葬儀の後に、参列していただいた方々にお礼の気持ちを込めて贈るのが香典返しですが、どんな品物を贈るのかを決めるまでには苦労があります。大抵の人は、葬儀のときは忙しく、考えがまとまらないものだからです。
そんなときは、自分が葬儀に参列したときのことを思い出してみましょう。
きっと誰でも何回かは、お菓子をいただいたことがあるはずです。
実は香典返しにお菓子は最適な品物です。今回は香典返しのお菓子について解説します。
香典返しにお菓子が最適な理由や、親戚や会社関係など相手別に最適なお菓子をお知らせしますから、きっと役に立ちますよ。
食べ物ならよいわけじゃない!香典返しにお菓子が最適な理由!
香典返しには、消え物が使われます。食べたり、使ったりして無くなる品物が消え物です。
誰でも葬儀などのおめでたくないことは、後に残ると困ります。できれば何度も葬儀を出したくないですね。
この気持ちから香典返しには、後に残らない消え物を贈るようになったと考えられます。
消え物を選ぶことで、葬儀の悲しさを引きずらないで、前に向かって進む人々の姿勢が見えてくるようですね。
食べると無くなるから、食べ物なら何でも香典返しに適しているわけではありません。四十九日法要が終わるまでは、生臭物は控える家庭もありますから、肉や肉製品(ハムやソーセージ)、魚などは適していないことがわかります。
お酒もお祝いごとを連想させますし、昆布なども縁起がよい食べ物といわれているため、香典返しに使うのは避けた方がよいでしょう。
このように消え物には、タブーがあります。お菓子はこのタブーに触れず、誰からも喜ばれ、気楽に受け取ってもらえます。
種類も多く、季節感を出すこともできますから、お菓子は香典返しに最適な重宝な品物です。
香典返しとして贈るお菓子の条件!親戚の場合
親戚の人たちに香典返しを贈るときには、葬儀の場で渡すことが多いでしょう。
自宅まで持ち帰ってもらうときには、重いお菓子を避ける気遣いが必要です。
親戚にもいろいろな年代の人がいるはずですから、同じ洋菓子でもカステラ、バームクーヘン、ゼリーなど、年代ごとに食べやすいものを選んであげると喜ばれます。
なるべく長く保存できるものを贈ることも大切です。すぐに消費期限が切れてしまうものは、贈られた人も早く食べなければと急かされているように感じてしまいます。
矛盾するようですが、生菓子が好きな親戚がいる場合なら、自宅に直接持参してください。
本来香典返しは相手の自宅に持参して、手渡しするものでした。きっと親戚の人は葬儀の後のことを心配しているはずです。
直接会って、話ができることを喜んでくれるでしょう。
生菓子を持参するときには、葬儀に参列していただいたお礼の言葉とともに、中身が日持ちのしない生菓子であること、保存に気をつけて欲しいことを伝えましょう。
どんなにおいしいお菓子でも、大量に贈ることは相手にとって負担になる場合があります。
特に高齢の人などには、量よりも質を優先するとよいでしょう。お菓子をたっぷりと贈りたい場合は、個包装になっているもの、何種類かのお菓子が詰め合わせになっているものを選びましょう。
個包装なら食べきれないときには、おすそ分けをすればよいし、違う種類のお菓子が入っていれば、飽きずに食べてもらうことができます。
葬儀をともに乗り越え、悲しい気持ちを共有してくれる親戚だから、香典返しとしてお菓子を贈るときも、少し気を遣いましょう。きっとこれからのお付き合いがスムーズに進みますよ。
会社への香典返しに便利!その理由とおすすめのお菓子!
もしお勤めをしている人に葬儀があれば、会社にも影響があります。
香典や弔電を出してもらう上に、自分は仕事を休むことになるので、会社の人たちには負担をかけてしまいます。
そんな会社への香典返しとしても、お菓子は最適です。
会社では連名で香典をいただくことがあります。一人ひとりの金額が少ない場合、お返しは要らないという考えもありますが、お菓子なら幅広い価格の中から選べます。いただいた金額に見合ったお返しができるのです。
場合によっては一人ずつのお返しを省いて、会社の部署全体にお菓子の詰め合わせを贈って分けてもらうのもよいでしょう。
その時は必ず部署全員に行き渡る量のお菓子を贈ってください。仕事で負担をかけてしまった人たちへのお礼の気持ちを表すことができます。
多勢の人たちでお菓子を分けることを考えると、やはり個包装になっているものがよいでしょう。
また、消費期限が長ければ、後からお客様へのお茶菓子などに利用できますね。
香典返しを持参するときは、葬儀に関することに区切りがついて、仕事に復帰するときです。
お菓子を持参するだけではなく、必ずあいさつが必要です。
あいさつには葬儀に参列していただいたお礼と、仕事を休んだことへのおわびが必要ですが、さらに今日からまたよろしくお願いします、の一言を添えるとよいですね。
おすすめのお菓子を選ぶために!季節感を大切に!甘くないお菓子?
香典返しとして贈るお菓子には消費期限が長く、保存しておけるもの、個包装のものがよいことがわかりましたが、お菓子というのは種類が多く、なかなか選べない人も多いでしょう。そんなときには、季節を考えてお菓子を選ぶのがおすすめです。
夏ならプリンやゼリー、水ようかんなど冷やして食べるとおいしいお菓子がおすすめです。
これらのお菓子は法律上生菓子に分類されますが、缶入りのものなどは長期保存できます。これなら消費期限の問題もクリアできますね。
秋冬には、温かなお茶と一緒に食べるとおいしいお菓子が喜ばれます。
栗が入っているまんじゅうや羊かん、パウンドケーキなどは季節が感じられてうれしいものです。
1杯のお茶とおいしいお菓子で、葬儀に参列した疲れを癒やし、亡くなった人のことを思い出してもらえれば、贈る側としてもうれしいですね。
お菓子は甘い物と思っている人が多いでしょうが、せんべいやあられも立派なお菓子です。
世の中の人は全員が甘党とは限りません。たまには気分を変えてこうした物を贈ってみましょう。
せんべいやあられは缶に入っていて重いというイメージがありますが、箱入りのものなら軽くて持ち運びが便利です。
また、常温で保存ができ、個包装になっているので、香典返しにピッタリです。
無料でかけ紙や手提げ袋をつけてくれるサービスを行っているせんべい屋さんもありますから、利用するとよいですね。
忘れている?香典返しを贈るときのマナーとは
気楽に受け取ってもらえるお菓子ですが、香典返しとして贈る場合はマナーを守る必要があります。
包装紙は地味な色にして、必ずかけ紙(葬儀などの不祝儀にはのしを使わないため、のし紙ではなくかけ紙といいます)をかけてください。
かけ紙を包装紙の上にかけることを外のし、包装紙の下にかけることを内のしといいますが、これも自分で指定しましょう。
宅配便で贈るときにはかけ紙が傷まないように内のしを選ぶ人が多いですが、自分で相手のお宅に持参するときは、誰が贈った品物かすぐにわかるように外のしを選ぶ人が多いようです。
直接持参するときは、相手にあいさつができますが、宅配便を使うときはそれができません。
品物だけを送りつけることのないように、あいさつ状のことも忘れないでください。
かけ紙は、白黒(地域によっては黄白)で結び切りの水引のものを使います。
蓮の花の模様が入ったかけ紙は、仏教だけで使われます。葬儀が神道やキリスト教で行われた場合は使うことができませんから、注意してください。
表書きは「志」と書くのがおすすめです。これは宗教や地域を問わずに使うことができます。
関西では「満中陰志」、神道やキリスト教では「偲び草」を使います。
表書きの下には、自分の名前を書くのも忘れないようにしましょう。
自分の名字のみ、または「〇〇家」と書くのが一般的です。
香典返しの品物を購入するときに、包装紙やかけ紙、あいさつ状などは業者さんにお任せできます。
だから香典返しを贈るときに、ほとんど心配はありません。
大切なのは、包装紙の色、柄やかけ紙の種類、表書きと名前の書き方、どんなあいさつ状を添えるのか、また内のしか外のしにするかという細かな希望を自分できちんと伝えることです。
まとめ
今回は香典返しとして贈るお菓子について解説しました。
お菓子が香典返しとして最適な理由や、親戚や会社関係など、相手によって最適なお菓子を選ぶコツをお知らせしました。
数あるお菓子の中から一つを選ぶために、季節感を大切にすることもお知らせしましたから、実際にお菓子を選ぶときの参考になるはずです。
また、香典返しを贈ることは、人生で何度もあることではないため、ついマナーを忘れがちになってしまいます。
葬儀という大切な場面でお世話になった人に贈るものですから、ぜひこの機会にマナーのおさらいをしてください。
みな忙しい中を葬儀のために駆けつけてくれたと考えると、自然とお礼の気持が湧いてきます。
その気持ちをお菓子に込めれば、きっとよい香典返しが贈れるはずですよ。