葬儀に参列する際、香典を準備することが必要です。
しかし、この香典を準備する際、「いくら包んだら良いのだろう?」と迷うことも少なくありません。
香典金額の目安は、亡くなられた方との関係性やそれぞれの経済状況によっても変わってきます。
近しい親族、職場のご家族では、包む金額も変わってきますので、関係性を考慮しながら、無理のない金額を包むようにしましょう。
そもそも香典の意味は?
身内や知り合いが亡くなった時、葬儀に参列しなければなりませんが、その際香典が必要です。
香典を準備することは分かっていても、本来の意味合いを知らずに準備している人も多いのではないでしょうか。
香典は、亡くなった方にお供えする金品。
香典の香は、香をすすめるということが由来となっています。
お釈迦様が亡くなられた時、弟子たちは香木を持ちより、荼毘に付したと言われており、所縁深い人たちは、香木をたいてお供えしたことがはじまりと言われています。
また、香は清めるという意味合い、あの世とこの世の道標にするというと説もあり、地域や宗教によっても変わってきます。
そして、現在葬儀は家族葬のような、身内だけで済ませるケースが増えてきていますが、昔は近隣の人なども含め、弔問客がたくさんいました。
そのため、遺族にとっては、葬儀にかかる金銭的が大きかったため、弔問客は食物などを持ち寄っていました。
戦後からは、その持ち寄っていた食物が金銭となり、香典として変化しました。
気になる香典金額の目安
香典を包む際、「いくら包んだら良いだろうか?」「他の人は、どのくらい包んでいるのだろう?」と思う人も多いはず。
しかし、人に聞くこともできず、自分なりの感覚で金額を決めている人も多いのではないでしょうか。
香典は、遺族のことを考えると、「多い分には、失礼に当たらないだろう」と思われがちですが、金額が多ければ遺族にとっては負担になってしまいます。
遺族は香典返しをする必要がありますから、高額になってしまえば、香典返しも高額になってしまうということを忘れてはいけません。
本来、香典金額の目安は、両親の場合は5万円から10万円。
親戚の場合には、1万円から5万円。
友人や仕事関係の知人、隣人の場合には、5千円から1万円。
なんとなく知っている程度の関係であれば、5千円から1万円程度が目安です。
当然ですが、あなたの生活に支障が出るほど、無理をして大きな額にする必要はありません。
それぞれ経済状況も変わりますから、この目安を参考に、無理のない程度に包むことが大切。
若い方は、目安金額の最低額で問題ないでしょう。
避けるべき金額
香典は、故人やご遺族に対して贈るものですから、「できるだけのことをしたい」と思うものです。
生前、お世話になった人であればあるほど、「香典でお返しをしたい」「香典でお礼の気持ちを伝えたい」と思うでしょう。
しかし、香典の場合には、額はいくらでも良いという訳ではありません。
実は、香典には避けるべき金額があります。
例えば、4や9が付く金額は避ける必要があります。
死ぬ、苦しむといったことがイメージされるような金額は避けるようにしましょう。
一般的には奇数の方が、縁起が良いと言われていますが、香典の場合には例外として2万円は認められている地域、宗教が多い様です。
香典の最低金額
香典の金額は、本来いくらと決められたものではありません。
それぞれの気持ちを包むので、無理のない金額を包むのが基本ですが、ご遺族に負担をかけてしまうのは避ける必要があります。
現在、葬儀の際に香典返しをするのが一般的。
その際、香典の半返しをすることが多いため、少ない香典の場合には、ご遺族に負担がかかります。
そのため、3千円以下の香典は避けた方が良いでしょう。
会社や町内会などの場合には、金額が決まっており3千円以下となっている場合には構いませんが、告別式や通夜に参加する際には、5千円以上の香典を準備するようにしましょう。
宗教によって変わる香典袋の書き方
香典袋は、単にお金を包んで渡せば良い訳ではありません。
ご遺族に対し、誰から、いくらの香典をいただいたのか分かるようにしておく必要があります。
しかし、香典袋の書き方は、宗教によって変わってきます。
香典袋の表書きは、御霊前が一般的となっており、御霊前であれば、多くの宗教に用いられます。
仏式と分かっていても、宗派が分からない場合には、御香典、御香料、御仏前でも良いですが、浄土真宗は、通夜、葬儀、告別式はご香典、御香料、御仏前を使用するようにしましょう。
神式の場合には、御玉串料、御榊料、御神饌料。
キリスト教の場合には、お花料が一般的です。
宗教や宗派が分からないと、「間違えていないだろうか?」「失礼にあたらないだろうか?」と心配になると思いますが、万が一間違えてしまってもマナー違反となることはありませんから、それほど心配する必要はありません。
また、水引きの下にフルネームを書きましょう。
打ち袋がある場合には、打ち袋の表に金〇〇円と香典の金額を書きます。
裏に金額を記載する欄がある場合には、そこに書きます。
打ち袋がない場合には、袋の裏側に住所と名前、香典額を書きましょう。
金額を書く際には、壱、参、伍というように旧字体を使うのが正しい書き方ですが、漢数字でも問題ありません。
香典袋の選び方
香典袋を選ぶ際、ついつい立派な袋を選ぼうと思ってしまうもの。
見栄もあり、豪華な香典袋を選ぶ人もいるでしょう。
しかし、香典袋に比べ、香典額が少ないと、ご遺族に少ない額という印象を与えてしまいます。
そのため、香典袋を選ぶ際には、香典金額に合ったものを選ぶようにしましょう。
香典額1万円までであれば、水引きや御霊前などと印刷されたもので十分です。
香典は、葬儀の際受付で係りの人に渡すもの。
受付で受け取った香典は、すぐに開かれ、金額などを確認します。
そのため、印刷タイプの方が素早く開封でき、作業がスムーズに進められるでしょう。
香典袋に入れる際の正しいお札の向きとは
香典袋にお金を入れる際、みなさんはお札の状態や向きを意識していますか。
実は、香典袋にお金を入れる際、お札の状態や向きにも気を付ける必要があります。
まず、香典に用いるお金は、できれば傷んでいるお金は避けた方が良いでしょう。
そう言われると、新札の方が良いだろうと思われる人が多いですが、香典では、新札は避けた方が良いでしょう。
新札を入れることで、不幸を見越していたと思われ、ご遺族が不快な思いをすることもあります。
新札ではなく、きれいな状態のお札が理想的です。
ただし、地域によっては新札が用いられているところもあるため、確認しておいた方が良いでしょう。
お札の入れ方は、お札の顔が見えないように入れるのがマナーとされているところもありますが、あまりこだわらなくても問題ないでしょう。
お札を複数枚入れる場合には、全ての向きをそろえるようにしましょう。
香典は、お通夜、告別式、のどちらに渡すのか?
親しい人が亡くなったら、お通夜や告別式に参列するでしょう。
参列する際には、香典の準備が必要。
そんな時、「香典は、通夜と告別式のどちらで渡すのだろう?」と思われる人もいるはず。
本来、お通夜、告別式に参加する際には、通夜に香典を渡した場合、告別式では持って行く必要はありません。
しかし、中にはお通夜で香典を渡してから「ちょっと、香典の額が少なすぎたな」と後悔することがあります。
そうなると、告別式で再度香典を渡そうと考えてしまいますが、二度の香典はマナー違反。
不幸が重なるという意味合いにとられ、ご遺族に不快な思いを与えてしまいます。
香典が少ないと感じた場合には、後日供物や供花などを自宅に送ると良いでしょう。
香典袋の正しい持参方法
みなさんは、香典を受け付けで渡す際、どのように渡していますか。
かばんから、直接香典袋を渡している人も多いのではないでしょうか。
確かに、すぐに受付では香典を渡すわけですから、その方がスムーズです。
しかし、正しい作法としては、香典袋は直接かばんに入れるのではなく、袱紗に軽くつつんで持って行くのが基本です。
受付では袱紗を開き、袱紗を軽くたたんで、お盆の様な状態を作り、その上に香典を置き、両手で差し出すのがマナーです。
香典袋の向きは、受付の方に表書きの名前が正面になるように渡しましょう。
袱紗は葬儀だけではなく、結婚式などでも使えますので、お持ちでない場合には、この機会にそろえておくと良いでしょう。
まとめ
葬儀に参列する際には、故人を思い、悲しい思いになるものです。
しかし、ご遺族はそれ以上に悲しい思いを抱えています。
香典を準備する際には、故人、ご遺族のことも考えながら準備するようにしましょう。
そうすれば、不快になるようなことはおのずとなくなるはずです。
香典は、故人へのお供物でもあり、ご遺族への相互扶助の意味合いもあります。
これを意識すれば、包む金額や用いる香典袋なども選びやすくなるはずです。
無理する必要はありませんから、目安額を参考に、あなたにとって負担のない香典を準備しましょう。