あやめという花をご存知ですか?
春に見頃を迎える花で、一般的には青紫の花が印象的です。
薄い青みがかった紫を「あやめ色」と呼んだりもしますよね。
この「あやめ」ですが、漢字で書くと「菖蒲」になります。
この漢字だと、「しょうぶ」という読み方で読んでしまう人も多いのではないでしょうか?
ですが、「あやめ」と「しょうぶ」は別の花なんです。
それでは、今回はそんな「あやめ」と「しょうぶ」の違いをはじめとして、あやめという花について知っていきましょう。
あやめはどんな花?咲く季節はいつ?
あやめはアヤメ科アヤメ属に属する花で、園芸の世界では草花に分類されます。
外に花びらが垂れ下がって、内側の花びらはぴんとまっすぐ咲く、独特の姿が印象的な花です。
多年草なので、一度花が散ってもまた季節が巡ると花を咲かせてくれます。
特徴的なのは花びらの網目模様で、花びらの付け根にはっきりとした網目模様が見えます。
花の色は青紫か、白色ですが、日本に生息しているあやめの色は概ね青紫が主流です。
そんなあやめの咲く季節は春。
5月の上旬から中旬にかけて咲きます。1ヶ月2ヶ月と咲き続ける花に比べると、咲いている期間は短く、見頃は5月上旬頃で、本当に少し咲いたら枯れてしまいます。
綺麗に見れる期間が短いので、どうしてもその目で花をみたいという方は時期をしっかり把握しておくことが大切です。
あやめは背が低く、花も小さめで可憐ですが、毒を持っているので、注意しなければいけません。
あやめの毒は根っこから花びらまで全体に行き渡っているので、どの部位であっても口に含むのはご法度です。
樹液にももちろん毒があり、皮膚炎を起こすこともある毒なので、もし摘んだり触ったりする場合には十分に注意しながら扱うようにしましょう。
「あやめ」の名前の由来は?別名はあるの?
あやめはなぜ「あやめ」という名前になったのでしょうか?
この名前の由来には2つの説があります。
まず、あやめの葉っぱです。まっすぐ筋が通っていて、剣型の葉が、規則正しく生えてきます。
この葉っぱの形が、道筋や模様という意味で使われた「文目」という言葉に結びついて「あやめ」と呼ばれるようになった、という説です。
次に、あやめは「綾目」と書く場合があります。
「綾」というのは、いろいろという意味があり、特に織物のように様々な糸が複雑に絡み合った状態を指すことが多い字です。このことから、あやめの花びらにある網目模様を「綾目」と呼んだことが由来、とも言われています。
アヤメ科の植物は北半球の各地に分布していて、海外でもメジャーな花ですが、海外では「アイリス」や「イリス」と呼ばれています。
海外に生息しているあやめでは、「ジャーマンアイリス」などが有名です。また、色も紫だけではなく、黄色、白、ピンク、と様々な色合いのものがあるんです。
アイリスやイリスという言葉は、ギリシャ語では「虹」という意味になります。
色とりどりの花をつけることから、「虹のような花」と呼ばれるようになったのでしょう。
あやめの花言葉は?
あやめは寒さに強いため育てやすく、ガーデニングが趣味の方に人気の花です。
それと共に、贈答用に選ばれることが多い花でもあります。
プレゼントとしてあやめを贈るなら、やっぱり花言葉は知っておきたいところですよね。
それでは、あやめの花言葉にはどんなものがあるのでしょうか?
花言葉は色によって少し異なります。
紫のあやめ
ほとんどのあやめは紫なので、白も合わせて包括的に表された言葉が多くあります。
- 朗報
- メッセージ
- 良い便り
- 希望
- あなたを大事にします
どれも良い言葉ですね。プレゼントに選ばれるというのにも頷けます。
次に、白いあやめの花言葉です。
白のあやめ
白のあやめは「白」というところが強調された花言葉が多い印象です。
- 純粋
- 優しさ
- 神秘的
言われると納得してしまう花言葉ですね。
「神秘的」というのは白のイメージだけではなく、あやめの気高そうな花の印象も含まれている感じがします。
「あやめ」と「しょうぶ」の違いは?見分けるポイントは背丈
あやめと間違えられやすい植物として「かきつばた」や「しょうぶ」と言った花が挙げられます。
「いずれがあやめ、かきつばた」ということわざがあるくらいよく似ている花です。このことわざの意味は、甲乙つけがたいほど優れている、という意味で使われますが、極稀に「見分けがつかない」という意味で使う人がいるくらいです。
あやめは漢字で書くと「菖蒲」になります。そして、しょうぶも「菖蒲」と書きます。
それでは、あやめとしょうぶの違いはなんなのでしょうか?
・属性は同じ
実は、あやめとしょうぶ、かきつばたはどれも「アヤメ科アヤメ属」の花なので、大きな枠組みでは同じ花と言えます。
ですが、それぞれ名前をつけられているからにはもちろん違いがあるんです。
・生息地が違う
大きな特徴として、あやめは山の中や、畑道などの乾いた地面で育つ花ですが、かきつばたは水場や湿地で育つ植物です。しょうぶは山の中でも湿地でも育つので、生息地だけでは特定できませんが、少なくとも水場に咲いているあやめに似た花はあやめではありません。
・背丈が違う
あやめは小さく、40cmから、大きいものでも60cm程度で止まってしまいます。
それに対して、かきつばたは70cm、しょうぶは大きいものなら100cmくらいまでは伸びます。
・模様が違う
これが最も大きな違いですが、あやめは外に垂れ下がっている花びらの奥に、黄色の網目模様があるのに対し、しょうぶやかきつばたは外の花びらには模様がありません。
見分ける時には、外側の花びらと生息地、背丈の3つを比べれば種類が特定できるでしょう。
端午の節句に大活躍の「菖蒲」と花の「しょうぶ」は違う
アヤメ科アヤメ属の「しょうぶ」は「菖蒲」と書きますが、元来「菖蒲」と呼ばれていたものはアヤメ科アヤメ属ではなく、ショウブ科に属している植物です。花もあやめとは似ても似つかない花が咲きます。古くはサトイモ科に属しており、山奥で育つ植物でした。あやめとの共通点は剣型に伸びた葉くらいです。
この「菖蒲」も私達の生活では親しい植物の1つです。
というのも、端午の節句で玄関に飾ったり、「菖蒲湯」にしたりする方の「菖蒲」はこのショウブ科のしょうぶだからです。
アヤメ科の「しょうぶ」は元々「花菖蒲」と呼んでいた花で、あやめも正式には「はなあやめ」と呼ばれています。
ただ、はなあやめや花菖蒲、かきつばたは同じアヤメ科なので、すべてひっくるめて「アヤメ」と呼ぶ人も居ます。
あやめに属するしょうぶと、端午の節句に使う菖蒲は別物ということは、覚えておきたいですね。
まとめ
5月になると私達の目を楽しませてくれるあやめ。育てやすい多年草であることからガーデニングでも人気の花の1つです。花言葉が「良い報せ」など、良いイメージのものが多いため、プレゼントとしても人気がありますが、花には毒があるので、取扱には注意しなければいけません。
また、よく「しょうぶ」と間違われることがありますが、背丈や生息地、花びらの模様など細かいところが異なるので、この3点で見分けてみるようにしましょう。
あやめの仲間である「しょうぶ」と、端午の節句で使う「菖蒲」は同じ字ですが、全く種類が異なるので、そこも注意が必要です。
きれいな花なので、是非見頃の時期に楽しみたいですね。