夏の日差しがまだ弱い朝のうちに花を咲かせる「朝顔」は、清涼感のある代表的な夏の花です。
夏休みの宿題として、小学生のお子さんが朝顔の鉢植えを持って帰ってきたという方もいらっしゃるでしょう。
今回は、そんな朝顔の種まきに適した時期や育て方、摘心の方法などを解説します。
また、美しい朝顔の鉢植えがたくさん販売される「朝顔市」もご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
朝顔の花言葉や代表的な種類を紹介
朝顔は、ヒルガオ科サツマイモ属の一年生(発芽~枯死までが一年以内に終わる)つる草です。
開花期は7月中旬~10月上旬。
花言葉は「愛情」「結束」「はかない恋」です。
朝顔にはさまざまな品種がありますが、代表的な種類として以下が挙げられます。
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- 大輪アサガオ
- 曜白(ようじろ)アサガオ
- ソライロアサガオ(ヘンリーブルー/西洋アサガオ)
- マルバアサガオ
鉢植え(行灯仕立て)に向くタイプは大輪アサガオ。
グリーンカーテンにおすすめの種類は、曜白朝顔やソライロアサガオ、マルバアサガオです。
朝顔の種まきに適した時期!関東地方は5月上旬以降
朝顔の種まきに適した時期は、4月下旬から6月上旬までです。
- 北海道は6月上旬
- 山陰・北陸・東北地方は5月中旬~下旬
- 関東・関西・中国地方は5月上旬以降
- 九州・四国・沖縄は4月中旬~下旬以降
基本的に、関東であれば5月中に種まきすれば大丈夫ですが、とくに5月中旬の連休明け頃が気温も安定しやすくおすすめです。
7月に種まきをしても十分育ちますが、成長が遅かったり、花が小さい・あまり咲かなかったりする可能性があります。
大きく育ててたくさん花を咲かせたいなら、なるべく5月までに種まきするといいですよ。
朝顔の種まきの方法を3ステップで解説
朝顔の種まきのやり方を、3つの手順に分けて解説していきます。
1.鉢植えに土を入れる
鉢でひとつひとつ育てるなら、6~7号の鉢に直接種をまいて、そのまま育てていく方法が最も簡単でおすすめです。
グリーンカーテンをつくるなら、60cmほどの横長プランター(3鉢育てられます)にしましょう。
- 鉢植えの底に軽石を敷きます。
- 鉢植えに半分ほどの土を入れ、そこに元肥(もとごえ:植え付け前に施す肥料)を加えて軽く混ぜます。
- 残りの土を入れたら、土の中まで湿るように水をたっぷり与えてましょう。
土の種類は、市販されている草花用の培養土で構いません。
よりこだわりたいなら、玉土5・腐葉土4・川砂1の割合でブレンドした土がおすすめです。
川砂を入れると水はけがよくなるので、排水性の高い土を好む朝顔に適しています。
元肥は、粉末タイプの緩効性肥料(ゆっくり長く効果が出る肥料)を使ってください。
2.種の表面に傷をつける「芽切り」をする
朝顔の種は表皮(カラ)がとても固いので、なかなか芽がカラを破れないことがあります。
最初に「芽切り」をして種の表面に傷をつけ、芽が出やすいようにしてあげましょう。
カッターナイフやニッパー、爪切りなどを使って、芽の丸くなっている側(背中側)に少し傷をつけてください。
内側の白い部分は発芽部(へそ)なので、こちらには傷をつけないようにしましょう。
深さは中の白い部分が見える程度で大丈夫です。
あまり深く傷をつけると中に詰まっている双葉(最初に出てくる葉)に穴が開いてしまうかもしれないので、浅く切るように注意。
ただし、市販の種はすでに発芽処理が施されていることもあるので、説明書きをよく確認してくださいね。
3.種をまく
鉢植えと芽切りの準備ができたら、いよいよ種をまいていきましょう。
- 土に1.5cmほどの穴をあけます(人差し指の第一関節に達しないくらいが目安)。プランターや地植えの場合は15~20cmほど間隔をあけてください。
- 種の白い部分(へそ)を下にして、種を置きます。
- 土をかぶせて軽くならしてください。
- 水をたっぷりまき、発芽まで土が乾かないようにしましょう。
種をまいたら、日当たりと風通しがいい場所に鉢植えを置いてください。
夜に外灯などの光があたると昼夜のリズムが狂ってしまうので、夜はきちんと暗くなる場所を選ぶことも大切。
とくに問題がなければおよそ1週間で芽が出てきますよ。
朝顔の上手な育て方!水やり・肥料のあげ方のポイント
種まきをしたら、以下のポイントを抑えて水と肥料をあげていきましょう。
- 種まき後から梅雨時期までの水やりは朝1回
- 夏の水やりは朝・夕の2回、鉢底から水が出るくらいたっぷりと
- 植え付け後3週間経ったら10日に1回程度、液体肥料を与える
梅雨が明けて生育旺盛な夏になったら、水が蒸発して水切れを起こさないよう、朝と夕方の2回水やりをします。
気温が高い真昼に水をあげると根がいたみやすくなるので、夕方まで待ってください。
植え付けてから3週間経つと元肥の効果が切れてしまいます。
肥料が切れると花も咲きづらくなってしまうので、10日に1回ほど液体肥料をあげましょう。
面倒な方は、もっと与える頻度の少ない固形肥料でも構いません。
液体肥料は、開花を促す成分「リン」がたくさん含まれている種類がベスト。
窒素が多い肥料だと葉ばかり育って花が咲きづらいので、リンが多い肥料を選んでくださいね。
成長してきて園芸用トレーやポットなどから移植する場合は、本葉(双葉の後に出てくる葉)が7~8枚の頃までに行ってください。
ツルが生えてくると植え替えにくくなってしまいます。
朝顔が成長したら支柱やネットにツルを絡ませよう!
順調に成長してツルが伸びてきたら、支柱やネットに誘引してあげましょう。
まずはツルの発育をよくする「摘心」を行う
ツルが伸びてきたらそのまま支柱やネットに絡ませてもいいですが、その前に摘心を行うとよりツルの発育がよくなりボリュームが出ます。
とくにグリーンカーテンをつくりたい方は、摘心をするといいですよ。
本葉が8~10枚ほど生えてきたら、下から5~6番目の本葉のすぐ上にハサミを入れてツルを切ってください。
これが「摘心」という作業です。
摘心したところのすぐ下にある葉の付け根から、「子ヅル」という新しいツルが3本ほど生えてきます。
この作業を5~8月の間に何度か行うと、株が大きくなって花もたくさん咲きますよ。
鉢植えの朝顔は行灯仕立てにする
鉢植えの場合は、数本の棒に輪がついた「行灯仕立て(あんどんじたて)」の支柱を使います。
伸びてきたツルを手で支柱に絡ませたり、ヒモで軽く結んだりしましょう。
つぼみが支柱の外側を向くようにするときれいですよ。
ツルが伸びてくるごとに、逐一誘引していくとベスト。
ツル同士が絡まってきたら手で外して、また支柱に絡ませてあげてください。
ネットに誘引してグリーンカーテンにする
グリーンカーテンにするなら、ネットに誘引します。
必要なものは以下のとおり。
- マス目が10㎝四方のネット
- 作りたいカーテン幅の長さがある支柱
- 紐やワイヤー
ネットの色は壁と同じにすると外観がよくなります。
できたら日が当たりやすいよう斜めに設置し、ネットの内側にプランターを置くのがポイントです。
ネットの上部と下部に支柱を通し、上側はベランダの手すりやサッシの金具、突っ張り棒などに固定しましょう。
下側は支柱に紐やワイヤーを結び、プランターにぐるりと回して固定するとビシッとネットが張れますよ。
おうぎ型になるようにツルをネットに絡ませたり、紐で軽く結んだりしましょう。
成長してネットからはみ出たツルはカットしてください。
朝顔市(朝顔まつり)に行ってみよう!
毎年7月初旬になると、全国各地で朝顔市が開催されます。
そのなかでも今回は首都圏の代表的な朝顔市を2つピックアップ。
たくさんの朝顔の鉢植えが販売されるので、きっとお気に入りの一品が見つかりますよ。
入谷朝顔まつり(朝顔市)
朝顔市と言ったらここ!というほど代表的なのが「入谷朝顔まつり」。
2019年で71周年を迎えた、とても歴史ある朝顔まつりです。
朝顔市の期間中、入谷鬼子母神(真源寺)では、かわいらしい朝顔柄が入った数量限定の御朱印を授与しています(御朱印料は400円)。
■開催場所
台東区下谷にある「入谷鬼子母神(いりやきしもじん/真源寺)」と、その周辺。
■開催日時
土日祝は関係なく、毎年7月6日~8日に行われています。
時間は朝5時~23時まで。
草加朝顔市
草加市内の園芸農家が育てた、800鉢にもおよぶ朝顔が販売される朝顔市です。
価格は1鉢1,500円(税込み)。
また、1鉢購入ごとに草加せんべいが1枚ついてくるという嬉しい特典つきです。
朝顔だけでなく、草加せんべい、皮革製品、ゆかた染めなど、草加の特産品を中心に、焼きそばやかき氷の出店も楽しめます。
■開催場所
国指定名勝である、おくのほそ道の風景地・草加松原(百代橋南側)で行われます。
■開催日時
7月上旬(毎年7月の第一日曜日が開催予定日ですが、その年によって異なることもあるので公式ホームページで確認してみてください)。
夏の風物詩・朝顔を育てて美しい花を楽しもう
朝顔はとても育てやすく、日当たりのいい場所でたっぷり水をあげれば、青や紫、白などのきれいな花を咲かせてくれます。
爽やかな青や可愛らしい赤など、涼しげで美しい花が魅力的なだけでなく、グリーンカーテンにすればおしゃれな日よけにもなって一石二鳥。
小学生が夏休みに育てることも多いので、お子さんは鉢植え、お母さんはグリーンカーテン、というように親子で朝顔を育ててみるのも楽しいですね。
幅広い品種があるので、いくつかミックスしていろいろな花を観賞するのもおすすめです。
ぜひ夏の風物詩である朝顔を育てて、童心に返って夏を楽しんでみてくださいね。