公園や庭などでよく見かける「サルスベリ」は、盛夏から初秋にかけて鮮やかな花を咲かせる樹木です。
品種によってピンクや白、紫などさまざまな色が楽しめます。
暑さや寒さにも強く、丈夫で育てやすいサルスベリ。
庭木としてきれいな花を鑑賞したいという方も多いでしょう。
今回はサルスベリの特徴から育て方や剪定方法、花を咲かせるコツ、挿し木のやり方をご紹介します。
サルスベリの特徴や別名!基本情報を紹介
サルスベリはミソハギ科・サルスベリ属の中国南部が原産の中高木です。
約30種類以上の品種が存在すると言われており、花の種類も薄ピンクから赤、白など多彩。
高さも3m~7mと品種によってさまざまです。
幹肌は白くツルツルとなめらかなで、木登りが得意な猿も滑ってしまいそうなことから「猿滑(サルスベリ)」と名付けられました。
丈夫であまり手が掛からず、とても美しい花が咲くため公園や庭先などによく植えられています。
サルスベリの一年のサイクル
サルスベリは毎年冬になると葉が落ちる落葉樹で、一年のサイクルはおおよそ以下のとおり。
- 7月~10月頃…開花する時期
- 10月下旬~11月頃…紅葉・落葉する時期(実がなり種ができる)
- 12月~3月中旬頃…休眠期
- 4月~5月頃…新しい葉や枝が生え始める
その年の春に伸びた若い枝に、夏から秋にかけて花が咲きます。
サルスベリは、日本では古くから「百日紅(ヒャクジツコウ)」と呼ばれてきましたが、その由来は花の咲く期間が長いからだとされています。
暑さの厳しい時期でも負けずに美しい花をたくさん咲かせて、昔から私たち日本人を楽しませてくれていた花なんですね。
サルスベリの花は色鮮やかでボリューミー!花言葉は「雄弁」
サルスベリは7月~10月頃までの間、ピンク・赤・白・紫などのとても鮮やかで美しい花を咲かせます。
花のふちがヒラヒラと波打っており、花弁は6枚ですがそれ以上のボリューム感があるのが特徴です。
サルスベリの花言葉「雄弁」は、枝先に花が咲き乱れる堂々とした様子が由来。
また、枝を擦ると葉や花が話しているように揺れることが由来だという説もあります。
サルスベリを見かけたら、枝をこすって葉や花がおしゃべりするような動きを確かめてみるのもいいですね。
サルスベリの上手な育て方!植える場所や施肥などを解説
サルスベリを植え付ける時期としては、芽が生え始める前の3月~4月頃、落葉中の10月~11月頃が適しています。
植え方や育て方を紹介するので、参考にしてください。
植える場所
小さいうちは鉢植えでも育てることができますが、最終的には地植えすることがほとんど。
どちらの場合も日当たりがよく水はけのいい場所に植えるのがポイントです。
十分に花を咲かせるには日当たりが重要なので、最低でも午前中は日が当たるところを選びましょう。
サルスベリは、葉に白いうどん粉をかけたようなカビが発生してしまう「うどんこ病」にかかりやすいので、風通しのいい場所を選ぶことも大切ですよ。
植え方
鉢植えの場合は市販の培養土などで大丈夫ですが、小粒の赤玉土を6~7割、腐葉土を3~4割ほど混ぜるのが一般的。
地植えでも、掘り上げた土の1/3量ほどの腐葉土を混ぜ合わせるとよりいいでしょう。
地植えする際は、根よりも深さと幅がある穴を掘って植えてください。
どちらの場合も、底に有機肥料か緩効性肥料を入れるか、土に混ぜ合わせるのがおすすめ。
若木のうちは支柱を立てておくと安心です。
水やり
植えてから一年未満の幼木には、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげてください。
成長すれば基本的に水やりはいりませんが、猛暑など極端に土が乾燥するときは朝か夕方に水をあげるといいでしょう。
施肥のやり方
サルスベリには、完全に落葉した1月~2月頃に肥料を与えるといいです。
この時期に与える肥料を「寒肥(かんごえ)」といい、一年間の健康維持や新芽・花芽の増加、根張りを強くする効果があります。
成分が強すぎる肥料は避け、有機肥料、緩効性肥料を使うようにしましょう。
また、花が開花した9月頃に与える肥料「お礼肥(おれいごえ)」も効果的。
開花した後の疲労回復や一年間の健康維持に役立ちます。
こちらも同様に有機肥料や緩効性肥料を与えましょう。
施肥をする際は幹に近い場所は避け、枝先端のあたりの土に肥料を撒いたり、深さ10cmほどの地中に埋めたりしてください。
サルスベリの選定方法・花を咲かせるためのポイント
サルスベリの花を毎年楽しむためには、上手に剪定することが大切。
枝を切ることで日当たりや栄養の循環がよくなり、大きな花を咲かせてくれます。
また枝を間引いて通気性をよくすると、うどんこ病などの予防にも効果的です。
冬の落葉期に行う剪定が基本
サルスベリを剪定する時期は、葉が落ちて枝の様子がよくわかる11月~3月中旬頃までが適しています。寒さに弱い品種だったり、寒冷地の場合は2月~3月中旬頃に行うといいです。
サルスベリの花は、その年の春から伸びた若い枝(新梢)だけに付きます。
そのため、今年花が咲いていた枝は思い切って剪定してしまって問題ありません。
この時期はサルスベリの木も休眠期に入っており、太めの枝を切り落としてもダメージはないので大丈夫です。
また、以下のような細い枝も不要なので根元から切り除いてしまいましょう。
- 混み合い過ぎている枝
- 木の内側に生えている枝
- まっすぐ上のほうに伸びている枝
こうすることで木全体への日当たりがよくなり、花の数が増えます。
夏も剪定する「2度切り」でさらに花を楽しむ
冬に加えて、開花期の8月上旬~中旬頃までに、早めに咲いて終わりかけている花房をいくつか剪定してもいいです。
花房の下2~3節目から切り落とすとそこから新しい枝が伸び、1ヵ月~40日後くらいにもう一度花を咲かせてくれます。
冬だけでなく夏も剪定することを「2度切り」といい、夏剪定も行うと枝数・花数が増えてより多くの花が楽しめるようになりますよ。
ただし、夏剪定は遅咲きの品種には不向きなので注意してください。
上記に加えて、サルスベリは根元から小枝が生えてきやすいので、こちらも見つけたら時期にかかわらず切除しましょう。
毎年同じところを剪定すると枝の先がコブのように変形してしまうので気を付てください。
サルスベリの花が咲かない!?花付きをよくする剪定のコツ
ここからは、大きくてきれいなサルスベリの花を咲かせるために注意すべき点をご紹介します。
サルスベリは、花が咲き終わったすぐ後には手を出さず、必ず上で説明した落葉期に剪定するようにしましょう。
花後に剪定すると切り口から細くて弱い小枝が伸びてきてしまいます。
翌春にその枝から花が咲くのですが、そのぶん花も小さく量が少なくなってしまうんです。
また、剪定する際はつい枝の途中くらいから切りたくなってしまいがちですが、思い切って根元から切ることが大切。
枝の途中を切るとそこから細い枝が伸びてきて、花付きが悪くなってしまうためです。
付け根から切ることで強い枝が育ち、大きくてきれいな花が咲きます。
「サルスベリの花が咲かない!」とお悩みの方は、これらのポイントに当てはまっていないか思い返してみてくださいね。
ただし、鉢植えや盆栽の場合は花後にあえて剪定することで多くの枝や葉が楽しめるようになるので、そこまで気にする必要はないでしょう。
小さい花がぽつぽつと咲くのも、鉢植えや盆栽なら風情があって一興です。
サルスベリの挿し木の方法
サルスベリは挿し木で増やすことができます。
適期は2月~4月なので、剪定の際に切り取った枝を使うことができます。
前年に伸びた若い枝のなかから太さ5mm~10mmほどのものを選び、鋭利な刃物で斜めに切り落とします。長さは20cmほど。
切った穂先は30分~1時間ほど水を入れたコップなどに入れて水揚げしてください。
湿らせた小粒の赤玉土に、1/2~1/3ほど挿して完了です。
挿す前に、切り口に発根促進剤などを塗ってもいいですよ。
挿し木後は直射日光が当たらない日陰で管理するか、ビニール袋で密閉し、あまり乾かないようにたっぷり水をあげてください。
うまくいけば6月頃に発根するので、3号~4号のポットや鉢に1本ずつ植え替えましょう。
サルスベリを上手に育ててきれいな花を楽しもう
今回は、サルスベリの成長サイクルや花の特徴、育て方、選定の方法などを詳しく解説してきました。
夏から秋にかけてヒラヒラとした可愛らしい花々が鑑賞できるサルスベリは、庭木として人気が高いです。
大きい花を咲かせるにはいくつか剪定の注意点をおさえておく必要がありますが、基本的に生育が旺盛で初心者でも育てやすい樹木。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、サルスベリの木を育てて美しい花を楽しんてみてはいかがでしょうか。