていることが多いマヒワ。
数が減ってきたこともあり、マヒワの可愛い姿を写真などに納めようと、機会をうかがっている愛鳥家の方も多いのではないでしょうか。
マヒワの姿を見てみたい場合は、人が多く集まらない森林などで静かに待ってみるといいですね。
真鶸(マヒワ)に似た鳥「カワラヒワ」とは鳴き声で区別しよう
マヒワを探していると、似ている鳥がいて迷ってしまうことがあります。
マヒワと間違えやすい似た仲間の鳥に「カワラヒワ」があり、見慣れていないと戸惑いやすいです。
カワラヒワはマヒワよりも一回り大きめ。スズメに近い体長で、空を飛んでいる姿もマヒワとそっくりです。
カワラヒワとマヒワを見分ける方法として、鳴き声をじっくり聞くことが挙げられます。
マヒワは「チュイーン」という鳴き声なのですが、カワラヒワの場合は時々「キリキリ」といった細かい震えるような鳴き声をあげるところが特徴です。
最初はマヒワかな?と思っても、じっくり鳴き声を聞いているうちにカワラヒワだと気付いた!ということも多いので注意してくださいね。
真鶸(マヒワ)は「鶸色(ひわいろ)」の由来にもなっている
日本では、黄味が強くて明るい黄緑色のことを「鶸色(ひわいろ)」と呼んでいます。
もう皆さんお分かりかと思いますが、「鶸色」という名前の由来はマヒワの体毛。その鮮やかな体の色から名付けられました。
冬の時期になると葉はほとんど落ちて、木も枝だけになって殺風景になります。
そんな寂しい木の枝に鮮やかな色のマヒワがとまることで、一気に景色が華やぐのです。
色の名前の由来となっていることからも、昔から日本人がマヒワのきれいな黄色に魅了されていたことが分かりますよね。
真鶸(マヒワ)の姿を冬の間にバードウォッチングしよう!
今回はマヒワが群れる時期、鳴き声や飼育方法などを詳しくご紹介してきました。
マヒワは秋も終わる時期から越冬のため日本におとずれる小さな鳥で、黄色い羽毛が美しく、群れで行動するところが特徴です。
鳴き声は「チュイーン」と可愛らしいですが、集団で鳴くと途端に賑やかになります。
可愛らしい小鳥ではありますが、マヒワは野鳥なので家庭で飼育することはできません。
人気の少ない森林に多く現れるため、似たようなカワラヒワと間違えないよう耳をすませながら待っていましょう。今回の情報を参考に、ぜひマヒワの可愛い姿を冬の間にバードウオッチングしてみてくださいね。