当たり前のように来ては過ぎ去るお正月ですが、どんな起源や由来があるのか知っている人はあまりいないのではないでしょうか。
実はご先祖様を祀ることと深い関係があったり、三が日の時期だけがお正月というわけでもないのです。
お正月にいただきたい食べ物も、新年からみんなが幸せになれるようにとの願いが込められたものばかりなんですね。
今回はお正月の起源や由来についてご先祖様との関係や正しい時期、いただきたい食べ物などを詳しくご紹介します。
お正月の起源はご先祖様を祀る行事だった?
毎年新年を迎えるとやってくるお正月、実は旧暦の1月の別の名前が「正月」なのです。
お正月の起源はとても古く、なんと日本に仏教が伝わった時期には存在していました。
時代としては6世紀の半ばになりますが、あまりに古くて正確な記録としては残されていません。
現代でいうところのお正月は、歳神様が家にやってくるのでお迎えをするおめでたい行事ですよね。
一方で仏教が伝わるより昔のお正月は歳神様ではなく、ご先祖様に感謝をしてお供えものをするような行事でした。
現代では春と秋におこなうお彼岸と同じような意味があり、お盆などとも区別があまりついていなかったのです。
仏教が日本に伝わるようになってからは、お盆と区別をつけるためにご先祖様ではなく歳神様を迎える行事に変化していきました。
ご先祖様に感謝をするというのは仏教色が強いですが、現代のお正月は豊作を願う歳神様を迎えるのです。
一年豊作に恵まれて、食べ物に困ることなく健康に過ごせるようにとの願いがお正月には込められているんですね。
お正月の正しい時期は?
三が日のみがお正月という認識が強いですが、実は正しい時期は違うのです。
準備期間も含めれば、もっと長い期間がお正月に当たります。
世間での、お休みをする期間のみがお正月というわけではないのですね。
具体的なお正月の時期はいつなのか、流れと一緒に見ていきましょう。
12月8日から始まる
12月8日は正月事始めといって、新年を迎えるに当たり1年間で溜まった汚れを落とすための「煤払い(すすはらい)」がおこなわれます。
煤払いをおこなうことで身辺をきれいに整理整頓し、気持ちの良い状態で新しい年を迎えられるのです。
お正月飾りとして定番の門松の材料にする松を拾い集めてくる「松迎え」も、正月事始めからおこなう準備となっています。
1月1日に新年を迎える
1月1日に新年のスタートということで、元日を迎えます。
元日は国民の休日なので、一般的な企業や学校などはお休みです。
お店なども元日は定休日ということも多いので、街は普段よりも静かな雰囲気になっています。
元日になってまだ周りも薄暗い時に、1年で最初の水を汲むことを「若水を汲む」といいます。
元日には近くの神社や有名な大きい神社などに、初詣にでかける人も多いでしょう。
1月1日に寝た際にみた夢に富士山や鷹、茄子が出てくると縁起が良いとされています。
1月1日の朝にすること
1月1日の朝のことを「元旦」といい、特別な朝として位置づけられています。
元日の夜中に汲み上げた若水を使って、朝にお雑煮を作ってみんなで食べると無病息災の御利益があるのです。
元旦の「旦」の字は、初日の出が登ることをイメージしています。
元日から1月3日までは三が日
元日から三日間は三が日と呼ばれ、歳神様が家にくるおめでたい日なのです。
三が日はおとなしく過ごすのが良いとされていますが、現代では店舗などが年中無休なのが当たり前になってきています。
公務員や一般企業であれば休みですが、サービス業の場合は出勤ということもあるのです。
1月7日はお正月飾りを片付ける
1月も7日になると、歳神様はそろそろ帰る時期です。
歳神様がいなくなるのに合わせて、門松やしめ縄などのお正月飾りも片付けます。
1月7日には七草粥を作って、お正月で疲れた胃腸をいたわる風習があるのです。
1月11日は鏡開きをする
お正月飾りを片付けた後も、鏡餅だけはずっと置いていました。
1月11日には鏡餅を叩いてちぎり、みんなで食べて無病息災を願います。
鏡開きはお餅を食べ終わって、一連の流れが全て終了したことになるのです。
1月11日以降はお焚き上げ
松の内に片付けたお正月飾りは、ゴミに出すのではなく神社のどんど焼きでお焚き上げをしてもらいます。
お焚き上げの煙と共に歳神様が帰っていくといわれており、どんど焼きで焼いた餅を食べると1年間病気をしないといわれています。
お正月にいただきたい食べ物
お正月は歳神様のご利益を得るために、さまざまな縁起の良い食べ物を食べます。
お正月に食べることで、一年みんな元気に過ごせるように願う役割があるのです。
具体的にどんな食べ物をいただくのか、詳しくみていきましょう。
おせち料理は歳神様のために縁起の良い食べ物をたくさんお重に詰めて作る料理で、お正月を象徴していますよね。
田植えをイメージする田作りや「よろこぶ」の語呂合わせからきた昆布巻き、子孫繁栄の意味がある数の子などそれぞれのおかずに縁起の良い意味が込められているのです。
お雑煮
正月事始めにお供えをしたものを、元日に汲んだ若水を使って煮込んで餅を入れたものがお雑煮です。
歳神様へのお供え物を食べるということなので、食べるとご利益を得ることができます。
関西は丸餅、関東は角餅が一般的です。
お屠蘇
三が日に一年のうちに溜まった邪気を払うために飲むのが、お屠蘇(おとそ)です。
みりんと酒を混ぜて、さらに屠蘇散という生薬を漬け込んで作ります。
家族の中で飲む場合には、年齢が若い人から飲んでいきます。
お正月の三が日にしてはいけないことは何?
1月1日から3日までは、歳神様が家に来ていることもあっておとなしく過ごすのが良いとされています。
いつも通りに生活してしまいがちですが、実は三が日にはしてはいけないことがあるのです。
してはいけないとは言いつつも、現代の生活スタイルではなかなか難しいこともあるので「しない方が良い」くらいに捉えておきましょう。
掃除はしない
新年を気持ちよく迎えるために、年末に大掃除をする家庭が多いですよね。
お正月を迎える時期では、よほどのことがない限りあまり大掛かりに家が汚れることはないのではないでしょうか。
三が日に掃除をしてしまうと、歳神様も汚れと一緒に掃き出して運を逃してしまうといわれています。
三が日は大掛かりな掃除はせずに、少し散らかったものをしまう程度にしましょう。
火を使わない
料理をする際に火を使うのは欠かせないことですが、歳神様がいる三が日の間は適しません。
火を使うことでせっかく歳神様が来てお祝いムードなのに、火の神様を怒らせてしまうことになるのです。
火の神様は荒くれ者なので、怒らせると運を逃してしまうといわれています。
水に触らない
不動産屋が水曜日にお休みなのは「商談が水に流れる」ことを避けるためですが、同じように三が日に水を触ると運が流れてしまうといわれています。
お風呂に入ることや水仕事をすることは、歳神様も洗い流すことに繋がるのです。
現実的には三日間お風呂に入らないのは難しいので、気持ちだけ留めておけば大丈夫でしょう。
刃物を使わない
刃物と聞くと物騒ですが、料理の際に使う包丁なども三が日中は使わない方が良いとされています。
刃物で切ると歳神様が運んできた福を切り刻んでしまうことにつながるので、縁起が悪いのです。
鏡開きをするときに鏡餅を包丁で切ってはいけないのも、歳神様へのお供え物に刃物を当てるのは福を壊すという意味があります。
散財しない
三が日は各地でお正月バーゲンがあるなど、たくさんお金を使いやすい環境がいたるところにありますよね。
三が日にお金をたくさん使ってしまうと、一年のほとんどでお金が出ていきやすくなってしまいます。
お正月から散財をしないよう、気をつけたいですね。
まとめ
お正月の起源や由来についてご先祖様との関係や正しい時期、いただきたい食べ物などを詳しくご紹介してきました。
お正月の起源は仏教が伝わる前から、ご先祖様に感謝をするお彼岸やお盆と同じような意味の行事から始まりです。
仏教が日本に伝わってからはお盆と行事を分けるために、豊作を願うために歳神様を迎える行事に変化していったのですね。
お正月の時期のはじまりは正月事始めで、準備をしたのち1月11日の鏡開きをするくらいまで続きます。
お屠蘇やお雑煮、おせち料理などお正月には美味しく縁起の良い食べ物がたくさんあるのが特徴です。
歳神様にお供えしていたものを食べることで、一年の無病息災を願います。
お正月にはなるべくならしない方が良いこともあるので、歳神様のことを考えながら過ごしていきたいですね。