身内の葬儀に香典をもらった際、後々気になってくるのが「香典返し」についてですね。
いただいた方にはお返しを、と思うものの、お礼状も用意しなくてはいけませんから大変です。
近しい方が亡くなった後は何かと忙しく、心身ともに疲れてしまいますが、香典返しは最後の大仕事ともいえます。
今回は、悩んでしまいがちな香典返しのお礼状について、書き方など色々まとめてみましたよ。
香典返しにはお礼状が必要?
身内が亡くなって忌明けの後に、葬儀の際に香典をいただいた方へお返しをするのが香典返しです。
本来はお返しするお宅へ直接持参し、お礼の言葉とともに品を渡していたそうです。
現在はそういった形でお返しすることは難しいですが、香典をくださったことへの感謝を表すものですから、お礼状も一緒に贈りたいものですね。
香典返しを贈る際は、お礼状も忘れず添えるようにしましょう。
会社では「香典返しは不要」と言われたけれど…
会社などの公的機関によっては、香典返しを受けとらないようにとの規定もあるようです。
受けとる、受けとらないの違いが社員によってでることや、贈る側の負担をなくすため、という意味合いがあるようです。
決まりごとであるのならば、香典返しをする必要はありません。
しかし、いただいたものに対して何もお礼をしないのも角が立つというものですから、感謝の言葉を述べるということで、少なくともお礼状はお送りする方が良いでしょう。
その他、香典返しが不要の場合
会社の決まりでなくとも、香典返しが不要なケースがあります。
- 香典袋内に「香典返しは不要」と明記されている場合
- 葬儀の際に一緒に渡している場合
- ご香典としていただいたものが3千円未満であった場合
お相手が不要であると言ってくださっているにも関わらず、香典返しをする必要はありません。
わざわざ書き記しておいてくださっているので、相手のご厚意に感謝しつつ、お礼状だけお送りするようにしましょう。
また、最近では葬儀時に一緒にお渡しするスタイルも定着していますから、そういった場合もお礼状のみで問題ないです。
特殊なケースは、ご香典としていただいたものの金額が3千円程度のばあいです。
ご香典の相場は3千円以上のものと考えられていますので、この場合は「半返し」という言い方になります。
3千円の半分だから、ということですね。
こちらは別途、葬儀の当日に1000~1500円程度の品を半返しとしてお渡しするはずなので、香典返しは贈りません。
お礼状の文例が知りたい!手書きでの書き方について
どんな場面でも迷うのが手紙の書き方ですね。
法要の際のお礼状ですし、なおのこと気を遣ってしまうと思います。
こちらにいくつか文例もご用意しましたので、参考になさってください。
まずは用意するものから説明いたしますね。
- 準備するもの
巻紙タイプ:
「奉書紙」とよばれる和紙の一種を使った書き方です。横長であるため「巻紙タイプ」といわれます。
こちらに筆ペンや墨で文章を書いていきます。書き終えたら三つ折りにし、封筒に入れます。
セットで販売されていることも多いので、封筒はそちらを利用するようにしてください。封筒の表面には「御挨拶」と中央に書きましょう。
略式タイプ:
最近では「略式タイプ」といってカードにお礼文を書くスタイルも多くみられます。
右側に印字されている文言が見えるようにカード左側を折りたたんで、パタンと閉じてあるような形式のものです。
カードには、閉じた際中央になるよう「御挨拶」と印字され、また右端部分に「満中陰志」といった文言が印字されています。右端の文言下部に「○○家」と書くことを忘れないようにしてください。
略式タイプでも、書く際は筆ペンや墨を用いるようにしましょう。
こちらは封筒がないタイプで、このカードだけでお礼状としての体裁が整います。
ちなみに、略式タイプで書いたからといって失礼にあたるわけではありません。
ご自身や故人の雰囲気に合った書き方を選ぶと良いでしょう:。
また、どちらの方法をとっても、内容については以下でご紹介する文例と同様で問題ありません。
お礼状の文例
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謹啓
御尊家御一同様につきましては ますます御清禅にお過ごしのことと存じます
過日 母 ○○○ 儀 の死去に際しまして
ご繁忙中にも関わらずご憩篤なご弔慰を賜りまして
誠にありがたく厚く御礼申しあげます
おかげをもちまして
(※)
(故人の戒名)○○○
忌明けいたしました
(※)
お目にかかり御礼申しあげるべきところではありますが
略儀ながら書中をもってご挨拶申しあげます
敬具
平成〇年〇月〇日
(喪主名)○○○
*******
こちらは仏教式の書き方になりますが、
(※)で囲っている部分を以下のように変えることで、それぞれの宗教に対応した形になります。
- 神道、天理教:五十日祭を滞りなく営むことができました
- キリスト教(カトリック):追悼ミサを滞りなく営むことができました
- キリスト教(プロテスタント):記念式(または記念集会)を滞りなく営むことができました
全宗教仕様
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拝啓
先般 ○○○ 永眠に際しましては多くのご弔慰とご香典を賜りまして 誠にありがたく厚く御礼申しあげます
生前 故人がいかに皆様に支えられていたのかと 感謝の念にたえない思いです
皆様にお見送りいただき 故人も喜んでいることと存じます
つきましては 供養の印としまして 心ばかりの品をお送りいたします
今後とも何卒宜しくお願い申しあげます
敬具
平成〇年〇月〇日
(喪主名)○○○
*******
こちらはやや柔らかい印象の文章でもありますので、親しい友人宛にはこのような形でまとめるのも良いと思われます。
なお、全体のポイントとして、
- 句読点(、や。)をうたない
- 縦書きで書く
ということが挙げられます。
日本の伝統的な習慣の手紙となりますから、日本古来の縦書きで書くようにしましょう。
句読点をうたない理由は、法要が「止まる」ことなく、つつがなくできるように、という意味があるためです。
読みやすいように、通常句読点をうつような文の区切りには、
- 少し間をあける
- 改行する
などをすると良いでしょう。
規定のある会社にてお礼状を送る場合は?
香典返しを受けとらないようにと規定のある会社の方には、メールやはがきを用いてお礼状を出すという手もあります。
メールにて法要のお礼を送っても良いかどうかは、会社の雰囲気にもよりますので、無難な送り方としてははがきをお勧めいたします。
しかし昨今は自由な社風の会社も多いですから、そういった場合はメールでも構わないでしょう。
メールで送る場合
メールでお礼状を出すメリットとして、いっせいに送ることもできますし、個別で送るにしてもコピー&ペーストで簡単に送信できることが挙げられます。
メールを利用する際は、こういった形で書いてみてください。
*******
件名:葬儀ご参列の御礼
宛先:大勢にいっせいに送る際は、BCCを利用する
本文:
先日はお忙しい中、葬儀に参加いただきまして誠にありがとうございました。
過分なお心遣いをいただきましたこと、心より御礼申しあげます。
おかげをもちまして、つつがなく葬儀を終えることができました。
忌引き休暇中も多々ご迷惑をおかけしたことと思います。申し訳ありません。
本日より仕事に復帰いたします。
直接お伺いしてご挨拶すべきところではございますが、取り急ぎメールにて御礼申しあげます。
今後ともよろしくお願いいたします。
*******
メールを書く際は、手書き文と違い句読点を使って構いません。
また、「拝啓~敬具」のあいさつなども簡略化して良いとされていますのでご安心ください。
はがきで送る場合
こちらは先ほどご紹介した手書き文と同じように、縦書き、句読点なしで書くようにしてください。
しかし、パソコンでも印刷ができるでしょうから、手書きでなくても構いません。
筆を用いて書いたような「〇〇書体」といったタイプで印字すると良いですね。
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拝啓 亡母 ○○○ 儀 の葬儀に際しまして
ご多忙中にも関わらずご会葬いただき 誠にありがたく厚く御礼申しあげます
早速拝眉のうえ御礼申しあげるべきところではございますが
略儀ながら書中をもってご挨拶申しあげます
敬具
平成〇年〇月〇日
〒〇〇 (住所)〇〇〇
(喪主名)○○○
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お礼状は印刷でも大丈夫?
メールと同様に、最近ではお礼状は手書きでなくとも良いとされています。
自宅で印刷したものや、郵便局などのサービスを利用してお礼状を用意することも可能です。
通常のコピー用紙でも問題ないですが、紙質によっては和紙を使っての印刷もできます。
購入して用意する場合、柄や封筒付きのものなどもあり、また失敗がありません。
手書きで用意することで心がこもったお礼状になりますが、
たくさんの方にお送りする場合や心労が溜まっている場合は、無理をせずこういった方法をとることをお勧めいたします。
まとめ
香典返しにお送りするお礼状について、参考になりましたでしょうか。
文例は特に、普段書くことがない書き方であったりしますので、知っておくともしもの時に役立ちますね。
最近では様々なお礼状の用意の仕方もあり、そちらもご紹介いたしました。
近しい人が亡くなることは心身共に疲れが溜まりますから、くれぐれも無理をなさらないよう、ご自身に合ったお礼状の準備をしてくださいね。
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