お店の入り口で微笑みながら手招いているかわいい猫、招き猫は誰もがみたことのある愛らしい置物です。
昔から福を招くとして、お店や一般家庭でも置物として飾っている人は多いのではないでしょうか。
招き猫とひとくちにいっても、実はあげている手の向きが違ったり高さが違ったりバラエティ豊かなんです。
縁起物なので置き場所には気をつけたいですが、どこに置くのが良いのかも知りたいポイントですよね。
今回は招き猫の由来として手の種類や高さの意味、最適な置き場所などについて詳しくご紹介していきます。
招き猫の由来は3つの説がある!
招き猫の由来として、実は3つの説があります。
どんな理由で猫の置物が飾られるようになったのか、いきさつを知りたいですよね。
有名な3つの由来に関する言い伝えについて、順番にみていきましょう。
①猫寺の言い伝えから猫と関わりのあるお寺のことを猫寺と呼んでおり、猫の恩返しや猫の祟りなど良い意味でも悪い意味でも関係しています。
特に猫の恩返しで有名なのが東京都にある豪徳寺で、招き猫の由来となる言い伝えがあるのです。
豪徳寺に祀られている観音様の御使いが、猫となっています。
17世紀、非常に貧しいお寺だった豪徳寺の前を井伊直孝が通りかかりました。
門の前には一匹の白い猫がおり、何やら右手を上げて手招きをしているようです。
直孝は猫に促されるように門の中へ入りましたが、その瞬間!それまで直孝が居た場所に、大きな雷が落ちたのです。
白猫が手招きをしてくれなかったら、落雷により命を落としていたかもしれない直孝。
ありがたい白猫がいた豪徳寺を改築して、井伊家のものとして立派なお寺に生まれ変わらせたのです。
白猫の名前こそ、今や白猫につける名前の定番ともなっている「タマ」。
住職はお寺を再建できたキッカケになったタマに感謝をして、タマ亡き後に張り子でタマに似せて作った人形を供養したのです。
名前は「招福猫児(まねぎねこ)」といい、現在の招き猫の由来となっている説があります。
②花街の言い伝えから遊女や芸者が集まる花街でも、招き猫の由来となる言い伝えがあるのです。
吉原の遊女であった薄雪太夫(うすゆきたゆう)は、とにかく猫が大好きで可愛がっていました。
薄雪太夫がトイレに行こうとした時に一匹の猫がついてきて、離れようとしません。
遊女たちを面倒見ている主人は猫に悪魔が取り付いたと勘違いして、猫の首を切り落としてしまったのです。
首をはねた際に猫の首が勢いよくトイレの方に転がっていき、なんとトイレにいた大きな毒蛇にかみついて生き絶えたのです。
猫のおかげで毒蛇に噛まれることなく、命拾いをした薄雪太夫。
猫が亡くなってたいそう悲しんでいる姿を見て、馴染み客が伽羅の木を彫って猫の人形を作ってくれました。
木彫りの人形で薄雪太夫をなぐさめ、悲しみを癒やしたのがはじまりという説があるのです。
木彫りの人形は手招きをしていたわけではありませんが、薄雪太夫は巣鴨にある西方寺に猫を弔っていました。
西方寺には、薄雪太夫が猫を弔ったときの猫塚が建てられています。
③今戸焼の招き猫日本で確認できる最古の招き猫が、今戸焼の招き猫となっています。
名前を「丸〆猫(まるしめのねこ)」といい、福やお金を丸くせしめるという意味があります。
明治維新を迎える14年くらい前に、浅草で暮らしていたおばあさんがいました。
おばあさんは猫を飼っていましたが、あまりの貧しさから手放すしかなくなってしまいつらい思いをしていました。
しばらくして夜寝ている間に、猫が夢に出てきました。
右手をあげて手招きしているような猫の置物を作ると、福が舞い込むというお告げを残したのです。
すぐさまおばあさんは今戸焼の猫の置物を作ってもらい、浅草寺の鳥居の近くで、猫の置物を売りに出しました。
たちまち大人気となった猫の置物は売りに売れ、あっという間におばあさんはお金持ちになれたのです。
おばあさんが売りに出した猫の置物こそ、招き猫の由来です。
今戸焼で製作されたものが、今現在で確実に確認できる最も古い招き猫となっています。
3つの説の中では、もっとも信憑性があるかなと思います。
どの説にしても招き猫はありがたく、福をもたらしてくれる存在なのです。
招き猫の手の種類とは?
招き猫の特徴は、こっちへおいでと言わんばかりにに可愛く手をあげています。
実は手をあげている方向も左右違ったり、中には両手をあげていたりするものもあるのです。
一般的に招き猫は片手をあげているものだと思っている人は多いですが、いろいろな種類があるのですね。
具体的に手をあげている方向などによる意味を、種類ごとにみていきましょう。
①右手をあげている
右手をあげている招き猫の性別は、オスなのだそうです。
お金や幸運を招いたり、金運をアップさせたりする御利益があります。
家庭に置かれている招き猫は、主に右手をあげている種類がほとんどでしょう。
②左手をあげている
左手をあげている招き猫の性別はメスで、多くの人たちを呼び込む意味や良縁を結ぶ御利益があります。
人を招く意味がある左手をあげた招き猫は、本来の招き猫の意味に近い存在となっています。
左手をあげた招き猫は主に、お店などの入り口に置いてあることが多いです。
③両手をあげている
実は左右両方の手をあげている種類の招き猫もいますが、なかなか見ないですよね。
両方の手をあげているということは、人も引き寄せて幸福やお金も引き寄せる意味を持っているのです。
欲張りなイメージがありますが、やはり二兎を追う者は一兎をも得ず…バンザイは倒産などを連想させる言葉であり縁起は良くないとされているのです。
招き猫は手の高さで御利益が異なる?
招き猫の手はちょこんと手招きをしているものから、ものすごい手を高く伸ばして手招いているものまでさまざまな種類があります。
実は招き猫の手は高いところから手招きしているものほど、御利益があるといわれているのです。
高い位置から手招きできると、より遠くの方からも福を呼び寄せられると信じられています。
もし招き猫の御利益をしっかり受けとりたいという場合には、手招きしている手の高さがなるべく高いものを選びましょう。
招き猫の種類は三毛猫である理由
猫といえばトラ猫、三毛猫…さまざまな種類がいますが招き猫は何がベースなのでしょうか。
実は招き猫のデザインの多くは、三毛猫をベースにつくられています。
三毛猫はごくごくありふれた種類ではあるものの、三毛猫のオスというのは千匹に一匹の確率でしか生まれない希少な存在なのです。
オスの三毛猫は存在自体がありがたく、幸福を呼び込んでくれるといわれています。
これからは道端で三毛猫を見つけたとき、招き猫のように「良いことがあるかも」と気分が良くなるかもしれませんね。
招き猫にはさまざまな色がある
招き猫といえば白猫が主流ですが、さまざまな色のものも増えてきました。
カラフルな招き猫を飾っていると、それだけで雰囲気が明るくなりそうですよね。
具体的に色ごとの御利益について、詳しく説明していきましょう。
①赤神社の鳥居にも使われている赤(朱)は、病気の厄を払ってくれる御利益があります。
無病息災で過ごせるように、赤い招き猫を飾っておくと病気知らずで健康的に生活できそうですね。
②黒黒猫といえば魔力を持っているといわれ、魔女の使いとしても有名ですよね。
黒い招き猫は魔除けの意味があり、あらゆる厄を払ってくれます。
黒の招き猫は目立ちますし、一目置かれる存在になりそうですね。
③金キラキラと黄金色に輝く招き猫を、お店などでみたことがある人も多いのではないでしょうか。
金はイメージ通り、金運アップの御利益がある招き猫です。
金の招き猫は触るだけで、なんとなくお金持ちになれそうな気持ちになりますよね。
④番外編・子持ち招き猫といえば一匹のみの置物というイメージがありますが、種類によっては子猫を引き連れているなど家族がいることもあります。
招き猫に家族がいる場合は、子孫繁栄の御利益があるといわれています。
あまり子猫を連れた招き猫は見かけないですが、もし見つけたときは家に飾っておくと良いですね。
招き猫の置き場所はどうする?
招き猫を飾っておく置き場所は、どういったところが適しているのでしょうか。
家に飾るとしたら、いつも目につくような場所…リビングなどにおくのが適しています。
お店であれば入り口など、外を通る人の目につく場所が良いでしょう。
飾る高さは、目線よりも高い位置に置くと良いので、少し高いタンスの上などが適しています。
招き猫にはホコリが被らないように毎日頭を拭いてあげて、きれいな状態で飾っておきたいですね。
1日に何度も招き猫をみて、福を呼び寄せていきましょう。
全国の招き猫にちなんだイベント
毎年9月29日は「猫の日」として、全国で招き猫にちなんだイベントを開催しています。
29日なのは、肉球�ではなく「来る(9)福(29)」の語呂合わせが由来です。
全国ではどのような招き猫にちなんだイベントがおこなわれているのか、みていきましょう。
・三重県おかげ横丁「来る福招き猫まつり」三重県の伊勢神宮の中にあるおかげ横丁のお祭りで、猫の日の前後2週間におこなわれています。
招き猫をたくさん飾ってあるのをみて楽しんだり、招き猫に絵付けしたりすることができます。
9月29日にちなみ、9時29分に929個の鈴が振る舞われるのが特徴です。
・愛知県瀬戸「招き猫まつりin瀬戸」愛知県瀬戸市の焼き物は有名ですよね。
たぬきの方が有名かもしれませんが、招き猫も負けていません。
9月29日付近の土曜と日曜に、尾張瀬戸駅近くの招き猫ミュージアムで開かれています。
招き猫に絵付けができるなど、イベントが満載です。
まとめ
招き猫の由来として手の種類や高さの意味、最適な置き場所などについて詳しくご紹介してきました。
招き猫の由来はいくつか説があり、どれも招き猫がありがたい縁起物だということがわかるものです。
手も右手や左手、両手など種類があること、高さがあるほど福を呼びやすいなどの意味があります。
最適な置き場所はリビングなど1日に何度も見られる場所で、少し高めの位置に飾るのがおすすめです。
9月29日の猫の日には、全国でユニークな招き猫イベントがおこなわれています。
ぜひ一度足を運んでみて、招き猫の魅力を再確認するのも楽しいですね。