1月厳しい寒さが続く冬でも春の背中が見え隠れしています。
春になったらどこに行こう?そうだっ山菜採りに行ってみようかな?!なんて思っている人も少なくないはず。
山菜の代表といえば薇(ぜんまい)と蕨(わらび)。
薇(ぜんまい)ってこんなに難しい字、そもそもぜんまいってどんなのだったかな?と思い出し辛い方もいらっしゃるのでは。
ぜんまいは、山のどこで取れるの?ぜんまいをおいしく食べるには、どうしたらいいの?という、さまざまの疑問にお答えします。
薇ぜんまいとは?
薇と書いてぜんまいと読みます。
この「薇」という文字は「薔薇」(ばら)にも使われる漢字です。
同じ「薇」を使うのに「科」がまったく違います。
薇(ぜんまい)はしだ植物の一種で、北は北海道から南は九州、沖縄まで海外ではロシアの樺太や中国、ヒマラヤにまでその分布エリアは及んでいます。
若芽の姿が発条(ゼンマイ)と似ているところからこの名で呼ばれるようになりました。
また、お金を巻いている銭巻きのような姿から銭巻きがなまってぜんまいとよばれる説もあります。
出たばかりの若い芽は食用とされ、蕨(わらび)と同様、山菜としての代表格になっています。
高さは0.5mから1.0mまで伸び、山の斜面などに自生しているのを見うけることが多いです。
その繁殖時期は3月から5月です。
この時期がまさしく薇(ぜんまい)の山菜採りの時期でもあるのです。
ぜんまいにもなんと花言葉があります。
「夢想(夢に見る)」「秘めたる若さ」「円熟した優美」「子孫の守護」などがそれです。
ぜんまいも植物花が咲くものなのです。
ぜんまいに男と女の関係が?!
ちょっと「どきっ」としてしまうタイトルですが、薇(ぜんまい)にはオスとメスがあるのをご存じでしたでしょうか。
雌雄異株(しゆういしゅ)と呼ばれるものですが、イチョウやアオキ、モクセイなんかも有名ですね。
なんとほうれん草やキウイフルーツもこの手の種類なのです。
繁殖するための手段としては鳥や虫、風などがつなぎ役となって受粉をするのです。
そしてぜんまいを山菜取りとして行う際に、このオスとメスの違いがわかることがとても大切なポイントとなってくることは「どんなところで採れるんだろ?」のコーナーでお話します。
薇(ぜんまい)取りに行くならいつ?
基本的に日本全土に生えているので、その旬の時期というか山菜取りに行く時期は変わりますが、おおむね3月から6月くらいがその取り頃となります。
まず九州で3月中頃から採取することが可能となり、その後本州に移り4月中旬の春本番の時期からゴールデンウイークあたりがまさしく旬、取り頃を迎えます。
そして東北地方の山間部などでは冬に積もった雪が解けてそこへ薇(ぜんまい)が育つこともあり、6月でも取ることができるのです。
薇(ぜんまい)の採れる時期と蕨(わらび)の採れる時期はほぼ一致するのでいっぺんに両方採れる可能性も十分ありです。
採り頃の姿見は「綿毛がしっかり残っていて葉がまだ広がっていない状態」を念頭にしてみるのがよいです。
どんなところで採れるんだろ?
どんな場所で取れるのでしょうか?
まずは全国の山間部ということですが、ぜんまいってわりと急な傾斜地に生えていることも多いのです。
また山を奥深く入っての沢近くにも自生していたりします。
いずれも湿気を好むので山菜採りに行く身としては少々めんどうな場所に生えているケースも多いのです。
したがって薇(ぜんまい)を取りに行く時に注意さなければならないポイントがあります。
それはまずしっかりとした装備です。
薇(ぜんまい)の生える場所は山間の傾斜地ということも大いにしてあるので、足場をしっかり確保する必要がでてきます。
また、滑りやすい場所に生えている場合も大いにあり得るのでその防止策としてしっかり滑り止めができるシューズが必要になります。
できるなら登山や雪対策で使われるアイゼンみたいなものがあればより安全です。
インターネットで検索などすると千円から2千円程度のものを購入することが可能です。
そして、薇(ぜんまい)を取るときに注意する点がもう一つ。
それはオスを基本的に残すよう心掛け、メスは適度に採る、です。
その理由はオスを全部取りつくしてしまうと次の年に芽がでてこなくからです。
まさに「種なし」状態になってしまうのです。
何かを採る、取る、捕る際には植物や動物すべてにおいて適度な確保が必要となるのです。
オスとメスの違いはその「胞子」がたくさん見うけられるかどうかです。
オスには胞子がたくさんあり、ボサボサしている感じ。
メスはそういったものがありませんからさっぱりした姿見です。
また、オスのほうが先に育っていくのでメスよりも背が高いのも特徴の一つと言えます。
そして、もう一つ気を付けたいのが「こごみ」。
こごみはちょっと見るとぜんまいに似ています。
こごみも食べられますから間違って採っても問題はありませんが、ぜんまいで勝負という人のために違いを言っておきます。
- ぜんまいには綿毛がある、こごみには全くない
- ぜんまいには茎がない、こごみにはある
- ぜんまいは茎の断面が円形、こごみはコの字
などです。採ったときにちょっと気をつけてみて下さいね。
どうしたら食べられる?
どうしたらおいしく食べられるのか、そのいくつかをご紹介します。
ナムル
これは薇を使った料理としては定番中の定番です。
スーパーなどでもまずないことはない、というくらい人気の品ですね。
普段は販売されている水煮の状態のものを使いますが、ここは苦労して採ってきたものを使って作ればその風味も違います。
まぜご飯
薇(ぜんまい)と鶏肉などお安めの肉類を炒めて混ぜるだけの混ぜご飯。
シンプルに仕上がりますし、手間暇もかからず、ヘルシー。
そのままお子さんのお弁当箱に詰めればりっぱなお昼ご飯にもなります。
おかずなんか他にはいりません。
和え物
ほうれん草やセリやニンジンなどをまぜて和え物にしてみてもお酒のおつまみなどにもピッタリです。
ぜんまいを甘辛く煮付けてほうれん草などと白和えにするだけでとても簡単でおいしい一品になります。
そして、薇(ぜんまい)は非水溶性植物です。
おなかの中の水分を吸収し、腸を活発化してくれる作用があります。
そして同時に体に悪い成分を便といっしょに排出することもしてくれるのです。
便秘の方など、もってこいの食材なのです。
ぜんまいの長期保存
【あく抜き】
これはめんどうくさいと思う人にはお勧めできるものではありませんが、あく抜きをすることで長期間の保存が可能となるので参考までにご紹介しておきます。
まずはあく抜きをする前準備として下処理をしなければなりません。
その際、ぜんまいはあくが結構強いので手荒れなどの防止にゴム手袋などをするのをお勧めします。
まず綿毛を取り除き、水で洗って汚れを取り、きれいにします。
そして、あく抜きには重曹を使います。
重曹はドラッグストアやスーパーでよく見かけるものを使います。
重曹でぜんまいを約1分ほど茹でます。
そのあとお湯を捨ててまた重曹で煮る。
これを2~3回繰り返し、その後ぜんまいを水にたっぷりと浸して3時間ほどそのまま置きます。
水に浸すことを2回繰り返し完成です。
かなり手間のかかる作業ですが、これを乾燥させればかなり長期にわたり保存が可能なのです。
市販されているぜんまいとは一味違う本物のそれを味わうことができます。
【乾燥・保存のやり方】
あくを抜いたぜんまいをゴザなどを使って1時間から2時間ほど乾燥させます。
この際、ぜんまいの色合いに変化があったら手でぜんまいを揉みこみます。
この揉みこみをすることでぜんまい独特の食感を楽しむことができるのです。
これを5回ほど繰り返し、作業は終了します。
だいたい一日がかりの作業となりますからお天気のいい日を選んで実行することが必要となります。
まとめ
季節限定でしか採ることができない薇(ぜんまい)。
わらびやこごみなどと同様、季節感を思いっきり感じながら採れる薇(ぜんまい)は山菜の代名詞的存在です。
一つの方向から見るのではなく、全方面で見てみたらぜんまいもけっこうユニークな一品なのが発見できます。
薇(ぜんまい)、それは、けっこう奥が深いのです。