若竹煮と聞いても、確かに気が付くと日本料理の店などで食べている…とはいえ、一体いつが旬の季節なのか?などについては知らないという方も多いことでしょう。
日本料理には季節感を大事にする料理がたくさんあり、それを食べるのもまた楽しみの1つですよね。そんな中で若竹煮は、まさに日本の春を表現する料理と言えるでしょう。
そこでこちらでは若竹煮の魅力について、なぜ若竹煮と呼ばれているのかなどの基本情報を交えてご説明していきます。
若竹煮の読み方とは?
若竹煮の読み方ですが、一瞬見ただけではわかりませんよね。
これはそのまま訓読みで、「わかたけに」と読みます。
わかたけと読んだだけで「若いたけのこ」ととることができますし、それがたけのこの煮物であることも想像することができます。実はこの若竹の「若」という漢字は、ただ若いという意味だけではなくわかめのことも指します。
わかめは販売している袋などを見ても、大体ひらがな表記だったり、カタカナ表記であったりすることが多いはず。実際に現在の日本語名はカタカナで「ワカメ」とされることがほとんどのようですが、実は古来の日本でわかめは漢字で「若布」または「和布」と書いていました。わかめの歴史をさかのぼると、実は縄文時代からその存在が確認されているのです。
この当時はわかめだという認識を持っていたとはもちろん考えにくいですが、海藻を食べるという習慣があったことは確か。しかも昔の日本語では、海藻の中でも主にわかめを食べていたようなのですが、海藻全般のことを「め」という言い方で呼んでいました。
その呼び名が時代の流れで変化し、わかめという言い方に変わったのではないかというのが有力です。
若竹煮が美味しい季節は春
若竹煮の意味とは、どのようなものなのでしょうか?
まず若竹という食材を煮ている料理である、ということがわかりますね。若竹とは、先ほどもご説明した通り、わかめとたけのこのこと。しかもここで大事なことは、わかめとたけのこの中でも、特に新わかめと新たけのこであることです。
新わかめと新たけのこというと難しいかもしれませんが、つまりその年に売られる初物ということです。わかめに初物があるの?と思われる方もいることでしょう。
実はわかめは1年に1回しか、水揚げ時期がありません。そのピークは春から初夏までであり、初物としては大体3月後半に店先に並ぶことになります。わかめを乾燥させて販売されているのは、水揚げがそうないこともあり、保存させるためとも言えますね。
次に新たけのこについてですが、こちらもやはり4月前後から5月の春の良い時期が旬となっています。
最近は早いと冬に出回ることもあり、多少季節感が薄くなっていることもありますが、一般的にはやはり若竹煮は春のものといえそうです。新わかめと新たけのこは、当然栄養素が多く健康維持食材としても注目されています。
ただこの2つが合わさったのは、それだけではありません。味わいと触感が絶妙であり、お互いに旬の時期が春であることも関係しています。わかめとたけのこが春を代表する食材であるわけですし、煮物にすることでとても季節を現した料理になりますよね。
また本来ですと若竹煮とは、わかめとたけのこともう1食材、春が旬である木の芽の食材を使うことがほとんど。薄いグリーンの木の芽を合わせることで、より暖かな春を感じさせてくれるかもしれません。
若竹煮の栄養素を説明!
若竹煮が、新わかめと新たけのこを合わせて煮た料理であることはわかりました。
わかめとたけのこは、それぞれ健康志向の方に愛されている食材ですが、実は詳しい栄養素をそこまで知らないという方もいるはず。
そこでこちらでは、この2つの食材について栄養素を説明していきましょう。
実はたけのことわかめの栄養素の共通点は、食物繊維が豊富であるということです。たけのこもわかめもカロリーが低いので、たくさんの量を食べてもそこまで気にならないのも嬉しいところ。食物繊維の良さは昔から言われていますが、便秘を改善したり、血液系のトラブルや生活習慣病の予防などに効果があるとも言われていますよね。
しかも食物繊維は胃腸などに入ると水分を含み膨張するために、必要以上のカロリー摂取を防いでくれるという効果もあります。またわかめもたけのこもビタミン類が豊富で、合わせてたべることでエイジングケアにもなるでしょう。むくみを予防することからも、美容にもとても良いとされています。
さらに忘れてはならないのが、わかめのミネラル成分。海藻独特のミネラル成分は、髪や爪などを成長させる働きがあります。わかめを食べると髪の毛に良いなどとされていますが、あながちただの迷信であるというわけではないようですね。このようにわかめとたけのこには、知れば知るほど体に良い栄養素が豊富であることが判明しました。
春先に旬の料理を頂き、気持ちあらたに健康維持にも注目したいところですね。
若竹煮の代表的レシピとは?
若竹煮を実際に自宅で作る時に、レシピは必須ですよね。
たけのこやわかめは、簡単そうで扱いが中々難しいところです。
そこでこちらでは、代表的なレシピでありながら、簡単に作る事ができるものをご紹介していきましょう。
材料説明
・新たけのこの中部分、2本文
・塩蔵わかめ、60~80g
・木の芽、適量
調味料説明
・だし、3カップ
・酒、4分の1カップ
・みりん、大さじ1
・薄口しょうゆ、大さじ1
・昆布10g・かつお節または削り節、20g
作り方説明
①たけのこの繊維を確認しましょう。
もしも細い場合はまずは半分にして、その後四つ切りにしてください。
太かった場合は回しながら乱切りで、7mmほどに。
②わかめは事前に水に浸しておき、沸騰した湯にさっといれ一口大にカット。
③鰹節は事前に用意しておいたガーゼで包んだら、口を縛ります。
④鍋の中にたけのこと、調味料と昆布など用意した材料を全部いれます。
⑤鍋の中身が煮立ったのを確認したら、鰹節をここで入れ、弱火にそのまま。
少し経ったら火を止めましょう。しばらく置き、味を染み込ませます。
⑥鰹節と昆布を取り出したら、わかめを入れて再び過熱。
温まったところで取り出して、木の芽を飾り付け完成です。
ぜひ実際に自宅で、トライしてみてくださいね。
若竹煮以外の若竹料理とは?
若竹煮とは若いたけのこと、若いわかめを合わせた料理でした。
相性が昔から良いことで知られるこれらの食材は、やはり料理界の中でも王道の組み合わせとして知られています。ですが実際のところ、どのような料理があるのか知っているでしょうか?
若竹とつく料理をご説明しましょう。
・若竹焼き
名前の通りわかめとたけのこを焼いた、日本食の定番料理です。
たけのこの上にわかめをのせて、焼き物料理とすることもありますし、
何か他の具材に2つを乗せて焼きものとして出すこともあります。
・若竹蒸し
こちらは蒸し料理として、やはり人気のあるものです。
だしをきかせ、卵白とわかめ、たけのこを一緒に蒸した料理です。
・若竹しんじょ
これは海老しんじょに、わかめとたけのこをお椀にするというものです。
わかめとたけのこはあくまで付け合わせのような扱いではありますが、
春の彩を表現するのにぴったりと言えますね。
・若竹揚げ
こちらは揚げ物料理です。
わかめやたけのこを揚げる、ということはそうそうしないのでは
ないでしょうか。こちらは片栗粉をまぶしてあげるだけで、とても美味しい
料理になるのです が、調味料としてマヨネーズを合わせると
少し洋風にもなりおすすめです。
・若竹椀
若竹椀とはだし汁などのお椀料理のことですが、お吸い物感覚で
作られると良いですね。
わかめとたけのこはみそ汁としても最適ですが、
色見の薄い出汁醤油のお椀にすれば、
食材の クリアさを大事にできるでしょう。
春らしさを表現するためにも、お椀料理を食卓に並べることは
とてもおすすめです。
まとめ
こちらでは若竹煮の由来や読み方、また若竹が持つ素材の魅力などをまとめてきました。
一言で若竹煮と言いますが、その料理が持つ栄養素や味わいはとても奥深いなもの。たけのこやわかめを日頃そこまで料理に使わないという方でも、春の新たけのこや新わかめがでる頃には、是非使ってみませんか?
季節感を出すものを食卓に並べるだけで、家族との会話も盛り上がりますし、何より舌で春を感じる事ができるはずです。四季が訪れる日本は、目で見る感性と舌の完成を見事に表現してきました。
是非今年の春は、様々な五感で春を楽しんでみませんか?