キリスト教式のお別れ方法といっても、その中にはカトリックとプロテスタントという種類があり内容も変わってきます。
あまり日本ではなじみが薄いキリスト教ではありますが、世界には信者が多いことで知られていますよね。
いつ自分がキリスト教式の葬儀に参列することになるのかわかりません。
いざと言う時の場合にお別れの方法の詳細を知っておくと、とても役に立つでしょう。
そこでこちらではキリスト教の歴史を踏まえつつ、日本で行われているキリスト教式の葬儀についてご紹介していきます。
キリスト教の宗教改革の歴史
キリスト教徒ではなくとも、カトリックとプロテスタントという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
実は現在のキリスト教はこの2つだけだと思われていますが、この2つに正教会というものを入れた3つのキリスト教が存在しています。
日本の仏教でいう宗派の様なもので、キリスト教では「教会」と呼びます。
当然この教会によりキリスト教式のお別れの方法も変わってくるので、まずは簡単に歴史の背景について説明していきます。
そもそもキリスト教にはカトリック教会だけしか存在しませんでしたが、16世紀前半に宗教改革が起こったことをきっかけにプロテスタント教会というものができました。
もともとキリスト教はイエス・キリストを崇拝している宗教ですが、当時のヨーロッパ大陸の権力を握っていたのはキリスト教会だったのです。
政治にも大きな影響を及ぼしていた宗教に派閥ができたことで、国のあり方や権力争いの元凶の元にまでなることになったのですね。
とはいえ、それはあくまで教会の活動を維持している権力者のみの話。
民衆にとってのキリスト教信仰は、当然ながら心の平穏を保つよりどころであることは確かです。
この2教派の他に正教会もあります。
正教会は日本ではそこまで信者がいないとはされていますが、呼び名としては「東方正教会」や「ギリシャ正教」と呼ばロシアを中心に活動している教派と言われています。
キリスト教信仰の相違と特徴を紹介
それではキリスト教のカトリックとプロテスタントの違いとは、どの様なものがあるのでしょうか。
基本的に最初は1つの教派から分かれているので、同じ部分を持っていることで知られています。
2教派の共通点をまとめてみましょう。
- 聖書を信仰していること
- イエス・キリストを崇拝
- 祈り
- 信徒信条の重要性
- 三位一体
- 洗礼
- 聖餐
これらのことは共通して行われている内容となっています。
それでは違いについてご説明しましょう。
カトリックはその昔からの伝統を重んじている教派であり、「教皇」という最高聖職者の地位にある人が信者の一番位の高い指導者とされています。
教皇はローマ法王という別名でも知られると同時に、バチカン市国の首長でもあることは有名です。
一方でプロテスタントには、カトリックの様に最高指導者という立場の人物はいません。
また長い歴史の中で一貫して同じ教えを貫き通すカトリックに対し、教派により重んじる内容が変動するのがプロテスタントです。
さらにカトリックの聖職者は「神父」と呼ばれ、なれるのは男性のみで結婚は許されていません。
それに対しプロテスタントの教職者は「牧師」と呼ばれ、結婚することを許されています。
この呼び名は2教会では大きく違い、「聖職者」と「教職者」という名前の違いにあります。
信仰の違いとしては、カトリックは聖母マリアなどを信仰するのに対し、プロテスタントは信仰がないなど。
この様に見ているだけでも、2教会は成り立ちが大きく違ってますね。
この他にもいくつかある違いを、簡単に説明します。
(カトリック編)
- 修道院制度
- 告解室の設置
- ミサがある
- 答唱詩篇
- 幼児の洗礼儀式
- 磔の十字架がメイン
- ロザリオ
- 七つの「秘跡」
(プロテスタント篇)
- 十字架はそのままのシンプルな物
- 洗礼
- 聖餐
- 讃美歌 などがあります。
良く観光などで教会などに行く際にも、とても豪華な教会や十字架を見ることも、またその反対もありませんか?実はその違いは、カトリックかプロテスタントの違いということがあげられます。
またプロテスタントがミサ曲を重視する理由の1つに、宗教改革をドイツ人のルターが中心となったからということが関係しているとか。
ドイツと言えばバッハなど、クラシックの曲などを生み出したことでも有名ですが、ヨーロッパ自体が音楽の歴史を持つ国々が多いことで有名ですよね。
特にルターは讃美歌に対してこだわりをもっていた人物であるため、プロテスタントに重要な物になったと言われています。
キリスト教式の葬儀とは?
それではここまでお話ししてきたキリスト教の歴史を踏まえ、現在日本で行われているキリスト教式の葬儀について説明をしましょう。
キリスト教には仏式でいうところの「通夜」は、通常ありません。
ですが日本人の葬儀に対する習慣から、この国ではキリスト教でも通夜をします。
カトリック教会にでは「通夜の祈り」、プロテスタントでは「前夜式」「通夜祭」としているとか。
キリスト教において当然葬儀は教会で行われるのですが、最近では自宅や葬儀場なども使われているので一概に言えないのだとか。
仏式では故人の冥福を祈り、極楽浄土まで行けるようにとの願いからお経を読んで喪に服しますよね。
ですがキリスト教式では少し意味合いが変わってきます。
キリスト教式の死の考え方は、神と共に召される命、すなわち安息を意味します。
そのため故人が亡くなる前が重要であり、神父・牧師が臨終の前に立ち会い、死期の近い人物に祈りを捧げるという儀式があります。
また死後に執り行われる葬儀の意味も違い、カトリックでは「永遠の命が授けられる」ということで、故人が無事に永遠の命を得られる様に参列者は願います。
一方でプロテスタントは故人そのものに祈りを捧げるのではなく、遺族ための祈り、神のために祈ります。
キリスト教の作法とは?
キリスト教式のお別れの方法で重要なのは作法です。
日本人にはそこまで浸透していないものではありますが、葬儀の際に知っておくと非常に役立ちます。
キリスト教式の葬儀に参列する際には喪服でOKですが、お悔やみは言わない様に。
日本の仏式の葬儀と同じようなスタイルで問題ありません。
キリスト教では当然ですが香典はありませんので、代わりに「御花料」を包みましょう。
金額は香典と変わらず、故人との関係性により変えるのが良いですね。
ただし香典用の袋ではなく、ユリ、十字架の書いてある白っぽい袋、なければ白色のものを選ぶのがベスト。
表書きは「御花料」とし、香典と同じく下に名前を書きます。
次にキリスト教式の作法でおさえておきたいポイントは、献花についてです。
仏式の葬儀で言う「焼香」がこれにあたります。
キリスト教式で使うお花は白いカーネーションか、菊がオーソドックス。
- 献花をする時には、まず白い花を両手で受け取ります。
- この時に右手で花を持ち花を回転、茎を左手側に添えましょう。
- 献花台の前で花を90度回転させて、参列者側に花びらを向けておきます。
- 仏式と同じく一礼、そして黙祷をしましょう。
- 献花台を向いたまま後ろに下がり、遺族の方に一礼します。
これが献花の作法となりますので覚えておきましょう。
また、讃美歌や聖歌を必要とする場合も多いですが、もしもコピーなどで歌詞をいただいた場合は軽くでも良いので口ずさむのが作法。
歌詞がない場合はそのまま静かにしていれば大丈夫です。
キリスト教式のお別れの方法の流れとは?
それでは肝心の、キリスト教式のお別れの方法の流れについてまとめていきます。
まずカトリックは葬儀ミサ、プロテスタントは葬儀式と呼びます。
カトリックの葬儀ミサは、故人が所属していた教会で行われるのが一般的。
- 教会側が開催
- 言葉の典礼 聖書の朗読、聖歌、神父の言葉
- 感謝の典礼 パンと葡萄酒を奉納
ここまで終わると告別・葬送、献花や弔電などです。
そして出棺、火葬の流れですが、仏式とは違い故人の位牌や写真などを祈るという行為はしません。
次にプロテスタントの葬儀式についてですが、カトリックと違い1つの方法で行われるわけではないので所属している教会によぅてやり方に違いがあることを覚えておきましょう。
ただし基本的には聖書が中心となり、参列者の幸せを願うために祈りを捧げます。
- 奏楽
- 讃美歌斉唱
- 聖書朗読
- 祈り
- 説教
- 讃美歌斉唱
- 弔事・弔電
- 祝祷
- 讃美歌斉唱
- 奏楽
といった流れが基本的です。
カトリックと違い讃美歌が随所に盛り込まれているのがわかりますね。
その後は仏式と同じく告別式・火葬という流れにはいります。
まとめ
こちらではキリスト教式の葬儀についてお話ししてきました。
キリスト教にはカトリックやプロテスタントといった違いがあり、葬儀のやり方もそれぞれでした。
実際にキリスト教式のお別れの方法について知らないという方でも、知識を持っておけばいざと言う時でも対処できて安心できますよね。
歴史や背景をしっかり理解し、荘厳な気持ちで参列する様にしましょう。