数珠は法事用に持っているよという方もいるでしょう。
段、数珠はあまり使う機会がないですよね。
若い方などは持っていない方の方が多いかもしれません。
そんな数珠ですが、どのような意味があるのかは知っていますか?今回は数珠の意味や正しい持ち方や選び方についてご紹介します。
数珠の意味、知っていますか?
数珠は小さな玉を輪に通してお念仏を唱える際に手に掛けますよね。
このことから念珠とも呼ばれることがあります。
何故、お念仏を唱える際に数珠を使用するのでしょうか。
そもそも数珠を本格的に作る際は108個の玉を使用します。
108個と聞くとピンとくる方もいるかと思いますが、仏教でいわれる煩悩の数ですよね。
仏教において煩悩は我々を苦しめる元凶とされており、強欲や貪欲を表します。
大晦日にお寺から鳴り響く除夜の鐘を聞いたことがあるでしょう。
除夜の鐘を108回つくのは煩悩を拭うためという説もあり、仏教と煩悩には深い関わりがあるのです。
この108個の煩悩を表す珠からなるのが数珠です。
数珠の珠の中に房の付いているT字型の穴の開いている物がありますが、これを親玉と呼び数珠の中心とします。
ちなみに数珠の珠が丸いのは仏様の心を我々の心と通じ、丸く素直な心にするためといわれています。
そして本来、数珠は念仏の数を数えるためのものだったそうです。
現代では念仏を数えるために数珠を使うということが抜けて、そのまま法具として使われるようになったのです。
他にも数珠はお守りや厄除けともいわれることがありますよね。
数珠には珠の一つひとつに仏様が宿っており、我々の煩悩を引き受けてくれるといわれているのです。
数珠の歴史は古く、その由来は3千5百年以上前にあったバラモン教の聖典に記述されていた「連珠」というものが数珠の原型となったという説があります。
「連珠」は天界に住む護法神である毘沙門天、弁財天、梵天の持ち物だとされていました。
先程、数珠は念仏を数えるために使われていたとご紹介しましたが、ヒンドゥー教においても数珠を使用して祈りの数を数えていたとされているのです。
このヒンドゥー教の習慣をお釈迦様が仏教に取り入れ、中国へも伝わったとされています。
その後、552年に日本へ仏教が伝来しました。
この際に数珠も日本へ伝わったとされています。
現在とは異なりこの頃の数珠は大変貴重なものであったそうです。
一部の僧侶や貴族が使用し、庶民には伝わることはありませんでした。
756年に東大寺献物帳に聖武天皇が「国家の珍宝」として献納しており、この記録によると数珠の材質は金、銀、瑪瑙、琥珀、水晶、真珠などであったそうですから今考えても大変高価で貴重な物であったことが覗えます。
庶民へ数珠が浸透していったのは平安末期~鎌倉時代とされています。
この頃になると今まで国家や貴族間においての儀式や研究に使われていた仏教が民衆のために使われるようになりました。
これは鎌倉仏教といわれ、人々を助けるために生活の中で実践できる民衆でも分かりやすい優しい教えを説く宗派が生まれていきました。
この時代の数珠は各宗派によって使いやすく改良され、改良された数珠の形は現代の数珠とほとんど同じ形といわれています。
その後、江戸時代に入ると仏教はますます栄えていきます。
幕府が仏教を推進し国教として定めたためです。
江戸時代の人々は各お寺に檀家として入りました。
元禄年間になると数珠は一般にも売買が許され、数珠の解説書もあったそうです。
このようにして数珠は日本で広く使われていくようになりました。
数珠の正しい持ち方、知っていますか?
お坊さんや普段から仏教に関わる人でない限り、数珠を使う機会は限られているかと思います。
もちろんファッションとして使用している方もいますが大半の方は法事などで久々に使うという人ではないでしょうか。
普段、あまり使用しない数珠ですが正しい持ち方は知っていますか?宗派によっては多少異なるところもありますが、法事の際に役に立つ数珠の正しい持ち方をご紹介します。
① 座っている時は数珠を左手の手首に掛けましょう。
② 立ち上がり、歩く際には数珠の房を下にして左手で持ちます。
長い数珠は二重にして巻いてくださいね。
ちなみに仏教において左手は仏様の清浄な世界を表し、右の手は私たち信仰する者の世界を表しているといわれています。
他にも左手は不浄とされているので数珠によって浄化するなんて説もあります。
③ お焼香する際は合掌しますよね。
短い数珠の場合、数珠は合掌した親指と人差し指の間に挟みます。
長い数珠の場合は真ん中をクロスした後に両手の中指に数珠を掛けましょう。
二重にしてから短い数珠と同様に親指と人差し指の間に挟んでも問題ありません。
この時、短い数珠も長い数珠も房は真下に来るようにして、手はピンと伸ばしてください。
席を離れる際はその場にポンと置かないようにしましょう。
数珠は大切な法具ですからバッグやポケットにしまうのがマナーです。
ちなみに基本的に数珠の貸し借りはしません。
数珠は一人につき一つを持つようにしましょうね。
数珠は何を選べばいい?
数珠を購入する際は、どれも同じに見えますが宗派によっても形状が異なりますので、どれを選んで良いのか分かりませんよね。
もちろん仏具屋などに行けばお店の方はプロですから聞けば教えてくれると思いますが、初心者でも簡単に選べる数珠も多く売っています。
数珠の基本は108個の珠から成るとご紹介しましたが、それ以外にも略式された半数の54個やさらに半数の27個の玉からなる数珠もあります。
この数珠は「略式念珠」と呼ばれ、108個から成る数珠の方は「本式念珠」と呼びます。
本式念珠の購入を検討している場合は宗派によって形状が異なりますので自分の宗派のものを選びましょう。
一方、昔は片手念珠とも呼ばれていた略式念珠は宗派を問わずに使用することができます。
本式念珠も、他の宗派の法事に使用することはできますが、気になる方は自分の宗派には本式念珠を、その他は略式念珠を使用する方もいるようです。
どの宗派でも使うことのできる略式念珠を持つ方は多いでしょう。
初めて数珠を買うよという人には略式念珠の方が宗派も問わないので選びやすくお勧めですよ。
素材は木の実や天然石、香木や木製品などもあります。
どの素材を選んでも問題ありませんのでお好きな物を選びましょう。
色々と素材から大きさまでさまざまな数珠ですが、水晶の数珠は「千億倍の福が来る」や、珊瑚の数珠も「100倍の福がある」なんていわれています。
男性用の数珠はどんなもの?
本式念珠も略式念珠も男性用と女性用で区別されています。
本式念珠は宗派によって男女の数珠もさまざまですが、略式念珠の方は珠の大きさや珠数で男性用と女性用で区別ができます。
珠の数が18、20、22珠の場合は男性用とされており、華やかな女性用の数珠よりもシックな色合いの数珠が多いです。
ちなみに数珠全体の輪の長さは18、22、22珠のどれも同様で、珠数が多くなるほどに珠のサイズは小さくなります。
男性では珠の大きさが小さめの22珠が主流のサイズのようですが、貫禄のある数珠が良い!なんて方には珠の大きい18珠がお勧めです。
女性用の数珠はなにがおすすめ?
女性用も本式念珠の方は宗派によってさまざまですが、略式念珠では珠の大きさが6ミリ、7ミリなどが主流のようですね。
女性用は男性用に比べ、色なども多く売られています。
中でも女性に人気のある数珠の素材は水晶です。
他にも色のついた色水晶と呼ばれる紅水晶、紫水晶なども人気のようですね。
主に若い方は華やかな色合いを選び、ご年配の方は落ち着いた色合いを選ぶ方が多いようです。
ちなみに女性用で高額なものは珊瑚やビルマ翡翠と呼ばれるミャンマーでのみ採掘が許されている宝石で作られている数珠です。
この珊瑚とビルマ翡翠は近年日本への入荷が困難になっているため、希少価値が高いそうですよ。
もちろん高額だから良いという訳ではなく、低価格の数珠でも全く問題ありません。
法要で使うならば数珠を通して故人を想う気持ちが大切ですので価格にとらわれずに選んでくださいね。
まとめ
今回ご紹介した数珠ですが案外知らなかったこともあるのではないでしょうか。
数珠はただ持っていればよいという訳ではなく、正しい持ち方や選び方があります。
年を重ねていくと段々と周りも数珠を持って法事に参加しているなんて思う方もいるでしょう。
まだ数珠をお持ちでない方はこれを機に数珠をお持ちになっても良いかもしれません。
きっと一生ものとして使うことができると思いますよ。